猫の体をつくり、健康を維持するためには、魚・肉等に含まれるタンパク質の他、カルシウムやミネラル、ビタミンなど、想像以上に多くの栄養素が必要となります。
今回注目して頂きたいのは、微量でも猫の体内で活躍している、ビタミンです。
このビタミンが不足してしまうと、猫の命にも関わる、ビタミン欠乏症になってしまう恐れがあります。
大切な愛猫ちゃんの不調のサインを見逃さず、ビタミン欠乏症の早期発見を心掛けましょう。
早い段階で治療ができると、薬の効きも目に見え、回復の道も早まります。
それでは、猫のビタミン欠乏症がどんな症状を引き起こし、どう対処したら良いか、なぜ大切な栄養素なのかを、ご覧ください。
猫にビタミンは必須なんです!
猫は元々肉食の為、その主食にはタンパク質の豊富な魚や鶏・ターキー等の肉類が使われています。
キャットフードの種類を大きく分けると、以下3つのジャンルに振り分けられます。
総合栄養食 | 猫の体に必要な栄養素がバランスよく入ったフード |
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一般食or副食 | 栄養に偏りがある為、総合栄養食と共に与えるフード |
おやつ | ご褒美または食の進みがいまいちな時に与えるフード |
ここで、普段愛猫にあげているキャットフードの原材料を確認してみましょう。
ほとんどのものに『 ビタミン E 』や、『 ビタミン類 』どちらか、または両方の表示があるかと思います。
「猫のごはんは、タンパク質!」と、そこだけに注目してしまうと、思わぬ疾患に繋がってしまうので、要注意。
キャットフードの原材料に、ビタミンの表示があるという事は、”ビタミンが猫に必要”だからなのです。
ビタミンの欠乏で起こる猫の疾患
猫が必要とするビタミンには、よく耳にするビタミンCやEの他に、ビタミンA・K・Dと、ビタミンB類が挙がります。
このビタミンが不足すると、猫の体調を脅かす、ビタミン欠乏症へと繋がってしまうので、次の症状が見られた際には、病院への受診をおすすめします。
ビタミンA欠乏症(別名 レチノール)
ビタミンAは、脂肪分に溶ける脂溶性ビタミンで、卵や魚に多く含まれる栄養素。小腸で吸収し、肝臓に蓄えられます。
※蓄積される分、過剰摂取には注意が必要です。
また、視力にも働くビタミンAは、猫にとって大切な夜(暗闇)の視界への慣れにも、欠かせない成分となります。
ビタミンB欠乏症
ビタミンB類の多くは、皮膚や被毛への作用に大きく関りがあります。
欠乏する事により、皮膚疾患に陥る可能性が充分に考えられますが、皮膚疾患以外に注意して頂きたいのが、ビタミンB1の欠乏症です。
ビタミンB1欠乏症(別名 チアミン)といいます。
このビタミンB1が不足すると、嘔吐や食欲の低下から体重が落ちてしまい、悪化すると痙攣が起きてしまう可能性もあります。
猫は生態上、毛玉を吐く為、愛猫の嘔吐に対して軽視してしまいがちですが、嘔吐物に毛玉が含まれず、1日に何度も吐いてしまうのは、普通ではありません。
食欲がなく、嘔吐が頻繁になると、当たり前ですが体重が落ちて免疫力が下がり、それが悪循環へと進んでしまいます。
ビタミンB1の欠乏の原因として考えられるのは、ビタミンB1を破壊してしまう生魚や、甲殻類(イカ/貝/カニ/エビetc..)を多く食べてしまう事が1つ考えられます。
キャットフードよりも、お刺身や貝・甲殻類を多く食べてしまう猫ちゃんには、要注意な症状です。
飼い主さんが対処してあげられる事
ビタミン欠乏症を疑った時には、第一に動物病院で診察を受けましょう。
獣医さんの適切な診察と対処が、症状改善の大きな救いになる事は間違いありません。嘔吐や食欲不振になると、脱水も症状として現れます。
水分補給の為の皮下点滴や、吐き気止め、炎症止めをしっかりとして頂いた上で、飼い主さんの補佐が活きてきます。
キャットフードの見直し
カリカリタイプの総合栄養食から、ペーストタイプのものに切り替えると、食べてくれる事があります。
栄養補助食の摂り入れ
免疫力向上の目的で、固形や、粉タイプの猫用サプリメントを補助してあげると、薬の効きや吸収率の向上に繋がります。
卵黄・酵母は栄養価が高い補助食品の為、獣医さん合意の元、お試ししてみて下さい。
流動食の活用
ペーストタイプの総合栄養食も食べてくれない場合は、シリンジで流動食を試してみましょう。
ミルクの様なサラサラなタイプから、とろみのあるタイプなど、動物病院の先生のおススメを聞いてみると、より良いものを紹介してくれます。
何事も、バランスが大切です
猫はビタミンの多くを体内で作る事が出来ない動物の為、外からの摂取が欠かせない栄養素になります。
ビタミン欠乏症は、体調不良からくる栄養失調や、思わぬ食材がきっかけで起こり得る疾患です。
いつものキャットフードを食べなくなってしまった時は、『飽きてしまった』のではなく、『不調』のサインかもしれない事を、頭に浮かべてみて下さい。
どんな疾患も、早期発見が体力の底上げと、復活への希望となる事でしょう。