猫の爪はとっても鋭く、猫がその気になれば壁や家具、そして時には飼い主の手足なんて瞬く間に傷だらけになってしまうことも。
どんなに困ったことをされてもやっぱり猫は可愛いですが、それでもお部屋がガリガリされてボロボロになっていくのは悲しいですし、バリバリ引っ掻かれたら痛いものですよね。
できれば穏便に爪をおさめて頂きたい。そこで今回は猫の爪をソフトに納めて爪とぎや引っ掻きから家や飼い主を守る爪キャップのご紹介です。
爪キャップはこんなアイテム
爪キャップは柔らかい樹脂製の動物用のつけ爪で、他にはネイルキャップ、ソフトクローなどの名称で売られています。つけ爪というと人間用としては爪の上からかぶせる片面のものをイメージしますが、爪キャップは猫の爪の形に添うように作られた柔らかい指サック状をしています。
大型のペットショップやネット通販で購入出来ます。犬用も売られていますので購入の際には猫用であることをお確かめください。
装着方法はとっても簡単(…ただし、爪切りの難易度が高くない子の場合のお話ですが)。
- ①猫の爪をいつものように適切な位置でカットします。
- ②爪キャップの中へ1/3ほど専用の接着剤を入れます。
- ③猫の爪に装着します。
- ④5分ほど乾燥させたら完了です。
飼い主の手で装着することに自信が無い場合、動物病院によっては爪キャップを持ち込んで獣医さんにお願いすることもできます。
▼いつもお世話になっている獣医さんにお願いできるでしょう。日頃から愛猫のかかりつけ病院はしっかり選んでおきたいですね
後悔しない動物病院の選び方。病院ごとに対応が全然違った!という話
接着剤は人間の手術にも使われている医療用の安全なものですが、乾くまでは猫の手を持ったりおやつで気を引いたりしてじっとしていてもらいましょう。
乾いてしまえば猫が頑張って取ろうとしない限り、水にぬれてもトイレ砂を掻いても、まず取れません。一度の接着で4~6週間ほど持ちます。爪が伸びてくると新陳代謝で古い表面が剥離するのに伴い、自然に取れてしまうため、その時はまた新しいものに付け替えを行います。
最初は違和感を覚え、齧りながら引っ張って取ってしまう子が多いようですが、慣れてもらうためには根気よく着け直す必要があります。この時、猫が間違って飲み込んでしまっても爪キャップはそのまま体内を通過して排泄されるのでご安心下さい。
サイズは4種類から選べます。
体重 | 長さ | はば | |
---|---|---|---|
K | ~2.2kg | 6mm | 4mm |
S | 2.3~3.6kg | 6mm | 5mm |
M | 4~6kg | 7mm | 6mm |
L | 6kg~ | 9mm | 7mm |
- K…生後5ヶ月までの子猫用。商品によってはSSとも表記されます。
- S…生後6か月~体重3.6kgぐらいの中猫まで。
- M…体重4~6kgぐらいまで。平均的な大人猫のサイズ。
- L…体重6kg以上。メインクーンなど大型猫種にオススメ。
中には小柄ながらお手々は立派なサイズという猫もいます。体重はあくまで目安であり、爪のサイズを計測すると、よりフィットしたものを選ぶことが出来るでしょう。爪切りの要領で肉球を押し、にゅっと爪が飛び出した時の横が「長さ」で縦が「はば」です。
▼猫の爪切りの仕方についてはこちらをチェックしておきましょう
猫の爪切りの頻度・コツ・注意点。嫌がる猫もリラックスする方法
子猫の場合は爪の面積が小さいため、事前の爪カットは不要です。K(SS)でも大きすぎるような場合には爪キャップの入り口部分を必要に応じてカットするなどカスタマイズを施してください。
気になるお値段ですが、1個あたり30円~125円、大抵12個~100個の単位でセット売りされています。前足5指×1対+後足4指×1対、18個ずつ使うとすると、12個入り1,500円の場合、1回の全指装着で2,250円(+税)です。100個入り3,000円のセットの場合ですと540円(+税)ほどとなります。
体を掻き壊してしまうことを防ぎたい場合には後足の装着も必要ですが、爪とぎや引っ掻きの被害の防止のためには前足のみでも有効ですので、1回あたりのコストはもう少し下げられそうですね。
猫の爪キャップのメリットとデメリット
爪にくっつけるだけで爪とぎ被害が防止できる便利な猫の爪キャップですが、行動を制限されることが苦手でお洋服や被り物も嫌がる猫が多い中、爪キャップを装着したことにより、猫の行動に支障が出るようなことはないのでしょうか。メリットとデメリットを見ていきましょう。
まずメリットとしては
- 猫の体を傷つけない
- 人や家が傷つかない
- 同居ペットや子供に怪我をさせない
- 自傷による状態の悪化を軽減できる
- かわいい
といったことが挙げられます。
猫の爪とぎ対策の極端な方法として、抜爪手術があります。確かに爪とぎの被害は無くなりますが、猫の指先を切除するため、猫のその後の生活に大きく影響が出ます。その点、爪キャップはいつもの爪切り後に接着するだけなので手術のように猫の体を傷つけなくて済みます。
▼抜爪手術については、こちらをご覧ください
猫の抜爪手術は本当に必要?人道的な是非と安全性への疑問
爪キャップをしていても猫はいつも通り爪とぎの動作を行います。それでも、キャップに阻まれ、実際には対象物を傷つけることはありません。
幼児や犬が同居している場合、猫としてはちょっと遊んでいるつもりでも爪で怪我をさせてしまう事があります。私も幼児のころハイハイしていて眼球に猫の爪が刺さったことがありますが、猫のパンチの位置は丁度子供や犬の顔の高さに近いので、爪キャップはこうした事故の防止に役立つでしょう。
▼猫と子どもが一緒に暮らすこと自体は大きなメリットがあります
猫と子供が暮らすメリット。猫にストレスを与えないための対策も大事
ノミやダニの駆除中であったり、皮膚病の治療中などで体を掻きむしってしまう、また手術後の部位を気にして爪でいじってしまう、こうした場合に爪キャップをすることで猫が自身を傷つけるリスクが減らせます。
あとはもう、とにかくネイルアートみたいでかわいい!Instagramでは愛猫とお揃いのネイルを楽しんでいるユーザーもいるようです。
安全で可愛くていいこと尽くし…と思いきや、やはりそうとは言い切れない部分もあります。
デメリットとしては
- 装着と付け直しに手間がかかる
- コストがかかる
- カビが生える場合がある
- 取れてしまう、取ってしまうことがある
- 猫がストレスを感じる
といったことが挙げられます。
爪キャップに接着剤を入れ、猫の爪に嵌める。言ってしまえばそれだけのことですが、この時に接着剤があふれて余計なところについてしまったり、逆に足りなくてなかなかくっつかなかったり。
猫によっては、爪切りだけでも嫌がるのに接着剤が乾くまで5分もじっとしていてもらうなんて無理、という子もいるでしょう。苦労して着けても1~2ヶ月もすればまた、爪の生え替わりに合わせて付け直さなければなりません。こうした煩わしさから、使用を見合わせる飼い主さんも少なくないようです。
そしてネットでまとめ買いをすればお得に手に入るとはいえ、着け続けていくのであれば、どうしても月々のランニングコストがかかります。
また、爪キャップのままトイレの砂を掻いたり、水に手を突っ込んだりして爪キャップの中にカビが生えてしまう場合もありますので、衛生面ではいささか難があるように感じられます。
そしてデメリットの最たるものは、猫がストレスを感じてしまうという点です。本来なら爪切りだって猫にとっては不本意な事。ご自慢の爪で思う存分に爪を研ぐことで、猫は自分の匂いを付けてテリトリーを確信したり、ストレスを発散することが出来るのです。
▼猫にとって爪とぎは、欠かすことができない意味ある行動なのです
猫ちゃんの爪とぎには意味がある!きちんと理解して対応しよう
爪にキャップがついているのはやはり大なり小なり、窮屈に感じるようです。最初のうちは嫌がるのも無理はありません。しかし、いつまでたっても慣れずに外したがるようでしたら使用は諦めた方が良いでしょう。
猫の爪キャップは自然に毛色に馴染む透明なタイプの他にも様々なカラーバリエーションがあり、中にはキラキラのラメ入りなんてものもあります。
どれもこれも片っ端から愛猫に合わせてみたくなるようなかわいらしさですが、しかし、おしゃれの為だけに着けるのはやはりちょっと猫にとってはストレスになるかもしれません。
猫の爪と上手に付き合うために
まるいあんよから自在に出し入れされる爪は勿論、猫の魅力のひとつ。それでも一緒に暮らしていく上で、爪とぎや引っ掻きの被害が悩ましいのも事実です。
爪とぎ環境を整え、研がれたくない場所は自衛して、あとはこまめな爪切りによって大抵の爪の被害は防げるとはいいますが、状況や猫の性格次第ではそれだけではどうにもならない場合もあるかと思います。
▼猫がもし嫌そうにしていたら、使用は見合せるようにしましょう
猫が不満なときにみせるサイン9つ。不満を感じる原因とその対処法
このままでは抜爪手術の検討もやむなし、という時には是非その前に、まずはこの爪キャップをお試し頂きたいと思います。猫と平和に暮らすために、便利なアイテムはどんどん活用していきましょう。