猫に多い腫瘍と病院での診察内容。早期発見のための3つの方法

残念ながら、猫の腫瘍の約80%が悪性だと言われています。異常なしこりやはれものに気づき、動物病院で診察を受けるとどのような診察がされるのでしょうか。

「あんなことされた!」「こんなことされた!」と嫌な思いをしたくないですから、実際に動物病院では、どのような検査が行われ、どんな治療があるのか、知っておくことも必要です。また、ガンは早期発見・早期治療とよく言われます。猫も同じです。早期発見のために必要な方法も考えてみましょう。

動物看護師として働いていた体験やセミナーで学んだことをふまえて解説していきます。参考までに、腫瘍ができた私の猫の実体験も紹介します。

猫に多い腫瘍は4つ

腫瘍とは、自分勝手に異常に増えてしまう組織の塊のことです。良性腫瘍と悪性腫瘍に分類され、悪性の場合は「ガン」と呼ばれます。良性と悪性の違いは、簡単にいうと、転移するかどうか、そして悪性の場合は、体へのダメージが大きいということです。

良性であっても、どんどん大きくなっていきますから、そのままにしておくと、手足にできた場合は歩きにくくなったり、口の周りにできた場合は食事がしづらくなったり、生活に支障が出ることもあります。

猫に多い腫瘍は次の4つです。

  • リンパ肉腫
  • 白血病
  • 皮膚の扁平上皮ガン
  • 乳腺腫瘍

1つずつ簡単に説明しましょう。

リンパ肉腫

病名に「肉腫」とついた場合は、悪性となります。リンパは体中に張り巡らされていますので、転移しやすい病気ととらえましょう。

白血病

猫白血病ウイルスが原因となる病気です。ウイルスによる感染症を最小限に防ぐワクチンでの予防が可能です。血液検査をしてウイルスが感染しているか調べてから、ワクチンを打つと予防につながります。

皮膚の扁平上皮ガン

皮膚のガンですが、顔に発症する傾向が高いのと、紫外線の影響を受けやすい白い毛の猫に多く発症します。症状が進むと、顔の表情が崩れてしまったりするので、見栄え的にも飼い主さんにとってはつらくなるでしょう。

乳腺腫瘍

病名は「腫瘍」となっていますので、良性・悪性のどちらかの可能性があります。犬の場合は5割の確率で良性と悪性に分かれますが、猫では8割が悪性だと言われています。早めに避妊手術をすると、防ぐことができます。

病院で実際に行われる検査と治療方法とは

一般的に、腫瘍は年齢とともに発生率も高くなります。例外として、猫白血病ウイルスによる白血病は、若い頃からの注意が必要ですが、できもの、はれもの、しこりなどが見つかったら、早めの検査をおすすめします。動物病院で行われる、さまざまな検査方法や、代表的な治療方法をご紹介します。

検査で腫瘍の正体を探ります

腫瘍の正体がなんであるか、まず検査をしなければなりません。腫瘍の組織を切り取り、検査センターへ送り調べてもらいます。切り取る組織の大きさが大きいほど、より正確な診断結果が出ますが、その分、猫の負担は大きくなり費用も高くなります。場合によっては麻酔が必要なこともあります。

検査の方法は、動物病院の方針や扱う器具によって異なりますが、一般的に、切り取る組織の大きさで決まります。切り取る組織の小さい順に並べてみると次の通りになります。

針生検<Tru-Cut<生検パンチ生検<バイオプシー

針生検

組織の大きさはごく微量です。いわゆる「針刺してみますね~」というものです。注射針で吸った分だけの組織を顕微鏡で観察する検査ですので、病院内ですぐ行われます。ただし、組織が微量のため、確定診断は出来ません。「当たりをつける」検査となります。

Tru-Cut生検

組織の大きさは1~5mm程度です。ツゥルーカットといいます。針よりも太い細い管のような器具を刺して組織を採取して、検査センターへ送ります。全身麻酔は不要です。

パンチ生検

組織の大きさは0.5cm~1.5cm程度です。パンチ穴のような器具を使用して組織を丸め取り、検査センターへ送ります。全身麻酔は不要です。

バイオプシー

組織の大きさは数cm以上です。腫瘍が大きくなっている場合に、必要分の組織を切り取り、検査センターへ送ります。全身麻酔が必要です。

ちなみに、できもの・はれもの・しこりを腫瘤(しゅりゅう)と言います。正常な組織が増えたものや炎症などによる腫れは腫瘤です。それ以外で、周りの組織とは別に異常に増えてしまうものを腫瘍といいます。

ですので、ここでの検査は正確にいうと、腫瘤の検査となります。検査結果で、その組織が「腫瘤ではなく腫瘍だった」という判断をします。

また、レントゲン、CT、MRIの画像検査も同時に行われます。大きさや位置を把握するためのものです。レントゲンはほとんどの動物病院にありますが、CTやMRIは限られた病院にしかありませんので、別途、紹介してもらい予約したうえで検査をすることになります。CTやMRIは全身麻酔が必要です。

ここで紹介したのは、あくまでも代表的な検査です。日々獣医学は進歩していますので、新しい検査方法も開発されています。いずれにしても、検査の前にきちんと獣医師の説明を聞き、納得したうえで検査しましょう。

腫瘍の治療は切除するか、それ以外の方法にするか

腫瘍についてのセミナーを受けたとき、「ガン細胞は、ルールを守らないテロリストです!」と説明された獣医師がいました。なるほど!その通りかもしれません。テロに屈しないために、頑張って治療するにはどのような方法があるのでしょうか。

一般的に、

  • 固形のガン→手術
  • 血液のガン→抗がん剤

と言われています。取れるものは取る!と言ったところでしょうか。白血病などの血液のガンや脳腫瘍など手術できないような場所にあるものは、抗がん剤や放射線治療を行います。病院によっては、放射線治療の設備がないところも多いので、大学病院などを紹介されることもあるでしょう。

手術で切除できる場合でも、猫の年齢や状態を見極めて、手術するかどうかを判断することになります。手術せずに、薬などでこれ以上悪化させないような処置を取ったり、症状に合わせた対処療法を取ることもあります。
  

【実体験】愛猫の腫瘍検査と治療をしたときのこと

私の体験談を紹介します。キーワードとなる言葉には「 」をつけてみました。

1. 症状

私が飼っていた猫は、突然前足を引きずるような歩き方をするようになりました。数日続いたので診察したところ、左腕にぶよぶよした「腫瘤」がありました。

2. 検査

まず最初に「針生検」をしたところ、あやしい細胞があると獣医師に言われました。次に、獣医師のすすめで、「バイオプシー」で約2cm程の組織を切除し、検査センターへ送ったところ、軟部組織肉腫だと「診断」がでました。「転移」性は少ないと書かれていましたが、「肉腫=ガン」でした。

3. 治療の選択と決定

獣医師からは、腫瘍が広範囲に広がっていて、あまり見たことが無い細胞だと言われ、左腕の「切断」をすすめられましたが、「高齢」なので無理しなくてもいいという話でした。愛猫は、そのとき既に13歳でした。どのような治療を選ぶかは飼い主にゆだねられます。

幸いなことに、当の本人(猫)はとても元気で食欲もありました。何事にも動じない性格でしたので、信頼できる獣医師のもと、「左前肢断脚手術」を選択しました。

4. その後のケア

術中は私もスタッフの1人として立ち会い、麻酔の管理をしましたが、自分の愛猫の腕が取られるさまを見るのは正直つらいものでした。再度、「切除した組織は検査センターに送り」ましたが、同じ検査結果でした。同じ動物看護師の仲間にアドバイスをいただき、「術後のケア」に取り組みました。

あくまでも、1つの例として、腫瘍になった猫の一連の処置の流れを紹介しました。ご参考にしてみてください。

早期発見のために日頃からするべき3つこと

猫に多い腎臓病などは内臓の病気ですので、見た目で気づくことはできませんが、腫瘍の場合は、外側から物理的に気づくことができます。特に次の3つのことに注意しましょう。

  • 日頃からの観察
  • 全身を触る
  • 治りにくい皮膚炎はないか

1つずつ説明していきます。

日頃からの観察

腫瘍に限ったことではありませんが、健康な状態をきちんと把握しておき、それと異なることがないか、日頃からの観察が重要になってきます。腎臓病の場合も、水を飲む量が増え、おしっこの回数が多くなると要注意です。

また、食欲が落ちてきた場合、口の中にできものがあるかもしれません。違和感や痛みから食欲が落ちることもあります。口の中の腫瘍は、先ほど説明した扁平上皮ガンの可能性もありますので、注意しましょう。いつもと何か違う!このことに敏感になる必要があります。

全身を触る

可愛がってなでているときに、少しずつ全身を触ってみましょう。できもの・はれもの・しこりがないか気にかけながら触ってみます。お腹を触られると嫌がる猫も多いですが、少しずつ触られることに慣らしていきましょう。特に避妊手術をしていない猫は、乳腺にしこりがないか確認します。

私の場合、腕にぶよぶよした腫瘤があったのに、すぐ気づくことができないでいたことに後悔しています。もしかしたら、小さいサイズのときに気づいていたら、切断しなくてもよかったのかも、と思うと悔しい気持ちになります。そんなことにならないためにも、注意したいですね。

治りにくい皮膚炎はないか

小さな傷でも、なかなか治らない場合は、腫瘍を疑ってみましょう。特に外に出している猫は、寄生虫の感染や他の猫とのケンカなどにも注意が必要です。腫瘍の前触れなのか、アレルギー性皮膚炎なのか混同することもありますが、検査をすると判断できます。

全身を触ったときに、毛の下の皮膚にも注意して、異常な皮膚炎がないか確認しましょう。

猫に腫瘍ができたときの対処法に正解はない!?

今まで説明してきたとおり、猫に腫瘍ができたときには、さまざまな検査や治療方法があります。獣医師から説明を受けますが、どの方法にするかは飼い主さんの判断になります。とても悩ましいことですが、どれを選択しても間違いではないと思います。

後から「ああすればよかった」「こうすればよかった」というのは、どれを選択しても必ず思うことです。後悔は必ず起こるのです。ですので、自分を責める必要はありません。飼い主さんが悩んで悲しんでいる姿は、猫ちゃんも望んではいません。

腫瘍の検査や治療にともなって、普段のお世話も変わってきます。薬をあげたり、食事を変えたり、手術した場合は傷口のケアなど次々とやることが増えてきます。大変だとは思いますが、猫ちゃんとより密接に接することができると前向きにとらえてみましょう。

また、1人で抱え込まずに、家族の協力を得ましょう。どうしても出来ない場合は、動物病院に相談してください。他のやり方を伝授してくれるはずです。全ては愛する猫ちゃんのためです。

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