猫の新しい病気、激怒症候群(突発性攻撃行動)。症状、原因は?

激怒症候群、または突発性攻撃行動という言葉を聞いたことはありますか?名前から想像すると、「猫が怒るの?」「突然、攻撃してくるの?」ということになるでしょう。

ただ、「うちの猫も突然噛んでくるなあ」「それは猫の習性じゃないの?」と考える人も多いのではないでしょうか。

まだ詳しい原因は分かっていない病気ですが、このような病気があると知っておくと、猫の行動をより観察することができるでしょう。

猫の激怒症候群(突発性攻撃行動)の定義と原因

気分によって甘えてきたり、そっぽを向いたり、そんな気ままな性格が猫の魅力です。ただ、オンとオフの差が激しいと飼い主さんにとっても困惑してしまうでしょう。

  • 突発的
  • 激しい怒り
  • 前触れがない

特にこの3点に注目して、猫の行動を観察してみましょう。急に攻撃的になってしまう猫は、激怒症候群という病気なのかもしれません。

脳神経系の異常である「てんかん」発作が原因だろうと言われていますが、詳しい原因はまだ分かっていません。この病気は、イギリスでレイジ・シンドロームと名付けられました。

レイジ(rage)とは「抑えがたい激怒」という意味です。犬での発症が確認されていましたが、猫でも認められたのはここ近年のことですので、まだまだ研究対象の病気といえます。

激怒症候群の4つの見極め方

解明しきれていない病気ですので、猫の行動をよく観察することが重要になってきます。

  • ある日突然攻撃が始まる
  • 攻撃のきっかけが一定していない
  • 眠りが浅いときに起きやすい
  • 威嚇せずにいきなり襲いかかる

このような行動がよく見られる場合は、この病気の可能性があります。詳しくみていきましょう。

ある日突然攻撃が始まる

いわゆる噛みぐせが激しかった猫も、通常は成長とともに穏やかになります。この病気の場合は、性格に関係ありません。今まで大人しい性格だった猫が、突然噛んできたり攻撃的になります。

攻撃のきっかけが一定していない

大きな音などで驚いたとき、知らない人や動物と接したとき、嫌なことをされたときなど、何かの理由があって攻撃的になるのが通常の猫です。そのようなきっかけも無く、攻撃的になるのは要注意です。

眠りが浅いときに起きやすい

原因の1つだろうと考えられている、てんかんはウトウトしているときに発症しやすいのですが、この病気も眠る前や寝起きに起きやすいといわれています。

威嚇せずにいきなり襲いかかる

何か目新しいものを見つけたとき、猫は臭いをかいだり、猫パンチを出したり、シャーとかウーとか声を出します。そのような威嚇や前触れもなく、攻撃的になるのがこの病気の特徴です。

普段の生活パターンでの激怒症候群の見極め方

よくありがちな猫の行動について、こういう場合は、激怒症候群なのかどうか考えてみましょう。

  • 寝ているときになでていると急に噛みつく
  • お客さんを威嚇して暴れて引っかく
  • 犬や野良猫に威嚇され、子供に飛びかかった
  • 動物病院で暴れて攻撃してきた
  • 突然走り回って、爪とぎをしたりパニックになっている

寝ているときになでていると急に噛みつく

猫がくつろいで、頭やあごの下を撫でているときに急にガブッと噛んでくることはありませんか。今までおとなしくのどをゴロゴロならしていたのに・・・。驚いてしまいますよね。

これは、ちょっとした飼い主さんの手の位置や強さが猫の気持ちに合わなかったり、しつこすぎるので、ちょっとやめて!という意思表示です。激怒症候群ではありません。専門的には、愛撫誘発性攻撃行動と言われています。

お客さんを威嚇して暴れて引っかく

飼い主さんにとっては大切なお友達かもしれませんが、猫にとっては知らない人が自分のテリトリーに入ってきたことになります。自分のテリトリーを守るため、もしくは狩りをするために攻撃するのです。

猫は生活範囲のテリトリーの他に、狩り場のテリトリーを持っていると言われています。ですので、この場合も激怒症候群ではありません。専門的には、捕食性攻撃行動と言われています。

犬や野良猫に威嚇され、子供に飛びかかった

狩りが得意な猫も、犬や野良猫などから威嚇されると恐怖を感じます。その感情が別の行動に置き換わって攻撃的になってしまうことがあります。いわゆる八つ当たりをするような感じです。

怖がりな性格の猫がこういった行動になることが多いようです。激怒症候群ではなく、専門的には、転嫁性攻撃行動と言われています。

動物病院で暴れて攻撃してきた

私は動物病院で動物看護師として働いていましたので、攻撃的な猫にはたくさん会ってきました。噛み付いたり、引っ掻いたり、暴れたり大変なものでした。

良かれと思って行っていることが、猫に恐怖を与えてしまい、それが攻撃的な行動になってしまうことは心苦しく思ったものです。このような行動は、恐怖性・防御性攻撃行動と言われています。

突然走り回って、爪とぎをしたりパニックになっている

急にものすごいスピードで家中を走り回って、爪とぎをしたり、何度も同じところを行ったり来たり、大きな声で鳴いたり・・・まるでパニックになっていることはありませんか。

よく見てみると、その行動を起こす前後にトイレに入っていることが多いはずです。これは俗に言う「うんちハイ」「トイレハイ」です。さまざまな理由がありますが、猫の習性です。

ただ、尿や便が出ないために異様な声を出したり、不自然な動きをする場合がありますので、注意しましょう。別の病気の疑いがあります。

病気の猫と付き合うには

これまで紹介した行動パターンを参考に、注意深く観察してみたところ、激怒症候群の疑いがあった場合は、どうしたらよいでしょうか。

  • 動画を撮る
  • 専門の獣医師に診てもらう
  • 治療を受け入れる

これらのことが必要になってくると思われます。詳しく考えていきましょう。

動画を撮る

疑わしい行動をしたときの動画を撮ってみましょう。急に発症するので、タイミングが難しいかもしれませんが、何回か撮ってみると、どんなときに発症するか、行動のパターンがあるのかなど、特徴が分かってくるかもしれません。

専門の獣医師に診てもらう

動画を獣医師に見てもらいます。かかりつけの動物病院でも構いません。まだ分からないことが多い病気ですから、セカンドオピニオンで、行動学に詳しい獣医師を紹介してもらってもよいでしょう。

治療を受け入れる

激怒症候群と診断されたら、獣医師の指示のもと、治療をすることになります。抗てんかん薬などの投薬や注射などが主な治療方法となってくるでしょう。

どうしても普段の生活に支障がある場合は、ケージ飼いをするという選択もあります。狭い場所に閉じ込めてしまうというイメージがあるかもしれませんが、猫は狭い空間を好みます。様子をみながら、時々外に出してあげるとよいでしょう。

私が動物病院で働いていたときの話です。一般の飼い主さんから預かって、病院でケージ飼いをしている猫がいました。

ケージから出すとパニックになってしまうらしく、飼い主さんは、他にも猫を飼っていたので、他の猫への影響も考えて動物病院で預かることになりました。病院で世話をするときも、ケージからは出さないで、ご飯を与えたり、トイレの掃除をしていました。

飼い主さんは必ず週に1回は会いにきて、1~2時間くらい話しかけていたものです。ケージの中では、その猫はとてもいいこで愛らしく、とても発狂するようには思えませんでした。

今考えてみると、もしかしたら激怒症候群だったのかもしれません。当時はその病気が認知されていませんでしたので・・・。

このような病気になってしまうと、どうしてうちの猫がこんな病気になってしまったんだろう。うちのこに限って!と思ってしまうでしょう。猫だって病気になりたくてなったわけではありませんし、飼い主さんが悪いわけでもありません。

むしろ、そんな猫が自分のところに来てくれたんだ。ケアができる人だと認められたんだ、という前向きな気持ちで接してあげましょう。ただ、このように受け入れることはなかなか難しいことです。

そのためにも、猫の病気を理解して、興味を持っていただきたいです。

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