猫の熱中症の症状別、応急処置。動物看護師が写真付きで解説します

夏になると、天気予報やニュースなどで「熱中症に注意しましょう」と言われますが、人間だけでなく、猫も熱中症になります。

実際に、動物病院で働いていたときも、熱中症になった猫が来院しました。普段とは違う猫の状態を目の当たりにして、飼い主さんも動揺しておろおろするばかりでした。

猫が熱中症になるとどのような症状になるのか、危険レベルを3段階に分けて説明します。また、動物病院に行く前にご自宅でできる応急処置や、飼い主さんにしておいてほしいことをお伝えします。

その他、日頃から注意したいこと、熱中症にかかりやすい猫のタイプを解説していきます。

その症状は熱中症の前触れかも?気をつけたい症状

暑い季節に猫は汗をかいて体を冷やすことができません。体温調節がうまくできずに熱中症になってしまうのです。ただ、よっぽどのことがない限り、猫の症状をみて、すぐ熱中症だ!と気づくことはないと思います。

次のような点に注意して観察してみましょう。

  • 1.活発に動かない
  • 2.食欲がない
  • 3.水を多く飲む
  • 4.呼吸が速い

1と2はどんな病気にも当てはまる症状といえます。3は腎臓が悪くなると現れる症状でもあります。4は心臓の病気の症状でもありますが、熱中症の特徴的な症状ですので、特に注意しましょう。

食欲がない、いつもより元気がない

「元気」と「食欲」は動物病院で必ず聞かれることです。「なんとなく元気がない」「寝てばかりいる」「狭いところに入って出てこない」など、些細なことでも獣医師に報告しましょう。

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食欲についても、猫の好き嫌いを踏まえながら、「ウェットフードは食べるけど、ドライフードは食べない」「食べても半分くらいで残す」「おやつは食べるけど、いつものご飯は食べない」(※注意)など、気にかけてみましょう。

※「おやつは食べるけど、いつものご飯は食べない」というのは食欲がないわけではありません。特に犬の飼い主さんに多いのですが、犬や猫は、おやつと普段のご飯を分けて考えていませんので、おやつのあげ過ぎには注意しましょう。

暑いから、ではすまされない症状、呼吸に注意

猫の呼吸数は、1分間に16~30回です。個体差がありますので、健康なときに何度か測って平均値を出しておくとよいでしょう。

1分間じっと猫のお腹の動きを見続けるのは大変ですので、15秒測って、4倍して1分間の数値を出してもよいです。

呼吸するお腹の動きが一定していない場合も要注意です。また、猫は犬のように口を開けてハアハア呼吸をしません。このような呼吸を開口呼吸と言いますが、それが見られたら異常ですので、すぐ動物病院に連絡して連れて行きましょう。

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猫の熱中症の症状の段階別、応急処置

熱中症の症状について、危険レベルを3段階に分けてみました。

  • 1.様子見段階
  • 2.動物病院に行くべき症状
  • 3.命に関わる危険な状態

1.様子見段階:体温と脱水の度合いをチェックしましょう

なんとなく元気がない、食欲がない、いつもより呼吸が速いときは、様子見段階といえます。もちろん動物病院に連れて行くことができたらそうしてください。すぐ連れていけない場合は、自宅でチェックしながら様子をみてみましょう。

体温のチェック方法
動物用の体温計を肛門に入れて検温します。すぐ準備できない場合や、肛門に入れることにためらわれる方は、股関節や耳のつけ根、頭、脇の下を触ってみましょう。

特に、股関節の辺り(パンツのライン)が熱く感じるときは、体温が上がっているときです。また、猫が眠そうにしているときは、耳のつけ根や頭が熱くなっていますので、そのときの感触を覚えておくとよいでしょう。

ちなみに、猫の平均体温は、38.0~39.2℃です。

脱水のチェック方法
脱水がひどくなると、ぐったりして、さらには意識がもうろうとすることもあります。おかしいな、と思ったら首から背中の辺りの皮膚を引っ張ってみて、すぐ元の位置に戻るかどうかやってみましょう。

正常ならばすぐ戻りますが、脱水になっていると、そのままの状態で3秒以上かかって元の位置に戻ります。

▼猫が脱水状態になっているときの症状については、こちらもご覧ください
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2.動物病院に行くべき症状:これらの症状には応急処置を

次のような症状の場合は、動物病院に連れて行きましょう。

  • 開口呼吸をしている
  • 体が熱い
  • ぐったりしている
開口呼吸をしている
先程も説明しましたが、猫が口を開けて呼吸をしているのは異常です。かなり呼吸が苦しくなっている状態です。よだれを流すこともあります。
体が熱い
猫の体温が40℃以上になると、全身が熱く感じます。目や口の中が充血してきます。脈も早くなります。脈は先ほど説明した、股関節で体温を測るとき、人差し指に感じ取ることができます。

猫の股関節で脈をチェックする方法

股関節でチェックする方法をぬいぐるみを使って説明してみました。手で上から股をはさみ込むようにします。そのとき、人差し指を少し内側に押し当てると太い血管を感じ取ることができます。

(右下の画像は撮影の都合上、腕が下から出ていますが、実際は上(背中)からはさみ込むようにします。)

ぐったりしている
ふらついてうまく歩けず、倒れることもあります。また、眼振(がんしん)と言って、目をのぞき込んだとき、黒目が小刻みに動いていたら、神経系に影響が出ていますので要注意です。
<応急処置>

とにかく体を冷やして体温を下げることです。保冷剤や冷たくしたタオルを体に当てます。タオルはこまめに取りかえ、霧吹きなどで水をかけてあげてもいいでしょう。

特に、首、脇の下、股関節には太い静脈がありますので、そこを冷やすと効果的です。

猫の冷やすといい身体の部分

ただし、突然水風呂に入れたり、冷やし過ぎはNGです。水を飲むようでしたら、飲ませてあげます。自分から飲まない場合は、スポイトで吸って口の脇から流し入れます。スポーツ飲料も有効だと言われますが、必ず薄めてからあげてください。

3.命に関わる危険な状態:すぐに動物病院へ

非常に危険な状態は次のようなときです。

  • 意識がない
  • 吐き気がある、吐く
  • けいれん発作
  • 血尿や血便

先ほど説明した応急処置の他に必ず、動物病院へ連れて行く前に、緊急だということを連絡しておくことです。適切な処置を教えてもらいますし、病院側も準備ができます。無理に動かさないように、体を冷やしながら連れて行きましょう。

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病院受診前に準備してきてほしいこと

先ほども説明しましたが、とにかく体を冷やして体温を下げるように努めてください。涼しい場所に移動させて、体を冷やしながら、風もあてるようにしましょう。

余裕が出てきたら、体温を計り、脱水のチェック、脈拍や呼吸のカウントをしてみましょう。

動物病院では次のような処置が行なわれます。もちろん症状に応じた対応になります。事前に連絡しておくと、処置もスムーズに行うことができます。

  • 酸素室に入れる ~ 呼吸を楽にしてあげる
  • 点滴治療 ~ 脱水を補う
  • ステロイド剤の投与 ~ 症状を和らげる

猫の熱中症予防のために飼い主さんにお願いしたいこと

熱中症の症状は、あっという間に進行します。ちょっとした油断が命取りになってしまいます。

外ではキャリーに入れたままで放置しないで!

猫を移動するのにキャリーは必須です。ただ、入れたまま暑い日に外に放置しておくのは厳禁です。実際にあった話ですが、少し買い物をしようと短時間外に置いておき、戻って来たら猫が急変していたということもあります。

狭いキャリーは、穴が空いていないタイプも多く、温度が急激に上がってしまいます。夏に駐車している車中の温度が上げるように、猫のキャリーの中でも同様のことが起こっているのです。

室内では猫のお留守番はクーラーだけに頼らないで!

日中、外出されるご家庭は、留守中もクーラーをつけっぱなしにしているところも多いでしょう。ただ、万が一、クーラーが壊れてしまったら大変です。

  • クーラーは定期的にメンテナンスする
  • クーラーのリモコンは猫がいたずらをしない場所にきちんとしまう
  • 扇風機やサーキュレーターで風通りをよくする
  • 遮光カーテンなどで直射日光を避ける
  • 猫用のクールマットを準備する

1つだけでなく、いろいろ組み合わせながら対策しましょう。

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熱中症にかかりやすい猫には要注意!

  • 鼻ぺちゃ猫
  • 肥満猫
  • 幼齢・高齢猫
  • 被毛が黒い猫

これらの猫は熱中症にかかりやすいといえます。
ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど、いわゆる鼻ぺちゃ猫は呼吸がしにくい品種ですので、普段から苦しい呼吸をしていないか観察しましょう。

太っている猫は皮下脂肪があるせいで、熱を発散しにくくなっています。より熱中症にかかりやすいと言えるでしょう。

幼齢・高齢猫は、生理機能が未発達であったり、逆に衰えがきていますので、暑さに対する抵抗力が弱くなっています。

黒猫は、他の色の被毛に比べて熱を吸収しやすいので、熱中症になりやすいと言われています。窓のサッシやベランダに出たときなど、知らない間に熱が体にこもってしまう場合がありますので、注意しましょう。

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とにかく油断大敵!あわてず、まずは体を冷やしましょう

熱中症の症状はあっという間に現れます。夏バテは、食欲不振が数日にわたって続くことが多いですが、熱中症は呼吸困難やふらつきなど明らかに異常な症状がみられます。

少しの間だから大丈夫だろうという油断から、キャリーに入れたまま外に出していたり、クーラーをつけずに締め切った部屋の中に残して外出するのは厳禁です。そして、万が一熱中症になったときは、とにかく体を冷やすことが第一です。

油断しない&体を冷やす、この2つに注意しながら、暑い夏を乗り切りましょう。

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