ふわふわな猫のしっぽはとてもかわいらしくて、つい触りたくなりますよね。
実は、さまざまな役割を担う猫のしっぽはとても敏感で、軽い気持ちで触ってはいけない部分なのです。
猫の急所でもあるしっぽを間違えて踏んでしまったとき、どうすればいいのでしょうか。
今回は猫のしっぽを踏んでしまったときの対処法や注意点についてまとめました。
しっぽは猫の急所!?乱暴に扱ってはいけない理由とは
猫のしっぽを間違えて踏んでしまったとき、「シャー」と怒られたことはありませんか?
しっぽは猫にとって急所であると同時に、さまざまな神経につながる敏感な部分です。しっぽの先を少し踏まれただけでも痛みを感じます。
まずは猫のしっぽの構造や役割を知ることで、しっぽの大切さを理解しましょう。
先っぽまで神経がつまってる!?しっぽの構造とは
猫のしっぽは猫種や個体差によってさまざまな形があります。
もともとは長く細いしっぽが一般的だったようですが、外国の猫や他種の猫と交配を重ねるうちに、いろんな形のしっぽをもつ猫が誕生しました。
短いしっぽが優性遺伝子になるため、交配によってしっぽの短い猫が産まれやすくなります。
このようにしっぽの長さは猫によってちがうので、当然骨の数も個体によって異なります。
長さにもよりますが、その数は4~24個と幅があり、このしっぽを支える尾椎(びつい)とよばれる骨としっぽを動かすための筋肉でしっぽは構成されています。
主な筋肉に、
- 内背側尾筋(ないはいそくびきん)
- 尾横突間筋(びおうとつかんきん)
- 外腹側仙尾筋(がいふくそくせんびきん)
- 直腸尾筋(ちょくちょうびきん)
などがあり、それぞれに役割があります。
内背側尾筋はしっぽを上やななめに上げるための筋肉で、尾横突間筋はしっぽを横に曲げる筋肉です。くねくね自由にうごくのは、この尾横突間筋の力によるものです。
外腹側仙尾筋はしっぽを下やななめに下げる筋肉で、直腸尾筋はしっぽを下に巻き込む筋肉です。怖がっているときや喧嘩に負けたときに見られる動作ですね。
ほかにも細かい動きに使う8つの筋肉が集まって構成されています。
猫のしっぽが繊細に先の方まで動くのは、先端まで骨や神経がつまっているからです。こうした動きを司る神経を尾骨神経とよびます。
この尾骨神経は、
- 骨盤神経
- 下腹神経
- 陰部神経
など複数の神経につながっています。
これらの神経は骨盤の近くに集まっているので、しっぽになんらかの損傷があり神経が傷つくと、歩行や排せつに障害がでることがあるのです。
さらに生き物にとって大切な器官である脊髄ともつながっているので、むやみにしっぽをさわらないよう注意しましょう。
猫のしっぽを引っぱってはいけないといわれるのは、このように重要な神経と尾骨神経が連結しているためです。
そのため、猫のしっぽは非常にデリケートで、強く扱われると痛みを生じます。
しかし、猫ちゃんはしっぽの付け根を叩くとよろこぶなどといわれることがありますよね。
この付け根はは馬尾(ばび)とよばれる部分で、
- 尾骨神経
- 骨盤神経
- 下腹神経
- 陰部神経
- 坐骨神経
などさまざまな神経が集結している猫にとって大切な部分です。
猫が自分ではさわれない場所なので、ここをさわるとお尻をもちあげてよろこぶ猫ちゃんもいますが、あくまでここは急所です。
いくらここを叩かれるのが大好きな猫ちゃんでも、決して強く叩かずに、軽くトントンとさわる程度にしましょう。
しっぽの付け根あたりをさわるときは注意しながらスキンシップをとってください。
しっぽで気持ちがわかる。猫のしっぽの役割を知ろう
猫のしっぽはただかわいいだけでなく、
- 感情表現
- バランス保持
- マーキング
など、さまざまな役割を担っています。
猫は感情がしっぽにあらわれるので、機嫌が良いか悪いかはしっぽを見ればわかるといわれています。
うれしかったり甘えたいときはしっぽをぴんと立てて飼い主さんにすり寄って来たり、怖がっているときは足の間にしっぽを挟むなど、しっぽの動き一つひとつにも意味があるのです。
しっぽをぴんと立ててすり寄る様子は、子猫が親猫に近づくときにみられる行動です。あなたに好意をもっていることがわかります。
猫のしっぽがタヌキのように太く膨らんでいる様子は、完全な攻撃体制のときに見られます。
しっぽを膨らませて自分を大きく見せると同時に、「フーッ」「シャーッ」と声をあげて相手を威嚇します。
寝ているときに名前を呼ぶと、しっぽをふって返事をしてくれる様子も愛らしいですよね。
しっぽは人間の言葉を話すことができない猫の気持ちを、私たちに伝えてくれているのです。
二つ目の役割はバランスの保持です。
走ったり高い場所からジャンプするとき、猫はしっぽをつかって身体のバランスを保っています。
おうちの猫ちゃんをよく観察してみると、飛び降りるときにしっぽを高く上げたり、飛び降りるときはしっぽをぐっと引き寄せて身体のバランスをとっています。
高い場所を歩くときもしっぽを動かしてバランスを保持している様子が見られます。
また、しっぽが短い猫は後ろ足でバランスをとることができるように、しっぽの長い猫よりも後ろ足が発達しています。
3つ目はマーキングです。
しっぽには臭腺とよばれる自分のにおいを発する器官があります。
縄張り意識が非常に強い猫は、自分の縄張りを示すためにその臭腺を場所や人にすりつけてマーキングするのです。
ほかにも、寒い日にしっぽを自分に巻き付け暖をとりながら眠ったり、追いかけてぐるぐる回るおもちゃにするなど、しっぽと猫の生活は切っても切れない大切なものです。
猫ふんじゃった症候群に気をつけて!
みなさんは猫ふんじゃった症候群という病名を聞いたことがありますか?
ねこふんじゃったという歌詞にもあるように、どこかポップな名前の病名ですが、別名「仙尾部外傷」または「しっぽ引っ張り外傷」とも呼ばれ、その症状は深刻なものです。
猫ふんじゃった症候群とは、主に猫のしっぽを強く踏んだり引っ張ってしまったことで 神経や骨がダメージを負った状態を指します。
原因としては、
- しっぽを強く踏んだ
- しっぽをひっぱった
- しっぽをドアに挟んだ
- お尻に強い衝撃があった
など、事故から引き起こされることのある疾患です。
猫のしっぽは先端まで神経がつまっているので、しっぽのどこかに強い衝撃が加わると、そのダメージが大切な神経の集まった馬尾まで届いてしまいます。
主な症状として、
- しっぽが変な方向へ曲がっている
- しっぽをさわると痛がる
- しっぽが動かない
などが見られます。
何か猫のしっぽに強い力が加わったあと、これらの症状が見られたら、猫ふんじゃった症候群を疑ってください。
猫のしっぽの構造でもご説明した通り、猫のしっぽはさまざまな神経とつながっています。
排せつをコントロールできなくなったり、後ろ足の動きに異常が出た場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。
病院での治療は、まずレントゲンをとり、損傷の状態にあわせて処置をします。骨が折れているときは包帯やギブスでの治療が行われます。
しっぽが骨折しているだけでなく、神経にまでダメージがあったときは、しっぽを切断しなければならないこともあるので、しっぽにダメージを負ったあと何らかの症状がでているときは早めに病院で診てもらってください。
しっぽの切断は、感覚のないしっぽが排せつの邪魔になったり、引きずって歩くことでさらに神経を損傷してしまうことを防ぐための処置です。
しっぽの感覚や機能は時間とともに回復することも多いといわれているので、すぐに切断という結果を出すのではなく、経過をみてお医者さんと相談しながら決めてください。
足元に気をつけてしっぽへのダメージを防ごう
猫は甘えたいとき、飼い主さんの足元にすり寄ってくることがあります。
このとき間違えてしっぽを踏んでしまったり、うしろを追いかけてくる猫ちゃんに気づかずドアをしっぽに挟んでしまうことも。
足元によく注意して、ドアを開けっぱなしにしないことを習慣づけましょう。
お尻への強い衝撃で猫ふんじゃった症候群になることもあるので、猫が着地したときに滑らないようにカーペットを引くなど工夫してください。
表現力豊かなしっぽは、猫にとっての急所でもあります。優しく扱いましょう。
左右にぱたぱたと揺れるしっぽを見つと、小さなお子さんはついひっぱってしまうこともあるかと思います。
小さなお子さんのいる家庭は、部屋に猫ちゃんと二人きりにしないなど、大人による予防が必要です。
外に出る猫は交通事故などで猫ふんじゃった症候群を引き起こすケースもありますが、家のなかだけ暮らす猫ちゃんの猫ふんじゃった症候群はほとんどが飼い主さんによる思わぬ事故です。
大切な家族でもある愛猫が、安全に暮らすことができるよう心がけてあげてください。
みんなのコメント
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しっぽがをかわいいからと遊んではいけないことがよくわかりましたこれからつ気をつけます
対処法は病院でレントゲンなんですね。。。 -
もうしっぽは触ってはだめだといわれているのですが、どうしてもやめられません。ペットショップでも注意されているのですが、どうしよう。特にノルウェージャンのような猫のしっぽは特に魅力的なのです。
うちの孫も触っていた。と言っている方もいました。子供じゃないんだからと言われそうなのですが、どうしたら、辞められるのでしょうか
シャーと言われるのはまだいいほうなのですが、