猫にかわいい洋服、本当に必要？愛猫のストレスと注意点について

最近は犬だけでなく、猫ちゃんが着る洋服も増えてきましたね。

ペットショップやネット通販でも、たくさんの猫用の洋服が販売されています。

アイテムもスカートや靴下など、よりファッション性を重視したものが増えてきているようです。

猫が洋服を着ている様子はたしかにかわいらしいですが、本来、猫に洋服は必要なものなのでしょうか。

今回の記事では、猫に洋服を着せることへのデメリットや注意点についてご紹介します。

猫に洋服は必要？注意すべきデメリットとは

愛猫を見ていただければわかるように、猫は何も着なくてもすでに被毛をまとっている生き物です。

おしゃれや撮影のための洋服や被り物は、はっきり言って必要ありません。

では猫に洋服を着せることはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

猫に洋服を着せるとストレスが爆発？

猫はグルーミングといって、毎日自分の身体全体を毛づくろいすることで清潔さを保っています。

身体を覆う装飾品は、グルーミングをするとき邪魔になるので、猫がストレスを感じてしまうことも。

また、グルーミングは身体を清潔にするという目的だけではありません。実は、グルーミングには精神を安定させるという役割もあるのです。

猫が台から台へ飛び乗ろうとして失敗したときや飼い主に叱られたときなどに、身体をぺろぺろなめているところを見たことがありませんか。

このグルーミングには、緊張をほぐし気持ちを落ち着かせようとする役割があるのです。

猫に洋服を着せてしまうと、この身体をなめるグルーミングという大切な行為ができません。

グルーミングによって精神を安定させることができない状態は、猫にとって大変なストレスです。神経質な猫の場合、食欲不振になったり性格も変わってしまうなど、ストレスによって身体を壊してしまうこともあります。

飼い主さん目線の「おしゃれ」や「かわいい」で、長時間洋服を着せることはやめてあげてください。

洋服が寒さ対策なることはない！？

ペットに洋服を着せることで寒さ対策になるという意見もありますが、どうでしょうか。

たしかに、犬の場合、チワワのように暑い国で生まれた犬種のなかには寒さに弱い犬もいます。また、犬は散歩が必要なので、寒い季節には洋服が必要な場合もあります。

しかし、外に出ることのない飼い猫の場合、極寒状態でなければ洋服にあまり効果は期待できません。

猫はペット用のヒータや毛布などがあれば、寒いときは自分から温まりにくるものです。

嫌がる猫に洋服を着せるよりも、部屋を暖めたり、猫用の防寒対策をする方がはるかに効果的です。

子猫や成猫の場合、新陳代謝が活発なので、服を着せると体温調節の邪魔になってしまうこともあります。

シニアの猫は体温調節がうまくいかなくなり、寒さを感じにくくなっている場合もあるので、気をつけて温かくしてあげましょう。

毛が短く寒がりなアビシニアンや、毛のないスフィンクスなど、もともと日本にいなかった猫種は、寒さに弱く、すぐに風邪をひいてしまうことがあります。

まずは部屋のなかの温度条件を確認しながら、寒さのための服が必要かどうか考えてみましょう。

サイズやデザインに注意して！

洋服を着たくない猫ちゃんは、なんとか脱ごうとしてかじった結果、誤食してしまう恐れもあります。装飾物がたくさんついている服には注意してください。

最近の猫用洋服は人間と同じくらい凝って作られたものが多く、さまざまな装飾がついているものもたくさん販売されています。

猫にとって動きづらかったり、誤食につながるデザインやアクセサリー、取れる飾りがついているものは避けましょう。

猫は狭いところに入り込むことが大好きです。隙間に入ったときに洋服の装飾部分が引っかかり、動けず暴れて怪我をしてしまうことがあるかもしれません。

また、サイズ感の合わない洋服や動きにくいことは、猫にとって大きなストレスになります。　

ネットショップやペットショップはその場に猫ちゃんを連れて行くわけにはいかないので、なんとなくのサイズを購入してしまいがちです。

サイズ感がわからないからといって、小さすぎたり、大きすぎる洋服を買わないよう注意しましょう。

私たちの洋服を買うときと同じように、素材にも気をつけてください。空気の通らない素材の服は、蒸れて皮膚炎になってしまうことも。

夏は熱中症にならないよう、クールウエアなど熱がこもらないような素材を選んでください。夏ではなくても、気温が高い日は注意しましょう。

それでも猫ちゃんに洋服を着せたいときは

猫ちゃんに洋服を着てもらうときの注意点についてご説明します。

洋服を着てもらうときは、突然長時間着せるのではなく、少しずつ慣らしてあげてください。

服を噛んで脱ごうとしているときや、着せたとたんに動かなくなってしまったら、優しく声をかけながらすぐに脱がしてあげましょう。

どうしても洋服を着た猫ちゃんの写真を撮りたいときは、撮る間だけの短い時間にしてあげてください。

また、服を着る前と脱いだ後の身体のチェックは入念に行い、皮膚の状態に何か変化があった場合、もう服を着せることはやめましょう

長時間洋服を着せたままにしてしまうと、その間猫はグルーミングができません。その結果、毛玉ができやすくなり、皮膚トラブルの原因となってしまうことも。長時間着せたままにすることはNGです。

基本的なことですが、嫌がる様子を見せたらすぐに服を脱がしてください。

愛猫にストレスを与えるだけでなく、「この人はこんなことをするんだ…」とそれまで築きあげてきた信頼を損ねることにもなりかねません。　

実は洋服を着せることにメリットもある！

これまで飼い猫に洋服を着せることのデメリットについてご紹介してきましたが、メリットもあります。

猫が洋服を着たときに感じるストレスのひとつに、グルーミングできないことがありましたが、実は身体をグルーミングしてほしくないとき、洋服はとても便利なアイテムなのです。

例えば、

手術の直後
薬を塗っているとき
怪我をしているとき

などに洋服を着せてあげると、患部をなめられないので安心です。

メスの場合は避妊手術のあとなどに包帯を巻くことがありますが、この包帯に違和感をもってとってしまう猫ちゃんもいます。そうすると、手術の傷跡がひらいて大変なことになるケースも。

包帯の上から洋服を着せれば、噛んでとってしまう心配もありません。

洋服は、傷口をなめたり縫合糸を噛み切ってしまうことを避けるための術後服として、大変便利な役割をもつのです。

また、かたくて大きいエリザベスカラーを怖がってとってしまう猫ちゃんには、洋服を着せてあげたほうが逆にストレスにならない場合もあります。

さらに、皮膚病や敏感肌の猫ちゃんにも、洋服は効果的です。

猫に洋服を着せるメリットとしては、身体を保護することが第一にあげられます。守りたい部位にあわせて選んであげてください。

洋服を着せるときは愛猫のストレスを考えて

ツイッターやインスタグラムなど、SNSが活発になるにつれて、飼い猫のかわいい姿を載せるために洋服を着せてアップする飼い主さんが増えたように思います。

もちろん、洋服を着ることに抵抗のない猫もいますが、ほとんどの猫はやはり嫌がってしまうものです。

手術後の患部に触れさせないなど、猫の身体を守ること以外に大きなメリットがあるとはいえませんし、猫がうれしいと感じていないことをわざわざする必要もありません。

愛猫の性格にもよりますが、おしゃれやかわいさだけのために服を着せることはひかえ、どうしても服を着せたいなら写真を撮る間だけの短時間におさめましょう。

また、猫に服を着せているときは目の届かない場所へ猫が行ってしまわないよう注意してください。

万が一そのまま外出してしまった場合、フェンスなどに引っかかってしまったり、けんかした相手の猫の爪が引っかかってしまうと、命にかかわる事故につながることも。

猫用の洋服は、愛猫のストレスや体調に配慮し、無理のない範囲で楽しみましょう。