猫の平均寿命は15.04歳という調査結果が出ています。(一般社団法人ペットフード協会 平成28年全国犬猫飼育実態調査)
10歳を過ぎてきたら、そろそろ病気についての対策を考えましょう。特に老猫がかかりやすい病気は、腎臓病と甲状腺機能亢進症です。
病気の診断は獣医師が行うことですが、それぞれの病気について、自宅で出来るチェック方法もあります。
早期発見で長生きを目指しましょう。
おしっこが多く、水をたくさん飲む時は、腎臓病を疑え!
極端な言い方ですが、猫が高齢になると必ず腎臓病になる、と言っても過言ではありません。
私の猫も、食欲が無いなと気になって検査をしてもらうと「腎臓の値が悪くなってるよ」と言われ、やっぱりとうとう来ちゃったか、という感じでした。
水をたくさん飲み、かつ、おしっこの量が多いことを多飲多尿といいます。
では、どれくらいで多い!と判断することになるのでしょう。
- 猫が1日に必要な水分量は、体重1kgあたり50ml → 50ml以上は危険!
- 猫が1日に出るおしっこの量は、体重1kgあたり25ml → 50ml以上は危険!
必要な水分量=飲む水の量、ではありません。なぜなら、食餌の中にも水分が入っているからです。普段の食事がウェットフードかドライフードなのかの違いで飲むべき水の量は異なってきますので注意してください
飲む水の量を測る方法
1匹の猫が同じお皿だけで飲むことを条件とします。
多頭飼いだったり、お皿の数がたくさんあって、それぞれのお皿から飲んでいる場合は、計測が難しくなります。
- 朝など決まった時間に計量カップなどで水の量を計り、お皿に入れる
- 24時間後の時間に残った水の量を測る
- その差(1-2の値)が1日に飲んだ量として、数日間続けてみて、平均値を求める
おしっこの量を測る方法
量だけを測る場合は、いつも使用している猫砂の塊を調べてみます。なるべくしっかり固まるタイプの猫砂がよいでしょう。
- 1日の基準値にあたるおしっこの量と同量の水を猫砂にたらしてみて、固まる量(大きさ・重さ)を測っておく
- 実際にしたおしっこの塊を採取して、比較してみる(1日に何度もおしっこをするはずなので、その都度採取する)
- 1と2を比較して、基準値の量より多くないか判断しますが、何日か続けてやってみましょう
少しでお多飲多尿の疑いがある場合は、早目におしっこ検査をしてもらいましょう。
おしっこが採取出来たら、それを動物病院に持って行くだけです。猫が元気な場合は、連れて行かなくても大丈夫です。
おしっこの採取方法
- 猫がおしっこをするときに、静かに後ろからお玉や低いお皿を置き、採取する
- 猫がおしっこをする場所に、ビニールシートを敷き、採取する
- トイレに砂を敷かずに、採取する
神経質な猫はなかなか取らせてくれないこともあります。なるべく猫にストレスをかけずに、そのコにあった方法で取ってみましょう。
補足:おしっこを動物病院に持って行く時の注意点
- 液体の状態で、専用の容器に入れる(病院に寄って異なりますが、無い場合は未使用のビニール袋やきれいなプラスチック容器でもOK)
- 最低でも指の1関節分くらいの量を採取する
- なるべく朝一番にしたおしっこがよい
- 3時間以内に持って行く。少し時間があく場合は、冷蔵庫に保管しておく
検査項目はいろいろありますが、特に老猫の場合は、比重の値に気をつけてください。比重とはおしっこの濃さを測るものです。比重が低い=水っぽいおしっこ、は要注意です。
老齢になると、猫だけでなく犬も腎臓病になりますが、悪くなる腎臓の場所が、犬と猫とでは異なることもありますので、その症状やお世話の仕方も少し違ってきます。
腎臓の構造やその働きを勉強しておくと、獣医師からの説明もよく理解できるでしょう。
テンションが高くよく食べるけど痩せてきた時は、甲状腺機能亢進症を疑え!
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが出過ぎてしまう病気です。人間では、バセドウ病と呼ばれることが多いので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
このような身近な病気が猫にも発症するのです。症状としては、異常にテンションが高くなり、食欲も旺盛になります。
元気があって食欲もある。それだけでしたら全く問題がないのですが、それと相反して、体重が減ってしまいます。普段から体重の変化に気をつけてください。
体重は自宅で簡単に量ることが出来ます
- 猫を抱っこした状態で体重計に乗り、量ります
- 自分の体重だけ量ります
- その差(1-2の値)が猫の体重です。
もれなく自分の体重も量ることになるので、一石二鳥です。
ここで気をつけたいのが、体重の変化を人間の体重と同じ感覚で判断しない、ということです。
例えば、500g体重が減った場合でしたら、減少率がこれだけ異なります。
- 人間 50kg → 49.5kg 1%の減少
- 猫 3kg → 2.5kg 17%の減少
当たり前のことですが、意外と忘れがちな落とし穴です。
薬は指示通りに飲ませましょう
極端に体重が落ちているときは、動物病院で検査をしてもらうことになります。血液検査で、甲状腺ホルモンの値を測定してもらいます。
ほとんどの場合、薬でホルモンの量を抑える治療になりますが、甲状腺が肥大化している場合などは、外科的に摘出する手術が行われる場合もあります。
体の中にはさまざまなホルモンが働いていますが、それぞれのホルモンが均衡に保たれるように、自動的に調整されています。
このバランスが崩れて、病気になってしまうわけですが、その治療のために、薬で人工的にホルモンが追加されたり抑えたりすることになります。
毎日飲ませることは大変だと思いますが、飲ませられなかった場合も、きちんと獣医師に報告しましょう。
飲ませられなかったのに、飲みました。という報告は絶対にいけません。飲ませられなかったら、次のアドバイスをいただけるはずです。無理のないよう治療していきましょう。
かかりやすい病気も普段のお世話のなかでチェック出来ます
老猫がかかりやすい代表的な病気は腎臓病と甲状腺機能亢進症ですが、飲み水の量、おしっこの量、体重の変化・・・、普段の基本的なお世話のなかでチェックすることが可能です。
無理せず、飲ませられなかった場合は、必ず動物病院に相談しましょう。他の方法をアドバイスしてくれるはずです。
お互い信頼関係を持ちながら、老猫の病気のケアをしてあげたいものです。