猫の肉球が汗をかいてる?肉球が濡れているのは緊張のサインかも

私たち人間は、外気温が高かった時や高熱が出た時など、皮膚全体に汗をかきます。これは体温調節のためで、皮膚から水分を蒸発させることで体温を下げています。

でも、猫ちゃんは、運動しても暑い時でも汗をかいている様子はありませんよね。猫は全く汗をかかないのでしょうか。

猫ちゃんの汗をかく場所や体温調節の仕方などを解説いたします。

猫ちゃんが汗をかく場所は肉球と鼻の頭付近

汗腺にはさらさらの汗が出るエクリン腺とべとべとした汗がでるアポクリン腺があります。エクリン腺からの汗は私たちが体温調節のために普通にかく汗です。99%が水分で、温熱性発汗と呼ばれます。

一方、アポクリン腺はフェロモン(体臭)を含んだ汗を出すためのもので、縄張りや性的な信号の役目をはたしています。

人間のアポクリン腺は脇の下や足の裏などにあるのに対し、犬や猫は全身にあります。一方、普通の汗を出すエクリン腺は人間は全身にありますが、犬や猫は体のごく一部、足の裏の肉球や鼻の頭付近にだけあります。

これらは、生体の進化の過程でそれぞれの必要な汗腺が残り、不要なものが淘汰されてきた結果であるといえますね。

猫ちゃんが肉球でかく汗は冷や汗

体全体の皮膚からはフェロモンを出して、一般的な汗をかかない猫ちゃんですが、足の裏の肉球では汗をかくので、触ると湿り気を感じる時もあります。

しかし、このような猫ちゃんの発汗の原因は暑いからではありません。これは緊張が原因の冷や汗で、私たちが緊張から「手に汗を握る」のと同じような現象です。(いわゆる「悪い汗」というものですね。)

ですから、もしも、猫ちゃんが床が濡れるほど肉球にビッショリと汗をかいていたとしたら、それは極度の緊張のあらわれだといえるでしょう。

猫ちゃんが肉球にかく冷や汗には、本来、合理的な理由があります。ふいに敵に出会った時などの緊張した場面での肉球の汗は、木に登る時やジャンプする時などの滑り止めの役割をはたしています。(人間の祖先であるサルも、同じような理由で足の裏に汗をかき、木登りの滑り止めにしているようです。)

他にも、肉球の汗は、「臭いつけ」という自分のテリトリーを示す行為に使われたりもします。飼い主さんにフミフミする行為もその1つ。お気に入りのものに自分の臭いをつける行為なのですね。

今日の肉球写真
~今日の肉球~ちょっと乾燥気味だけどぷにっと元気♪

猫の体温調節の仕方3つ

全身で汗をかくことのない猫ちゃんは、一体どのような方法で体温調節をしているのでしょうか。

パンティング(開口呼吸)

ワンちゃんがよくする「ハァハァ」という口呼吸をパンティング(開口呼吸)といいます。体温が上がり過ぎた時に、この呼吸をして体温を下げています。猫ちゃんもまれにこのパンティングをすることがあります。

あまりに長い間、この呼吸が収まらない場合は、循環器系や呼吸器系の病気の可能性もあります。早めに動物病院を受診しましょう。

快適な場所にいる

昔から、「猫は暖かい場所、涼しい場所を良く知っている」といわれています。風通しのよい場所や日当たりの良いところなど、猫ちゃんは季節ごとに一番快適な居場所を選んで、ちゃんと体温調整をしているのですね。

グルーミング

グルーミングには、体をきれいにしたり気分を落ち着かせたりする以外にも、体温調節の役割りもあります。

唾液の気化熱で体温を下げたり、また、逆に被毛に空気を入れることで保温効果を上げたり、猫特有の体温調節をしています。

このような調節の仕方は全身からの発汗に比べると明らかに効率が悪いです。従って、猫ちゃんは寒さよりも夏の暑さに注意が必要なのですね。留守中の熱中症対策などは万全にしてあげましょう。

猫ちゃんの緊張に配慮してあげよう

肉球の汗は、具体的には動物病院で多くみられる現象でしょう。

我が家の先代猫ウミは動物病院に連れて行くと、必ずというほど、肉球に大量の汗をかいていました。多分、「ここに来ると何をされるのかわからない…」という緊張と恐怖感でいっぱいだったのでしょう。帰る時には、診察台の上がいつも汗でグッショリ…という状態でした。

獣医さんの「はい、終わり~」という言葉を合図に、汗まみれの肉球で必死に自分からキャリーに飛び込むウミ。でかける時はキャリーに入るのをすごく嫌がるのに、帰りは自ら進んで入ります。

「コレに入りさえすれば帰れる!」と、よくわかっていたのですね。(笑)「そうか、ウミくんは、そんなにおうちがいいんだね~」と、獣医さんによく声をかけてもらっていました。

(「いや、怖いから早く帰りたいだけですよ~」←飼い主、心の声。)

猫ちゃんは緊張状態にあっても、ポーカーフェイスのまま、弱い部分をみせないことが多いものです。もし、動物病院などで、肉球に汗をかいているのをみつけたら、優しく声をかけたり側にいてなでてあげたりして、なるべく安心させるようにしてあげてくださいね。

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