猫は老眼にならない!勘違いされやすい病気&猫の視力の秘密

どれだけ健康に気を使っても、どれだけいつまでも若々しくいたいと願っても老化には勝てないこともあります。そんな止めることができない老化現象の1つが老眼です。歳をとることでピントが合いづらくなり、小さな文字が見えにくくなるこの症状に悩まされている方もいるのでは?

老眼は歳を取るうえでは仕方がない現象ではありますが、何かと不便を感じてしまいますよね。そんな老眼は、猫にも症状として現れるのでしょうか?今回はそんな素朴な疑問、猫も老眼になるのか?ということについて考えてみましょう!

ズバリ猫は老眼にならない

動体視力に優れ、身体能力も抜群に良い猫ですが、歳を重ねると動きが鈍くなり目で物を追いづらそうにしている姿を見て「やっぱり老眼になっているのかな?」と、思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、猫は厳密にいうと老眼という症状に陥ることはありません。そもそも老眼とは、物を近くで見たり遠くで見たりするときに、ピントを自動で調節する機能が加齢により衰えてしまうことで発生します。

ところが、猫の場合はこのピント調節機能が加齢によって衰えるということはありません。

そのため猫は加齢によって、物が見えづらくなる老眼にはならないといえます。ただし、年齢を重ねた猫は老眼にならなくても、老眼のような症状が現れることがあります。それが、目の病気によるものなのです。

老眼のような症状が現れる猫の目の病気

猫は老眼にならないとは言いますが、歳を重ねることで目の病気になり視力が低下することもあります。さらに、目の病気だけではなく神経障害や高血圧を伴う病気などにより視力が低下していくことも。

老眼になることはないといっても、加齢による病気によって視力が低下する可能性はありますので、この機会に老眼のような症状を伴う病気をしっかりと把握し、予防をする、または症状が出たらすぐに対処できるようにしておきましょう!

白内障

目が見えづらくなる病気としてまず知っておきたいのが白内障の危険性です。白内障とは水晶体が白く濁ってしまい視界がドンドン狭くなっていく病気です。そのまま症状が進行すると瞳孔の奥が白く変色してしまい、視力が失われていきます。

白内障は水晶体が白く濁っていくため、普段から注意深く観察していれば早期発見できる病気でもあります。真っ白に濁っていなくても、目の奥が何となく白っぽいと感じたなら白内障の疑いがありますので、異変を感じたらすぐに動物病院で相談をしましょう。

ただ、白内障は治療法が見つかっておらず早期発見をしても症状を遅らせることしかできません。しかし、症状が進行してしまうと失明をしてしまう可能性もありますので、早期発見で少しでも視力を守ってあげるようにしましょう。

なお、老眼のように目が見えにくくなる他にも発熱や嘔吐といった症状も見られます。その他にも、歩くたびに何かぶつかったり、つまずくのも白内障の代表的な症状なので注意深く見ておきましょう。

緑内障

老眼のように目が見えづらくなる病気として忘れてはいけないのが緑内障です。緑内障は眼圧が高くなる病気で角膜とレンズの間に入っている液体が多くなることで網膜や視神経に異常が見られることで発症します。

緑内障になると、目が白く濁るほかに、目が飛び出したように大きくなる、赤く充血をする、光を嫌がる、目が痛そうにまばたきをするなどの症状が見られます。

放っておくと失明をする可能性がありますので異変を感じたらすぐに獣医師に相談をしましょう。

核硬化症

老眼によって視力が低下をしないとはいっても、老化によって水晶体が固くなり見えづらくなってしまう病気は存在しています。

それが「核硬化症」とは、加齢によって水晶体が衰退して物が見えづらくなる症状で、基本的には治療を行うことはありません。

しかし、あまりにも著しく視力が低下するようならば何らかの対処をする場合もあるようです。愛猫が年齢を重ねるにしたがって視力が衰えてきているような気がすると感じたら核硬化症を疑うようにしましょう。

網膜変性症

目の奥にある網膜が変形することで視力が悪くなる病気です。この病気は遺伝性のものがほとんどで、猫が歳を重ねるのと同時に現れてくる場合もあります。症状としては涙が出る、老眼のように見えづらくなる、視力低下によって動作がぎこちなくなるというものがあります。

▼猫の目が見えなくなる前兆の症状やお世話のポイントについては、こちらの記事もご覧ください
猫が失明する原因とチェック法。失明後も安心して生活できる環境とは

糖尿病

猫の糖尿病とはインスリンの働きが弱まることで血糖値が高くなる病気のことです。

糖尿病によって老眼のような症状が出てくるというよりは、糖尿病によって視力の低下が見られるというよりは、糖尿病になることで視力が低下する原因となる「白内障」や「網膜剥離」といった病気を発症する可能性があります。

糖尿病と診断をされると食事療法や運動療法、インスリン投与による治療が行われるのと同時に、目に症状が現れている場合はその治療も行われます。もし愛猫が老眼のように見えづらそうにしていたり、大量に水を飲むようになっていたら糖尿病を念のために疑ってみましょう。

▼猫が太ることでかかりやすくなる糖尿病についてはこちらも参考にしてください
猫が肥満になるとかかりやすい病気一覧。糖尿病や関節炎に注意!

高血圧

腎疾患、甲状腺機能亢進症などにより発症する高血圧。この高血圧状態が長期間続くと視力に影響のある網膜剥離、眼内出血を引き起こすことがあります。高血圧の治療は血圧を下げる治療と、高血圧の原因となっている病気の治療が行われます。

高血圧によって目に何らかの症状が伴うケースは近年非常に多くなっていますので、愛猫の様子がおかしいと感じたならば早めに獣医師に相談をしましょう。

▼猫の生活習慣病ともいえる高血圧は、毎日の習慣が大事なポイントにもなります
猫の生活習慣病一覧。飼い主なら必読のそれぞれの原因と予防法

猫の目はそもそも老眼のような状態?

猫は優秀なハンターだからさぞ視力もいいことだろう!そんな風に思っている方、実は猫の視力は人間の10分の1ほどしないということをご存知ですか?

猫は目に見えないような小さな虫などにいち早く反応してくれるので、とっても視力がいいんだね!と思われがちですが、正確には違います。

というのも、猫は超がつくほどのド近眼で自分の半径2m以内のものはボヤけて見えています。ではなぜ小さな虫などをいち早く発見したり、猫じゃらしなどをすぐに捕まえることができるのか?

それは、静止しているものはあまり見えませんが動いているものはハッキリと見えるためだと言われています。すなわち動体視力がとってもいいからというのが理由です。さらに、猫は聴力や嗅覚も大変優れているため、さまざまな器官を使って獲物を認識しているのです。

▼猫の驚くべき動体視力の働きにより、人間が見ている景色とはかなり違う景色を見ているんです
猫の視力はどのくらい?猫が見ている景色はこんなにも人間と違う

そんな猫の目は実は生まれながらにして老眼だといえるのです。

猫は老眼にならないが、そもそもが老眼のような状態だった

結論を言いますと、猫は加齢によって老眼になることはないですが、そもそもの状態が老眼のような状態だったということです。普段何気なく生活している猫ちゃんたちは、近くのものがぼやけて見えているというのですから大変ですよね。

しかし、老眼のような状態が猫にとって普通の世界だったら何ら問題はないのかもしれません。

また、猫が老眼のように物が見えづらそうにしていたり、目に異変を感じたらぜひ獣医師に早めに相談をしてみましょう。早期発見、早期治療が愛猫の視力を守ることに繋がります。

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