猫の鬱症状と原因。大切な猫がうつ病とわかった時の対処法

体と心に深刻な悪影響を及ぼすうつ病は、時には命を奪うほどの恐ろしい病気です。見た目にはわからない病気であるからこそ、鬱に苦しんでいる方は多いのではないでしょうか?

そんなうつ病、実は人間だけではなく猫にも発症する病気であることをご存知でしょうか?自由気ままでストレスなどとは無縁の世界で生きている動物のように見えますが、実は繊細でほんの些細なことにでもストレスを感じてしまう猫は知らないうちに鬱を発症していることも珍しくはないのです。

今回はあまり知られていない、猫のうつ病の症状と治療法、さらには対処法までをご紹介します。

猫の鬱とは

人間のうつ病は元気減退、睡眠障害、死を身近に感じる、罪悪感、孤独感、焦燥感、体のだるさ、などの精神的な症状から身体的な症状まで幅広く現れます。このような症状を自覚し、病院で診察を行うことで人間は鬱の診断が付きます。

しかし、猫の場合は言葉を喋れませんし、例え精神的に不安定な状態になっていたとしても飼い主様に不安な気持ちや、原因不明の焦燥感、やる気が出ないなどの感情を伝えることはできません。

そのため、猫の鬱は発見しにくく、確定的な診断が下されることはほぼありません。また、動物医学が発展している現在でも猫の生態は謎の部分が多く、うつ病のような症状が出ていたとしても、病院で鬱と診断をされることは少ないのが現状です。

また、鬱の症状は他の病気の症状と似通っている部分もあり、その病気を疑って治療を進めてるにも関わらず一向に症状が改善しないという場合も、実はうつ病が原因となっている場合もあるようです。

逆に検査をしても悪いところが見つからず「おそらくうつ病が原因となっている症状」だと診断をされたのにも関わらず、体調が悪化したことによりセカンドオピニオンを受けたところ、重大な病気が発見されたというケースもあります。

猫の鬱はそれほど診断が難しく、判断がつきにくい病気であるということです。

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猫の鬱の症状

猫の鬱は素人判断だけでは確定することが難しい病気です。目に見えない病気であるからこそ、何が原因でそのような症状が出ているのかもわかりませんし、本当にうつ病を発症しているのかも猫が言葉を喋れないため確証を得ることはできません。

ただ、毎日愛猫の様子を見ている飼い主様から、普段の様子や以前から変わった粉などを問診することでうつ病の可能性があると判断することはできます。

誰にも訴えることができず、一人で苦しんでいる愛猫のためにも飼い主が早めに気がついてあげるように、鬱の症状を覚えておきましょう。

おもちゃなどに反応をしない

猫じゃらしやおもちゃを使っても無反応、飼い主の声に対しても知らない顔をし、常に何もせずに同じ場所でジッとしているといった無気力な姿はうつ病を発症している可能性があります。

元々のんびりしている猫だったり、クールで愛想があまりない個体などもいますが、狩猟本能がある猫ですから、おもちゃなどに対してもそれなりの反応を示すのがほとんどです。

特に、今まではおもちゃを見せると喜んで遊んでくれていたのに、急におもちゃを振っても遊んであげようと声をかけても反応を示さなくなるのは鬱を始めとした精神的なストレを感じていると考えられます。

また、こちらに見向きもせずに全く反応をせずジッとしているだけとなると、うつ病によって無気力状態に陥り全てのものに興味を失っている状態なのかも。

全てにおいてそうだとは言い切れませんし、その猫じゃらしに飽きてしまったり、気分ではないだけという可能性もありますが、おもちゃを新しくしたり時間帯を変えても無反応である場合は精神的に何らかの負担を抱えてはいないかを考えてみましょう。

食べ物に反応をしない

猫にとって食べ物は生存するために最も重要な事項ですから、飼い猫でも野良猫でも、ご飯やおやつにはとても良い反応を示してくれます。しかし、大好きなおやつを見せても反応が薄かったり、ご飯の時間になってもジッとしたまま動こうとしなかったりするのは、うつ病が関係していることもありえます。

特に今まで大好きだったおやつや食事に興味を示さなくなる場合は、鬱が大きく影響をしている可能性があります。もし、鬱が関係していなかったとしても食欲が落ちているということは何らかの病気を発症している場合もあります。

精神的な病気か、内臓器官の病気か、ウイルスや感染性によるものか、素人では判断がつきませんので、食欲が落ちている、食への興味がなくなっていると感じたならば獣医師に相談をするようにしましょう。

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過剰なグルーミング

猫のストレス行動で有名な過剰なグルーミングは鬱の時にも見られる代表的な症状です。綺麗好きな猫は普段からグルーミングをよく行いますが、あまりにも頻繁にグルーミングをする時はストレスからの転換行動である可能性が極めて高いです。

またうつ病によって精神的に不安定な状態が続いていることが原因となって過剰なグルーミングを行っている可能性も。グルーミングは体を清潔に保つために必要不可欠な行動ではありますが、あまりにもやりすぎると脱毛や皮膚疾患の原因となってしまいます。

さらに長毛種である場合、被毛が胃の中に溜まってしまう毛球症を引き起こす可能性もあります。グルーミングの回数が多いな、以前に比べてグルーミングの時間が長くなったな、体に脱毛が見られるなと感じたならば、早めに獣医師に相談をしましょう。

グルーミングをしない

逆にグルーミングを全くしなくなるのも問題です。うつ病になると、普段の習慣や必要不可欠な行動ですら、無気力になってやる気がなくなってしまう場合が多いようです。そのため、必要であるはずのセルフグルーミングをしなくなり毛艶が悪くなる、毛玉ができるといった症状が見られることも。

最近元気のない愛猫の毛艶が悪くなっているような気がするという時は、もしかしたら精神的なストレスや鬱による症状によってグルーミングをしなくなっているのかも知れませんよ。

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部屋の隅でジッとしている

部屋の隅でジッとしていたり、暗くて狭い場所から出てこなくなった場合、病気を疑って獣医師に相談をされにいく方も多いでしょう。しかし、検査を行っても何も異常が見つからないということがあります。

病気が見つからないから大丈夫だと言われたのにも関わらず、部屋の隅から動こうとしない、狭い場所から一向に出てこようとしない、以前のような社交性がなくなってしまった、いつも離れた場所からこちらを見ているだけになったという場合は、鬱を疑って再度相談をするようにしましょう。

よく鳴くようになった

以前はあまり鳴かなかった猫が、急に鳴き出すようになった、夜鳴きをするようになった場合もうつ病が原因となっている可能性があります。

よく鳴くようになる理由は、何かに不満がある場合や、ストレスを溜め込んでいる場合もありますが、うつ病によって不安な気持ちになり遠吠えのような鳴き声を出すこともあります。

もちろん普段からおしゃべりでよく鳴く猫もたくさん存在しますし、耳の良い猫ですから隣近所の猫の声や人間の話声に反応をして鳴いている可能性もありますので、他の症状と合わせながら可能性を考えるようにしましょう。

攻撃的になる

ちょっと撫でようとするだけで怒りをあらわにする、手を見ただけで猫パンチをするようになる、知らない人に対して攻撃的になった、飼い主に対して威嚇をするようになったなど、明らかに攻撃的になるのもうつ病の症状と言えます。

攻撃的になった場合、愛猫に触れなくなるだけではなく、飼い主様自身も怪我をする可能性が高くなります。そのような状態では一緒に暮らして行くのも困難になり、飼い主様もストレスを感じて愛猫と関わらなくなり、その態度を見て愛猫はさらにストレスを感じるという悪循環に陥ってしまいます。

今まで穏やかで愛嬌があった愛猫が急に攻撃的になるということは、必ずなんらかの原因があります。うつ病でなかったとしても、何らかの病気が関係している場合もありますので、攻撃的になったと感じたならば早めに獣医師に相談をするように心がけましょう。

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粗相をするようになる

鬱の症状を語る上で忘れてはいけないのが粗相です。猫はとても綺麗好きな動物であるため、粗相をすることはほとんどありません。

仮にトイレ以外の場所で粗相をする習慣がついていたとしても、自分がトイレと決めた場所で行うためお部屋のいたるところでするということはほとんどありません。

そんな猫が粗相を頻繁にするようになったということは、鬱を始めとした精神的な症状から粗相をするようになっているか、泌尿器系の病気を患っている可能性があります。

猫は膀胱炎や腎不全になりやすい動物ですから、粗相をしている時はまずこれらの病気がないかを確認する必要があります。しかし、病院で診察を受けてそれらの異常が見つからない場合は、ストレスなどによりうつ病を発症している可能性があると診断をされることも。

粗相をするというのは猫からのSOSでもあり、それだけ精神的に追い詰められているということです。愛猫が急に粗相をするようになったという時は、病気の症状が出ていなかったとしても、何らかの原因が隠れているはずですから、病院を受診するなどの然るべき対応を行いましょう。

猫が鬱になる原因

可愛い愛猫が鬱になってしまったら、飼い主様としては悲しい気持ちになってしまいますよね。鬱の原因として考えられるのはストレスがほとんどです。

ストレスを溜め込むような生活を送らせているとは自覚がなくても、繊細でデリケートな猫にとってはうつ病になるほどの精神的負担を感じていることも珍しくはないのです。

また、良かれと思ってやっていた行動が、実は猫にとっては体調不良を引き起こすほどのストレスの原因となることも。ストレスの原因となる事項は様々ですが、代表的なものは以下があります。

  • 多頭飼育
  • トイレの不足
  • トイレが汚い
  • 刺激がない
  • 飼い主様が構ってくれない
  • 飼い主様が遊んでくれない
  • 暇な時間が長い
  • 騒音がする
  • 騒がしい環境
  • 閉鎖されている空間での生活
  • 運動不足

特に意外なものが多頭飼育ではないでしょうか。猫を飼っている人の多くは、多頭飼育をされていますが、猫は元々単独行動を好む動物ですから、あまりにも狭く部屋数も少ない家で多頭飼育をするとストレスを感じてしまいます。

また、猫にとって最もストレスを感じるのは睡眠を邪魔されることです。猫は一日の大半を寝て過ごしますが、多頭飼育をしているとこの睡眠が邪魔をされる機会が多くなります。

さらに一人でのんびりしたいときや、お気に入りの場所で日向ぼっこをしたいのに、お部屋が狭いため常に違う猫がいる状態で生活をするとなるとストレスで精神的に疲れてしまいます。

同居している猫が仲良しな個体であるならばいいでしょうが、あまり好きではない相手ならばそのストレスはさらに大きくなります。人間に置き換えて考えてみても、限られた部屋の中であまり仲良くない相手とずっと一緒にいる環境はストレスでしかありませんよね。

さらに、多頭飼育をしている家庭でよく問題になるのがトイレの数です。猫にとってトイレは大変重要なもので、トイレに入ろうと思ったときに他の猫のウンチが残っていると、それだけでテンションが下がります。

また、トイレは自分の縄張りを主張するための大切なツールです。そんなトイレが一つしかなく、常に誰かが入っている、常に用を足した後の状態であったら、猫にとって大きなストレスとなります。

理想は猫の頭数+1つ以上ですが、それを実現するためにはお部屋のスペースが足りないということも。

多頭飼育は猫にとって遊び相手ができ、飼い主が構ってあげられないときでも刺激しあってくれる点や、長時間の留守番も寄り添って過ごすので寂しくならない点などメリットも多いですがデメリットもたくさんあるということも覚えておきましょう。

▼猫の多頭飼いをする上でのメリット・デメリットについてはこちらをどうぞ
猫の多頭飼いのメリット・デメリット。2匹以上の猫と一緒に暮らすコツ

また、刺激がない生活や飼い主様が構ってくれず一匹だけで過ごす時間が長い場合も鬱を発症する可能性があります。普段から愛猫としっかりコミュニケーションを取り、たくさん遊んであげて、時には窓から外の景色を見せてあげるなどの適度な刺激を与えてあげることがうつ病の予防となります。

また、現在うつ病のような症状が見られる場合も、原因を改善することで症状がなくなることもあります。たくさん愛猫とスキンシップを取り、ストレスのたまらない、快適な空間を用意してあげるのが理想的です。

猫が鬱になった時の対処法

猫が鬱になった場合、病院で治療を行うだけではなく、飼い主様も現実を受け止めて愛猫の症状と向き合い改善をする必要があります。うつ病だとわかった時、具体的にどのような対処法を行えば良いのでしょうか?

ストレスの原因を改善する

鬱の原因となっているストレス要因がはっきりしている場合は、まずはその要因を改善することから始めましょう。

刺激がないことが原因であれば、たくさんスキンシップを取り決まった時間に遊んであげるようにする。住環境に問題があるのであれば、猫が暮らしやすい環境になるように工夫をする。

多頭飼育によってプライベート空間がないことが原因であるならば、一人でゆっくりできる空間を確保したり、部屋を分けて生活させるなどの配慮を行う。

などなど、できることはたくさんあります。うつ病を発症するということは、どこかになんらかのきっかけや原因があったはずですから、ぜひ原因と向き合い改善するように心がけましょう。

リラックスを誘うグッズを使う

鬱の場合、猫は常に不安な気持ちでいっぱいになっていることが多いようです。そんな不安な気持ちに苦しんでいる愛猫のために試して頂きたいのが、リラックスを誘うフェロモンやサプリです。

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このような市販で購入できるリラックスを誘う猫用のスプレーを利用するのも良いでしょうし、病院から処方されたりおすすめされるサプリを使用するのもありです。

他にも猫をリラックスさせるヒーリングミュージックなどもありますので、うつ病に悩んでいる愛猫をお持ちであれば試してみてはいかがでしょうか?

薬物治療

ストレスと思われる原因を改善しない場合は、医師の判断で薬物治療が行われることもあります。どのような薬を使うかは治療内容やその猫の症状によって違いはありますが、抗うつ剤を使うこともあります。

抗うつ剤は頻繁に使ってしまうと、結果的に症状を悪化させることにつながる可能性もありますので、治療に使われることはほとんどないようですが、場合によっては抗うつ剤を使用するというのも知識としてぜひ覚えておいてくださいね。

猫の鬱は侮れない

うつ病は目に見えて症状が現れないだけではなく、無気力状態になっていたとしても「猫はのんびりしているものだから」「猫はツンデレだから」と、飼い主様も気がつかないまま症状が悪化してしまうことも珍しくはありません。

またシニア猫の場合、鬱の症状が現れたとしても「老化現象だろう」と勘違いをして、対策を何も行わないこともあります。言葉を喋ることも、苦痛を訴えることもできない猫は、飼い主様からも気が付いてもらえず孤独に苦しんでいるのかも。

鬱を発症したとしても、それが本当にうつ病なのか、他の病気が隠れていないか、というのは獣医師でも判断が難しいのが現状です。

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うつ病を発症するメカニズムが解明されていないため、完全に予防をする方法はありませんが、せめてストレスを溜め込まない快適な生活を送らせてあげるように日頃から心がけてあげましょう。

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