猫って、いつ見ても毛がモフモフしているので、飼い主さんからするとたまらないですよね。あの綺麗な毛並みを毎日触ることができるのは飼い主さんの極上の贅沢だと言えるでしょう。
しかし、気をつけておかないと猫には「毛球症」という病気が潜んでいるのです。細かい毛がたくさん生えているからこそこの病気にかかる確率は高いので、飼い主さんはこの病気についてあらかじめ知っておく必要があります。
毛球症の具体的な症状と、猫が毛球症にならず健康を保つことができるように、日頃から気をつけておくべき点をご紹介します。大切な猫が毛球症によって苦しんでしまうことがように、飼い主さんが知識を身につけておくべきですね。
この記事の目次
猫の毛球症とは。うまく毛を排出できなくなってしまう原因
猫というのは、1日に何度もグルーミング(毛づくろい)をしますよね。ご飯を食べたあと、寝る前、リラックスしてきた時…1日に何度もグルーミングを行うことが猫の習性なんです(猫が起きている時間の4分の1はグルーミングをしている、とも言われているほどです)。
猫の毛球症というのは、このグルーミングをした時に舐める毛が大きく関係しています。猫がグルーミングをした時に、ザラザラした舌で舐めとっていますが、その毛を飲み込んでしまうこともやはりあります。
そうなると、どうしても毛が猫の身体に入ってしまいますよね。そうして飲み込んだ毛は、猫の体内(胃や腸など)にたまっていきます。
通常ならば、これら体内に溜まってしまった毛は猫のウンチの中に混じった状態で排出されたり、猫が嘔吐することによって身体から出すことができます。
初めて猫が毛玉を嘔吐した時には、飼い主さんはかなり驚かれることでしょう。しかし、これはまったく異常ではないので大丈夫です。むしろ「よく頑張って出せたね!」と猫を大いに褒めてあげましょう。
しかし、これら体内から毛を排出させるサイクルがうまくいかない場合には、猫の体内にこの毛が溜まっていってしまうことがあるんですね。そうなるとどんどん固くなって球体のような形になっていきますが、この症状が「毛球症」と呼ばれているんですよ。
毛球症になってしまったら、猫にはどのような症状が見られるのか
猫が体内の毛玉を排出することができずに毛球症になってしまった場合、具体的にどのような症状が見られるのでしょうか。まずは軽度の場合です。
- 猫の食欲が落ちてしまった
- ご飯を食べてもすぐに吐いてしまう(この症状が繰り返される)
まだ軽度のレベルなので、症状としてはあまり分からない程度になります。「最近ご飯完食できていないなぁ」「ご飯のあと、すぐに吐いてしまうのが続いているなぁ」と気づいたなら、早めに病院に行くなどの対応をすることが早期治療の鍵になります。
次に、体内に毛が大量に溜まってしまい、重度の毛球症になってしまった場合の症状を見てみましょう。
- ご飯がまったく食べられなくなる
- ウンチが出なくなる(便秘)
- 毛玉を吐き出そうとするが、吐き出すことができず苦しそうにしている
- 猫のお腹を触ると怒る・嫌がる
- 脱水状態になる(命の危険性も出てくる)
体内に大量に毛があって猫も苦しいので、まずご飯が食べられなくなります。この他にも何日も連続して便秘になったり、毛玉を吐きたくても吐けない状態になったりします。さらにお腹に毛玉があるので触られることを極端に嫌がるようになります。
このような症状が見られた場合には、とにかく早く病院に連れて行くようにしてください。さらに病状が進行すると、呼吸困難に陥ってしまう危険性もあるのです。
毛球症の治療の仕方と、そのために必要になる費用について
猫が毛球症になってしまったら、飼い主さんは1日でも早くその症状を改善してあげなければいけません。毛球症状の治療の仕方と、その治療にかかる費用についてご紹介します。
- 毛球除去剤…費用は3000円未満くらい。診察料と除去剤のサプリメントの料金がかかります。軽度の場合はこちらで対応できることがあります
- 開腹手術による除去…費用は19万円くらい。診察料も含まれています。重度になると実際に手術を行うことになるので、レントゲンや麻酔、点滴などさまざまな処置が必要になるので費用もそれだけ高くなります
どちらの場合も、動物病院で診察してもらった上で治療をするときの費用になります。猫の毛球症は猫の体内に異常が起きることによって症状が出ているわけですから、決して素人判断をせずに病院でしっかりと検査してもらうようにしましょう。
毛球症のリスクが上がる猫のタイプがある
猫にとって、毛球症がとても深刻なものであることが分かっていただけたことでしょう。特に毛球症のリスクが上がる猫タイプがあります。
- 短毛猫より長毛猫の方がリスクが高い
- 毛が生え変わる換毛の時期は特に注意しておくべき
- シニア猫になると換毛期間が長くなることも関係している
もちろん、すべての猫に毛球症のリスクがあるわけですが、その中でも危険度が高くなるのは、やはり長毛タイプの猫だと言えるでしょう。1年に2度やってくる換毛時期(生え変わりの時期)には、特に毛がごっそりと抜けることになるので注意しておく必要があります。
そして、若い猫よりもシニア猫の方がこの換毛時期が長くなるんです。さらにシニアになることで体内に溜まった毛を排出しようとする働きもどうしても弱くなりやすくなってしまいます。
このような原因から考えても、長毛でシニアの猫は毛球症になるリスクが上がってしまうと考えられるでしょう。
日頃の習慣を飼い主さんが整えてあげることで、毛球症を予防しよう
猫は毎日グルーミングをして毛を飲み込む可能性は大いにありますから、日頃から飼い主さんがしっかりとケアしておくことは大切なことです。毛球症を予防するためにできる習慣をご紹介します。
- 猫のブラッシングを欠かさない
- 猫のグルーミング回数を増やさないように注意する
- 猫草をうまく利用する
- 毛玉対策ができるフードをあげるようにする
- ご飯を1度にたくさんではなく、少量ずつあげる
猫が毎日グルーミングをすることによって毛を飲み込むことによって、毛球症が引き起こされるということが分かりましたね。
この仕組みを止めるために飼い主さんが毎日ブラッシングをしてあげるようにしてください。ただし、猫の中には「ブラッシングがとにかく苦手」なタイプも残念ながらいるので注意しましょう。
嫌がる猫にもブラッシングは続けていきたいですが、まずは1日の中でもほんの短時間のブラッシングができるように、習慣を作ることが大事なんですね。もしも猫が「ブラッシングはしないでくれー!」というサインを出してきたら、それを見逃さないようにしておくべきでしょう。
猫は1日に何度もグルーミングをする習性がありますが、ストレスや緊張感があるときなどにもグルーミングをする傾向にあります。気分が高まったりした時にグルーミングをすることで、それらから解放されようとすることが関係しているんですね。
猫のトイレが汚れていたり、家で子どもたちが走り回ってうるさくしていたり…そんな環境下でも猫はストレスを感じて隠れてしまったり、グルーミングを余分にしてしまうことにもなりかねません。
なるべく猫のストレスを軽減することができるように、静かで猫にとって快適な環境作りができるように飼い主さんは気を配りましょう。
猫の中には猫草を好んで食べるタイプもいますよね。猫草を食べることでその葉っぱが胃の内部を刺激して、それによって体内にある毛が吐き出されることになります。ただし、猫草には興味を示さない猫もいますからあくまで「試してみる」程度にしておくといいかもしれませんね。
毎日の猫のご飯を「毛玉ケア」ができるタイプに変えてみることも、日頃からできる毛球症対策ですよね。特に長毛の猫の場合、毎日のご飯をこちらのタイプに変えておくと安心です。食物繊維が一般的なご飯に比べて多めに配合されているので、体内に溜まった毛が排出されやすくなりますよ。
さらに1度にまとめてたくさんご飯をあげるのではなく、少量ずつを何度かに分けてあげる方が腸の働きが早くなります。腸の動きを活発にすることで、より体内に溜まった毛を排出しやすくなるでしょう。
毛球症は猫にとっては必然的。飼い主さんは日々の予防を欠かさないように
毎日自分の身体をせっせとグルーミングする習性がある猫にとって、体内に毛が溜まっていく毛球症は必然的なものとも言えます。それを防ぐために猫は嘔吐したり、ウンチと共に体外に排出をしているということも分かりましたね。
このようなサイクルが何らかの原因でうまくできなくなった時に、毛球症が起こってしまうことがあります。猫の食欲がないなど、いつもと違う様子であることに気づいたなら早めに病院で診察してもらってください。
さらに日頃から毛球症を予防するために飼い主さんができることもあります。日々飼い主さんが猫の健康をきづかうことで、毛が溜まりにくい快適な毎日を過ごしていくことができますように。