猫の去勢費用は病院によって異なる。助成金で自己負担を減らす方法

オス猫の去勢手術は、動物病院によって費用が異なりますが、約1~3万円くらいです。

同じ手術ですので、病院によって費用が異なるのではなく、同じ料金にしてもらいたいものですよね。

そこで自治体の助成金・補助金の制度を利用して、少しでも安くする方法を紹介します。

また、改めて去勢とはどういうことなのか考えてみましょう。


去勢は精巣を取り除き、男性ホルモンを出さないようにする手術

猫の去勢は、陰のうから精巣を取り除く手術です。精巣からは男性ホルモンが出ますので、精巣が無くなると、ホルモンの影響で行われる行動・病気が無くなります。

90%以上のオス猫が去勢によって、これらの行動が無くなりますが、100%無くなるわけではありませんので注意してください。

(あくまでも人間に取っての問題という意味で、問題行動という言い方をしています)

マーキング行動(スプレー行動)
臭いがきついおしっこをして自分のテリトリーを主張する行動です。家の中でやられると臭いし汚れるしで掃除が大変です。
交尾相手を求めての遠出
外に出している猫はメス猫の発情期はさらに行動範囲が広くなって、なかなか戻って来ないこともあります。

病気の予防

精巣腫瘍
精巣にできるガン
前立腺肥大
前立腺が異常に大きくなり、直腸を圧迫する病気

これらの病気は猫より犬に多いので、猫の去勢理由としては、問題行動を抑制するために行われることがほとんどです。

犬や猫は、生まれると2つの精巣がお腹から陰のうへ降りて来ます。猫ではまれですが、たまに1つしか降りて来ない場合があります。そうなると、降りてきた1つだけを取り出しても、お腹に残った方からはホルモンが出ていますので、先に書いた問題行動は残り、病気の発症も起こり得ます。

完全に取り除くには、お腹の方にもメスを入れて取り出す必要があります。そうなると、費用はさらにかかってしまいます。

去勢手術の費用は1~3万円前後。病院ごとに違う理由は法律にあった

  • 猫の去勢手術
  • 犬の去勢手術
  • 猫の避妊手術
  • 犬の避妊手術

この4つは動物病院で一番多い手術です。この中で、費用が一番安く、手術の方法が一番簡単なのは猫の去勢です。

良心的な病院では、他の手術を一緒にやってくれたり、飼い主がいない野良猫は安くしてくれたりなど、料金が統一されていない分、特別な猫に対しては自由な価格設定をしてくれる病院もあります。

動物病院の医療費は、独占禁止法で基準料金の設定を禁止されています。ですので、病院によって費用が異なってしまうのは、法律上やむを得ない現状となっています。

法律の規制があり、費用は動物病院によって異なりますが、平均して1~3万円前後でしょう。

猫は生後6ヶ月くらいで体重が2kg超えたら手術可能となります。

雌猫は発情すると、子宮や卵巣が発達して手術の時に出血しやすくなりますが、オス猫は極端にそのような変化はありませんので、スプレー行動が現れる前に手術した方が、室内飼いの飼い主さんにとっては良いでしょう。

猫を飼うにはお金がかかることは当たり前ですが、一番かかるのは病院代です。

特に手術費は高額になります。猫の去勢は、先に述べたように手術の中でも安いほうですが、少しでも安くしたいというのが本音でしょう。

そこで、各自治体等で行っている助成金・補助金の制度を利用してみてはいかがでしょうか。

助成金・補助金の制度を知ろう!金額やもらい方

「ぜんこく犬猫助成金リスト」というのがあります。全国の自治体を対象に犬猫の助成金を行っているか、行っている場合の金額はいくらか等をリスト化したものです。

平成29年7月現在のデータとなっておりますが、私なりに集計してみました。

1. 自治体での猫の去勢の助成金制度があるのは、全体の23.7%

メスの避妊手術のみ、犬のみ対象という自治体もあったので、猫の去勢をやっている自治体だけをピックアップしましたが、意外と少ない結果でした。

2. 1のうち、飼い猫が対象となるのは28.6%、平均3550円の助成

1のうち、飼い主がいない猫が対象となるのは、76.8%、平均4710円の助成。特に区別してない自治体もありました。

飼い猫より飼い主がいない猫(自治体によって、地域猫、野良猫などさまざまな呼び方があります)を対象としている自治体が多くありました。「地域猫活動」と称して事業活動をしている自治体も増えてきています。

尚、金額は表示しているところだけを集計した平均金額となっています。全額補助の自治体もありましたので、実際はもっと金額が上がるはずです。

3.手術費の一部を補助するところもある

金額が決まっておらず、実際にかかった手術費の一部(例えば、1/2や2/3等)を補填する形で補助するケースもありました。

4.助成を受けるためには、さまざまな条件がある

次にあげるのは条件として多くあった例です。

  • 住民であること、税金等の完納者、販売目的の飼養ではないこと
  • 1世帯あたりの頭数制限がある
  • 耳カットが必要
  • 個人ではなく団体のみが対象となる
  • 自治体より譲渡された猫のみが対象となる
  • 写真の提示が必要
  • 先着順、抽選、往復はがきでの応募などの事前申請が必要
  • 指定の動物病院での手術が必要 などなど・・・

さらに、自治体だけでなく、愛護団体や獣医師会が主になって行っている場合もあるため、そちらもまとめてみました。

愛護団体での補助

猫の去勢を行っているのは全体の90.5%ですが、そのほとんどが飼い主がいない猫が対象となっています。

また、団体の会員にならないと受けられないところもあります。助成金ではなく、負担額を設定しているところも多くあります。飼い猫の場合は平均5,000円負担で済むようです。

獣医師会での補助

こちらは全体の73.7%が猫の去勢を行っています。そしてほとんどの病院が飼い猫を対象としています。計算では平均3,850円の助成となるようです。

マイクロチップの装着を推奨していて、その補助を行っているところも多くあります。

獣医師会もさまざまな地区・地域に存在しており、行きつけの動物病院が加入しているのかどうか、確認する必要があります。

まとめ

既に飼っている猫の去勢をするには、獣医師会に所属している動物病院で行い、これから飼う予定の猫を去勢するには、愛護団体や自治体で去勢済の猫を譲渡してもらうのがいいようです。

今回調べてみて、改めて思ったのですが、本当に自治体よって取り込みが異なり、積極的な消極的なところ、条件が細かいところ、もちろん予算の問題もあるでしょうから、一概にまとめられないな、と感じました。

ただ、都度問合せをするのは面倒かもしれませんが、住民が声をあげないと何も進まないことですので、動物愛護を啓蒙するためにも、働きかけは必要だと思います。

TNR活動と去勢の費用

TNR活動という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。Trap、Neuter、Returnの頭文字を取った言い方で、つまり、猫を捕獲して避妊去勢手術をして元の場所に戻す活動です。多くの愛護団体がこの活動を行っています。

その際の手術費用は団体として、自治体や獣医師会の協力のもと補助してもらったり、またはよ付金などでまかなったりしています。ただ、反対する人もいます。1つずつ、それらのメリット・デメリットを考えてみました。
           

メリット デメリット
Trap(捕獲) 比較的容易に捕獲出来る  捕獲器の確保、猫への負担
Neuter(手術) 無駄な繁殖を防ぐ、病気の予防 耳をカットする等身体への影響
Return(戻す) 管理の合理化 すぐには数の統制にならない

活動には非常に多くの労力がかかります。今すぐには成果が見られなくても、将来的に猫も人間も幸せな環境になれるように願いたいものです。

▼TNR活動についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
不妊手術をしている野良猫が分かる?桜型の耳のヒミツ

去勢のメリット・デメリットを考える

最初の項目でも述べましたが、猫の去勢手術は比較的安価で簡単に出来るものです。ただ、仔猫や元気な猫にメスを入れて、本来の自然の姿とは異なる処置をしてしまうことに躊躇する人も多いでしょう。

もう少し詳しく去勢のメリット・デメリットをあげてみますので、去勢を本当にするべきかの参考にしてみてください。

メリット

  • マーキング行動(スプレー行動)の抑制 ; 臭い・汚れの緩和
  • 徘徊行動の抑制 ; 迷子、事故の危険を防ぐ
  • 病気の予防 ; 精巣腫瘍、前立腺肥大など
  • 寿命の延長 ; 病気の予防により、長生きになる

デメリット 

  • 身体的負担 ; 手術時の麻酔の危険
  • 肥満 ; 発情による代謝がなくなるため、太りやすくなる

※TNR活動などによる耳カット等のしるしは、メリット(外見から判断できる)、デメリット(身体的負担)の両方あると思われます。

以前、動物病院で働いていた時の経験ですが、ペットが高齢になり発症した病気をみると、避妊去勢手術をすれば防げた病気になるケースが非常に多くありました。

病気になってから治療のためにする手術費と、若い頃にする避妊去勢手術費とでは、前者の方が圧倒的に高額になります。そして、ペットの体への負担も大きくなります。残念なことに、そのことを知らない飼い主さんが多くいました。

ここで、猫ではなくペットと書きましたが、最近は猫は仔猫の時に避妊去勢手術をすることが増えてきているので、あとから病気になり後悔することが減ってきています。先程述べた自治体や愛護団体の活動が広まった結果かもしれません。

やはり、オス猫の場合、スプレー行動を抑えたいために去勢する人がほとんどです。確かに人間の都合かもしれませんが、病気の予防と長生きのために去勢手術をして、少しでも長く猫ライフを楽しみたいと思いませんか。

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