動物看護師の1日は大忙し!やりがいやお悩みを経験者が語ります

私は、認定動物看護師という資格を持ち、動物病院で働いた経験があります。動物病院という特殊な職場で働く、動物看護師はどのような1日を送っているのでしょうか。

表には見えない裏方の仕事もたくさんあります。そして、やりがいを感じるとき、本音や悩みはどのようなものがあるのでしょうか。もちろん人によってそれぞれ異なるはずですが、少し覗いてみましょう。

お仕事訪問、動物看護師の1日を覗いてみる

動物病院の診察時間は、9:00~12:00、16:00~19:00のような感じになっています。もちろん病院によって異なりますが、だいたいこのような時間帯が多いです。

中で働いている動物看護師はどのような1日を送っているのでしょうか。

とある1日の流れを見てみましょう

1日の例をシュミレーションしてみるとこのような流れになります。

8:45 出勤
白衣に着替える
9:00 診察スタート
 預かっている動物の世話
 受付、会計
診察の補助
12:00 午前中の診察終了
 掃除
  手術の準備
13:00 手術開始
 手術の補助
14:00 手術終了
 後片付け
14:30 昼食
15:30 休憩終了
 午後の診察の準備
16:00 診察開始
 午前中と同様の作業
19:00 診察終了
 掃除
19:30 帰宅

9:00~19:00までで1時間休憩として、8時間労働ですが、診察前後の掃除などを含めると8時間を超えることも多いです。

午前中と午後の診察時間の間が空いていますが、この時間は手術をすることが多いので、休んでいるわけではありません。ほとんど立ちっぱなし動きっぱなしです。

そして、命を預かっている仕事ですので、身体的にも精神的にもハードな日々の繰り返しです。

実は3K!?きたない、きつい、きけんなお仕事

以前は、人間の看護師の仕事を称して、3Kだと言われていました。さらに、6K(帰れない、給料安い、休暇が無い、規則が厳しい、結婚が遅くなる、化粧ノリが悪い)をプラスして9Kだという説もあります。

残念なことですが、動物看護師もこれに近いのが現状です。もちろん、全ての動物看護師がそうだというわけではありません。

動物病院の休診日は平日1日と日曜日、もしくは日曜日の午後などが多いです。完全週休二日ではありません。

シフト制を組み、スタッフが交代で休みを取っていますが、お正月や夏休みなども預かっている動物がいますので、スタッフの誰かは勤務している状態です。人間の病院より、休める日数は少ないのではないでしょうか。

動物看護師のやりがい~やっていてよかったと感じる瞬間

ほとんどの人が、やりたくて、勉強をして始めた仕事ですが、実体は思っていた以上にハードな仕事だと感じるでしょう。ですので、モチベーションをキープするのは大変です。どのようなことが支えとなっているのでしょうか。

入院していた動物が元気になった

自分が看護していた動物が元気になっていく様子は、何事にも変えられない喜びです。退院後に来院されたときに、覚えてくれてなついてくれると、なおさら嬉しく感じます。

また、ほとんどの動物は、動物病院が嫌いなのではないでしょうか。そんなときに、動物看護師が優しく動物たちをリラックスさせて、彼らも気持ちをこちらに向いてもらえると手ごたえを感じます。

飼い主さんとの交流

動物看護師は、動物だけでなく人間との結びつきが強い仕事です。飼い主さんから、獣医師には話していない動物たちの細かいお話を伺うこともあります。

飼い主さんに信頼され人間関係を作ることができると、診察もやりやすくなり、とてもやりがいを感じます。動物の状態が悪く、飼い主さんが落ち込んでいるときに、心の支えになってあげることもあります。

動物の状態も理解していますから、一緒になって悲しんだり、回復したら喜んであげたりして、心を通わすことができると嬉しく感じます。

セミナーで同じ仲間との交流

セミナーなどの勉強会に行くと、同じ仕事をしている動物看護師がいます。

同じ学校を卒業した同級生同士で一緒のセミナーに行けるとよいのですが、私の場合はそのような友人はいませんでしたので、ようやく浸透してきたSNSを通して仲間を作り、セミナーで顔合わせをするようにしていました。

同じ仲間との交流を通して、他の動物病院の情報を得たり、勉強することはとても刺激になり、自分も頑張ろうと思ったものです。

動物看護師のお悩み

忙しくもやりがいのあるお仕事ですが、動物看護師の本音も聞いてみましょう。悩み事もありそうです。

収入面での心配

先ほど説明した9Kにあるように、初任給はあまりよくありません。16~17万円くらいでしょう。また、個人経営の動物病院が多いため、社会保険も充実していません。国民年金・国民健康保険は自己負担となります。

その他、残業代、賞与、有給休暇など、一般企業にくらべて優遇されているわけではありませんので、注意が必要です。

人間関係の気疲れ

最近はチーム医療と言われてい物看護師は、まだまだ獣医師、院長からトップダウンで指示されることが多くあります。どちらかというと補助的な仕事が多いため、古い体質の動物病院は縦型の組織になってしまいまますが、動す。

このような人間関係に悩んでいる動物看護師も少なくありません。また、動物看護師は女性が多いので、結婚や出産のタイミングで辞めてしまう方もいます。育児休暇がとれる職場環境でありたいものです。

将来が心配

このまま動物看護師を続けて大丈夫なのだろうか、という不安を持つ方もいるでしょう。先に説明した問題だけでなく、体力的な心配もあるかもしれません。ただ、職業としては十分に将来性がある分野です。

国家資格化に向けて、動物看護職協会などの団体は国に働きかけをしています。また、署名活動を行っているところも出てきました。

今後、動物看護師の資格が国家資格となり、資格を取らないとなれない仕事になれば、待遇面、社会的信用、責任範囲など、よりレベルアップするでしょう。そういう意味では、今は、我慢の時期なのかもしれません。

やりがいを感じることで社会に貢献できる動物看護師の仕事

動物看護師の仕事を覗いてみると、忙しくて大変な仕事ではありますが、社会に貢献できる仕事だと感じるでしょう。直接、動物や飼い主さんと接する動物看護師の仕事は、やりがいもダイレクトに感じることができます。

どんな仕事でも同じような悩みがあるかと思いますが、モチベーションを持ち続けて、たくさんの動物や飼い主さんを笑顔にしてあげられるように頑張ってもらいたいです。

そして、この記事を読んだ方が次に動物病院に行ったときに、動物看護師にエールを送ってもらえたら嬉しく思います。

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