お部屋で寛いでいた猫ちゃんが何の前触れもなく顔をあげ、ジッ…と何もない壁や天井を見つめる姿、見たことありますよね?
フェレンゲルシュターデン現象と名付けられたこの現象はネットで話題を呼び今でも様々な意見がありますが、実はこの現象、根拠もない嘘から始まったのです。
今回は本当っぽいけど真っ赤な嘘!?世にも不思議なフェレンゲルシュターデン現象について解説します。
そこに何があるの?フェレンゲルシュターデン現象とは
何もない空間をジット見つめる猫ちゃん、昼間ならまだしも夜、愛猫と二人きりの時にそんな行動をされると「な・・・何かいるの?まさか幽霊!?」と内心ビクビクしている方いらっしゃいませんか?
実は私もその一人です。この猫ちゃんの不思議な行動はフェレンゲルシュターデン現象と呼ばれています。
フェレンゲルシュターデン現象の成り立ち
時は第二次大戦末期、ナチスドイツで心霊現象を研究していたシュターデン博士は飼い猫のフェレンゲルが何もない空中をジット眺めていることに気づいた。
シュターデン博士には何も見えなかったかが愛猫フェレンゲルは確かに何かを見つめている。そこで、フェレンゲルが見つめるその場所の温度を試しに調べたところ、なんとその場所だけが部屋の平均温度より2度ほど低かった。
霊現象が起こるところではその他の場所よりも気温が下がることをすでに突き止めていたシュターデン博士は、猫には霊が見えていて私たちには見えないその霊をフェレンゲルは見つめているのではないかと結論を出した。
この現象を突き止めたシュターデン博士と愛猫フェレンゲルから名前をとり猫が何もない空間を見つめることを「フェレンゲルシュターデン現象」と名付けたのです。
・・・なんて話は真っ赤な嘘です。シュターデン博士も猫のフェレンゲルもこの世に存在した記録はなく、ナチスドイツ軍が心霊現象を研究していたのかもさだかではありません。根拠のない嘘です。
なぜこのような噂が生まれたのか?
この妙に信憑性のあるようなデタラメの話は某有名な巨大ネット掲示板の、【なんとなく怖い現象】というスレッドに投稿されました。
この嘘の投稿を信じてしまった人が、ネットで、SNSで、リアルな会話で広めてしまった結果、まるでフェレンゲルシュターデン現象が真実のように語られるようになったのです。ネットの情報拡散力は絶大だということですね。
フェレンゲルシュターデン現象が起こる理由
フェレンゲルシュターデン現象が真っ赤な嘘だとしても、何もない空間をジット見つめる行動をする猫ちゃんはとても多いです。我が家の3匹の愛猫も、まったく同じタイミングで同じ方向を見るので正直怖いです。
ですが、この不思議な行動はフェレンゲルシュターデン現象で言われるようなオカルトな理由ではありませんのでご安心ください。何故なにもない場所を猫ちゃんが見つめるのかその理由を順番にみていきましょう。
小さい物音に反応している
猫の耳がいいと言うことはご存じだと思いますがどれくらい耳がいいかご存じですか?猫の聞こえる音は約6万~10万ヘルツといわれています。
これがどれくらいの数値かと言いますと、人間が聞こえる最大の音が2万ヘルツです。すなわち、人間の3倍~5倍も耳がいいということになります。
そのため、猫は人間には到底聞こえない音が聞こえているということになります。例えばマンション上階に住む住民の生活音、遠くの道路を走る車やバイクのエンジン音やクラクションの音、隣の家に住む犬や猫の鳴き声などです。
つまり猫ちゃんは私たち人間には聞こえない様々な音に反応して何もない空間を見つめているのです。
▼猫の聴力についてはこちらをご覧ください
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ネズミや虫に反応している
考えたくはないですが、屋根裏や天井裏を行きかうネズミや虫の音や鳴き声に反応している場合があります。これも小さな音に反応していることに通じるのですが、猫は元々ネズミなどを駆逐するために飼われ始めました。
▼猫は歴史の上でネズミを駆除する動物として飼われてきたのです
猫とネズミは仲がいい、悪い?関係の歴史とネズミ駆除で働く猫たち
そのため、遺伝子に組み込まれているのかネズミや虫に対しての執着を異常に見せる猫ちゃんは多いです。
もし天井の一点を見つめ続ける他に、天井に向かって鳴く、何かを追いかけるように移動しているようなら、ネズミなどが住み着いていないかチェックしてみて下さい。
ストレスを感じている
猫ちゃんはストレスを感じると同じ行動を何度も繰り返すという症状が現れることがあります。この行動の中に「なにもない場所を見つめ続ける」という項目が存在します。
猫ちゃんが何もない空間を見つめ続ける行動を頻繁に目にするようであれば、愛猫になにかストレスを感じさせるような生活環境の変化などがなかったか一度考えてみてもいいかもしれません。
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何も考えていない
何も考えずにボーっとしている時も何もない空間を見つめることがあるようです。しかしこの場合、何もない空間を見つめているというよりはただボーっとしているだけのようです。猫ちゃんは自由ですからね。何も考えないときくらいあるのでしょう。
▼猫の1日のスケジュールの中でも、ボーッとしている時間は結構あります
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病気の可能性
これは何もない空間を見つめているというよりは、病気の影響で意識障害がおきかけている、しんどくて何もする気がおきない、といった場合に一点を見つめているように見えると言った方が正しいです。
もし様子がおかしいと思ったら他の症状、下痢、嘔吐、発熱、食欲不振、元気がないなどの症状はないか確認し、心配ならかかりつけの獣医さんに相談するようにしましょう。
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フェレンゲルシュターデン現象と猫と霊について
フェレンゲルシュターデン現象は真っ赤な嘘ということはご説明しましたが、猫に霊感がある、霊が見えているというのはあながち間違いじゃないかもしれません。実は世界には猫の不思議な迷信が数多く存在しています。
世界の猫に関する迷信~幸運編~
猫は不思議な力を持っているとされ、世界各国で幸せの象徴とされています。そのため、猫に関する幸運の前触れとされる迷信が数多く存在しています。
- 道で白猫を見かけると縁起がいい
- 自宅の玄関先に黒猫がいたら繁栄がもたらされる
- 白猫の夢は縁起がいい
- 黒、白、グレーが混じっている猫は縁起がいい
- 猫のくしゃみを聞いたら幸運が訪れる
- 黒猫の胸に生えている白い毛を無傷で抜くことが出来れば、富と愛をもたらすお守りになる
- 結婚祝いに黒猫を送られた新婦は幸せになる
これだけの迷信があるということは猫ちゃんは幸運のシンボルとして昔から愛されていたという証拠ですね。しかし中にはその逆の不吉な存在と言われる場合もあります。
▼猫が不吉な存在とされていた由来についてはこちらです
黒猫が横切ると不吉、は嘘?黒猫は世界中で幸運の象徴とされている
世界の猫に関する迷信~生死編~
その神秘性から逆に死の兆しや食せば病気が治るといった迷信も存在しています。どれもこれも眉唾ものばかりですがこんなに迷信があるということは昔から人々は猫に何らかの神秘性や霊的なものを感じていたのでしょうね。
- 月明かりの下、黒猫が横切ったら死ぬ
- べっ甲柄の猫が木に登ったら死ぬ
- 黒猫が病人の上に乗ったらその病人は確実に死ぬ
- クリスマスに黒猫を見たら重篤な病気になる
- 葬儀の行列が黒猫に出会うとその家族の誰かが死ぬ
- 黒猫を煮込んだスープを飲むと結核が治る
- 猫を溺死させると悪魔に捕らわれる
特に黒猫は魔女の相棒という印象からか忌み嫌われていて、中世ヨーロッパの魔女裁判では魔女の疑いをかけられた罪のない女性と共にむごい殺され方をした黒猫も多いそうです。
しかし逆に黒猫を見れば幸せになると言った迷信も多く残されています。いい迷信も悪い迷信も全ては猫ちゃんの持つ不思議な魅力のせいだということですね。
▼猫に関する良い迷信もたくさんあるんですね
日本&世界の猫にまつわる迷信。え!?っと驚く迷信がたくさん
猫に霊感があるというのはあながち嘘じゃないかも
フェレンゲルシュターデン現象は真っ赤な嘘なのは事実ですし、遠くから聞こえる音などに反応しているのは間違いないでしょう。
しかし猫ちゃんが何に反応して何もない空間を見つめている本当の理由は、猫語を理解できる人間がいないので誰にもわかりません。
ただ音に反応したりボーっとしているだけかもしれませんし、実は私たちに見えない何かを見ている可能性もあります。真実は猫のみぞ知るですね。いつか猫語が解読され、愛猫と会話ができるようになったとき、聞いてみるとしましょう。