ボンベイの写真を見ただけでは黒ヒョウなのかなと見間違えそうになるほど、見事なまでに漆黒の猫ちゃん。
それもそのはず、ボンベイという猫は黒ヒョウを人間の手で作り出すために交配された猫種なのです。いったいどういうことなのか、ボンベイの基本情報と歴史を紐解いていきましょう。
まるで黒ヒョウ!きれいなボンベイの基本情報
ボンベイは黒ヒョウのような猫を目指して交配された猫種です。
輝くような美しい瞳と、漆黒の被毛は人々を魅了し世界的に人気の猫となりました。それでは基本情報を紐解いていきましょう。
被毛の特徴
ボンベイの最も目を引く特徴はやはりその光るように美しい黒い被毛でしょう。黒く艶やかな短毛の被毛は他に類を見ないほど美しいですが、黒の他に稀にではありますがブラウン(セーブル)のカラーのボンベイも生まれます。
ボンベイの美しい被毛はよくエナメルのような輝きと表現され他の色が一切混ざることのない単色と光沢が特徴です。普通猫は歳を重ねるほど毛艶がなくなりますが、ボンベイは歳を重ねるほどその光沢が増していきます。
目の特徴
ボンベイのもう一つの特徴が金色の輝く瞳。丸く大きな瞳は金色が多いですが、金色の他にもカッパー、アンバー、オレンジといった色も存在します。
ちなみにこぼれそうな程大きな瞳は1ペニー硬貨と同じサイズだと言われています。左右の目が他の猫より少し離れているのも特徴の一つです。黒く艶やかな身体に映える金色の瞳。とってもロマンチックで素敵な猫ですね。
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身体の特徴
短毛の美しい漆黒の被毛の下に覆われた身体は大変美しい無駄の無い筋肉を持っています。ボンベイの平均体重は3~5Kg程で、通常の猫とほぼ変わらないくらいだと言えます。
しかし美しくスリム体型のわりには意外と重いという印象です。脚も長めでスラッとしているため、まるでモデルのように見えますね。
ボンベイの歴史
ボンベイという名前は黒ヒョウが生息しているインドの都市ムンバイの昔の名前、ボンベイからつけられました。
ボンベイはアメリカに住むあるブリーダーが自分の遺作として、美しい猫を作ろうとしたところから始まります。
このブリーダーは数々のキャットショーで入賞し、アメリカンショートヘア、バーミーズ、ヒマラヤン、シャムなどの名門猫舎のオーナーでした。
数々の賞を受賞し、素晴らしい猫達を生み出したこのブリーダーが人生の最後に作りたいと願った猫は黒ヒョウのように美しい漆黒の猫でした。
アメリカンショートヘアやバーミーズを交配し、理想の黒猫を作り上げるために作り出した子猫は6年間で27頭の猫を生み出しました。
何度も何度も試行錯誤を繰り返し、とうとう産み出された猫がバーミーズの艶やかな被毛、アメリカンショートヘアの金色の瞳を持つ美しい黒猫ボンベイが誕生したのです。
その後、27頭からさらに個体数を増やしCFA登録の要件となる個体数まで達し1976年にようやく新種の猫種としてボンベイの登録を果たしました。その後も努力を重ね1988年にはキャットショーにて賞を獲得するまでになりました。
ボンベイはこのように、ひとりのブリーダーの執念と努力と何者にも負けない猫を愛する心により産み出された猫なのです。
人懐っこくて大人しい。ボンベイの性格
ボンベイは家族の誰とでも仲良くなれるフレンドリーな性格です。そのコミュニケーションのとりやすさから、犬のような性格を持つ猫とも言われ賢くて遊び好きなところも愛らしい魅力ですね。
またバーミーズ譲りの愛情深さも持ち合わせており、人といるのが大好きだという性格も犬っぽいと言われる要因の1つですね。
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黒ヒョウのような見た目の為、とても活発で気性が荒いように思われがちですが実はとても大人しいです。鳴き声もとても小さいので自宅でも飼いやすい猫と言われています。
ボンベイといわゆる黒猫の違い
黒く美しい猫、ボンベイをご紹介してきましたがここで1つの疑問が浮かびませんか?ボンベイと黒猫って違いがあるのかという疑問です。
最大の特徴である黒い被毛という点からみても違いはあまりないように見えますが、見比べてみると意外に違いがあるのです。
被毛の違い
同じ黒い被毛でも、黒猫とボンベイの被毛は明らかに違います。例えばボンベイの特徴であるエナメルのような艶。この艶やかな被毛はボンベイ以外にはほぼみられません。
また他の黒猫の場合、例え身体に白い斑点があったとしても基本の被毛カラーが黒であれば黒猫です。一方ボンベイは完璧な単色の黒猫でなければボンベイとは言えません。
目の色
黒猫は通常グリーンやヘイゼルが多いのですが、ボンベイはゴールドです。黒猫で金色の瞳を持つ猫はボンベイ意外にあまり存在していません。
意外と多い黒猫の猫種
ボンベイは完璧な単色の黒猫でなければなりませんが、黒猫というくくりだけでいえば実は様々な猫種が存在します。
- アメリカンショートヘア
- ペルシャ
- ジャパニーズボブテイル
- ブリティッシュショートヘア
- マンチカン
- コーニッシュレックス
- バーミーズ
- セルカークレックス
- ノルウェージャンフォレストキャット
- メインクーン
- サイベリアン
- アメリカンカール
- スコティッシュフォールド
被毛カラーがブラックを持つ猫種はこれだけ存在します。おそらく世界中の猫は100種以上存在しているので探せばもっといると思います。
しかしこれだけの猫種が存在しているのに完璧に尻尾の先から頭の先まで単色で真っ黒という猫は、現在ボンベイ意外にはほぼいないと言われています。ボンベイがどれだけ貴重な猫かお判りいただけたでしょうか?
注意したい、ボンベイがかかりやすい病気
ボンベイは祖先猫であるバーミーズとアメリカンショートヘアの特徴を受け継いでおり、かかりやすい病気の特徴も受け継いでいます。
歯周病
バーミーズは歯科疾患が比較的おこりやすい猫と言われておる、歯石が溜まりやすい猫です。それはボンベイも同じで高齢になるほど歯石が溜まりやすくなります。
歯石は放っておくと、歯根から内臓に菌が入り込み様々な疾患の原因となることがわかっています。
猫に歯磨きをするのはなかなか難しいので、デンタルケアのおもちゃやおやつをうまく利用して歯石除去に取り組みましょう。可能ならば、子猫のうちから歯磨きを慣れさせておくとよりいいですよ。
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肥大型心筋症
心臓が肥大する疾患で、アメリカンショートヘアに多い疾患と言われています。完治することは難しいですが対処療法や薬などにより、症状の軽減と進行を防ぐことが可能です。
元気がないような気がしたら迷わず獣医師に相談しましょう。肥大型心筋症は早期治療がカギです。
▼猫の様子がおかしいと思ったら、すぐにかかりつけの医師に連絡しましょう
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ボンベイのブリーダー選びと平均価格
ボンベイはまだまだ珍しく、原産国であるアメリカ合衆国に行かないとなかなかお目にかかれない稀少な猫です。ペットショップに並ぶことはまずないので、直接自分でブリーダーを探し取引をする必要があります。
とは言っても、珍しい猫種ですので日本でボンベイの繁殖を行っているブリーダーやキャッテリーは非常に少ないのが現状です。東京などの大都市ならブリーダーの数も多いですが地方都市となると探すのは困難です。
しかし根気強く探せば見つかりますので、信頼できるブリーダーさんを見つけましょう。実際の購入価格は15万~25万円と言われていますが、私が最近見たボンベイの子猫は40万円以上していました。
▼ブリーダーが信頼できるとしっかり確信してから、取引をするようにしましょう
ブリーダーの具体的な活動と、ブリーダーから猫をお迎えする方法
もし遠方から子猫を迎える場合ならこのお値段に輸送費や、交通費もかかりますので迎え入れるときは予算を多めにとって探すようにしましょう。
黒猫は幸運の証
今回はとっても魅力的で可愛いボンベイをご紹介しました。黒猫は日本では不吉な印象や言い伝えが多いですが、外国では幸運の証とされています。
黒猫を見れば幸せが訪れるという言い伝えや願いが叶うといったもの、病気が治るといった言い伝えも存在しています。
こんな愛らしく素敵な猫が不吉の象徴とは思えないので、やっぱり幸運のシンボルなのではないでしょうか?
とっても素敵で魅力的なボンベイですから日本でも頻繁に見かける様になる日は近いかもしれませんね。