寒がりな猫ちゃんのために床暖房を活用している、あるいは床暖房の導入を検討されている方もいらっしゃるでしょう。ほのかな温もりに包まれてスヤスヤと眠るね愛猫の姿を想像するだけで幸せな気持ちになりますよね。
しかし、床暖房などの暖房器具は使い方を間違えると低温やけどの原因となってしまいます。床暖房を安全、快適に使うためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?また、低温やけどをしたときはどのような対処をすれば良いのでしょうか?
気をつけて!猫が床暖房を使うときの危険
寒い冬、冷たいフローリングが嫌で床暖房を使用する方は多いでしょう。ほのかな暖かさに幸せな気持ちになっているのは猫ちゃんも一緒です。ポカポカと暖かい床の上でゴロンと寝ている猫ちゃんの姿はまさに幸せそう。しかし、この幸せをもたらす床暖房は場合によって怪我の原因となることもあります。
その危険性というのはズバリ低温やけど。低温やけどとは、暖かい温度のものに長時間触れ続けることで細胞が少しずつ破壊されていくやけどの事を言います。人の場合は、低温に触れ続けていたとしても皮膚の細胞が破壊されてくると暑さを感じてすぐに離れることができます。
そのため、人間は床暖房の上で寝ていたとしても低温やけどを負ってしまうことはほぼありません。しかし、猫の場合は人間と違い低温やけどをしやすく、重症化しやすいと言われています。その理由は以下の3つ。
- モフモフの被毛で熱さを感じない
- 寝返りをほぼうたない
- 痛みに鈍感
- なぜ痛いのかがわからない
猫は豊かな被毛が体を覆っています。いうならば分厚い服を常に着ているような状態です。そのような状態で低温やけどをしても特に気にならず、気がついたときにはだいぶ症状が進行していることも。また、猫は寝ている時寝返りをほぼうたずにじっとしていることが多いのも原因です。
さらに低温やけどを重症化させる原因が痛みに鈍感で我慢強い性格と、痛みを感じても何が原因で痛いのかがわからず、その場でじっとしてしまうのも要因です。
人間ならば、痛みや熱さを感じたらすぐにその場から離れるということをしますが、猫はその痛みの原因が床暖房による低温やけどという考えに至らず、むしろ調子が悪いと感じてその場でジッとしてしまうのです。その結果、低温やけどがさらに悪化してしまうのです。
さらに気をつけてもらいたいのが、猫は人間と違い床と近い距離で生活をしているという点です。常に床と近い距離で生活をしている猫は、人間よりも床暖房の熱を感じやすく暑くなりすぎてしまいます。
人間ならば、暑ければ立ち上がったり他の部屋に移動したり、床暖房の温度設定を変えることもできますが、猫にはそれができません。その結果、熱中症などの症状を引き起こしてしまうことも。
床暖房は大変便利な器具ではありますが、使い方を間違えてしまうと大変な怪我の原因となりますので注意をしましょう。
猫に床暖房を使う時の注意点
床暖房は低温やけどの危険性が伴いますが、使い方さえ気をつければ大変便利なアイテムです。もし、床暖房を使いたい、自宅で床暖房を使っているという方は以下の注意点を参考に猫にとって安心、安全な使い方を知っておきましょう。
室温は20〜23℃にする
寒がりな愛猫のために室温を高く設定し、床暖房も一日中つけている飼い主様もいらっしゃるでしょうが、その気遣いはむしろ猫の健康を害している可能性もあります。猫は元々砂漠で生活をしていたため、寒さにとても弱いという印象があるかもしれません。
しかし、いくら寒さが苦手だと言っても最適な室温はせいぜい20〜23℃ほどだと言われています。
これ以上室温が上がってしまったり、体感温度が上がってしまうと逆に熱中症などに陥ってしまう可能性も。床暖房もつけて、暖房もつけて、コタツまで用意をしてあげても暑すぎると感じてしまうかもしれませんよ。
温度は低く設定する
少しでも愛猫に暖かくなってもらいたいからと、温度設定を高めにしている方もいらっしゃるでしょう。しかし、人間用に作られた床暖房は大変暑く感じてしまいます。猫が低温やけどをする温度は45度くらい。この温度はこたつやホットカーペットの「強」にあたります。
最近の床暖房は細かく温度設定ができるかと思いますが、あまりにも高すぎると低温やけどの危険がありますので、かすかに温もりを感じる程度の留めておきましょう。
逃げ場所を用意しておく
猫は人間と違い熱いと感じても床暖房の温度設定を変更したり、電源を切ったりできません。そのため、低温やけどをしたとしても逃げ場所がなければその場にジッと留まり続けることしかできず、気がついたときには重度のやけどを負っていたということもあります。
そのため床暖房を使用するときは、猫が自分で体感温度を調節できるように逃げ場所を用意してあげましょう。上に登れるようにキャットタワーやキャットウォークを設置してあげてもいいでしょうし、床暖房がついていない部屋へ自分で移動できるようにしてもいいです。
暖房をつけている部屋はいつも閉め切ってしまうという方は、ドアを閉めても移動できるようにキャットドアを設置してあげるのもおすすめです。
猫ですから、暑くなったら自分で温度設定を変えることは難しいですが、床暖房がついていない部屋や床に触れない場所に避難はできます。自分で調節ができるようにお部屋の環境を見直してあげましょう。
大掛かりな工事やリフォームをしなくても、猫が登れるような段やボックスを用意してあげるだけでもいいですよ。
暖房をつけすぎない
寒さに弱い猫のために、床暖房もエアコンもストーブもコタツもとたくさんの暖房器具をつけている飼い主様もいらっしゃるでしょう。しかし、そもそも健康な成猫であれば必ずしも暖房は必要ないと言われているのをご存知ですか?
確かに野良猫は冬でも外で暮らしていますし、猫を見ていると暖房のついていない部屋に好んでいる姿も見られます。
もちろん、床暖房などがあれば猫ちゃんも快適に過ごせるでしょうが、前述している通り室温が高くなりすぎると暑くなって逆に体調を崩してしまう原因となります。
もし暖房をつけるとしても1〜2つ程度にし、猫ちゃんの様子を見ながら調節をしてあげるようにしましょう。
低温やけどや熱中症になっていないか注意しておく
猫は痛みに強く、体調不良を感じたとしても飼い主に対して隠そうとする習性があります。これは野性で生きていた時代に、敵に自分の弱みを見せないためについた習性です。そのため、床暖房で低温やけどを負ったとしても、暖房によって熱中症を起こしていたとしても、まるでそのような気配を見せません。
痛みを感じているならば訴えてくれればいいのに、なんて思いますが猫は自分の弱みを隠そうとしますので仕方がありません。ただ、何らかの不調を感じている場合見逃してしまいそうなサインを出してくれることもあります。
- 部屋の隅でジッとしている
- おもちゃなどに反応をしない
- 物陰などに隠れてうずくまっている
- 食欲がない
- 寝てばかりいる
- 触られるのを嫌がる
- 一箇所を気にしてしきりになめている
どのサインも猫が普段から見せる仕草であるため、注意深く見ていないと見逃してしまいそうです。しかし、毎日一緒に暮らしている飼い主ならば、愛猫のちょっとした変化にもいち早く気がつけるはずです。
特に低温やけどをしているときは、患部をしきりに気にする仕草が見られますので、長時間一箇所を舐めたり噛んだりしているならばやけどなどの怪我をしていないか確認をしてみましょう。
床暖房以外の暖房器具を使う
もしこれから愛猫のために床暖房を設置しようと考えている方は、床暖房ではなく猫に安全なペット用のホットカーペットやコタツを検討されてはいかがでしょうか?最近では、低温やけどのリスクを考えてペット用の暖房器具を使用している飼い主様が多いようです。
▼遠赤外線ペットの夢こたつ
こちらは遠赤外線のペット用こたつです。遠赤外線とはヒーターの熱を直接当てて暖めるのではなく、血液を暖めるというもの。そのため低温やけどの心配がほぼなく、体の内部からポカポカしてきます。低温やけどが心配な飼い主にとっては安心して使えるオススメの商品です。
▼遠赤外線2WAYテキオンヒーター 丸
遠赤外線のホットカーペットもおすすめです。場所も取らず簡単に移動ができるので使い勝手がとても良さそうです。床暖房の設置を検討されている方は、このようなペット用の暖房器具も候補に加えてみてはいかがでしょうか?
床暖房で低温やけどをした時の対処法
低温やけどに気をつけていたとしても、ちょっとした油断で負傷させてしまうこともあります。そんな緊急事態に陥ったとき、飼い主に求められるのは冷静な判断力です。低温やけどをしたとき、どのような対処法を行えば良いのでしょうか?
冷やす
やけどをしたらとにかく冷やしてあげなくちゃ!と、慌てて患部を氷で冷やそうとする方がいらっしゃいますが、氷や氷水は患部を極端に冷やしてしまうためくてもNGです。
氷水で極端に冷やしてしまうと逆に皮膚を傷つけてしまい、余計に痛くなってしまいます。患部を冷やすときは濡れタオルや保冷剤などを使ってください。もし、濡れることに抵抗がない猫ちゃんであれば、シャワーや蛇口の水などで冷やしてあげるのもおすすめです。
また、冷やす時間はあまりにも長すぎても患部を傷つけてしまうだけではなく、場合によっては低体温症を引き起こしてしまうかも。目安としては5分程度が理想です。
以前は30分以上冷やすべきという話がありましたが、長時間冷やしてしまうと皮膚がふやけたり低体温症のリスクが上がってしまいますので、5分程度に留めるようにしましょう。
病院へ急いで連れて行く
患部を冷やすのはあくまでも応急処置であり、ある程度熱が取れてきたら急いで動物病院へ連れて行きましょう。ここで治療をせず放置すると、患部が化膿するなどの感染症を引き起こしてしまう可能性もあります。
また、動物病院へ連れて行くのが面倒だからと、人間用のやけどに効く薬を塗る飼い主の話を聞きますが、これもNGです。人間用の薬は、あくまでも人間のために作られた薬であるため猫には成分が強すぎます。もし、やけどをした患部に薬を塗るのであればせめて猫用のものを使うようにしましょう。
そして、できることならば動物病院を受診し正しい治療を受けるようにしましょう。愛猫の命を守れるのは飼い主様だけですよ。
患部を舐めないようにする
治療を受けて患部に薬などを塗ってもらっても、気になって舐めてしまうことで薬が取れてしまったり化膿をしてしまうことがあります。患部を舐められないようにするためには、エリザベスカラーなどを使用して患部を舐められないようにしましょう。
エリザベスカラーは病院から支給されるものもありますが、病院のものは大きすぎたり歩きにくそうにしたり、嫌がって暴れてしまうこともあります。また、病院によってはエリザベスカラーは自分で用意するように指示されることも。
病院から支給されたエリザベスカラーが使いにくそう、病院からエリザベスカラーが支給されないという事態に備えて、家に一つ用意をしておくと便利かもしれませんね。
▼nekozuki エリザベスカラー
個人的にオススメのエリザベスカラーです。大変柔らかい素材でできているため、着けたまま爪研ぎやお昼寝ができるだけではなく、透明な素材でてきているため視界が遮られることもありません。
筆者の愛猫も、病院のエリザベスカラーを嫌がった為こちらを購入したところ、あまり嫌がらずに使用してくれました。エリザベスカラーを嫌がる愛猫にお困りの方にもお勧めしたい商品です。
床暖房を正しく使って快適な住環境を用意してあげよう
床暖房の危険性をご紹介しましたが、床暖房を絶対に使ってはいけないという訳ではありません。むしろ、正しい使い方をすれば猫にとっては大変快適に過ごせる冬の必須アイテムにもなります。
ただ、便利なものを使うにはリスクが伴うということだけをしっかり覚えておきましょう。
また、低温やけどだけではなく、暖房を使う際は熱中症の危険性も頭の中に入れておくことが大切です。最近では夏ではなく、暖房の部屋に長時間いることで発症してしまう事例も増えているようです。
愛猫が快適に暮らせるようにと行ったことが、愛猫の健康を害してしまった!なんてことがないように、どんなものでも使い方や注意事項には十分に気をつけるようにしましょう。