今や星の数ほどあるキャットフード、皆さんはどのような選び方をしているでしょうか。年齢に合わせて与えている、多頭飼いなのでなるべく安いものを与えている、病気なので専用のフードを与えている、など、さまざまな選び方があると思います。
ここでは成分でみる、おすすめのキャットフードを選んでみます。
元動物看護師でペットフードメーカーで勤務経験ありの筆者が、猫に必要な成分は何か、売れ筋商品の中からパッケージを読み取みとる方法、そして目安となるフードを提案します。
※この記事では、個体差による食いつきやその時の身体の状態、年齢などは考慮せず、一般的な成猫におすすめするフードを提案していますので、ご了承ください。
この記事の目次
猫に必須なのはタウリンとアラキドン酸、必須ではないのは穀物とビタミンC
猫の小腸はタンパク質と脂肪の消化にすぐれています。そのため、タンパク質の代謝を継続させるために高タンパクの食事が必要となります。猫に特徴的な必須成分をポイントを絞って説明します。
必須成分はタウリンとアラキドン酸
タンパク質の構成要素となっているのがアミノ酸です。特に猫は、タウリンが必須アミノ酸となります。人間や犬では体内で合成されますが、猫だけがタウリンを作ることができません。
他に、ヒスチジン、アルギニンも犬と猫にとって必須アミノ酸となります。
脂肪も必要な栄養素の1つですが、猫にとって重要なのは、オメガ-6酸脂肪酸であるアラキドン酸です。こちらも猫の体内では合成できませんので、食事から取る必要があります。アラキドン酸は、動物性脂肪に含まれています。
必須成分ではないものは穀物とビタミンC
最近は、グルテンフリーやグレインフリーという言葉をよく聞かれますが、猫にとって炭水化物は必須栄養素ではありません。なぜなら、猫はアミノ酸からグルコースを合成して血糖を維持することができるからです。
ただ、猫は、食事中の炭水化物を利用することができるので、エネルギー源や食物繊維の供給源としてキャットフードに加えられていることが多いのです。
ビタミンCは猫の体内で合成できるので、必須成分ではありません。ただ、抗酸化作用としての役割もあることから、子猫用や高齢猫用のフードには効果があるといえます。
キャットフードのパッケージで見るべきポイントはここ!
2009年愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称ペットフード安全法)が施行されたことにより、原則として添加物を含む全ての原材料名を表示することが義務付けられました。
ですので、パッケージを読み取ることができれば、安心なフードを選ぶことができます。
必要最低限の表記は総合栄養食。AAFCOにも注意して
ペットフード公正取引協議会が自主的に設定したルールでは、フードの目的を表示することを推奨しています。具体的には、総合栄養食、スナック(おやつ、間食)、その他の目的といった表記です。成分を重視する場合は、総合栄養食の表記が必須となります。
他にも、アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)が作成したガイドラインを満たしたフードであるかも目安となります。
ただ、注意点もあります。ペットフード公正取引協議会にペットフードメーカーが参加するかどうかは任意です。そして、AAFCOのガイドラインは最低限のルールで実際に検査をしているかは未知数です。
そしてどちらも破った場合の法的な罰則はありません。これらは今後の課題となっていくでしょう。
原材料の表示を読み取る方法。注意するべきワード6つ
フードのパッケージに表示されている原材料は、原則的に、添加物を含む全てを表示することが義務化されています。また、先に表示されているものほど多く含まれていると言われています。次のようなワードは注意する必要があります。
- 穀類
- 〇〇ミール
- 〇〇エキス
- 着色料
- 人工防腐剤
- 粗〇〇
・○○ミール・・・ミールとは、加熱・乾燥・粉砕したものを指します。厳密にどのようなものが混在しているのか分かりません。
・○○エキス・・・成分を濃縮した液体のことですが、どの程度猫の体に作用するのか未知数です。
・着色料・・・美味しそうな色でも、猫にとっては意味がありません。
・人工防腐剤・・・BHA、BHT、エトキシキンなど科学的な添加物は不要です。ただ、フードが酸化してしまう方が危険です。小分けするなど対策が必要です。
・粗○○・・・粗とはだいたいのという意味です。おおよその成分では信用できませんよね。
その他、気にしたい表示は次の5つです。目立つようにパッケージに書かれていても、必ず細かい原材料を見るようにしましょう。
- グルテンフリー
- グレインフリー
- ヒューマングレード
- 人口添加物不使用
- カロリー
売れ筋商品のパッケージを見てみた結果
それでは、売れ筋商品のパッケージを実際に見てみましょう。
ペットフードメーカーの社員、Amazonリピート率、ペットショップ売上ランキングから調査した結果がこちらです。
シーバデュオ
【価格】270円/240g
肉類(チキンミール、豚副産物、チキンエキス、ささみエキス等)、穀類(とうもろこし、米、小麦等)、油脂類、酵母、魚介類(かつおエキス、ひらめエキス、ほたてエキス、まぐろエキス等)、チーズパウダー、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(Ca、Cl、Cu、I、K、Mn、 Na、 Zn)、 アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、着色料(酸化鉄)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸)
銀のスプーン
【価格】900円/1.3kg
穀類(トウモロコシ、コーングルテンミール、小麦粉、パン粉)、肉類(チキンミール、ポークミール、ビーフミール、チキンエキス)、油脂類、魚介類(フィッシュミール、フィッシュエキス、煮干パウダー、鰹節、マグロミール、カツオミール、白身魚ミール、乾燥シラス)、ビール酵母、酵母エキス、ミネラル類(カルシウム、塩素、コバルト、銅、鉄、ヨウ素、カリウム、マンガン、リン、亜鉛)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、着色料(二酸化チタン、赤色102号、赤色106号、黄色4号、黄色5号)、調味料、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ハーブエキス)
カルカンパウチ
【価格】60円/70g
魚類(かつお、まぐろ等)、肉類(チキン、ビーフ)、植物性油脂、小麦たん白、ブドウ糖、ビタミン類(A、B1、B2、B6、E、コリン、葉酸)、ミネラル類(Ca、Cl、Cu、I、K、MN、Na、P、ZN)、アミノ酸類(システイン、タウリン)、増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)、ポリリン酸Na、EDTA-Ca・Na、キシロース、pH調整剤、発色剤(亜硝酸Na)
モンプチパウチ
【価格】70円/40g
魚介類(かつお、まぐろ、フィッシュエキス)、調味料、増粘安定剤(加工でんぷん、増粘多糖類)、カラメル色素、ビタミンE
チャオちゅ~る
【価格】150円/14g×4本
鶏肉(ささみ)、ほたてエキス、かつお節エキス、まぐろエキス、糖類(オリゴ糖等)、植物性油脂、増粘剤(加工でん粉)、増粘多糖類、ミネラル類、調味料(アミノ酸等)、ビタミンE、緑茶エキス、紅麹色素
ニュートロナチュラルチョイス
【価格】2300円/2kg
生サーモン、乾燥チキン、エンドウタンパク、鶏脂*、乾燥ポテト、ポテトスターチ、エンドウマメ、アルファルファミール、ポテトタンパク、ビートパルプ、タンパク加水分解物、大豆油*、ユッカ抽出物、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、亜鉛、鉄、銅)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、緑茶抽出物、スペアミント抽出物 *ミックストコフェロールで保存
ピュリナワン
【価格】1250円/2.2kg
チキン、米、コーングルテンミール、家禽ミール、小麦粉、油脂類(牛脂、大豆油)、とうもろこし、フィッシュミール、大豆たんぱく、酵母、フィッシュパウダー、たんぱく加水分解物、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン)、カラメル色素、ピロリン酸ナトリウム、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン)、アミノ酸類(リジン、タウリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール) *合成着色料・香料は添加していません。
フリスキー トール缶
【価格】244円/155g×3缶
魚介類(かつお、まぐろ)、油脂類(大豆油)、増粘多糖類、ミネラル類、ビタミン類、発色剤(亜硝酸ナトリウム)
キャラットミックス
【価格】780円/3kg
穀類(とうもろこし/小麦粉/コーングルテンミール/ホミニーフィード/中白糠)/肉類(ミートミール/チキンミール/ささみパウダー)/魚介類(フィッシュミール/フィッシュパウダー/まぐろパウダー/白身魚パウダー、等)/油脂類(動物性油脂/月見草オイル)/大豆ミール/オリゴ糖/野菜類(キャベツパウダー/にんじんパウダー/ほうれん草パウダー/かぼちゃパウダー)/ビール酵母/ビートパルプ/β-グルカン/でんぷん/馬鈴薯たんぱく/セルロース粉末/ミルクカルシウム/グルコサミン/ローズマリー/バジル/ミネラル類(カルシウム/リン/カリウム/ナトリウム/塩素/鉄/銅/マンガン/亜鉛/ヨウ素)/アミノ酸類(メチオニン/タウリン)/ビタミン類(A/D/E/K/B1/B2/B6/パントテン酸/ナイアシン/葉酸/コリン)/食用赤色3号/食用黄色4号/食用青色1号/食用黄色5号/食用赤色102号/酸化防止剤(ローズマリー抽出物)
ねこ元気
【価格】592円/2kg
穀類(トウモロコシ、コーングルテンミール、小麦粉、パン粉)、肉類(チキンミール、ポークミール、ビーフミール、チキンエキス等)、豆類(脱脂大豆)、魚介類(フィッシュミール、フィッシュエキス、マグロエキス、カツオエキス、白身魚ミール等)、動物性油脂、ビール酵母、酵母エキス、野菜類(ニンジンパウダー、カボチャパウダー、ホウレンソウパウダー)、ミネラル類(カルシウム、塩素、コバルト、銅、鉄、ヨウ素、カリウム、マンガン、ナトリウム、リン、亜鉛)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、着色料(二酸化チタン、赤色40号、赤色102号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ハーブエキス)
モグニャン
【価格】3960円/1.5kg
白身魚63%、サツマイモ、エンドウ豆、サーモンオイル、ひよこ豆、レンズ豆、ヒマワリオイル、フィッシュスープ、ミネラル類(硫酸第一鉄水和物、硫酸亜鉛一水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(II)五水和物、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE)、ビール酵母、オリーブオイル、アマニ、アルファルファ、バナナ、リンゴ、クランベリー、カボチャ、セイヨウタンポポ
カナガン
【価格】3960円/1.5kg
乾燥チキン35.5%、骨抜きチキン生肉25%、サツマイモ、ジャガイモ、鶏脂4.2%、乾燥全卵4%、チキングレイビー2.3%、サーモンオイル1.2%、ミネラル、ビタミン(ビタミンA 25,000IU/kg、ビタミンD 1,730IU/kg、ビタミンE 320IU/kg)、アルファルファ、クランベリー、マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、リンゴ、ニンジン、ホウレンソウ、海藻、カモミール、セイヨウハッカ、マリーゴールド、アニスの実、コロハ
シンプリー
【価格】3960円/1.5kg
原材料:骨抜き生サーモン(31%)、さつまいも、乾燥ニシン(12%)、乾燥サーモン(11%)、じゃがいも、サーモンオイル(8.1%)、乾燥白身魚(6.5%)、生マス(4.65%)、サーモンスープ(2.3%)、ミネラル、ビタミン、アルファルファ、クランベリー、マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、りんご、にんじん、ほうれん草、海藻、カモミール、ペパーミント、マリーゴールド、アニスの実、フェヌグリーク
ねこはぐ
【価格】3980円/1.5kg
鶏肉、大麦、鰹節、ビール酵母、玄米、乾燥卵黄、煮干し、鶏レバー、米ぬか、チキンエキス、黒米、赤米、昆布、大根葉、ごぼう、人参、わかめ、キャベツ、白菜、高菜、パセリ、青じそ、ミネラル類(卵殻カルシウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB2、パントテン酸カルシウム、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE)、タウリン
ジャガー
【価格】3862円/1.5kg
骨抜きチキン生肉・鴨生肉、乾燥チキン・乾燥鴨肉、生サーモン・生マス、じゃがいも、卵、サツマイモ、豆、チキンレバー、鶏脂、チキングレイビー、アルファルファ、豆食物繊維、サーモンオイル、ミネラル、ビタミン、クランベリー、マルベリー、ブルーベリー、りんご、トマト、オレンジ、梨、にんじん、ほうれん草、カリフラワー、マリーゴールド、海藻、朝鮮人参、緑茶、生姜、プロバイオティックス
ねこひかり
【価格】2480円/500g
鹿児島産鶏肉、大分産煮干、鹿児島産かつお粉、九州産大麦、福岡産玄米、島根産ハト麦、長崎産あわ、北海道産きび、北海道産玄そば、福岡産大豆、福岡産きなこ、北海道産とうもろこし、宮崎産ごぼう、熊本産にんじん、熊本産キャベツ、福岡産白菜、熊本産高菜、福岡産パセリ、愛知産青じそ、熊本産大根葉、熊本産わかめ、北海道産昆布、北海道産菜種油、国産ビール酵母、国産発酵調味液、国産・ヨーロッパ産ミネラル類、国産・ヨーロッパ産ビタミン類
成分でみた場合の「おすすめ」キャットフードランキング
全16種類の成分(原材料)を見てみました。いかがでしたでしょうか。
おすすめ1位は、ピュリナワン
ピュリナワンは、米、とうもろこし、大豆たんぱくといった穀物が入っているところが気になりますが、全体的にバランスがとれている成分となっています。タウリンなどの栄養素の表記もきちんとあります。
また、小売店での流通シェアもあり、価格的にも買いやすいのではないでしょうか。
おすすめ2位は、ニュートロナチュラルチョイス
ニュートロナチュラルチョイスは、ポテトが多いのが気になります。ポテト、つまりじゃがいもは高血糖の食品だからです。他は、ピュリナワンと同様の評価です。少し価格が高めですので、2位にしてみました。
ネットで話題のフードは、原材料に信用性あり
モグニャン、カナガンなどネットで話題のフードは、原材料に表示に具体性があり信用が持てます。ただ、タウリンなど必須成分の表示がないフードもあります。また、価格が高めで、ペットショップやスーパーなどで手に入りにくいのが難点と言えます。
成分でみるフード選びはポイントを絞って優先順位を決めてみましょう
今回のように、パッケージの表示を比較してみると、フード選びが分かりやすくなります。さらに、自分の猫に合ったフードを選ぶためには、ポイントを絞って選ぶことが必要になってきます。自分なりに優先順位を決めて選んでみましょう。
成分で選ぶときの優先順位の決め方例
- 穀物を制限させたいとき
- タンパク質を多くとらせたいとき
- 自然食にこだわりたいとき
例えば、このようなお悩みがあった場合は、次のような選び方をしてみましょう。
・タンパク質を多く取らせたい → アミノ酸成分が詳しく表示されているものを選ぶ
・自然食にこだわりたい → 使用されている品目が分かりやすいものを選ぶ
成分以外に選ぶときのポイント3つ
成分が同じような場合、どちらのフードを選ぶか迷ってしまうかもしれません。その場合は、次のようなポイントに注目してみましょう。
- 国産か海外産か
- 売っている場所(小売店かネットか)
- 価格
今回の記事では、猫の年齢や健康状態を考慮に入れないで、一般的な成猫に与える場合のフードを考えてみました。パッケージに書かれている表示を並べてみると、おもしろい発見も見えてきます。
実際に選ぶときは、与える猫の年齢や健康状態も重要になってきますので、この記事を参考に、フード選びを楽しんでみてください。
みんなのコメント
-
1位か2位のを家で飼っている猫に食べさせてあげたいです。