猫ちゃんは大切な家族の一員。
けれど、猫ちゃんは人間より寿命が短いので、飼い主さんはいつか猫ちゃんを見送ることになります。
大切な猫ちゃんを喪った時、飼い主さんは大きな悲しみに包まれ、それは「ペットロス」と呼ばれます。
猫ちゃんが大切な存在であればあるほど、「ペットロス」は大きくなります。
この「ペットロス」と、「グリーフワーク」の過程、そしてその回復に寄り添う「グリーフケア」についてご紹介いたします。
「ペットロス」からの回復に寄り添う「グリーフケア」とは
大切な家族の一員であるペットを喪うと、飼い主さんは大きな悲嘆に暮れます。
これは大切な存在を喪った時の正常な反応ですが、長引くと「ペットロス症候群」になってしまいます。
- ペットロス症候群とは
- ペットを喪った悲しみから生ずる、身体症状を伴う精神疾患のこと
ペットを喪った悲しみから立ち直れず、「眠れない」「生きる価値を感じない」「食欲がない」などの症状が3~4週間以上続く場合は、専門機関を受診する必要がある
また、ペットを飼っていない人には、ペットを喪った人の悲しみが理解できない方もいます。
「ペットが亡くなったごときで、そんなに悲しむなんて」と言われることもあるでしょう。
「ペットロス」には「愛したペットを亡くした悲しみ」とは別に、「周りの人たちからの無理解に傷つけられる」という、2つの苦しみを味わうという側面があります。
「グリーフケア」とは
- 「グリーフケア」
- 大切な人や動物を喪ってしまった人の悲しみによりそって、受け入れられるようにケアすること
「グリーフケ」アは、大切な愛するペットを亡くされた方に対する「心のケア」です。
「グリーフワーク」は遺族自身が行いますが、「グリーフケア」はペットを亡くした遺族を支える、周りからの心配りのことです。
大きな悲しみに包まれた飼い主さんの話を聞いたり、そっとそばにいてあげることが、遺された人に対する大きな支えになります。
悲しみを受け入れる「グリーフワーク」の5つの段階
- 「グリーフワーク(悲嘆のプロセス)」とは
- 深い悲しみ・悲痛などの「悲嘆の作業」のこと
大切な存在を喪った悲しみのプロセスで、喪失体験における精神の変容過程のこと
「グリーフワーク」で大切なことは、ペットが亡くなった事実をきちんと悲しみ、その事実を受け入れること
「グリーフワーク(悲嘆のプロセス)」の5つの段階
「ペットロス」の悲しみには「5つの段階」があります。
エリザベス・キューブラー・ロスが提唱した「悲しみの5段階」は、本来は余命わずかと言われた人がたどる精神の変容過程です。
これと同じ悲しみのプロセスが、遺された人にもあります。
- 否認・・・ペットの死を受け入れられない状況
- 怒り・・・家族や獣医、自分などを責めて怒る
- 取引・・・ペットを失ったことを、何かと引き換えたいと思う時期。生き返らせてくれるのなら何でもする、というような思いを持つなど
- 抑うつ・・ネガティブなことが頭から離れない状況。何に対してもやる気が起きず無気力になる
- 受容・・・時間の経過とともに悲しみが薄れ、段々と死を受け入れられるようになる
各段階にとどまる期間や、怒りや抑うつなどの症状の度合いには、個人差があります。
各段階を行きつ戻りつしながら、時間をかけて「受容」の段階に進みながら、飼い主さんは新しい生活を受け入れていきます。
無理にがんばる必要はありませんが、これらの過程で、ただ寝込んでしまうより、多少身体を動かしたり、手先を動かしている方が精神的な回復には良いとされています。
猫ちゃんの写真を整理したり、お墓参りに行くなどした方が良いでしょう。
わたしの場合は、ペット霊園にお参りに行くことで、少しずつうちの猫がいなくなったことを受け入れていきました。
ペット霊園はいつもお花がいっぱいで、同じようにペットを亡くされた方がいること、そしてこれだけお友だちがいればうちの子も寂しくないかなと感じられたからです。
また、悲しみを理解してくれる人に気持ちを打ち明けるのも良いでしょう。
人によっては「とても理解できない」と拒否されたり、もっとがんばるように叱咤されることがあり、悲しみを抱えた飼い主さんを余計に追い詰めてしまいます。
悲しみで大変ではありますが、悲しみを話す人を選ぶことも大切です。
ただ話を聞いてあげることが「グリーフケア」になります
悲しむことは、飼い主自身を癒し回復させる作業でもあります。
周りに心配させまいと、悲しみを押し殺すことは、回復を遠ざけてしまいます。
悲しみが押し寄せてきたならば、感情のままに泣いて気持ちを出すことが、遺された飼い主さんがする大切な作業なのです。
わたしの場合は部屋で丸まりながら思い切り泣きました。
しばらく泣くと疲れ、ちょっと日常生活をしてはまた泣くということが1週間ほど続き、少しずつ立ち直っていきました。
もし、身近にペットを亡くして悲しんでいる飼い主さんがいたら、話を聞いてあげてくださいね。
なにか慰めの言葉を探す必要はありません。
ただただ、悲しい気持ちに寄り添ってあげて、話を聞くだけで、それが「グリーフケア」になります。
「ペットロス」への対策4つ
では、飼い主さんができる「ペットロス」への対策をご紹介します。
ペットは飼い主さんより先に亡くなると自覚しておく
悲しいことですが、ペットの方が人間より早く亡くなることを自覚しておきましょう。
その時、しっかりペットを見送ってあげることは、飼い主さんがしてあげられる最後の大切な仕事です。
ペットに過剰に依存しない
ペットが生活の全てになってしまうと、喪った時の悲しみが大きくなりすぎてしまう場合があります。
猫ちゃんと暮らすことを大切にしながらも、別の大切な趣味やボランティア活動などを作っておきましょう。
日ごろからペットを介した知人を作っておく
現実に猫を飼っている友達や、ネットの掲示板などで、猫を飼っている人たちとのつながりを持っておきましょう。
万が一の時に、ペットを飼っていない人よりは悲しい気持ちに共感してくれるでしょう。
ペットロスの知識を持っておく
悲嘆のプロセスをある程度把握しておくことも大切です。
わたしの場合も、悲しみながら「わたしは今、どの段階なのだろうか?」とちょっと客観的に考えることで、みんながたどる道なのだと励まされました。
途中で怒りが出てきても、通常のプロセスであるとわかっていれば、どこかで安心できますね。
「ペットロス」には周囲の「グリーフケア」が大切です
「ペットロス」と「グリーフワーク」、そしてそれを支える「グリーフケア」についてご紹介しました。
悲しいことではありますが、ペットを飼っていれば、いつかは見送らなければなりません。
その時大切なのは、ペットを喪った悲しみを、しっかり悲しむことです。
現実を受け入れるのはとても大変なことかもしれません。
しかし、現実を受け入れ、悲しむ作業を通して、飼い主さんは新しい生活を始めることができます。
その際、家族や知人がその悲しみを受け止めることが「グリーフケア」となります。
なかなか話すことができない方も、現在はネットの掲示板などで、同じ境遇の方たちと悲しみを共感することができます。
悲しい時は悲しい気持ちを感じ、表現することが新しい一歩を踏み出すことになります。
「ペットロス」と「グリーフケア」の知識が、万が一の時、飼い主さんの大きな支えになりますように。