ペット税に賛成?反対?ドイツの犬税を参考に日本での導入を考える

あなたは「ペット税」は導入したほうがいいと思いますか?

「ペット税」は「何に課税して」、「何に使うのか」を明確にすることが大切です。

今回は賛成や反対の意見をご紹介しながら、ドイツの「犬税」と比較しながら、「ペット税」について考えます。

ペット税とは。日本におけるペット税の歴史

「ペット税」とは
ペットを飼っている飼い主に課される税金のこと。

大阪泉佐野市の「犬税」の議論と頓挫

2014年、大阪府泉佐野市で「犬税」の導入が検討されました。

きっかけは道路における糞尿被害で、泉佐野市では犬の糞の放置に5000円の罰金を科していましたが、改善されませんでした。

そこで、泉佐野市では一匹につき2000円を徴収し、徴税した1千万円を糞尿対策にあてようとしました。

しかし、未登録の犬を把握できないことや、初年度徴税費用2600万円、次年度以降も毎年1600万円かかることから、税収とのバランスが取れず、導入困難にて見送りになりました。

泉佐野市では、税収より徴収コストがかかることで断念しましたが、糞尿処理にかける費用をペット税でまかなおうとしたのは少し短絡的でしたね。

自治体の衛生管理という点で必要な費用を確保することと、ペットの飼い主のマナーの啓もう活動は別の問題です。

「ペット税」とは「何に使う税金」なのか、「何に対して課税するのか」ということをまず確認することが大切です。

近年の日本における「ペット税」導入の議論の流れ

・2008年・自民党の動物愛護管理推進議員連盟はペットを飼う飼い主に課税する「ペット税」の導入を議論

税収の用途は以下の通り。

  • 鑑札やマイクロチップの普及
  • 動物収容施設の収容期間を延長するための運営費
  • マナー向上のための運動費用

・2010年・民主党は「ペットの無責任な放棄を行政が費用負担する負の連鎖に手を打つ」として、平成23年度税制改正に関する提言に「ペット税」の導入を盛り込む

以上のように、近年、日本でも「ペット税」の導入について議論がされていますが、いずれも導入には至っていません。

かつての日本における「犬税」

かつて、日本における歴史的な「ペットに関する税金」と言えば、犬将軍と呼ばれた5代将軍綱吉が発布した「生類憐みの令」でしょう。

綱吉は犬を保護する施設を、「今の東京ドーム20個分!」ほどの土地に作り、農民高100万石につき1石、町民間口一間につき金三分という税金を、お犬様の御囲(おかこい)維持費に使いました。

しかし、これは「ペットを飼っている飼い主に課された税金ではない」ため、厳密に言えば「ペット税」とは言えません。

犬の飼い主に課される税金として、日本にも昭和30年には、2686の各自治体で法定外普通税として「犬税」が導入されていました。

しかし、税収より徴税コストが上回ったことから、昭和57年に長野県四賀村の犬税廃止を最後に、日本から「犬税」はなくなりました。

ペット税に対する賛成と反対

それでは、「ペット税」を導入するにあたり、賛成と反対の主な意見を見てみましょう。

「賛成」意見

賛成意見としては、

  • ペットを飼うことに、飼い主が責任を持ってほしいから
  • 殺処分ゼロを実現したいから・・広島県神石高原街のふるさと納税で殺処分ゼロが実現したから、税金で動物の福祉を実現したい
    「広島県神石高原街のふるさと納税」

    ピースワンコジャパンと協力して2016年までに殺処分ゼロを目指し、ふるさと納税に保護犬への寄付を募ったもの。

    目標額を大きく上回った2億4540万円が集まった。

などがあげられます。

「反対」意見

反対の意見としては

  • 毎年課税されることになると、ペットを手放そうとする人も出てくるから
    特に多頭飼育している場合、飼育放棄で捨てたり保健所に持っていくなど、殺処分の増加に直結する
  • 払ってるからいいだろう、とマナーの悪い人はもっとマナーが悪くなるから
  • 飼っている人を正確に把握できないから・・拾ったり貰ったりして登録していない場合、税金を払う人と払わない人の差ができるのは不公平

などがあげられています。

ドイツの「犬税」は「一般財源」

「犬税」は、スイス、オランダ、ドイツ、オーストリア、フィンランドなどで導入、運用されています。

ここでは、ドイツで「犬税」がどのように運用されているかをご紹介します。

ドイツの「犬税」

ドイツでは犬に関する法律として、

  • 6時間以上室内に閉じ込めてはいけない
  • 外気が21℃を超えたら車に犬を置き去りにしてはいけない

などが定められており、この法律に違反すると警察も対応します。

日本ではペットは「器物」扱いですので、ドイツは日本よりちょっとだけペットの権利が認められていますね。

このドイツにおける「犬税」は、かつて一部の富裕層が富の象徴として犬を飼っていたことから、贅沢税・富裕税として設けられました。

ドイツの犬税は「特定財源」ではなく、市町村別の「一般財源」であり、地方により税額も様々、徴税していない地方自治体もあり、犬を登録・納税しているのは全体の4分の1程度と言われています。

ドイツの「犬税」の場合、飼っている頭数が増えるほど、税額が増えるので犬の数が爆発的に増えるのを抑制しています。

また檻に入れて飼うと徴税額が上がることで、檻で飼うことを減らそうとする動物福祉の一面もあります。

この様に、「ある一定の効果」を目論んで「犬税」が導入されています。

基本的にドイツにおける「犬税」は「一般財源」を目的とした地方税であり、「ペットの糞尿清掃などの特定の作業」に当てられる税収ではありません。

「一般財源」とは
地方公共団体の税収の一つで、その使途が特定されていないもの。地方税、地方交付税などがこれに該当する。

使途が特定の目的に限定されている「特定財源」と区別されている。

人間への危険性の高い、獰猛な犬種の課税が重いのは「飼育を抑制する目的を持っている」とバイエルン行政裁判所は判断を下し、この案件は目下係争中です。


ドイツにおける「犬税」はペットのための税金ではなく、単なる「一般財源」を目的とした税金であり、同時に危険性の高い犬種の飼育抑制や、爆発的に犬の飼育が増加しないなどの効果を期待して導入されています。

「ペット税」導入の際に大切なこと

「ペット税」を導入するにあたり、以下の点を明確にする必要があります。

  1. 何に課税するのか
  2. 何にその税金を使用するのか
1.何に課税するにするのか
  • 狂犬病登録に課税するのではなく、ペットショップで購入する際などに課税する
  • フードやペット用品の購入の際に課税する

などの事項を検討することが大切です。

2.何にその税金を使用するのか
  • ペットの糞尿処理など、飼育に関わることに限定するのか
  • 動物福祉の為に使用するのか
  • あるいは使途を特定せず、市民生活のために広く使用するのか

などについても考える必要があります。

「ペット税」を議論する際には、以上の「徴税対象」と「使用の目的」を明確にして、まず動物福祉とは切り離して考えることが大切です。

そのうえで、次の段階として、税金と動物福祉を融合させるなら、どのようなシステムが良いかを考えていきたいですね。

「ペット税」をより暮らしやすい生活のヒントにしましょう

「ペット税」について、日本の歴史やドイツの「犬税」などを参照しながらご紹介いたしました。

「犬税」と言っても、ドイツでは「一般財源」として運用されており、特に犬の福祉に特定した税金ではありません。

また、ペットのどの場面に焦点を当てて徴税するのか、不公平にならないようにするにはどうしたらいいのか、「ペット税」の導入には様々な問題があります。

「ペット税」だからと言って、本来、動物の福祉や動物を飼う環境に使途を限定されるものではないからです。

ただ、今回ご紹介しましたように、これまで日本国内においても、殺処分を撲滅するために「ペット税」を創設したらどうか、という議論も何度か上がっています。

動物の福祉を考えられる生活は、きっと人間にとっても快適な生活です。

より快適な暮らしのために、あらためて「ペット税」について考えてみませんか?

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