同居猫がおらず、単独で飼われている状態にある猫を「おひとり猫」と呼ぶことがあります。
人間にしてみると1匹だけで寂しくないかとか、遊び相手がいなくてストレス発散できないのではないかと思うこともありますが、意外にも猫はおひとり猫を満喫しているようです。
しかしその一方で、おひとり猫は遊び相手が飼い主以外にはおらず、ストレスをためて社会性のない猫になる可能性もあると指摘されています。
おひとり猫のメリットやデメリットをあげてみました。
おひとり猫はデータ上では少ない?2匹以上が多い猫の飼育
「おひとり様」という言葉はここ数年で定着したように思えます。
家族で暮らす人よりも単身世帯のほうが多くなり、おひとり様向けの旅行や食事コースなど一人で楽しむ人向けの様々なサービスが登場するようになりました。
世間的にも一人でいるのは寂しいという意識は薄れ、一人で楽しみたいという人が増えています。
そのことから、単独で暮らしている猫をおひとり猫というようになったと思われます。
厳密には飼い主と一緒ですし、猫におひとり、という言葉は文法としておかしいことにはなりますが、猫も家族の一員という認識が広まった現在ならではの呼び方といえるでしょう。
これは飼育の数なので、世帯数で見ると猫の546万世帯に対し犬は722万世帯となっており犬を飼育している世帯の方が多くなります。
このデーターで読み取れるのは、猫を複数で飼う人がかなり多いということです。猫と暮らしている世帯のうち、およそ半分が2匹以上の複数の猫を飼育しています。
家の猫の様子を写真や動画などでインターネット上にアップする人も多いですが、それらを見ると確かに、猫を複数で飼っている人が多いなと感じます。
ひとりで寂しくないの?猫は本来単独で生きる動物なので大丈夫
だからこそ、猫が単独でいると寂しい思いをしているのではないかという気にさせるのかもしれません。
こればかりは猫に寂しい思いをしているのか聞いてみたくなりますが、猫の生態からおひとり猫でもそんなに寂しい思いをしていないのではないかという予測もできます。
なぜなら猫やネコ科の動物はある程度成長すると独り立ちをし、単独で生活するようになります。
ネコ科の動物は単独生活を送っているため、狩りも寝るときも単独で行動をするのです。群れで暮らすライオンが、むしろネコ科の中では変わりものといえるでしょう。
オス猫は特にその傾向が強く、ひとりだちしたオスは自分のいた場所を離れ、メス猫のなわばりを囲むようにして自分のなわばりを定めて生活をします。
メス猫の場合は親や姉妹など血縁関係のあるグループの中に所属することもありますが、それでも基本的には単独行動で、イヌ科の動物のように仲間で協力して狩りをしたり生活をするということはあまりありません。
よって、猫は単独でもそんなに困っていないと考えられます。
特に飼い猫となれば十分な食事と安全な寝床が用意されますので、仲間で協力するということ自体が不要となります。
仲良くくっついて眠る猫もいれば、お気に入りの場所で過ごす猫もいます。自分の居心地の良い場所が確保できれば、あとは自由に過ごしているのです。
おひとり猫はなにより健康管理がしやすい
おひとり猫は健康状態を管理しやすさが利点としてあげられます。
排泄物や吐き戻した嘔吐物に異常があった時もその猫のものかわからない、ということはありません。
食事もほかの猫に横取りされることもないので、ゆっくりと自分のペースで食事を取ることが出来ます。
おひとりねこであるため、甘えん坊になりやすいことも
またおひとり猫は、飼い主にべったりと甘えん坊な性格になることも多いようです。
猫は人間を大きな猫と認識していると考えられており、飼い主のことは食事や身の回りの世話をしてくれる母猫と思っていることもあります。
大人になっても赤ちゃんであっても、生きていくうえで必要なことは飼い主がすべてやってくれるので、大人の赤ちゃん猫になるのです。
おひとり猫は社会性を学ぶ機会、ストレスを発散するタイミングが少ない?
しかし、このことはおひとり猫のデメリットであるともいえます。近年は子猫のころに去勢や避妊手術をし、外の世界を知らない完全室内飼い猫が増えてきました。
そのため、猫が複数いる場合は自然と猫同士で猫の社会を学びお互いに刺激しあうこともできるのです。
多頭崩壊は問題外ですが、これらのことで猫は社会を学び飼い主が常に猫にべったりとくっついていなくても、同居の猫と遊んだりしてストレスを発散することもできます。
猫が事故に巻き込まれたり迷子になって帰ってこれなくなったり、外で病気に感染してしまうことを考えると、室内飼いの方が外に出る猫よりもはるかに安全に暮らすことが出来ます。
その分室内でストレスをためないように、また適度な運動ができる環境を整えてあげる必要があります。
おひとり猫の場合はその役目を飼い主が行う必要がありますが、複数飼いの時は猫同士で行うことができるわけです。
もちろん猫同士の相性もありますので、ただ複数いればいいというものでもありません。
その猫にとって、どのような環境を用意してあげるのが良いのかを考えることが重要です。
特に後から後輩猫が来た場合は、先輩猫を尊重してあげる必要があります。
そうでなければ、先輩猫は飼い主に見捨てられたと思い、室内で粗相をしたり騒いで走りまくるなど問題行動を取るようになってしまいます。
猫同士の相性によりうまくいかないこともある
なお、絶対とは言えませんが、猫の年齢や性別で相性が難しい場合があります。
特にオス猫同士は縄張り主張が激しくなるため、すぐケンカになり同居は難しいこともあります。
またずっと単独で過ごしてきた老猫のいる家で新たな猫を迎えてしまうと、老猫が家出してしまうこともあります。
老猫は足腰も弱まり静かに暮らしたいと考えていますが、そこに新しい猫という慣れない環境を作ってしまうと、若い猫以上にストレスを感じる傾向があります。
逆に子猫からパワーをもらい元気になることもあるので絶対によくないともいえませんが、老猫のことを考えると環境を変えることをしないほうが無難といえるでしょう。
猫に限りませんがストレスが強くなると免疫力が弱り、様々な病気の引き金になることもあります。
もし新しい猫を迎えるのであれば、現在の状況をよく考えて行うべきでしょう。
おひとり猫は飼い主の経済面でも利点がある
経済面でもおひとり猫のほうが負担は少なくなります。
食事代ももちろんですが、猫は清潔を好む生き物なので、トイレは飼育数+1つが好ましいとされます。
普段仲良く過ごしている猫でも、寝床はそれぞれ用意する必要があります。また病院代も猫それぞれにかかりますので、経済的に厳しい場合はおひとり猫のほうがよいといえます。
猫は手間がかからないというイメージを一部のマスコミが伝えていますが、それは誤った考えです。
どんな動物でも楽に飼育できるというものは存在しません。
散歩などがいらない分犬よりも手間がかからないということを言いたいのかもしれませんが、猫も年を取れば病院にかかりやすくなりますし、若くても持病があることもあるでしょう。
経済面も考えたうえで、最後まで面倒を見ることができないのであれば、猫を飼うことをやめるべきです。猫は生物であり、動くぬいぐるみではないからです。
おひとり猫に多頭飼い猫にもメリットとデメリットがあり、どっちの飼育方法が良いかということは明確な答えはありません。
実際にその環境にならなければわからないこともあります。
猫の性格や行動を常に考えて飼育環境を整えよう
大事なことは猫の飼育環境をきちんと考えてあげることです。
多頭崩壊の現場では、猫がかわいそうだからと次々に拾ってきて、やがて面倒を見切れなくなるケースもあるそうですが、それは単に無責任なだけです。
その猫がどんな環境であれば快適に過ごすことが出来るのかを、常に考えるのが飼い主の役目です。
おひとり猫で飼い主にべったりでも、問題行動がなければそれがベストな飼い方といえるでしょう。
複数飼いの時も同様です。猫を飼育してうまくいかないことあれば、改善していけばよいのです。猫が多くの時間を過ごすのは飼い主の家の中だからです。
おひとり猫と複数飼い猫のメリットとデメリットをよく考え、そして猫の行動や様子をよく観察し、猫にとって良い環境を整えてあげましょう。