猫が寝てるときにピクピクする原因は、生理現象から病気の痙攣まで!

猫が寝ている時に、足や顔、背中がピクピクと動いている姿を見たことがあるのではないでしょうか。

猫も人間と同じように寝ている時には夢を見て、その時に足や顔がピクピクと動く時があります。

眠っている時にピクピク動く時は特に心配はいりませんが、病気が理由で神経に障害が起きるために痙攣する事もあり、どんな状況でピクピクしているかを気を付けてみておく必要があります。

心配がいらないピクピクと、注意が必要なピクピクについて調べてみました。

レム睡眠のピクピクは生理現象であるため心配ない

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、それが寝ている間交互に繰り返されるという事は、よく聞く話だと思います。人間を含むほ乳類と鳥類は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すという睡眠方法をとります。

レム睡眠は脳が起きていて体が眠っている状態、ノンレム睡眠は脳も体も眠っている状態です。レム睡眠はRapid eye movement sleepの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと急速眼球運動睡眠となります。すなわち、眼球が素早く動いている睡眠という意味です。

逆にノンレム睡眠はNon Rapid eye movement sleep1、眼球が動かない睡眠という意味になります。

人間の場合は脳が覚醒している為主に眼球が動き、これが夢として現れ脳の中で情報や記憶の整理が行われています。

猫は深く眠る人間よりも時間が短い

では猫の場合はどうなのでしょうか。

飼い猫の場合は平均して14時間から16時間ほど、子猫や老猫になると20時間ほども眠るため、ほとんどの時間が睡眠時間となっています。人間よりの倍になるほどの時間を眠っており、十分に睡眠がとれているような印象を受けます。

しかし長く眠っているようでも、猫は人間の睡眠のサイクルとは違い短いサイクルで覚醒と睡眠を繰り返しており、レム睡眠では人間の300倍も目覚めやすいという特徴があると考えられています。

人間でも目を覚ましやすい人がいますが、それとは比べ物にならないぐらい、寝ている状態の猫はちょっとした物音で目を覚ましてしまいます。寝ている猫の姿を撮影しようとして、シャッター音などを立ててしまい、猫が目を覚ましてしまったという経験があるかもしれません。

人間は大体90分サイクルでレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しますが、猫の場合はレム睡眠が30~90分程度、ノンレム睡眠が6~7分程度とノンレム睡眠がはるかに短くなっています。つまり眠っている様に見えても、ほとんどが浅い眠りということになります。

体をピクピクさせるのはこのレム睡眠の時です。半分目を開けていたり、うにゃうにゃと寝言を言う時もあります。

ピクピクして寝ている我が家の猫です。目を開けている時もありますが寝ています。

この睡眠中のピクピクにどのような役割があるのかはっきりわかっていませんが、脳は活性化している状態なので、脳から何らかの信号が出て体が動いていると考えられています。

基本的にレム睡眠は体の筋肉は休んでいる状態なので、起きている時のように自由に動かす事は出来ず、ピクピクとした小さな動きになってしまうのではないかと言われています。

どちらにしても、睡眠している時のピクピクは生理現象の1つであるので、心配する事はありません。

すぐ逃げられるように、目を覚ませる睡眠スタイルになった

なぜ猫は、このような睡眠スタイルになったのでしょうか。それは猫が野生の特徴を今も残しているためなのです。

いつ襲われるかわからない野生の状態では、ぐっすりと深く眠ってしまうと敵がやってきたことに逃げることができません。

人間以外の動物は生きる環境によって睡眠時間が異なるのです。牛や馬などの草食動物はもっと睡眠が少なく、3、4時間しか眠りません。

人間に飼われるという安全な環境の中にいる猫は、野生の習慣は残るものの野良猫よりもよく眠り、安心して夢を見ているのです。

病気が原因の痙攣には要注意

寝ている時の生理的なピクピクは心配をする必要はありませんが、病気が原因で体がピクピクと痙攣する事があります。

猫がけいれんを伴う病気をあげてみます。

てんかんとは脳に何らかの原因で通常とは違う動きが発症し、痙攣や手足が動くなどの症状が現れます。

具体的には脳炎・脳腫瘍・肝性脳症といった脳に関する病気の他に、腎不全・猫伝染性腹膜炎(FIP)などのウイルス感染症が原因の場合もあります。

てんかんは生まれながらにして障害がある場合もありますが、猫には先天的にてんかんになる事は事例が少なく、ほとんどが病気などにかかり発症します。

てんかんの発作は猫により異なり、顔や手足などがピクピクする程度の物から、全身が痙攣し意識を失って倒れるほどの重度のものまであります。症状は突然現れることが多く、放置してしまうと命を落としてしまうこともあります。

普段から寝ているわけでもないのに顔や体をピクピクさせていたり、体を震わせたり泡を吹いてしまうようなことがあれば、てんかんの可能性がありますので、一度病院で診断してもらうようにしましょう。

てんかんの完治は難しく、直接原因となる病気を中心にてんかんの発症を抑える薬などを投与し治療をしていきます。

環境の改善や食生活である程度の予防ができる

てんかんは突然発症する事も多く、予防は難しいのですが原因になっている病気により出来る限り発症する確率を低くすることは可能です。

腎不全は普段の食事をバランスよく与え塩分を抑えることで、腎臓への負担を少なくすることが出来ます。

リンを多く含んだ食事は腎臓へより負担をかけると考えられていますので、普段からリンは少な目にするとよいでしょう。

腎不全により腎臓の機能が弱まり、本来体の外に出されなければいけない老廃物が身体に溜まってしまう状態を、尿毒症と言います。尿毒症により体に痙攣が起こる場合もありますので、普段から猫の様子をよく見ておきましょう。

室内飼いの徹底やストレスを減らす事も重要

猫伝染性腹膜炎(FIP)は特に1歳前の子猫に多い病気です。

多くの猫の体内にいる弱い毒性のコロナウィルスが、何らかの原因で突然変異し腹膜炎の原因となる毒性に強い猫伝染性腹膜炎ウイルスに変わってしまうのです。

腹膜炎や胸膜炎、また肝臓や腎臓、脳などに肉腫を形成させ最終的には命を奪ってしまうのです。

一度猫伝染性腹膜炎になってしまうと完治は困難で、ほとんどの場合が数か月以内、早ければ発症してから数週間以内に死亡してしまいます。
 
なぜコロナウィルスが突然変異するのか原因はわかっていませんが、強いストレスが原因ではないかと考えられています。

実際に多頭崩壊の環境で暮らしていた猫は、普通の家庭で育てられた猫よりも、猫伝染性腹膜炎に感染している確率が高いという傾向があります。

そのため猫にストレスを与えない環境を作る事が予防法の1つとなります。リラックス出来る寝床を用意しトイレは常に清潔にし、食事も適切に与えましょう。

無理やり外に連れ出したり嫌がっているのに服を着せたり、追いかけまわすようなことは絶対にやってはいけません。

猫伝染性腹膜炎ウイルス自体は感染しませんが、前段階であるコロナウィルスは猫から猫へと感染しますので、室内飼いを徹底させるのも予防となります。

猫はストレスを嫌い清潔を好み、静かに暮らしたい動物です。猫にとってどのような環境がリラックスできるのかを常に考えることが、大切な予防となります。

水腎症は尿道のトラブルにより発症する

尿道に結石ができたり怪我や腫瘍など様々な原因で、腎臓と膀胱をつなぐ尿管や尿道がふさがれてしまう病気です。

そのため本来排出されるべき老廃物が溜まり腎臓が腫れあがり、お腹にしこりができることもあります。痙攣や下痢、食欲の低下を招きますが、症状がない場合もあり知らない間に病気が進行してしまうケースもあります。

治療は外科手術で尿道を広げて尿路を正常に確保させますが、病気が進行し腎臓そのものに異常が見られる場合は、もう片方の腎臓が正常であれば以上のある腎臓を摘出する場合もあります。

水腎症は先天的に尿路がふさがりやすいケースもあり、予防法がないのが現状ですが定期的に健康診断を受けることが早期発見にもつながります。

また上記で述べたように、ストレスや食生活の乱れは全ての病気の発症にもつながりますので、生活環境はきちんと整えてあげるようにしましょう。

猛暑には要注意!猫の熱中症

夏の暑い時期は人間の熱中症の事故が良く報道されますが、猫も熱中症にかかることがあります。

原因は人間の場合と同じで、風通しやクーラーのない部屋や車の中に閉じ込められたり、またキャリーケースの中で熱中症になってしまう事もあります。

特に体力が弱い子猫や老猫、また肥満気味の猫は脂肪が断熱材となり、熱中症になりやすい傾向があります。

熱中症になってしまった猫は、体が熱くなりハアハアと息が荒くなったり、ぐったりして痙攣を起こすこともあります。症状が進むと血を吐いたり血便や血尿をすることもあります。

人間のケースと同様に、最悪の場合命を落とす事もありますので、夏の時期は普段から家の空調管理には注意しておきましょう。

猫は暑くてもお気に入りの場所があるとその場所で寝てしまう事もあり、熱中症になってしまう事もあります。

気温の上がりやすい南向きの部屋には注意をし、水飲み場は複数用意しておくようにしましょう。ひんやりしたクールマットや、カーテンを引いて直射日光を入れないようにするのも良いでしょう。

熱中症を起こした場合、応急処置はとにかく涼しい部屋で体を冷やす事です。水で冷やしたタオルで猫の体をくるんだり、霧吹きで水をかけて体を冷やすことで体温を下げることができます。

しかしあまり下げ過ぎてしまうと体温の低下を招きますので、あくまで応急処置として行った上で早急に病院へ連れて行きましょう。

夏の暑さ自体はどうしようもありませんが、普段から気温調節を心掛けておくことで、不幸な事故を防ぐことが可能なのです。

免疫力が低下している時はクリプトコッカス症に注意

クリプトコッカス症とはカビの一種である真菌を、鼻や口などから吸いこむことで発症する病気です。

このクリプトコッカスは自然の中に存在し、人間から猫またはその逆パターンで感染する事もあります。

特にハトのフンに多く含まれており、ハトがやってくる場所に猫の行動範囲があるとより感染しやすいという傾向があります。

クリプトコッカスは体内に入ると必ず発症するわけではないのですが、病気があったり加齢などで免疫力が弱まっている猫は発症しやすくなります。

発症した場合は食欲の低下やくしゃみ、血の混じった鼻水を出すことがあります。またいびきをかくようになることがあります。

顔や肉球にしこりができたり、皮膚に潰瘍を作る事もあります。病状が進むと神経中枢まで菌が入り込み、痙攣や運動力の低下、また失明する事もあります。

クリプトコッカス症は抗真菌剤の投与で治療を行います。また他の場所に症状が出ている場合は、部位に応じた治療も並行して行います。

自然の中に存在する菌が原因となる為完全な予防は難しい部分がありますが、老猫や子猫また猫免疫不全ウイルスや糖尿病などで、免疫力が下がっている猫は特に注意する必要があります。

クリプトコッカス菌に感染させないように、室内飼いを徹底させることも予防になります。

肥満傾向の猫は脂肪肝に注意しよう

肝臓の機能が正常に働くなり、中性脂肪が肝臓に蓄積してしまう病気です。原因は様々でホルモンの異常や、糖尿病、また食生活の乱れによっても脂肪肝になる事もあります。

特に肥満気味の猫は発症しやすいと言われています。

引っ越しが多かったり、ストレスが多い環境にいる猫も発症しやすい傾向があります。

脂肪肝になると食欲の低下が起こり元気がなくなり、下痢や嘔吐などを引き起こします。症状が進むと神経に障害が出るようになり、痙攣や意識障害と言った症状が見られるようになります。

脂肪肝の治療はその原因となる病状の治療を中心に行われます。胃にチューブを入れて強制的に栄養を注入する事もあります。

脂肪肝は肥満と密接な関係がある為、普段の食事が予防のポイントとなります。

肥満気味の猫は黄疸症状が現れ、目の白い部分が黄色っぽくなることがあります。黄疸は肝臓に異常が出ることで血液中にビリルビンという物質が増えるために、皮膚などの粘膜が黄色くなってしまう症状です。

おやつを与え過ぎたり、人間用のチーズやハム、クリームと言ったカロリーの高い物を食べさせないなどの注意が必要です。人間でも肥満は病気の元といいますが、それは猫も同じことです。

猫によっては人間が食事を食べていると、興味を持って食べたがることもあります。しかし人間用の食事は、体の小さな猫にとってはカロリー過剰となり、悪い習慣をつけることですぐに肥満になってしまいます。

肥満は明らかに飼い主の責任です。特に食事は毎日の事なので猫の健康を守るためにも、食生活は普段から気を付けておきましょう。

猫が食べると危険な物を知っておこう。危険な中毒症状

様々なものが猫の体内に入る事で中毒症状を起こします。食べた物により症状は異なるものの、早急に対処しないと命を落とすケースもあります。

猫が食べてはいけない食材の代表としては、ネギやチョコレート、ブドウなどがあります。

また虫を駆除する為の薬を飲み込んでしまったり、人間用の薬を飲み込んでしまったり、家の中にある観葉植物によっては中毒を起こす事もあります。

飼い主が気を付けていても猫が好奇心が強い動物なので、見慣れないものをイタズラしこのような事故は起こってしまう事があります。

中毒を防ぐには飼い主が普段から注意をし、猫がイタズラをしそうなものは取り除いておく必要があります。

実際に起こったケースでは、SNSに載せるために猫のゲージにやたらと飾りつけをしそのままにしておいたところ、飾りの1つを猫が飲み込んでしまったことがありました。

幸いにも猫の体内から取り出すことが出来たようですが、このような余計な飾りをそのままにしておくことは、飼い主の自己満足でしかありません。

猫と一緒に小物を撮影すること自体は悪い事ではありませんが、猫が飲み込みそうなものは撮影が終わったらすぐに片づけるべきです。

人間用の薬を猫に使うのは厳禁

人間用の薬を与えることも厳禁です。

猫が下痢をしているからと言って人間用の下痢止めを与えたり、風邪薬を飲ませることで猫に中毒症状が現れる可能性が高くなります。

人間用の薬はあくまで人間の為に作られた薬です。猫には絶対に使わないようにしてください。

皮膚の薬も同様です。猫は痒かったり痛い場所があると、その部分を舐めて痛みを和らげようとする習性があります。

猫が痒がるからと言って人間用のかゆみ止めを塗ってしまうと、その部分を猫が舐めてしまい薬が体内に入ってしまいます。

中毒症状はどの原因となる物質を、1秒でも早く体内から取り出すことが最大の治療法です。

もし誤飲に気づいた場合は、飲み込んだものや時間量などを記録し、早急に病院へいき医師へ状況を伝えましょう。

物質が体内に吸収されてしまっている場合は、毒を中和する薬を点滴などで注入する事もあります。

飼い主が食事の支度をしている間に、食材を食べてしまったりすることもあるでしょう。猫がいる空間では、様々な物に注意が必要になります。

猫が口にして危険と考えられるものは、取り除いておくようにしましょう。特に若い猫は動きも機敏で色々な物に興味を持ちます。

中にはこんなものまで、と思うようなものまで飲み込むケースもあります。予測が難しい部分もありますが、普段からの注意が予防となるのです。

心の病、知覚過敏症

原因がわからない神経の病気です。ストレスなどによる精神的な病気と考えられています。

症状としてはピクピクと背中や顔が痙攣したりやたらと鳴き続けたり、興奮状態になり威嚇したり、さらに重度になると飼い主を威嚇することもあります。

この病気は突然発症することもあり、予防が難しくなっております。

心の病気であると考えられている為、強いストレスや過去に虐待などの経験がある場合は発症しやすいと考えられています。精神という見えないものが原因である為、診断も難しい病気です。

また肉体的な病気が引き金となる事もあります。そのため、体に病気があればその症状を改善する事から治療が行われます。

また猫の種類によって発症しやすい例もあり、アビシニアンやソマリ、シャムやバーミーズなどに多く、キレやすい猫がいるという事例もあります。

猫の生活改善で状況が良くなることもありますので、猫が落ち着かなかったりやたらに凶暴だったりとおかしな点が見られる時は、病院で相談するようにしましょう。その猫に合った治療プランが提示されますので、1つずつ環境を改善していくようにします。

完全室内飼いの猫には適度な運動を心掛けよう

室内飼いは事故や他の動物との接触による病気を防ぐ利点がありますが、運動不足になりやすいという欠点もあります。

室内で暮らす猫の方が寿命も長くなる傾向がありますし、室内飼いは推奨されますが刺激が少なくなる為に猫と遊んであげる時間を作るなどの工夫も必要です。

人間でもいつも同じ場所にいて刺激がなければ、精神的にふさぎ込んでしまいます。猫も同様で、飼い主が気にかけてあげる必要があります。

猫は手を掛けなくても問題ないという誤った報道がされることがありますが、犬に比べると散歩に行く必要がなく自由気ままにしているから手間が少ないという意味であり、ずっと放置していていいというものではありません。

特に若い猫は好奇心も強く、遊びも大好きです。ねこじゃらしで遊ぶなどの猫の遊びは、本来の猫の姿である狩猟動物の本能を刺激させる事です。

飼い主の生活パターンにより、ずっと構ってあげられない事もありますが、時間がある時には猫と遊んであげるようにしましょう。

猫にピクピクに普段から気を付けておこう

このように猫がピクピクする原因は様々なものがあります。寝ている時にピクピクは問題ありませんが、そうでない時に顔や体を痙攣させている時には早急に対処しなければなりません。

病気によりピクピクしている時は神経障害を併発しており、すぐに治療をしないと命に及ぶ危険性も高いのです。

これぐらいなら大丈夫だし様子を見よう、と勝手に考えてしまうのが悪化させる一番の原因となります。普段から健康診断をしておくことが理想ですが、それでも発見されない病気もあります。

猫の病気の早期発見は、飼い主が注意してみておく他はありません。しかし猫の普段の様子を注意していればおかしいな、と気づくこともあります。

気になる事は普段からメモをしておき、病院に行った時に相談するのも有効です。

猫の環境を整えて、良く注意して観察し食事の健康管理をする事が飼い主の役目なのです。

あなたの一言もどうぞ

ページトップへ