猫風邪によるくしゃみや鼻水でつらそうな愛猫は、見ている飼い主もつらくなってしまいますよね。
猫風邪は軽い症状であれば安静にしているだけで自然治癒することもありますが、免疫力が低下し、症状が悪化すると、ひどい疾患を併発して引き起こしてしまうことも。
では、猫風邪はどのように治療すれば良いのでしょうか。
今回はつらい猫風邪の治し方についてご紹介します。
自己判断は危険!まずはお医者さんへ
猫風邪とは、病名ではなく症状を指す言葉です。
猫風邪の原因となるウイルスは主に
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などがあり、ウイルスごとに症状もちがいます。
私たち素人に見分けることは不可能なので、まずはお医者さんへ連れて行きましょう。
お医者さんではどのような治療をするの?
実は、お医者さんで診察を受けても、猫風邪を一発で治してしまうような特効薬は存在しません。
治療法としては、症状を抑える対症療法になります。
先ほどもご説明した通り、猫風邪には原因となるウイルスがさまざまにあります。そのウイルスの種類によって治療方法もかわってきます。
まずは病院で猫風邪の原因となっているウイルスを特定してもらい、そのウイルスにあった投薬をすることで治療を進めていきます。
猫ヘルペスウイルスが原因の場合は、ウイルスの増殖を食い止める抗ウイルス薬を処方されます。
また、猫ヘルペスウイルスが原因で引き起こされる猫ウイルス性鼻気管炎を発症してしまったとき、病院で「完治することができない」と宣告されることがあります。
「治らない」と聞くと、大変にショックを受けてしまう飼い主さんも多いかと思いますが、これは症状がそのままの状態が続くというわけではありません。
猫ウイルス性鼻気管炎の原因となっている猫ヘルペスウイルスは、猫風邪の症状がおさまっても、神経のなかにひっそりと生きているのです。
免疫力が低下したときにひょっこりと顔を出し、体調不良を呼び起こすことがあるためやっかいですが、これはどうしようもありません。
愛猫につらい思いをさせないためにも、免疫力を高めるよう毎日の食生活などを見直し、体調不良の初期ですぐにケアをはじめてあげましょう。
猫クラミジアウイルスが原因の場合は抗生物質を投薬します。このウイルスはほかのウイルスと複合して感染することが多く、判別がむずかしいウイルスです。
猫ヘルペスウイルスと同じように、ウイルスが体内に残り再発する場合もあるので、注意してください。
猫カリシウイルスが原因の場合は、インターフェロンを注射することもあります。
インターフェロンとは、ウイルスの増殖を抑えるために体内でつくられるタンパク質を指します。
- 抗ウイルス作用
- 抗腫瘍作用
- 免疫増強作用
などの効果があるので、比較的よく使われます。
どのウイルスに感染しているにしても、そのウイルスの増殖を抑え、免疫力を高めることが大切です。
また、目ヤニや涙が止まらない場合は点眼薬を、鼻水には点鼻薬を処方されることもあります。
ウイルスによってかかってしまった猫風邪は、完治したように見えても、身体の奥でひっそりと生きています。
免疫力が低くなるタイミングを狙って症状がぶり返すこともあるので、一度ウイルス性の猫風邪にかかってしまったら、体調が良好かどうか毎日注意して見てあげてください。
お医者さんでの治療費はどのくらい?
猫風邪の症状やウイルスの種類、通っている病院によっても異なりますが、軽い症状であれば初診料のほかに2000円ほどで済む場合もあります。
はじめは1週間分の薬が処方されるので、様子をみて通院しましょう。
症状が重くなり、点滴や入院をしなければならないケースでは1万円以上かかることもあります。症状によってはレントゲン検査や血液検査を行う場合もありますが、そうするとさらに高額になってしまうことも。
すこしの変化に気づき、猫風邪の症状を早期発見することで、スムーズに治療を進めることができるのです。
お医者さんへ行ったあとのケアについて
病院から帰った後の猫ちゃんは、移動や検査に疲れ切っていると思います。
猫風邪はすこしのストレスや変化でも悪化してしまうものです。環境を整え、静かな場所で落ち着いて過ごせるよう工夫してあげてください。
また、空気が乾燥すると猫風邪の原因となるウイルスが活発になります。室内は常に適温に保ち、乾燥しないよう保湿した状態に整えましょう。
食欲不振の猫ちゃんも、無理に食べさせるのではなく、ウェットフードなど食べやすいものを少量ずつ食べさせてあげてください。猫風邪による口内炎などの症状が出ているときは、スープなどの流動食がおすすめです。
猫風邪にかかってしまったときに注意しなければならない症状のひとつに、脱水症状があります。
脱水症状になるとさらに別の疾患を併発してしまうこともあるので、どうしても飲んでくれないときはスポイトなどを使って飲ませてあげてください。
つらい猫風邪。実は予防できる!?
「飼い猫に健康で長生きしてほしい」という願いは、飼い主みんなの共通の思いです。
ワクチンによる予防接種で、猫風邪などさまざまな疾患を予防することができます。
日本ではさまざまな病院でワクチン接種をすることができます。
ワクチンには基本的に
- 三種混合ワクチン
- 五種混合ワクチン
- 七種混合ワクチン
があります。
特に三種混合ワクチンは、成猫になると1年に1回のペースで受けた方が良いとされているワクチンです。
成猫は健康であればいつでもワクチンを打つことができますが、子猫の場合はお医者さんとよく相談し、生後3ヶ月ほどのタイミングではじめてのワクチン接種を行います。
三種混合ワクチンは、
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫パルボウイルス
を予防することができ、さらに五種混合ワクチンや七種混合ワクチンを摂取することで、猫クラミジアウイルスによる猫風邪も予防することができるといわれています。
しかし、実は、ワクチンを打ったからといって必ず猫風邪の原因となるウイルスに感染しないというわけではないのです。
私たちがインフルエンザの予防接種を打っても、型がちがってかかってしまうことがあるように、猫風邪の原因となるウイルスにも型があるので、打ったワクチンと同じウイルスに感染するとは限りません。
ワクチンを打ったのに感染してしまうことはありますが、打っていない場合と比べると症状が軽いといわれているので、免疫力の低い子猫やシニアの猫は、お医者さんと相談して積極的に摂取しましょう。
すぐに治ると甘くみず、早めの治療を心がけて
猫風邪は、軽いものなら10日から2週間ほどで完治するといわれています。
しかし、慢性化するとさらに症状が悪化するだけでなく、鼻水による蓄膿症など、別の疾患を引き起こす恐れも。
猫風邪の症状が見られたときはまずはお医者さんに連れて行き、飼い猫の体調や年齢を考え、副作用やアレルギー反応についても相談しながら治療を進めましょう。