猫は体調の変化をあまり見せない生き物です。体調不良のときほど、隠そうとする傾向にあります。
私たちが愛猫の症状に気づいたとき、その疾患がかなり進行してしまっている場合も。
今回は、猫風邪の症状についてご説明します。早めに気づき、ケアしてあげることで、症状の悪化を防ぎましょう。
体調の変化を見逃さない!猫風邪のつらい症状とは
まず、みなさん知っておいてほしいのは「猫風邪」という病気はないということです。
いわゆる猫風邪とは、
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などのウイルスによって引き起こされる症状を指します。
その症状を詳しく知ることによって、いち早く体調の変化に気づき、さらなる悪化を防ぐことができます。
では、猫風邪には具体的にどのようなつらい症状があるのでしょうか。
なんだか顔が汚れている?涙や目ヤニに要注意!
顔が目ヤニだらけに黒く汚れてしまっている野良猫を見たことがありますか?
そんな状態の野良猫は、猫風邪を引き起こすウイルスに感染している可能性があります。
猫風邪の症状のひとつとして、黄色い目ヤニや涙があります。また、常に涙目になり、目を細めてまぶしそうな表情をすることも。
黄色い目ヤニは黒っぽくなり、目のまわりは赤くはれあがります。
猫風邪の原因となるウイルスは
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などがありますが、どのウイルスに感染しても目ヤニや涙の症状があるので、見極めることは困難です。
いつもとちがう様子を感じたら、すぐにかかりつけのお医者さんに相談しましょう。
猫のくしゃみはわかりにくい?
猫は人間のように「はくしゅん!」という大きなくしゃみをすることはあまりありません。
猫のくしゃみはふしゅふしゅとわかりにくいので、猫風邪のサインをつい見逃してしまうことも。
また、猫風邪は猫ウイルス性鼻気管炎を発症していることが多いといわれています。猫ウイルス性鼻気管炎は、猫ヘルペスウイルスが原因で起こる猫風邪のひとつです。
猫ウイルス性鼻気管炎にかかってしまうと、鼻のなかが炎症を起こしていつも鼻水をたらしている状態に。
鼻水に血が混じっていることもあるので、気づきやすいかと思います。血が出ている鼻水には痛みを伴うこともあるので、猫が痛がるような素振りを見せていたらすぐに病院に連れて行ってあげてください。
鼻水やくしゃみは猫風邪以外にもほこりや刺激物を洗い流すという目的でも出るものですが、これは一時的なものなので神経質になる必要はありません。
何度もくしゃみを繰り返していたリ、鼻水が長期間止まらない場合は、風邪やアレルギーを引き起こしている可能性があります。
ただの風邪と甘くみるのではなく、ほかの症状や疾患が併発して起こる前に診察を受けましょう。
食欲不振は体調不良のサイン
食欲不振はあらゆる疾患のサインとなるものです。
猫風邪を発症している猫は、鼻水が原因で食べ物のにおいがわからなかったり、呼吸がしづらいことで食べ物を飲み込みづらく、食欲不振になっている場合があります。
また、猫風邪による免疫力の低下は、口内炎などの口内環境の悪化を引き起こします。
猫の口内炎は赤く腫れあがり潰瘍になってしまうこともあるので、痛みでグルーミングができず、よだれがたくさん出て身体や口の周りが汚れてしまうこともあります。
また、猫風邪によってウイルスが胃腸にも悪影響を及ぼし、腹痛からごはんが食べられないことも。
食欲不振は猫風邪だけでなく、あらゆる疾患のサインです。いつもよりごはんの進みが遅かったり、食べたそうにしているのに口をつけないときは、注意して見てあげてください。
気づきにくい猫の発熱をチェックする方法とは
私たち人間の体温は36度くらいですが、猫の体温は平熱が約38度と、人間より2度ほど高くなります。
抱っこしたときにほんわりとと温かい体温が、風邪をひくと39~40度まで上昇します。
触ったときにいつもより熱い気がすると思ったら、まず熱を測ってみましょう。
猫の体温は肛門に体温計を入れて測ります。体温計は人間と同じものを使うのではなく、猫専用の体温計を使って測りましょう。
また、体温計は肛門に入りやすいよう、先端部分が柔らかいものを選んでください。猫が嫌がる前に終わるように測定時間のはやいものがおすすめです。
それでも嫌がる場合は、太ももの付け根に挟んで測ることもできますが、0.5~1度ほど高めに検温されることもあるので、正確な体温ではありません。測った体温からその体温分を引いて計算しましょう。
耳で測るタイプの体温計も販売されているので、猫ちゃんのストレスにならないよういろいろと試してみてください。
なんだか口がにおう?猫風邪が引き起こす口臭とは
猫ちゃんの口からいつもとちがうにおいがするときは要注意です。
猫風邪はさまざまな症状を同時に引き起こします。そのなかのひとつに、免疫力の低下による口内炎があげられます。
口内炎になってしまうと、痛みから食欲不振になるだけでなく、歯肉炎や歯周病なども併発しまうこともあるので、歯肉がただれて口臭が強くなります。
口内炎はさまざまな疾患と併発して引き起こされるケースが多いので、口のにおいがいつもとちがうなと感じたら、しっかりチェックしてあげてください。
猫風邪は原因となるウイルスによって症状もさまざま?
先ほどもご説明した通り、猫風邪は病名ではなく症状をあらわす言葉です。
猫風邪の症状を引き起こす主なウイルスとして
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などがあり、ウイルスごとに症状もちがいます。
猫ヘルペスウイルスは、特に鼻周辺の皮膚炎や角膜炎、結膜炎など、顔まわりに症状があらわれることが多いといわれています。
猫カリシウイルスは、よだれや口内炎、舌炎など、口のなかに症状があらわれやすく、猫クラミジアウイルスは気管支炎や肺炎など、呼吸器官にも影響を与えるウイルスです。
どのウイルスによって発症したとしても、共通症状として
- くしゃみ
- 鼻水
- 食欲不振
- 発熱
などの症状がみられるため、私たち素人が判断することは不可能です。
猫風邪かな?と思ったときは、すぐにお医者さんへ連れて行きましょう。
ただの風邪だと侮らないで!早期発見が大切な理由とは
猫風邪は、その名の通りあまり重くみられる病気ではありません。
くしゃみをしていても、人間と同じ感覚で安静にしていればすぐ治るだろうとほうっておかれがちです。
しかし、ただの猫風邪でも、治療が遅れると症状が重くなり、命に関わる疾患を引き起こすことも。
実際、猫風邪のウイルスによって脳炎になったというライオンの例も報告されています。
すぐ治るだろうと放置するのではなく、かかりつけのお医者さんと相談し、身体にあった薬や対症療法で完治を目指しましょう。