猫とライオンの違いはどんな事なのか。生態や進化の歴史から分析!

同じネコ科でありながら、見た目も大きさも棲んでいるところも違う猫とライオン。

けれど、よく見ていると似ているところも多くあり、やはり同じ猫の仲間なんだと感じるところもあります。

数千万年もさかのぼると、実はもともとは同じ生物から枝分かれしているということがわかります。

その違いはどんな部分にあるのか。ネコ科の進化にはどんな秘密があるのか。猫とライオンの違いについて、その生態や歴史を見ながら、探っていきます。

猫とライオンの共通点はかなり多い

猫とライオンで同じところと違っているところをそれぞれあげてみます。

ますは、共通している点です。

  • 夜行性で捕食者である。
  • 肉食。他の動物の獲物を横取りする事もある。
  • 夜に活動する以外はほとんど寝て過ごす。
  • オスはある程度大人になると群れから出ていく。
  • メスは複数のオスとの子供を同時に宿すことができる。
  • 子孫を残す為、他のオスとの間に生まれた子供を殺すことがある。
  • 箱に入るのが好き。

今度は、異なっている所を見ていきます。

  • 基本的な体のつくりは同じだが、体の大きさが違う。
  • その重さのため、ライオンは木登りが上手くないが、猫は木登り名人である。
  • 大人のオスとメスの外見の区別。ライオンは一目で見分けがつくが、猫はよく見ないと性別は分からない。
  • ライオンは被毛が同じ種類のライオンであればどの個体も同じだが、猫はトラ模様からブチ、三毛などバラエティー豊か。
  • ライオンはしっぽの先にふさがある。用途は不明。
  • 威嚇する時の鳴き声。ライオンは吠えて威嚇。猫はシャー!と音を出して威嚇する。
  • 毛づくろいが好きだが、猫は性別関係なく毛づくろいするのに対し、ライオンは基本的に同じ性別同士でしか毛づくろいをしない。子供はメスに毛づくろいをする。
  • 群れで過ごす点は同じだが、ライオンは狩りを仲間同士で連携する。
  • ライオンは数が減っているが、猫は世界中で繫栄している。ただしいずれも人間との関わりの結果である。

長い進化の歴史の中でネコ目につながる祖先が登場する

生物学的な点から見ていきましょう。猫とライオンは同じネコ科ですが、どのように進化してきたのでしょうか。

猫が先にいて、そこから大型化したのがライオンなのか。それとも、ライオンから枝分かれした小さな動物が猫になったのでしょうか。

まずは、進化の歴史を追ってみましょう。

恐竜がいなくなった地球に小さな祖先が誕生する

ネコ科を含むネコ目(食肉目)の進化は、恐竜が絶滅した後の6600万年以降からはじまります。

といってもまだこの頃はライオンやトラのような大型の肉食獣は存在していなく、ほ乳類は小型のものばかりでした。

現在では人間を除いた場合の食物連鎖の頂点に立つネコ目の肉食獣達ですが、この時代の頂点にいたのは、恐竜の子孫である鳥達の仲間でした。

鳥が食物連鎖の頂点にいたなんて、現在ではなかなかイメージしにくいかもしれません。

この時代の頂点にいたのは鳥と言っても小さくて可愛らしいものではなく、恐鳥類という恐竜の姿を色濃く残した巨大な鳥たちでした。この恐鳥類は2メートルほどの背丈のものおり、ほ乳類はこの巨大な鳥たちに捕食されていたわけです。

6500万年前、ネコやイヌの祖先となるミアキスが登場

6500万年程前、ネコやイヌ、アシカやクマなど捕食をする動物の祖先であるミアキスという小型の肉食動物が登場します。

これはイタチのような姿をしていたと言われており、陸上には恐鳥類に変わり肉歯類という他の種類の大型の肉食獣が生息していた為、ミアキスは木の上で鳥などを捕食していたと考えられています。

この頃は肉歯類が陸上の支配的な位置にあり、食物連鎖の頂点にいたとされています。しかし、肉歯類は800万年ほど前、何らかの原因により絶滅してしまいます。

肉歯類がいなくなり、ついにネコ目が食物連鎖の頂点へ

その後、ミアキスより進化したネコ目がその捕食の頂点に位置するようになります。

ミアキスはイヌ科・クマ科・アシカ科などに枝分かれしそれぞれ進化していき、それが現在まで続いています。この時代になると生物は現在に近いものとなってきており、ネコ目の他にもゾウやウマ、シカ等の祖先たちも出現しています。

また、かの有名なサーベルタイガーは現在の大型の肉食獣とよく似ているため、ライオンやトラなどの祖先ではないかと思える部分もあります。

しかしサーベルタイガーは、ネコ科から枝分かれした別のグループでありその後絶滅したため、現在の大型肉食獣の直接の祖先ではないと考えられています。

では、ネコとライオンはどのあたりで枝分かれしたのでしょうか。

ライオンとネコは進化の途中で枝分かれしている

現在のネコ科の直接の祖先となったのが、プロアイルルスというミアキスより進化した動物で2500万年ほど前、アジアやヨーロッパに生息していました。

プロアイルルスは最古のネコ科の動物とされ、現在のフォッサのような姿であったと考えられています。

その後、シザイルルスという1800万年前に現れたネコ科の動物から、現在のライオンにつながっていくヒョウ属の祖先が出現し、現在の大型の肉食獣へと進化をしていきます。

つまりライオンが先にいてそこからネコの先祖が誕生したり、逆にネコからライオンの先祖が登場して進化していったわけではなく、進化の途中で枝分かれしてそれぞれに進化していったわけです。

この時代は温暖な気候から徐々に氷河期に移行していく時代であり、ヒトの祖先となるヒト科の動物が現れた時代でもあります。

次にそれぞれの特徴や、人間との関わりをみていきます。

ライオンは力や富の象徴。しかし人間により生息数は減少している

ネコとライオンの違い96815

ライオンはネコ目ネコ科ヒョウ属に分類されます。

ライオンを含むヒョウ属はシザイルルスからネコ科のグループの中では最も早い、1000万年前には枝分かれしていたとされています。

誰もが百獣の王としてご存知の動物です。

特にオスは立派なたてがみがあり、その凛々しい姿は歴史の中でしばしば強さの象徴としてモチーフになり、王家のシンボルや国旗などに描かれることも多いです。

動物園では子供から大人まで人気を集める動物でもあります。

かつては広い範囲にライオンが生息していた

ライオンといえば、アフリカのサバンナを疾走する姿を思い浮かべるのではないでしょうか。

かつてはアフリカ大陸の多くの地域に生息し、中東やヨーロッパの一部にまで広く分布していました。ギリシャの彫刻などにライオンがしばしば描かれることから、かつてはギリシャにまでライオンがいたのではないかと考えられています。

しかし人間による開発で生息地が減ってしまった事や、狩猟や毛皮目的の乱獲などにより、かつてより大きく数を減らしてしまいました。

現在はアフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域と、インドのごく一部の地域にわずかな数が生息しています。

ネコは人間に寄り添う事で、世界中で繫栄する

ネコ(イエネコ)は食肉目(ネコ目)ネコ科ネコ属に分類されます。

ネコ属は340万年ほど前に登場しており、ネコ科の中では最も新しいグループとなっています。

イエネコは最も人間に身近なネコ科の動物です。猫を知らない人はいないと断言できる位、世界中でペットして広く飼われています。そのような意味では、ネコ科の中で最も繁栄している存在ともいえます。

もともとはアフリカに生息するリビアヤマネコが家畜化したものです。

人間が農耕を開始した際、蓄えていた穀物を、ネズミなどの動物が食べてしまう被害がよく発生していました。そのネズミたちを狙って、リビアヤマネコ達が集落に集まってきて、家畜化されるようになったと言われています。

猫は基本的に穀物は食べません。人間から見ればネコはネズミを退治してくれる存在であり、ネコから見れば人間のそばにいれば食料が手に入るため、お互いに好都合だったわけです。

猫は食料を求め、自ら人間達のそばにやってきた

猫たちは人間に飼い慣らされたのではなく、自分達の意志で人間についてきた、と考えられています。

犬は人間によってその用途により古くから品種改良がされてきたため、小型犬から大型犬、見た目も様々な姿をしています。

一方で、猫はメインクーンのような大型種はいるものの、犬ほど多様化していません。

たれ耳のスコティッシュフォールドやほぼ無毛のスフィンクスといった変わった特徴を持つ猫もいますが、それらはもともとは人間が改良したわけではなく、突然変異で偶然生まれた猫達です。

猫はネズミを捕るという役割で家畜化されたため、犬のような用途に応じた人為的な品種改良は必要なかったのです。だから現在でも猫は、野生のままの特徴を保っているのです。

そのため、猫は野生のネコ科の動物と同じ習性を今でも残しているのです。

今度は、生態の違いを見てみることにしましょう。

ライオンはネコ科の中でも珍しく社会性をもつ群れで生活をする

ライオンは体重はオスであれば250キログラムにも達し、ネコ科の中では大型の部類になります。

良く知られる動物ながらネコ科の中では変わり種です。1頭から6頭位のオスと複数のメスで構成された、プライドと呼ばれる群れで生息しています。

狩りは仲間のメス同士で連携して行うという、ネコ科では珍しい社会性をもった肉食獣です。

ライオンがなぜ、このような社会性を持つようになったのかは今のところ分かっていません。一部では、狩りの成功率を上げるためではないかとも予測されています。

獰猛なハンターというイメージがありテレビなどでも、ライオンが草食動物を襲う映像を見ることが多いですが、ライオンの狩りの成功率は25%と意外にも低い数字なのです。

そのため食料が足りず、ハイエナやチーターなど他の動物が捕えた獲物を横取りしたり、腐食した肉を漁る事もあります。

最も違うのは、オスとメスの外見がかなり違う事である

通常、ネコ科の動物は一見しただけでは性別の区別がわかりにくいですが、オスとメスの外見がはっきり違うのもライオンの特徴です。

オスのタテガミは立派であればあるほど、メスにモテる視覚的な効果があります。

オスは何もしていない様にも見えますが、カバやキリンなど大型の動物の狩りをしたり、縄張り内のメスや子供たち護るといった役割があります。

猫は人間と共に多様化した、人間あっての存在といえる

一方猫はネコ科の中では最も小柄な体をしています。中には10キログラムを超える猫もいますが、大抵は2.5キログラムから7キログラムの範囲で収まっています。

ライオンがグループで狩りをするのに対し、猫は単独で待ち伏せをして獲物を捕らえることが多いです。

低い姿勢で少しずつ獲物に近寄って、一気に飛びかかる姿を見たことがあるかもしれません。

おもちゃで遊んでいる時に、少しずつ忍び寄りお尻を振りながらわっと飛びつく姿は、まさにハンターとしての猫の姿そのものです。

飼い猫は人間から与えられたキャットフードを食べることができますが、野生の状態にあるノラネコなどはネズミなどの小動物や鳥、カエルやヘビ、昆虫などを捕まえます。

ライオンが数を減らしているのとは対照的に、人間が他の地域に持ち込むケースも多く、今日の猫の繁栄は人間あっての事だと言われています。

人間に飼われていてもハンターとしての本能を兼ね揃えているため、猫が持ち込まれた地域では外来種となり、その土地にもともと生息していた固有種の小動物を捕食してしまうという問題も起こっています。

猫が飼い主にネズミなどを捕まえて持ってくるのは、このハンターとしての習性が強く残っている為です。

野良猫のメスたちも群れで生活をすることがある

人間の管理の中にある飼い猫は別として、野良猫は単独で生活をしているように見えますが、実際は群れを作って生活をしています。

たいていの場合は親子や姉妹など血縁のあるメス猫同士で、いくつかのメスの群れが集まって大きな群れになる場合もあります。

なお、群れをつくらずに単独で暮らすメスも存在しています。

ライオンと違うのは連携して狩りをおこなうといったことはなく、群れでいるものの普段は群れのそばに入るものの、単独で行動している事が多いのです。

これは、人間に近い所で暮らしている野良猫に見られる特徴であり、最近になってわかってきました。人間と共存するようになって約5000年の時が経過し、猫の生活もかつてと変わっていっているのかもしれません。

オス猫は成長すると群れを出て旅をする

また、オス猫は1歳を超えたあたりから群れから出て、放浪の旅に出かけます。これは、近親交配をして血を濃くしないようにする為と考えられています。

自分のいた群れから出て、繁殖期になると別の群れのメスを求めて行動範囲を広げていきます。自分の子孫を次の世代に残す為、色々な場所を渡り歩き繁殖を繰り返すのです。

当然、より強いオスであれば多くのメスと交配できますが、弱ければそうはいきません。猫の世界に限らないですが、より強くより魅力的なオスが多くのオスに受け入れられるということになります。

同じ動物から進化した仲間である為、似ている部分も沢山ある

このように、猫とライオンは似ている部分と違う部分と両方存在しているのです。

しかしながら、元々は同じ生物から時間をかけてそれぞれに進化してきたので、似ている部分も多く存在しています。

猫は野生の姿をそのまま残した小さな肉食獣ととらえると、また違った見方が出来るかもしれません。

みんなのコメント

  • 三紀子 より:

    はじめましてこんにちは
    私は、大型肉食猛獣ネコ科が大好きで、
    アフリカに2度渡りました。
    こんな風に今流行りの猫とライオンを比較しょうとしたことが有り難いし、嬉しくおもいます。
    ライオン水かけられたら嫌がりますねぇ(〃ω〃)

  • にゃんころ より:

    はじめまして(=^・^=)ノ゛
    私は猫2匹と暮らしていますが、前からライオンやトラと猫の違いに興味があり、楽しく読ませていただきました。猫がネズミを追いかけるのはトムとジェリーみたいで可愛らしく思えますが、ライオンがシマウマとかを追いかけるのと同じで、大きさが違うだけなんですね。小さな動物から見たら猫も恐ろしいライオンに見えるんでしょうね。

  • まつげさん より:

    ネコには瞬膜(第三眼膜)がありますが、同じネコ科のライオンにもあるのでしょうか?

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