じーっとあなたを見つめる猫の気持ち。そこには小悪魔的な理由が!

猫がじーっとこちらを見つめているとき、ちょっとドキドキしますよね。飼い主さんの目を見る猫の心理は少々読みづらい部分があります。本来猫は相対する者と目を合わせたがらない動物です。

であるにもかかわらず猫が見つめるということは、そこに何らかの「猫の意図」が隠されているに違いありません。それが何なのか・・・正直、なかなか難しいテーマになりそうです。

猫が飼い主を見つめる不思議な現象の謎を解明していきます。

猫があなたをじっと見つめるときの気持ち

猫のおなじみのしぐさといえば、ゴロゴロ音を発したりすりすりしてきたり、かわいらしいしぐさが多いです。いずれも猫特有の習性のなせる業なのですが、猫がじっと見つめるのは少し異なる雰囲気があります。

金色に輝く瞳でまばたきもせず、鳴くわけでもなく、飼い主であるワタシをじーっと凝視すると、どこか物問いたげでもあり、何とかその理由を知りたいと思ってしまうのが人情です。

猫の一般的な「凝視」に込められる意味

しかしよく考えてみれば、猫はものをじーっと観察する動物です。猫にとって興味(遊び、脅威、攻撃、不思議など)の対象となる物や者に対しては、かなり無遠慮な「凝視」というリアクションで反応しますね。

要するに、猫はその対象に興味があるからじっと見つめるのです。あれはなんだ?おいしそう!楽しそう!イタズラしたい!・・・などなど、興味があるものを凝視するのも猫の習性の1つです。

まあ人間だってなんだかよくわからないものに対して凝視することはよくあります。犬のように極度の近視だとそれはありませんが、猫は聴覚や嗅覚(きゅうかく=かぎ分ける感覚)に劣るだけで、目で見る能力もあります。

動く物に鋭く反応するのもよく知られる猫の習性ですが、これも「じっと見つめていた物」が突然動き出すものだから、凝視を継続しようという無意識の意識が働いているのではないか・・・

という憶測も成り立たなくはありませんよね。凝視してもよくわからんし、わからんからとっつかまえて確かめたいという思いが動作にあらわれたのが「じゃれる」という行動なのかもしれません。

とすると、猫が物を凝視すること自体には別段不思議はないことになります。ところが今回のテーマは、「飼い主をじっと見つめる」という猫の行動の秘密を探ることです。「当たり前」であっては困るのです。

飼い主に興味がないということもないとは思いますが、飼い主に対し「コイツ誰だ?」と思うのは不自然ですね。かといっておもちゃのような遊び道具と解釈するとも正直考えづらいです。

確かに飼い主だって「動く者」ではありますが、うーん・・・やはり一般的な「猫の凝視」とは完全に分離して考える必要がありそうです。そして実は、猫が飼い主をじっと見つめる理由にもいくつかの説があるんです。

飼い主を見つめる猫の心理とその理由

猫の行動や猫にまつわるさまざまな現象については、いまだ解明されていない部分が多いです。実は、猫がじっと飼い主を見つめる行動についても、残念ながら明確な答えが得られていません。

諸説あることはありますが、いずれも憶測の域を出ない「仮説」です。もしかしたらそのどれもが正しい見解なのかもしれませんし、すべて「誤解」かもしれません。

しかし多くの学者さんが猫の凝視の謎を解明しようとチャレンジしたのですから、せっかくのこの機会に紹介してみたいと思います。

猫が飼い主を見つめる理由(学説)
  • 飼い主へのおねだり
  • 経験則からよろこびを学んだ
  • 特に意味はない・何も考えていない

「飼い主へのおねだり」はなんとなくわかるような気がしますね。実際ウチの猫も筆者の顔をじーっと見つめた直後、エサの容器の前に走り寄って再び筆者の顔を凝視することはあります。

たとえばウチの猫の場合特に、ほとんど鳴くことがない猫なので、意思表示は基本的に動作で行います。もちろんウチの猫がすべての代表ではありませんので、これも仮説の域は出ませんが。

しかし仮説が正しいとすると、厳密にいえばおねだりというよりも、「おねだりをしよう!」という猫の心理がじっと見つめるという行動に反映されているのかもしれませんね。

▼猫のおねだりサインはたくさんあります
猫のおねだりに応えてあげよう!シチュエーション別のおねだりサイン

そして「無意味・何も考えていない」という大胆な説ですが、これについては猫の脳の大きさから「猫が何かを考えているとするのは物理的に無理」という、まあ論理的といえばいえる理由から結論付けられていました。

要するに、人間の感覚で猫の「見つめる」を解釈しようとするのがそもそも誤りだという解釈でしょう。人間同様に何かを考える動物であれば脳はもっと大きくなければならない・・・の理屈は確かに納得です。

そしてもうひとつの「経験則からよろこびを学んだ」という説。個人的にはこれが最も答えに近いかもしれないと思えますので、これについては次のところで少し深く掘り下げて検証します。

人の目を見つめるのは「飼い猫」に特有のしぐさだった!

上でもちょろっと触れましたが、猫はほかの猫と対峙した際に、できるだけ知らんぷりでやり過ごす習性があります。縄張り争いやメスの取り合いのときにはガチンコでガン飛ばしまくりの喧嘩をします。

しかしそれ以外のシーンでは、賢い猫はできるだけムダな喧嘩を避ける、意外と平和主義の習性があるんです。したがって、相対する者と目を合わせるという行動をとるのは、「飼い猫」に限定されるのです。

だって、飼い主であれば目を合わせたってムダな喧嘩になることはないのですから。ウチの猫などは、至近距離で目を合わせるのは嫌がりますね。割と遠くからはこれでもかというくらい見つめてきますが。

この説を唱えた学者さん(獣医師先生)は、飼い猫だけがヒトの目を見つめるという傾向に着目し、このように推理(というか断定)されています。

飼い猫が飼い主を見つめる理由
飼い猫は、飼い主の顔を見つめたところ、エサをもらえた、なでてもらえた、遊んでもらえたなどのプラスの経験を経て、顔を見ることで自分にとってプラスが起こりうることを学んだから

(参考:藤井仁美先生・「お願い、聞いてもらえる?」-ねこのきもちクイズ(Benesse)より)

まあですからこの説が正しいとすると、結論は「顔を見つめてやりゃあ願いをかなえてくれるんじゃね?」ということを経験から学んだ行動だった・・・というところに落ち着きそうです。

かわいい顔して結局自分のためかい!なーんて思わずツッコミを入れたくもなりますが、ウチの猫はあとで「こちょこちょの刑」に処し、かわりにこれからも願いをかなえてあげようと思います。

▼ごはんがもらえた経験から、朝からかわいく鳴いてくる猫もいますよね
猫が朝に鳴く理由。タイプごとの正しい対処法を知って解決しよう!

それはさておき、猫が好きな人間は猫のそういうところも含めて「かわいい」と感じるわけですから、猫は猫らしくあってほしい矛盾も間違いなくありますね。うーん・・・人間も結局身勝手でしたね。

そういう身勝手な発想で「猫が飼い主を見つめる理由」を分析してみると、

  • おねだり→飼い主はそのおねだりに応えてあげたい
  • 経験則からの学び→飼い猫との良好な関係を築いている自信
  • 何も考えていない→それでも飼い主を見つめてくれるのはある種の愛情表現

というふうにもとらえることができますかね。何より、猫にとってもヒトにとっても互いの存在が心地よいと思える関係であれば、実はそれがベストの距離感なのかもしれません。

我が家のにゃんこエピソード

昔、我が家には三毛猫がいました。この猫、ある部屋の一隅をじーっと見つめる悪いクセがあったんです。非常に穏やかな性格の優しい猫だったので、ただ見つめるだけでした。

しかしかなり長時間、人間の目には何も見えない空間をじーっとやられると、正直あまり気持ちのいいものではありません。猫をたしなめ、抱いて元の場所に戻しました。

現在も別の三毛猫がいるのですが、前の三毛猫と同じ場所を見つめるんですよねぇ・・・しかもさらに頻繁に。現在の三毛猫はかなり野性味が強く、活発で喧嘩も負けたことがないタイプです。

その三毛猫は、相変わらず何もない空間を凝視し、これ以上ないくらい尾を太くし、毛を逆立ててるんです。しかも今のは抱いていつもの場所に戻してもまたすぐに戻って同じ何かを睨んでいます。

ちなみに母猫も同居しているのですが、三毛猫ではない母猫はそんな悪癖などまったく見せません。前の猫といい今の猫といい、虚空をじーっと見つめる悪いクセがあるのはなぜか三毛猫だけ。

前の猫も今の猫も、その理由を教えてはくれません。別にその部屋で何か妙な現象が起こったことなどありませんよ。今の猫は特に、放っておくといつまでも見ています。ほら、今こうしているときも・・・

うーわ、こっわ!なんやねんもーぉ・・・(泣)

▼人間には見えないけど、猫は不思議な何かを感じているのでしょうか
フェレンゲルシュターデン現象の真実と嘘。見ているのはアレだった!

飼い主を見つめる猫の目に感じるズル賢さ

猫と犬は何かと比較対象になります。犬は飼い主に対して忠実であり、猫は自由気ままを好むという説がありますが、これはまさに比較の典型例です。飼い主をひたすら見つめる猫の目にもそれはあらわれているようです。

猫は忠実どころか、飼い主を「目力」でメロメロにさせてしまう魔力があるのではないか・・・今回はそんな気持ちにさせられました。もちろんだからこそ「猫派」は絶大に猫を支持するのでしょう。

▼猫の目力にはとてつもない魅力があります
猫が目を合わせるときの気持ち。大好きな飼い主さんに伝えたいこと

美しく金色に輝く猫の目に見つめられるとなんとなく心の奥底まで見透かされているような気持ちにもなりますが、猫の気持ちを見透かさなければならないのは、むしろ私たち人間のほうなのかもしれませんね。

猫の小悪魔性というか、なんとなくズル賢さのようなものを、人間をひたすら見つめる美しい瞳の奥底に垣間見た気がしないでもありません。それでも、やっぱり猫は愛すべき存在であることは間違いありません。

まあしかしそれも仕方ないことなのかもしれません。何しろ人間は、かわいくて美しくてちょっとズル賢い「小悪魔」には弱いですから・・・

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