猫といえばマグロ!という印象が根強いですが、実は猫にとってマグロを始めとした青魚を与えすぎることは危険な場合もあるということをご存じでしたか?
猫にマグロを与えることは危険を伴い、一歩間違えれば重篤な症状により取り返しのつかないことにもなりかねません。大切な愛猫を守るためにも猫にマグロを与える事について今回は考えていきましょう。
何の疑問もなく、猫にマグロを頻繁に与えている方は是非注意して見て下さいね。正しい知識を得て愛猫の健康を一緒に守りましょう!
猫にマグロを与えてもいいのか?問題は量!
それではまず、猫にマグロを与えてもいいのか?ということですが、結論から言うと、与える量に気を付ければマグロを与えても問題はありません。
猫にとってマグロは毒ではありませんし中毒症状を引き起こす食べ物ではありません。むしろ豊富なタンパク質や血合いに含まれるタウリンは猫にとって必要な栄養素なので、適量を与えることは猫の健康を助けるために有効だとも言えます。
また必須アミノ酸も含まれているので、とても体にいい食べ物だとも言えます。それでも与え過ぎには気をつけないといけません。与え方、与える量を適切に守らないと、取り返しのつかないことになりかねません。
猫にマグロを与えすぎることで起こり得る危険
猫にマグロを与えることに問題はないですが、マグロのみを与える、毎日多量に与えることはとても危険です。というのも猫は元々完全肉食動物で小動物を捕食していました。
水が苦手な猫ちゃんが、自ら海や川に入ってマグロを始めとした魚を捕って食べるようなことはありません。
猫がマグロを食べるようになったのは人間と生活を送るようになった時、人間の食べ残しなどを餌としてもらっていたことから口にするようになったのです。
そのため猫はマグロを消化するような体の作りをしていないのです。では、マグロを食べすぎると具体的にどのような症状が出るのか見ていきましょう。
黄色脂肪症(イエローファット)の危険性がある
黄色脂肪症(イエローファット)とは、猫の脂肪組織が炎症してしまい黄色く変色してしまう症状のことを言います。黄色脂肪症は次のような症状が現れます。
- 皮下脂肪のしこり
- 患部に触れると痛がる
- 歩き方の異変
このような症状が見られたら黄色脂肪症の可能性があります。特に黄色脂肪症は触られると激しい痛みを伴うので、しこりの箇所を触れると嫌がるようなら黄色脂肪症を疑いましょう。
黄色脂肪症の原因は、不飽和脂肪酸の摂りすぎによるものです。不飽和脂肪酸とはマグロなどの青魚に含まれている成分のことです。この不飽和脂肪酸は人間にとっては体にいい成分として知られていますが、猫にとっては体に悪影響を及ぼすのです。
マグロを始めとした青魚を与えすぎる危険とは、この不飽和脂肪酸を過剰に摂取してしまうことで引き起こされるのです。
生のマグロはビタミンB1欠乏症を引き起こす
ビタミンB1とは炭水化物を分解するのに力を発揮する栄養素です。猫は元々肉食動物で炭水化物を消化することはあまり得意ではないため、このビタミンB1をあまり多く持っていません。
このビタミンB1を分解する酵素「チアミーゼ」を多く含んでいるのがマグロを始めとして魚の刺身なのです。
このチアミーゼを多量に摂取してしまうと、ただでさえ少ないビタミンB1がさらに失われていき「ビタミンB1欠乏症」を引き起こしてしまうのです。ビタミンB1欠乏症に陥ると以下のような症状が引き起こされます。
- 運動障害
- 意識混濁
- 歩行失調
- 心臓失調
- 痙攣
ひどい場合は昏睡状態に陥ることもあります。もちろん少量ならばこのような症状は引き起こされませんが多量に与えてしまうと、危険な状態に陥ることもありますのでしっかりと注意をして与えてあげるようにしましょう。
さらに生のマグロに潜む寄生虫による食中毒の危険
生のマグロとして寄生虫の心配も頭に入れておく必要があります。寄生虫に感染しているマグロを食べると食中毒を引き起こし、最悪の場合死に至る可能性もあります。
生のマグロに含まれている可能性のある寄生虫は以下のものが挙げられます。
- アニサキス
- ヘキサプンクタータ
- クドア
下痢や嘔吐などの食中毒症状にくわえ、特にアニサキスは強い腹痛を起こすので、
- 地面に腹をべったりとつけるかたちでうずくまる
- いつもと違う場所でうずくまる(部屋の隅など)
- 呼吸が荒くなる
- よだれが垂れる
といった様子が見られた場合、マグロからの寄生虫の感染を疑いましょう。
寄生虫は鮮度の落ちているマグロに含まれていて、猫だけではなく人間にも害を及ぼす可能性があります。
特に加熱用のマグロは、生食用(刺身用)のものに比べて鮮度が落ちている場合がありますので生で食べる場合は注意が必要です。これらの寄生虫が生のマグロに必ず含まれているわけではありませんが、可能性はゼロではありません。
必ず食中毒を引き起こすから生のマグロを与えない方がいいとはいいませんが寄生虫による食中毒のリスクを考えると、できれば加熱したマグロの方が安心はできます。
ただ、どうしても生のマグロを与えたい場合は、鮮度のいい刺身用のまぐろを選ぶようにしましょう。
マグロアレルギーに注意
猫には食物アレルギーがあることをご存じですか?個体差によりますが、食物アレルギーを引き起こす可能性のあるアレルゲンは穀物類、肉類、果実類、と様々ありますがマグロもアレルゲンとなる可能性のある食材なのです。
マグロアレルギーを発症すると以下のような症状がみられます。
- 下痢
- 嘔吐
- 湿疹
- 目の充血
- 咳
- 呼吸困難
- 意識障害
軽い症状から重篤な症状まであります。もし愛猫がマグロを食べてこのような症状が出た場合はマグロアレルギーの可能性があるので、獣医師に相談しましょう。
猫にマグロを与える正しい方法
猫にマグロを多量に与えることは非常に危険ですが、全く与えてはいけないという訳ではありません。
猫は元々マグロなどの魚をあまり好まない動物ですが、昔からマグロの味に慣れ親しんでいる猫ならマグロが好物だという猫ちゃんもいるでしょう。
そのような猫ちゃんも与え方さえ気をつければ食べさせても大丈夫です。それでは早速、猫ちゃんにマグロを与える方法と適切な量をご紹介しましょう。
マグロを与える量
はじめに申し上げるとマグロを与える正しい分量というのはわかっていません。
と、いうのも猫にとってマグロはそもそも食べなくてもいい食材ですので、あえていうなら「猫にマグロを与えなくてもいい」ということになります。
でもそれを言ってしまっては、今までマグロを親しんで食べていた猫ちゃんは可哀想ですよね。1つの目安としてお伝えできるのが、マグロだけを毎日多量に与えることは危険だということです。
つまり、毎日多量にマグロだけを与えなければ心配は少ないのです。
マグロを与える上で気を付けてほしいのは栄養素のバランスです。マグロと同時に肉などの栄養素をバランスよく取り入れた食事を与えることがとても重要だということを覚えておきましょう。
刺身など生のマグロ
マグロを与える時は前述したとおりビタミンB1欠乏症、寄生虫、食中毒などの危険が伴います。ただ、鮮度のいい刺身用のマグロをおやつ程度に一切れを時々与える分には問題は少ないです。
その際は、寄生虫がいないか箸でほぐし目視で確認するだけではなく、古いマグロではないことを確認して、与える量に気をつけながらあげましょう。
ただし、目視で確認をしても寄生虫が潜んでいる場合もあります。そのような危険を考えると、加熱をする方が安心だということは覚えておいてください。
ツナ缶
マグロを与えてもいいならツナ缶をおやつ代わりに与えてもいいの?と思う人もいると思いますが、猫ちゃんの健康を考えればとても危険です。
ツナ缶には多量の塩分が使われています。猫にとって味の濃い食べ物は腎臓病を引き起こす原因となります。
またツナ缶を丸々一缶与えてしまうのはあきらかに栄養が偏るほか、マグロを与えすぎることで起こる黄色脂肪症、ビタミンB1欠乏症などの症状を引き起こしかねません。
ツナ缶を与えることは控えて、猫用のマグロ缶を与えるようにしましょう。
キャットフードのマグロ
「我が家の愛猫は、マグロを主成分にした猫缶をずっと食べているけど大丈夫?」
と不安になっている方もいると思いますが、キャットフードとして市販されているマグロの猫缶やマグロのドライフードは栄養バランスをしっかり考えられて作られています。
そのため毎日マグロを使った猫缶を食べても、黄色脂肪症などの恐ろしい病気にはなりませんので安心して下さい。
むしろ、マグロを与えたいと思うならよっぽどの事がない限りキャットフードで与えるほうが栄養バランスを考えて作られているのでとてもいい与え方だと言えます。
マグロをおやつ代わりに与えたいと思うならば、市販されているマグロの猫缶を時々与えるようにしてみてはいかがでしょう?
猫にマグロは与えすぎない事が肝心
猫といえば魚!マグロ!というのが常識だと思われがちですが、それは私たち日本人が勝手に思っているだけで猫にとってマグロは食べなくてもいい食材なのです。
しかし、嗜好品として楽しむならマグロは猫に必要な栄養素を含んでいますのでとてもいい食材とも言えます。
また、マグロを元々食べない猫ちゃんですが長年人間と共に過ごしてきた影響なのかマグロを始めとして魚類を好む猫ちゃんはとても多いです。
マグロを与えるときは量に気を付けて時々のお楽しみとして与えてあげるか、キャットフードで与えるようにしましょう。
みんなのコメント
-
加熱用のマグロを生で与えることは非常にリスクが高くなる
・・という寄生虫はどんな種類がいてどんな症状があるのでしょう刺身用・加熱用、マグロの状態について
筆者さんはなにか意味をとりちがえている可能性がありそうです