愛猫がくしゃみや鼻水をたらしているとき、実はその症状、猫風邪かもしれません。
「室内で飼っているのになぜ猫風邪にかかるの?」と不思議に思う飼い主さんも多いかと思います。
猫風邪とは、さまざまなウイルスが原因となって引き起こされる症状を指します。
そのウイルスの感染力は非常に強く、感染経路もさまざまです。
今回は、猫風邪の感染経路や、私たち人間にうつってしまうかどうかなど、ウイルスについての注意点も交えてご説明します。
猫風邪の原因となるウイルスはどこからやってくるの?
ウイルス感染の原因は、主に
- 感染猫との接触
- 感染猫に接触した飼い主から感染
の2点です。
くわしくみていきましょう。
ウイルスを持っている猫から猫へとうつる場合
感染猫の
- くしゃみ
- 鼻水
- 目やに
- よだれ
- 排泄物
などに触れることで、ウイルスが感染し、猫風邪を発症してしまう可能性があります。
感染猫とのグルーミングなどでもうつるので、ウイルスを保有している野良猫から守るため、できれば室内で飼育することが理想的です。
また、母親がウイルスを持っていた場合、子猫にうつってしまうこともあります。
猫風邪の原因となるウイルスは、非常に感染力が強く、空気感染ですぐに別の猫にうつってしまいます。
多頭飼いで一匹に猫風邪の症状が見られたら、すぐに隔離し、感染が広がることを防ぎましょう。
室内で飼っているのになぜ?人を介してうつる場合
完全に室内だけで暮らしている猫も猫風邪にかかることがあります。
室内猫は直接ウイルスにふれることはありませんが、飼い主が感染猫を触った手でさわることで、ウイルスがうつってしまうのです。
野良猫をさわったときは必ず、手洗いうがいを徹底しましょう。
また、衣類や靴にウイルスをつけて帰ってしまうことがあります。なかなか靴の裏まできれいにすることはむずかしいですよね。
三種混合ワクチンという予防接種をうけることで、猫風邪の原因となるウイルスを予防することができます。
完全にシャットアウトすることはできませんが、もしかかってしまった場合も軽い症状で済むので、お医者さんと相談して早めにワクチンを接種しましょう。
特に、猫ヘルペスウイルスによって引き起こされる猫ウイルス性鼻気管炎は、ウイルスに感染した猫のよだれや鼻水などから簡単に感染します。
猫風邪の症状が見られない猫だから大丈夫と油断してさわっていても、実は神経のなかにウイルスを隠し持っていることがあるので注意してください。
足元にすり寄ってくる野良猫はかわいいですが、必ず帰ったら服を洗い、ウイルスを落としてから飼い猫と接触しましょう。
野良猫を保護したら、まずは病院へ
弱っている野良猫などを保護したときは、先住猫と接触しないように注意してください。
野良猫は、猫風邪の原因となる猫ヘルペスウイルスなどを持っていることが多く、元からいた猫にうつしてしまうことがあります。
「たかが猫風邪がうつるだけ」と軽く考えてはいけません。このウイルスは一度発症するといつまでも神経に残り、免疫力の低下とともに症状をぶり返すやっかいな疾患となります。
保護して自宅に連れて帰った猫が、くしゃみなどでウイルスを飛ばしてしまわないよう、先住猫とは別の部屋に隔離しましょう。
保護した野良猫はすぐに病院へ連れて行き、猫風邪だけでなく、感染しやすい耳ダニやノミなどがいないかどうかチェックしてもらってください。
診察が終わっても、薬の効き目がでるまで、しばらくの間は先住の猫と接触しないように隔離してください。
猫ヘルペスウイルスが原因となる猫ウイルス性鼻気管炎は接触感染です。ウイルスに触れることで簡単に感染してしまいます。
また、ウイルスは冬場の乾燥期に発症しやすいといわれています。感染猫の排泄物が乾燥して空中を舞飛ぶことでも感染します。
保護した猫と先住猫は、必ずトイレやごはん皿を別々にし、ウイルスが感染する経路を絶つよう心がけましょう。
危険!猫風邪発症中の猫ちゃんは外出禁止
猫風邪の症状が見られる猫ちゃんを外へ出すことは、絶対にやめてください。
猫風邪の原因となるウイルスは、
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などがありますが、猫風邪はこれらのウイルスが複合して発症する場合もあります。
ひとつのウイルスによって猫風邪の症状が出ている猫は免疫力が低下し、身体が弱っている状態です。
さらにちがうウイルスに感染する恐れもありますし、また別の重い疾患を引き起こしてしまう可能性もあります。
普段自由に外へ出している猫ちゃんにとってはストレスかもしれませんが、ほかの病気がうつってしまわないように猫風邪発症中は家のなかで安静に過ごしてもらいましょう。
猫風邪は人間にもうつるの?
猫風邪の原因となるウイルスには、
- 猫ヘルペスウイルス
- 猫カリシウイルス
- 猫クラミジアウイルス
などがあります。
このなかで、猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスは、人間や同居犬に感染することはありません。
しかし、猫クラミジアウイルスは、非常に稀なケースですが、人や犬にも感染する(人獣共通感染症)ことがあります。
猫クラミジアウイルスに感染している猫のくしゃみや鼻水を触った手で、そのまま目をこすったり口に入ってしまった場合、自分が感染してしまうことがあるので注意してください。
猫クラミジアウイルスが人間に感染し、結膜炎を発症した例が確認されています。
感染経路として、
- 空気感染
- 経口感染
- 咬傷感染
などがあげられます。
空気感染はその名の通り、空気を通して感染することです。
経口感染は、口に病原菌が入って感染することを指し、咬傷感染は噛まれたときにウイルスが入り、感染するケースを指します。
ただの猫風邪と侮ることなく、排せつ物やよだれなどを触った場合、すぐに手を洗い感染経路を絶ちましょう。
あっという間に広がる猫風邪を防ぐために
猫風邪のウイルスはとにかく感染力が強く、多頭飼いで一匹がかかってしまった場合、あっという間に全員に広まってしまうことがあります。
猫風邪にかかってしまった猫を隔離することももちろん大切ですが、一番重要なのは家のなかにウイルスを持ち込まないことです。
飼い主が感染の元になってしまわないよう、野良猫などをさわるときは必ず帰ってからの手洗いや衣類の洗濯を徹底してください。
また、室内で飼っている猫に網戸越しで外を見せてあげるとき、前を通る野良猫のくしゃみや鼻水によって空気感染することもあります。
どんなに注意していても、猫風邪にかかってしまうことはあるので、いつもとちがう様子を感じたら、まずはかかりつけのお医者さんに相談しましょう。
早期発見の治療が何よりも大切です。