猫のかわいい姿と聞いて、どんな姿をイメージしますか?やっぱりすりすりと擦り寄ってくるしぐさでしょうか?それとも尾っぽをピーン!と高く掲げて誇らしげに歩く姿?ぴょんぴょん弾んでじゃれる姿もかわいいですね。
そしてなんといっても「猫の寝姿」も非常にかわいらしいですね。くるっとまるまって眠る姿はもちろん、それ以外にも「へそ天」と呼ばれる寝姿も猫ならではのかわいさがあります。
皆さんは猫の「へそ天」をご存知ですか?
かわいい!かわいすぎる!猫のへそ天とその意味を知る
「へそ天」ということばには、てんぷらか何かのような響きがあります。しかしてんぷらでも天丼でもありません。もちろん「おへそ天国(?)」でもありませんよ。
へそはそのまま「おへそ」です。天もそのまま「天」、もしくは「天井」ですね。つまり、猫が真上を向いて寝る(起きていてもふにゃふにゃのお腹を丸出しにして静止する)のがへそ天です。
猫がいちばんかわいいと思える姿のひとつでしょうね。
猫のどんな気持ちが隠されている?へそ天の意味を探る
猫のおへそがどこにあるのかは定かではありませんが(まあ人間のおへそと同じような位置にありますね)、へそ天で注目すべきは、おへそがどうこうではなく、お腹が上を向いているというほうなんです。
お腹を上に向ける寝方はうちの猫もよくやるよ!という声も聞こえてきそうですが、そうなんです。猫はお腹を上に向けることが実際に多いですね。いや、そんな「あるある話」ではないんですが。
へそ天、こんなです・・・
ここで注目したいのは、猫にしても犬にしても、お腹を見せるということは、自分の最大のウィークポイントを目前にさらしていることを意味する、という点です。野生の動物なら絶対そんなことはありえません。
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もちろん野良猫でも、よほど関係性が良好にならなければへそ天などありえない所業です。犬は飼い主に対して「絶対服従」のしるしとしてお腹を見せます。では、へそ天をする猫はいったいどんなキモチなのでしょうか?
- へそ天をする猫のキモチ
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- (前脚でバンザイして)最高レベルの安心・リラックス
- (手招きも交え)遊んでほしいサイン
- お腹をなでてほしいサイン
暖かい春の日に日向ぼっこをしていたり、寒い冬の日にホットカーペットの上でくつろいでいたりすると、やおら身体を横たえ、ナデナデしてあげるとお腹をくるっと上に向けて「へそ天」のスタイルをつくりますね。
このときには、主に上記のような理由・意味が込められているんですね。犬は猫とちがい、序列の社会性を重視する動物ですから、遊んでほしいと思っていない可能性が高いです。だから「服従のサイン」ですね。
一方猫は、飼い主にしたがう気持ちはあまり強くなく、同列もしくは自分が上くらいの割といい加減なスタンスで飼い主と同居することが多いです。そのため、安心感や遊び相手、暇つぶしのような感覚でへそ天スタイルをつくります。
「猫が飼い主に甘える気持ち」という説もありますが、まあ上記3とおりのキモチをひっくるめれば、甘えに近い感情もあるのかもしれませんね。
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猫がへそ天スタイルをとれば猫も人間も幸せ・・・とは限らない!
猫がへそ天スタイルで寝転がってだらーっとしたりゴロゴロしたりしながらバンザー!をしてこちらを見ていました・・・なんていうときは、猫本人はもちろん、飼い主さんも幸せなキモチになりますよね。
へそ天は見る者に対しても幸せを運んでくれる猫の「脱力パワー」である気が筆者にはしてなりません。しかし、意外にも「猫も人間も幸せ!」とは限らないへそ天もあるのです。
犬の場合、お腹を見せていればその時点で「自分(飼い主)に服従している」ということがわかりますが、奥深い猫の世界では、それも必ずしも成り立たないことがまれにあります。
- すごく幸せ~・・・とは限らない猫のへそ天
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- 夏バテ(季節を問わずまれに熱中症)
- (猫どうしのじゃれあいや飼い主さんと遊んでいるとき)攻撃態勢
- (猫どうしの喧嘩の際に)降参のポーズ
元気があって、食欲もあり、普段は尾をピーンと張ってごあいさつをして・・・ということであれば、猫のへそ天が重大な問題となる可能性は小さいです。しかし夏場、暑い日が続くときには要注意です。
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夏バテ気味かな・・・というタイミングでへそ天スタイルをとるのは、その見た目の印象どおりの「夏バテ」の可能性もあります。ちゃんと食事をしているか、元気はあるかといった普段の生活にも注視すべきです。
夏バテのレベルまで悪くはないものの、暑さから気持ち的にダラけてへそ天のポーズを見せることもあります。猫は暑くても体毛がフカフカですから、少しでも通気を利かせたい気持ちはよくわかりますよね。
ですから、元気で食欲があっても、暑さが理由のへそ天と思われるタイミングでは、その後夏バテを起こさせないよう飼い主さんが注意してあげていただきたいと思います。
また、これはあくまでも猫と遊んでいる、じゃれている流れの中での姿ではありますが、「要警戒へそ天」もあります。猫が敵を攻撃するときには、お腹を見せて敵を引き込むような動きを見せることがあります。
お腹を見せて呼び込んで下から敵の喉に咬みつく、後脚の爪を立てて強烈なキック攻撃を仕掛けるなど、猫の攻撃は多彩です。下になっているからといって必ずしも劣勢とは限らないのが猫の喧嘩です。
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もともと猫がじゃれるのは、喧嘩のための準備・予行演習であるとする説もあるくらいですから、飼い主さんとじゃれて遊んでいても、その流れの中でへそ天ポーズになったときには、むやみに手を出したりしないほうが無難です。
そして、猫どうしの喧嘩の際に「もうコイツにはかなわない!」と判断したときに、お腹を見せて「もうこれ以上攻撃しないでください!」というポーズとして、へそ天的ポーズをとることもあります。
これは犬どうしの喧嘩でもみられますので、犬でいう「相手に服従・屈服した」という気持ちに近いといえるでしょうね。
いずれも、それほど頻繁に目にするケースではありませんが、夏バテの場合は猫の、模擬喧嘩の場合は飼い主さんのダメージやケガにつながりますので、十分注意していただきたいと思います。
かわいい猫のへそ天をご堪能ください!でもちょっとだけ注意も
今回は猫の安心やリラックス、遊んでほしいというリクエストなど、とにかくかわいい「猫のサイン」であるへそ天をテーマにお話してきました。猫にはいろいろな表情があります。
顔の表情ではなく全身を駆使して猫特有の表現を惜しみなく発揮します。そういうとき、飼い主はほんとうに幸せな気分になりますね。猫のへそ天もその代表的なパフォーマンスでしょう。
特に気になる症状や様子が見られないふつうの状態でのへそ天であれば、飼い主さんは大いにそのかわいらしさをご堪能いただきたいと思います。ただ、夏バテや攻撃姿勢との見極めもちょっとだけ気を付けてください。
なお、うちの猫はへそ天をしない!とお嘆きの飼い主さんもいらっしゃるかと思います。これはあくまでも想像ですが、おそらく野性が残っている猫はあまりへそ天を好まない印象があります。
実は、筆者宅の母娘猫も、人懐こい母猫は猫好きの通行人にもお腹をなでさせるくらいしょっちゅうへそ天をします。しかし野性味残る娘猫は飼い主の前でもへそ天はめったにしないです。
猫にも個性があります。かわいいからといって無理に猫をひっくり返してお腹をナデナデするようなことはやめましょう。筆者はそれで「痛い目」を見ました。まったく不愛想な娘猫め・・・