猫がメインの映画特集。癒し系から社会ドキュメントまで楽しめる3選

テレビ、ネット、雑誌などさまざまな媒体で猫が紹介されていますが、ドーンと大画面で観るのも猫好きさんにはたまらないでしょう。

個人的な好みではありますが、さまざまな角度から描かれた猫がメインの映画をご紹介します。

飼っている愛猫以外の猫のアップもなかなか味があって可愛らしいものです。猫に取り囲まれている気分になっちゃうかも。

「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち」 2017年

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NHK-BSプレミアムで放送中の「世界ネコ歩き」が満を持して映画化されました。

2014年に1年を通して、青森県津軽地方の四季とともに、そこに暮らす猫を特別版で放送しましたが、その後の現在の様子と、おそらく岩合さんがお気に入りの世界の猫たちが紹介されています。

私事ですが、私は青森県弘前市出身、つまりここの舞台となった津軽地方で育ったので、
少し贔屓目に観てしまってるかもしれません。

ただ、若い頃は田舎でつまらないと思っていた津軽の風景を、岩合さんは見事に素敵な世界に表現してくれています。

映画の元になった特別版の写真を中心にした「ふるさとのねこ」の写真展に行ったときのことです。

岩合さんにサインをしていただいたのですが、私が「弘前出身なんです」と言ったところ、「ああ、それはそれは!お世話になりました」とにっこり笑ってくださいました。もちろん、私は出身なだけで、お世話もなにもしていないのに!

そんな素敵な岩合さんは、猫目線で撮影することで、猫の視聴率も高い番組を作られています。

映画の話に戻ります。5月にコトラという猫が5匹の仔猫を産みます。まず驚くことに、生まれたその日からコトラは撮影されることを許します。

コトラはりんご園で暮らしており、りんご農家の人のお世話になっていますが、完全な飼い猫ではありません。そのような半野良猫が、出産という一番ナーバスな時に、すぐ近くで人がいても怒らないでいるのです。

私がこれまで出会った出産後の母猫は必ずと言っていいほど、シャーシャー攻撃的でした。

春に生まれた仔猫たちが、夏秋と過ごし一番厳しい冬を迎えます。津軽の冬は一晩で1mも雪が降る日もある過酷な世界です。抵抗力が無い仔猫たちですが、日頃自然界でたくましく生きているからか、冬も元気で過ごしていました。

さて、それから3年後。今の暮らしぶりを紹介していくのが、この映画の一番の見どころです。

日本でも世界でも、自然のなかで生活する猫がどのように暮らしているのか。簡単に言えば、それだけのことですが、そこには、それぞれの地方特有の季節があり、他の猫たちとの関係があり、さらに人間社会と共存していくという問題があります。

すばらしいのは、それぞれの猫が各地方に見合った知恵や工夫を確立して生きていっていることです。過酷な自然のなかで、たくましく、そして自由に生きていく猫たちの姿に励まされ、その命が受け継がれていく様子に感動してしまいます。

「劇場版 猫侍」 2014年

こちらもテレビから映画化された作品です。その名の通り、猫と侍のおかしなコンビが活躍するドラマです。

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エンターテインメントそのもので、強面の浪人が真っ白でかわいい猫にメロメロになっていく様子は、本当におもしろおかしく感じてしまいます。

現代でも、厳しくて頑固なお父さんが、ペットを飼ったとたん、赤ちゃん言葉で会話をするようになったという話を聞きますが、それに通じるものを感じます。

映画は、ドラマのストーリーと少し異なっています。猫の玉之丞(たまのじょう)がいた屋敷、猫派vs犬派の対決など、新たな展開があります。

主人公の班目久太郎(まだらめきゅうたろう)は、剣術の腕に優れていますが、無愛想なため、仕事に恵まれず「まだら鬼」と呼ばれています。そんな班目に、猫を斬って欲しいという仕事が舞い込むのですが、その猫が玉之丞です。

今なら、猫を斬るなんて、動物愛護法では懲役・罰金刑ですが、そこは時代劇ですので。

班目が玉之丞を思い、心の中でつぶやく言葉がとても愛らしく、本人も「萌え~」と思っているところが笑えてしまいます。

玉之丞を演じた猫は、全部で3匹いて、よく観ると違うのが分かってしまいます。ただ、班目の懐に納まり、立ち回り中も外に飛び出してしまうのではなく、そのままおとなしくしている姿は、さすがの演技力です。

この時代の猫がどのような扱いをされ、暮らしていたのか分かりませんが、昔も今も、猫という動物が癒しの対象になっていたのでは、と思わせる作品となっています。

「猫侍 玉之丞 南の島に行く」という第2弾も作られています。

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こちらはさらにエンターテインメントに富んだ内容になっていますので、興味がある方は、ぜひ観てみてください。

「犬と猫と人間と」2009年、「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」2014年

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非常に胸を締めつけられるドキュメント映画です。

今は、全国の動物愛護センターなどで、犬猫の殺処分を無くしましょう!今年はゼロになりました!と声高に発表していますが、この映画が作られたときは、それほど大きく取り上げられていませんでした。

飯田基晴監督が、捨てられた犬と猫をめぐり、命の行方を見つめた4年間の記録映画となっています。

この作品も、私にとって馴染み深い場所を取り上げているので興味を持ちました。多摩川もその1つで、そこに暮らす動物たちを撮影している小西修さんの写真展があり、飯田監督のトークショーも行うということで参加しました。

監督は、非常に穏やかで静かな方でした。それとは対照的に、映画は現実社会にするどく切り込む内容となっています。

興味深いのは、この映画はそのメッセージを押し付けるかたちではなく、たんたんと事実を伝える内容になっていることです。

それは、自らナレーションをした監督の声が効果的なのと、シビアな面だけでなく、犬や猫のくすっと笑える愛らしい場面も描かれていることが大きいと思います。

第2弾にあたるのが、「犬と猫と人間と2 動物たちの大震災」です。

2011年東日本大震災に被災地で動物たちがどのようになってしまったかを描いています。2では飯田氏がプロデューサーに回り、宮城県出身の宍戸大裕氏が監督を努めています。

ニュースなどで被災地に取り残された動物たちを見た人も多いかと思いますが、公共の番組では放送できないような、むごい現実をそのまま映し出していますので、思わず目を覆いたくなるような場面も出てきます。

特に、畜産動物の被災後の姿に圧倒されます。

昨今は、大規模災害が起こったとき、人間とペットが一緒に避難する、同行避難を推奨しているところも多くなってきました。ただし、東日本大震災ではまだまだ受け入れ体制が整っていない避難場所が多く、人間もペットも不幸なことになってしまうケースもありました。

映画を観て、自分も何かしたい!と思う人も多いでしょう。自分の生活に余裕がある方は、まずは行動することだと思います。

今は非常に多くのボランティア団体が存在します。それぞれの団体が協力し合いながら、日本全体で動物愛護の精神が向上することを切に願います。

また、このような映画は、猫好き、動物に興味を持つ人が観ることが多いでしょう。ただ、メッセージ性のある作品は、関心がある人だけでなく、逆に興味が無い方にどれだけ観てもらえるかが重要になってくると思います。

これを機会に多くの方に知っていただき、興味を持ってくださることを期待します。「ペット大国」から「ペット天国」を目指したいものです。

猫がメインの映画を楽しみながら猫との共存を考える

今回紹介した3本の映画は、テーマが全く異なるものです。ただ、猫が生きている場所には人間がいます。人間が生きている場所にも猫がいます。

猫と人間は共存しています。犬や他の動物もそうですが、共存している限り、人間は責任を持って猫を保護しなければいけないと思います。

「犬と猫と人間と」が公開された2009年からこれまでの数年間で、猫を取り巻く環境は大きく変わりました。行政の取り組み、法律改正、民間団体の努力などで、猫にとって暮らしやすい環境になりました。

ただ、もっとより良く変われるはずだと思います。お手本とする欧米諸国では、50年以上もかかって今の社会になりました。日本もこの数年で大きく変わったことを糧に共存共栄に向けて、改善を続けて行くことを願います。

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