「病院に連れて行きたいけど車がない」「心配だから実家へ一緒に帰りたい」など、愛猫を連れて電車に乗る場面はさまざまあると思います。
電車のような公共交通機関に愛猫を同伴して乗る場合、どのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。
今回は猫と一緒に電車に乗るときの料金や注意点などについてまとめました。
鉄道会社によって猫の乗車にも切符が必要!料金など確認しておこう
猫も私たちと同じように大人分の切符が必要なのでしょうか?
実は、猫ちゃんは私たちにとっては大切な家族ですが、日本の法律上、物としての扱いになるので人間用の切符は必要ありません。
猫は電車のなかに持ち込む、いわゆる手回り品とされていています。
猫だけでなく、子犬やハトなどの小動物も手回り品のひとつです。ここでいう手回り品とは 大きなカバンや楽器などと同じ扱いということです。
運賃は鉄道会社によってさまざまですが、JRの場合280円です。駅の改札口で手回り品専用の切符を購入してください。
このときキャリーバッグは1つで280円なので、乗車する駅の改札口で荷物を確認してもらい、キャリーバッグの数だけ切符を用意しましょう。
もちろん1つのキャリーバッグに2匹の猫を入れても280円ですが、あまりにもぎゅうぎゅうだと猫も苦しく、ストレスが倍増してしまうのでおすすめできません。
特に、家のなかだけで暮らしている猫にとって、慣れない移動は大きな負担になります。できるだけストレスのかからないよう配慮してあげてください。
電車に乗ろう!愛猫と乗車するときの注意点
電車では、猫同伴の乗車は基本的にオッケーとされています。
守らなければならないマナーや規定がそれぞれの鉄道会社によって異なるので、きちんと確認してから利用してください。
愛猫と電車に乗るとき、注意しなければならないポイントについて説明します。
電車で抱っこは絶対禁止!キャリーバッグを用意して
では電車に乗るとき、愛猫を抱っこしたまま乗車しても良いのでしょうか?
猫と一緒に乗車するとき、どんなにおとなしい猫ちゃんでも抱っこしたまま乗車することは禁止されています。
電車に乗るときは必ずキャリーバッグを用意してください。
鉄道会社によってさまざまな規定がありますが、「同伴するペットが危害を与える恐れがなく、周囲の人に迷惑が掛からないようにすること」はどの会社でも共通しているルールです。
自分の乗る電車のホームページを確認するなど、乗車条件についてきちんと調べてから利用しましょう。
例えばJR東日本では、キャリーバッグの長さが70センチで、縦・横・高さの合計が90センチ程度と決められています。
キャリーバッグと動物を合わせた重さは10キロ以内という規定もあるので、大型犬はむずかしそうですね。
猫同伴の乗車。電車のなかでのマナーを守ろう
「携帯電話をかけない」「大きな荷物は邪魔にならないように注意する」など、電車のなかはペットが同伴でなくてもたくさんの暗黙のマナーがあります。
猫と一緒に乗車するときは、さらに注意することが増えるので、理解して利用しましょう。
まず一つ目に、駅や電車のなかでキャリーバッグから猫を出してはいけません。中から開けることができないようにきちんとロックしましょう。
頭が外に出てしまうようなキャリーバッグは避けてください。
動物を飼っている私たちにはなかなかわかりにくい事実ですが、世の中には動物が嫌いな人もたくさんいます。
また、猫にアレルギーがある人も多いので、あくまでも公共の場所だということを考えて行動しましょう。
キャリーバッグは電車の座席の上に置くのではなく、自分のひざの上か足元に置いてください。
ひざの上におくときは抱えるようにしっかりと乗せることで揺れが少なくなり、猫ちゃんの不安も少しはやわらぎます。
混む時間帯にキャリーバッグを持っていると、ほかの乗客の邪魔になるだけでなく、騒音や振動で猫にとっても大きなストレスになります。
猫ちゃんと一緒に移動するときは、通勤ラッシュなどできる限り混む時間帯は避けてあげてください。
電車に乗ると愛猫の身体に負担がかかる?
私たち人間でも体調の悪いとき電車に乗ると、精神的にも肉体的にもへとへとになってしまいますよね。
猫も同じで、慣れない環境へ突然放り込まれてしまうのですから、私たち以上につらい思いをしているかもしれません。
電車に乗ることによる猫のストレスについて考えてみましょう。
電車なんて大嫌い!猫にかかるストレスとは
電車に乗り慣れている猫ちゃんならまだましですが、家のなかだけで暮らしている猫ちゃんにとって電車は未知の世界です。
特に、病院で暴れてしまう猫ちゃんは、電車移動に向いていないかもしれません。病院よりさらに多くの人が乗っている電車は、猫にとって大きなストレスです。
猫は嗅覚が非常にするどく、その感度はなんと人間の10万倍ともいわれています。知らない人たちのにおいで不安になり、こんな場所は嫌だよと大声で鳴いてしまうことも。
いつも家のなかだけで過ごしている猫ちゃんほど、お出かけは用心しなければなりません。キャリーバッグのなかで暴れたり、引っかいて出ようとパニックになってしまうこともあります。
パニックになっている猫ちゃんは、キャリーバッグから見える世界がいつもとちがうので、不安になっているのかもしれません。
キャリーバッグに布をかけて視界を遮ってあげると落ち着くことがあるので、試してみてください。
猫は大きな音が苦手なので、電車同士がすれちがう音やたくさんの人の会話にも敏感に反応します。
これはどうしようもないことなのですが、できるだけ人の少ない時間帯を選んで乗車するなど、ストレスを減らすよう工夫してあげてください。
また、キャリーバッグは揺れないようにひざにしっかりと抱えるか、床に置きましょう。
座席の上にある手荷物置き場にキャリーバッグを置くことは絶対にやめてください。
大きなキャリーバッグはぐらぐらと不安定に揺れますし、もし落ちてしまったら猫ちゃんもパニックになり大変危険です。
キャリーバッグに長時間入れられることは、猫にとって考えられないほどのストレスです。すこしでも体調が悪そうなら、その日は避けてください。
乗車前の準備として、目的地までの最短ルートを選ぶことで猫ちゃんの負担を軽くしましょう。
猫も電車に酔うの?その予防方法とは
あまりなじみがありませんが、私たち人間と同じように、乗り物酔いをする猫ちゃんもいます。
私たちが乗り物に酔うと、吐き気や冷や汗が止まらなくなりますが、猫の場合はすこしちがって、
- 何度もあくびが出る
- よだれが出る
- か細く何度も鳴く
- そわそわ動く
などの症状が出ます。ひどいときは嘔吐してしまうことも。
乗り物酔いを防ぐために、最低でも食事は乗車の3時間前までにすませてください。
猫ちゃんがどうしてもつらそうなら、一度電車から降りて様子をみましょう。休憩しながら、優しく声をかけてあげてください。
慣れない移動にパニックになっている可能性もありますので、なでるときは様子を見ながら引っかかれないように注意してください。
酔いやすい猫ちゃんはかかりつけのお医者さんに相談して薬を処方してもらうことができます。
ペット用の酔い止め薬は市販でも販売されていますが、その猫ちゃんにぴったりの薬を処方してもらえるのでやはり病院に行くのがベストです。
副作用についてもしっかり聞いて、必ず用法用量を守って与えましょう。
また、人間用の酔い止め薬は絶対に与えないでください。
猫と人間は身体の大きさだけでなく、薬の効き方や副作用もまったくちがいます。必ず猫用のものを飲ませてください。
事前準備が大切!電車移動の前に準備するべきアイテムとは
電車での移動は、猫にとっても飼い主さんにとっても一大イベントです。事前に準備をしておくことで、もしもの事態に備えましょう。
まずキャリーバッグは、必ず猫の全身が入り、ふたがきちんと閉まるものにしてください。飛び出してしまわないよう、家を出る前にロックの確認も必須です。
電車のなかで、猫ちゃんは非常に緊張しています。緊張しすぎて脱水状態になってしまうこともあるので、必ず飲み水を用意しておきましょう。
このときミネラルウォーターではなく、水道水を用意しておいた方が無難です。
ミネラルウォーターは硬水のものが多いので、尿結石を引き起こしてしまうことがありまうす。
水道水は塩素消毒されているので、雑菌が繁殖しにくく清潔なままきれいなお水を保つことができるというメリットも。
また、いつもとちがう環境が怖くて、キャリーバッグのなかでおもらしをしてしまう猫ちゃんもいるので、ペットシーツが必要です。キャリーバッグのなかにペットシーツを敷いておきましょう。
どうしても長時間乗らなければならないときは、数駅で休憩をとってペットシーツを清潔なものにかえるなど対策してください。
嘔吐してしまったとき用に、タオルやウェットシートも欠かせません。
電車のなかが怖くて騒ぎ出してしまった猫ちゃんに、いつものフードやおやつをあげると落ち着くことがあります。少量でいいのでいつも食べ慣れているフードを持っていきましょう。
キャリーバッグに余裕があれば、お気に入りのおもちゃを入れてあげてください。自分のにおいがついているものが近くにあることで安心します。
事前にしっかりと準備することで、スムーズに乗車できるよう工夫しましょう。
愛猫と電車に乗るときに心がけること
引っ越しや帰省など、愛猫を連れて公共交通機関を利用することは、飼い主さんにとってよくある場面かもしれません。
しかしやはり今でも、ペットを連れて電車に乗る人はめずらしいので、周りへの気遣いは必要不可欠です。
多頭飼いの場合はさらに大変で、手回り品の切符を1人2枚以上飼うことができないという規則がある会社もあります。
何人かで分担して1人1匹ずつ運ぶなど、電車に乗っているほかのお客さんにも配慮して乗車してください。
動物が苦手な人もいるということを理解したうえで、マナーを守って電車を利用しましょう。
そして何よりも緊張して疲れてしまった愛猫を、たくさんリラックスさせてあげてください。
電車移動から帰ってきたばかりの猫ちゃんは、神経が過敏になっています。少しの間そっとしてあげて、あちらから近寄ってきたらたくさん褒めてあげましょう。
ご褒美にいつもより少し美味しいごはんをあげたり、ストレス解消に遊んであげるのも良いかもしれません。