かわいい猫を苦しめるダニ。ダニ感染の症状と予防法

毛づくろいをしたり耳を掻いたり、猫なら当たり前の行動ですがよく見ると、あれ?いつもより長い時間やってるな…なんて時は要注意かもしれません。

皮膚に寄生する「ダニ」が原因で、このような行動が見られることがあるのです。ダニは猫の血液を栄養源としてどんどん成長・繁殖していきます。ダニと聞いただけでゾワゾワしてきますよね。

外で遊ぶことの多い猫はやはり感染する機会が非常に多いために要注意です。しかし、あなたの猫ちゃんが室内飼育だからといってダニが寄生してしまう可能性がゼロではないのです。

猫につく代表的な3種類のダニと、それぞれ寄生するとあらわれる症状

ダニの種類はたくさんありますが、比較的多くみられるのは3種類のダニです。

  • マダニ
  • ミミヒゼンダニ
  • ネコショウセンコウヒゼンダニ

ダニの種類によって寄生する場所や症状が違います。

マダニ

猫の皮膚のどこにでも寄生する可能性があり、

  • 皮膚の炎症
  • かゆみ

を引き起こします。

飽血(血をたくさん吸った状態)したマダニはトウモロコシの実くらいに大きくなるのですぐに見つけることができます。吸血する前の約200倍もの体重になるダニもいるんですよ!

マダニが寄生することによって、バベシア病、ライム病、日本紅斑熱、SFTF重症熱性血小板減少症候群などの恐ろしい病気に感染することもあるんです。

ミミヒゼンダニ

「耳疥癬(みみかいせん)・耳ダニ」と呼ばれ耳の外耳道の皮膚に寄生します。

  • 頭を激しく振る
  • 耳を執拗に痒がる
  • 耳の中が真っ黒に汚れている

というような症状で飼い主さんが気付くことが多いダニです。

この黒い耳垢が出ていればミミヒゼンダニが疑われますが、動物病院ではこの耳垢を顕微鏡にて検査をし、実際にダニが潜んでいるかをチェックし確定診断を行います。

ネコショウセンコウヒゼンダニ

「猫疥癬(ねこかいせん)」と呼ばれ、耳の周りから始まり、顔や背中・四肢にまで広がります。症状が重い場合は毛が抜け皮膚がガサガサの状態になってしまいます。

フケやかさぶたができ基本的に強い痒みを伴いますので、猫にとっても強いストレスとなります。

ダニの寄生に気付いたら?病院で受ける治療

ダニの種類によって、

  • 薬用シャンプー
  • 点耳薬
  • 駆虫薬注射
  • 外用薬

と治療法が変わります。

マダニ

医療用のピンセットでマダニを除去します。がっしりと皮膚に噛みついている場合は丁寧に除去を行わないとマダニの口器が皮膚に残ってしまい、炎症を起こしたり化膿してしまうこともあります。

すでに炎症を起こしている場合などは炎症止めの外用薬が処方されます。

ミミヒゼンダニ

耳の中にある大量の耳垢をきれいに掃除します。駆虫成分の入った点耳薬を投与します。この点耳薬は自宅でも行うように指示をされます。(嫌がる猫ちゃんが多いためなかなか苦労される飼い主さんが多いのが現実です。)

定期的に通院をして耳の中のチェックを行います。

ネコショウセンコウヒゼンダニ

1か月間駆虫効果のあるスポットオンタイプの薬剤を塗布することで、すでに寄生しているダニを駆虫そして予防します。自宅でも数回使用するように勧められます。

駆虫薬の注射を使用する場合もあります。

ミミヒゼンダニやネコショウセンコウヒゼンダニの治療は数週間の治療が必要となります。途中で治療をやめてしまうと生き残っているダニが増え症状が悪化してしまうので獣医師の指示のもと最後まで治療してあげましょうね。

大事なのは、ダニに感染しないように気をつけること

まず、できるだけ室内飼育をすること。草むらに入ったり、すでにダニが寄生している猫との接触により容易にダニは感染するのでこういった環境に行かせないようにしましょう。

外に出かける猫はこういったダニが寄生する機会が多いためしっかりと皮膚の状態を確認しておきましょうね。

ただし室内飼育の猫でも、飼い主であるあなたがダニの卵を持ち込んでしまったり(感染している猫を触ったりしたまま家に帰るなど)、動物病院で感染したりすることもありますので注意が必要です。

新しく同居猫を迎えるときも注意が必要です。ダニがすでに寄生しており、先住猫ちゃんに感染させるというパターンも非常に多いんです。しっかりと健康チェックをしてから接触させるようにしましょう。

1カ月程度の駆虫効果がある外用薬や内服薬もありますので、前もってこのような薬を使用するのもいいかもしれませんね。

できるだけ室内飼いにして、ダニがいそうな環境に行かせないようにする
外にでる猫ちゃんは

もし感染してしまったら・・自宅でできること

基本的にどのダニも病院での治療が必要となりますが、自宅でできることもあるのでしょうか。

マダニを発見した場合、まだ噛みついてなく皮膚の表面をマダニがうろうろしているときはアルコールで湿らせたコットンで覆い、ダニを気絶させます。動かなくなったらビニール袋に入れ、しっかり封をしてゴミ箱に処分しましょう。

もし、皮膚にがっつり噛みついている状態であれば無理に引っ張ったりするのは厳禁です。マダニ取り専用のピンセットなどが販売されていますのでそういったものを使用し、除去することも可能です。

ただし、うまく取れない可能性もあるのですでに噛みついている場合は病院で処置されることをおすすめします。

ミミヒゼンダニやネコショウセンコウヒゼンダニは大量の耳垢やフケが特徴です。再感染する機会を減らすためにも、部屋の中や猫ちゃんのベッドなどをできるだけ清潔に保ってあげましょう。

可能であれば(シャンプーは嫌がる猫ちゃんも多いためなかなか難しいこともあります。)自宅で薬用のシャンプーを使用し洗ってあげてください。この際、動物病院へ相談して適切なシャンプー剤を選んでもらってくださいね。

あなたの猫ちゃんがつらい思いをしないために

私は以前、動物病院に勤めていました。地域柄なのかマダニの寄生はそんなに多くなかったように思いますが、マダニをつけてくる猫ちゃんは基本的に外にお散歩に行く猫ちゃんばかりですね。やはり猫ちゃんは室内飼育をおすすめします。

ミミダニや、疥癬になってしまう猫ちゃんは結構多いんです。

多頭飼育の場合、同居猫ちゃん同士で感染しあうことが多いので飼い主さんも2つ、3つとキャリーケースを持って待合室で並ばれていました。早く完治を目指すには全頭いっきに治療をしますので飼い主さんも大変です。

どのダニも寄生すると猫自身とてもストレスになります。まずは寄生させないことが大事ですが、もし寄生してしまった場合はすぐに対処してくださいね。

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