挨拶はなんといってもコミュニケーションの基本です。実は、猫にも挨拶があるって知っていましたか?人間と同じように、猫も日常的に他の猫や飼い主さんへ挨拶をしているのです。
人間と違い、猫は意外な仕草を挨拶にすることもあります。猫の挨拶についてよく知っておくことで、今まで何気なく見ていた仕草が、実は猫の挨拶だったと気がつくかもしれません。
猫特有の挨拶方法や、挨拶された時のお返しのしかたなどについてご紹介します。
意外!?バリエーション豊富な猫流挨拶
人間のように声にこそあまり出しませんが、猫は全身を使って他の猫や人間に挨拶することがあります。猫が主に挨拶として使うのは、鼻やしっぽです。意外と様々なパターンがあるので、猫の挨拶の種類を覚えておきましょう。
鼻と鼻をちょん
猫の挨拶の基本とも言えるのが、この鼻と鼻をちょんと合わせるタイプの挨拶です。他の猫と遭遇した時、猫はお互いに鼻を合わせて相手の匂いを嗅ぎます。
猫は嗅覚が発達しており、匂いは最重要といっても過言ではない情報源です。匂いを嗅ぐことで、相手がいったい誰なのかという情報を探っています。
もし、もっとよく相手のことを知りたいと考えた場合は、鼻と鼻だけでなく、そこからお互いの全身を嗅ぎ回る行動に出ることもあります。
お尻の匂いを嗅ぐ
鼻と鼻で挨拶し、その後全身まで匂いを嗅いだら、最後にはお尻の匂いを嗅いで、相手がどんな猫なのかという情報を把握します。この場合、お尻の匂いを嗅ぐのはお互いにではなく、どちらかがどちらかの匂いを一方的にです。
猫であっても、やはりお尻の匂いを嗅がれることは嫌なのであるらしく、お尻の匂いを嗅がれまいとぐるぐる攻防を繰り広げることもあります。
猫は犬のように群れを作って生活はしないにも関わらず、猫の間で上下関係が発生するというのは何とも面白いことですね。
尻尾を絡ませる
一方、上下関係ではなくもっと親しい友人関係のような間柄の猫に対しては、お互いの尻尾を絡ませ合うという素敵な挨拶をすることもあります。また、時には尻尾を立てたまま、すれ違う時などに尻尾を絡ませることも。
お互いに立てあった尻尾を絡ませることで、猫は自分の気持ちを伝え、相手との友好関係を再確認し、挨拶としているのです。普段クールな猫のストレートな愛情表現は、何とも羨ましいですよね。
人間は尻尾がありませんから、残念ながら飼い猫でこのような瞬間を見ることができるのは主に多頭飼いの時だけです。
しかしながら、猫も人間とすれ違う時に立てた尻尾を人間の足にくるりと絡めてくれるなど、いわば人間用の挨拶をくれる時もあります。猫が尻尾を絡めてきてくれた時は、よく注意して見てみましょう。
スリスリする
相手にスリスリと体の一部、あるいは全身を擦り付けるのも挨拶の1つです。自分の匂いを相手につけ、お互いに同じ匂いであることを確認することで、仲間意識を持っていると考えられています。
特に仲のいい猫同士の場合、長々とスリスリした後そのまま一緒にお昼寝、なんていうことも。
スリスリは猫同士でもやりますが、飼い主さんにスリスリしてくれる猫は多いものですよね。特に、スリスリしている時に尻尾が立っていればそれはもう、猫も飼い主さんに会うことができてご機嫌である証拠です。
そんな時は、ぜひ頭や体を撫でて猫に応えてあげるとよいでしょう。
尻尾の先を曲げる
猫が尻尾を立てたまま、しっぽの先だけを「?」マークのようにくるりと巻くのも、挨拶のしぐさです。猫同士の場合は鼻と鼻同士で匂いを嗅ぐ前に、しっぽの先を曲げて近づくことで挨拶や敵意のなさなどを表す場合があります。
また、人間と会った場合でも、ほんの数秒しっぽの先をくるりと曲げてみせることがあります。ずっと曲げているとは限らないので、愛猫に会った時は注意して観察しておきましょう。
鳴く
鳴くのも挨拶の一種である場合があります。ただし、猫同士の間では、人間のように声を使ってコミュニケーションをとるということはほぼ見られません。
そのため、出会い頭に人間に対して鳴くのは、猫の人間専用の挨拶と考えられています。短い声で「にゃ、にゃ」と鳴く時は、猫からの挨拶かもしれません。同じトーンで鳴き返したり、撫でてあげたりしてお返ししてあげるとよいでしょう。
ニュアンスによって猫も挨拶の仕草を変えている
人間が挨拶する時、「こんにちは」ということもあれば「やあ、元気?」という軽い挨拶の時もありますよね。テンションが高いこともありますし、低い時だってあります。
実は猫も、その時の状況や気分で、これらの猫特有の挨拶を使い分けていると考えられます。例えば、
- あなたは誰?教えて!→ 鼻と鼻をちょん
- あなたに会えてとても嬉しい!→ スリスリ
- やあ元気?来たんだね。→ 尻尾の先を曲げる
- やっと来てくれた!ずっと待ってたよ!→ しっぽをピンと立てて近づき、短く鳴く
これはあくまで一例ですが、飼い主さんの立場から愛猫の様子を観察していると、状況によって様々な挨拶を返してくれることに気がつくでしょう。
また、多頭飼いしている場合、他の猫に対してどんな挨拶をするのかということをよく見ておくと、他の猫との関係性を把握する一助になるかもしれません。
指1本でOK!猫が挨拶してくれたら、お返しをしてあげよう
愛猫が飼い主さんに挨拶してくれるなんて、とても嬉しいことですよね。どんな挨拶をしてくれるにしろ、挨拶をしてもらえたらお返しをしてあげたいところです。
でも、飼い主さんには尻尾がなく、猫と同じ挨拶を返すことはできないこともあります。そこで、飼い主さんが愛猫にしてあげられる、猫に伝わる挨拶のしかたをご紹介します。
指を立てて、猫の鼻先に近づける
一番簡単でシンプルな挨拶は、自分の人差し指を1本ピンと立てて猫の鼻先に近づけ、匂いを嗅がせてあげるということです。
鼻を使った挨拶は猫にとって、相手の匂いから情報を得て、相手が何者であるのかを知ると言う意味があります。また、猫は本能的に先の尖ったものが鼻先に近づくと、匂いを嗅がずにはいられないという習性を持っています。
そこで、飼い主さんが自分の人差し指を差し出してあげることで、猫は反射的にその匂いを嗅いで確認するのです。人差し指についた飼い主さんの匂いを嗅ぐことで、猫は飼い主さんを改めて認識し、安心することができます。
猫が何らかの挨拶をしてくれたら、猫が満足するまで人差し指の匂いを嗅がせてあげましょう。
頭や喉を撫でてあげる
特に甘えん坊でスキンシップの好きな猫には、挨拶をしてもらった後、頭や喉など猫が気持ちいいと思うところを撫でてあげるという方法もあります。
特に、スリスリしてもらった時や、尻尾を足などに絡ませて来た時など、猫から接触を望んでいるような雰囲気があればこの方法が良いでしょう。猫が満足するまで撫でてあげましょう。
ただし、撫ですぎると猫もイライラとしてきて、突然ガブリとやられることがあります。しっぽをよく見て確認しましょう。
尻尾が激しくバタバタと振られている時は、猫がイライラしている時です。しっぽが激しく振られ始めたら、もしくははその前に手を離すのが、猫との挨拶を友好的なまま、つつがなく終えるコツです。
ゆっくりとまばたきをする
猫との挨拶をする時は、猫に対してゆっくりとまばたきしてあげるとよいでしょう。猫は、敵と出会った時まばたき1つせず相手を見つめ返します。そのため、まばたきしないことは敵意の現れになってしまうのです。
敵意がないということを示すために、ゆっくりとまばたきを繰り返しましょう。その上で挨拶してあげれば、猫は安心して飼い主さんにすり寄ってきてくれるはずです。
猫の挨拶は友好と信頼の証。上手にお返ししてあげよう
猫は気になる相手や信頼している相手に対して、鼻やしっぽを上手に使って挨拶します。
普段猫が飼い主さんに鳴いたりスリスリとしてくれるのは、愛情表現だけでなく挨拶の気持ちも詰まっていることがあります。猫の行動やそのタイミングをよく観察し、挨拶してくれているのかを見極めましょう。
特に、尻尾の動きは一瞬であることも多いので見逃さないように気をつけましょう。その上で、挨拶をしてくれているのであればしっかりとお返ししてあげるのがおすすめです。
猫への挨拶は、猫の鼻先に人差し指を1本近づけるだけ。言葉を話せない愛猫との、ボディーランゲージを楽しみましょう。