猫と蛇の不思議な関係。猫のシャー!は実は蛇の真似!?

猫の天敵と聞いて、いったいどんな動物を思い浮かべるでしょうか。

「子猫をカラスがつついてしまった」「アライグマが猫を襲って食べた」などショッキングな話も聞きますが、もう1つ忘れてはいけないのが蛇です。

猫がにょろにょろ動く蛇の姿に興味を引かれ手を出した末、噛まれて毒に苦しむことも多々あり、猫にとって蛇は非常に危険な存在です。

しかしその一方、猫と蛇には不思議な類似点もあり、実際に猫と蛇がどこか似ていると感じる人も多いようです。天敵なのに似ているというのも不思議な話ですよね。

いったい猫と蛇の関係はどのようなものなのでしょうか。猫と蛇の不思議な関係についてまとめました。

どっちが強い?猫vs蛇の熾烈な戦い

かつて猫の祖先が砂漠で暮らしていた時代、猫の天敵は蛇でした。猫が人と共に生きるようになった現代でも、深い茂みの中や山など自然の多い所にいると蛇が出没することも珍しくありません。

そのため蛇と喧嘩している野良猫の姿も時たま見られます。

でも人間からしてみると、一瞬で噛み付き、獲物に巻き付き締め上げ、時には毒をも使う蛇と、いくら肉食動物とはいえ愛らしい猫が戦って本当に大丈夫なのかと心配になってしまいますよね。

しかし、実は蛇は一部の大型の種類を除いて、食物連鎖のピラミッドの中でも比較的下位に属しています。

海外ではニシキヘビなど大型の蛇が街中に現われ、猫を飲み込んで食べてしまったというショッキングなニュースもちらほら聞きますが、さすがに日本の街中においては、そこまで大型の蛇は見ません。

日本での猫と蛇の力関係としては、一方的にどちらが強いということはあまりありません。

小型の蛇だとさすがに猫を呑み込めないので積極的に襲いかかることは少ないようですが、一方で猫は小型の蛇をおもちゃにしてしまい、口にくわえて持ち帰ることさえあります。

つまり、ほとんどの場合においては襲いかかる猫に蛇が抵抗しているというのが正しいかもしれません。

小型で無毒の蛇ならば猫に負け、マムシなど太くて毒を持った蛇だと最終的に猫が退くといったように、大きさと毒の有無で力関係が変わるようです。

ちなみにマムシに噛まれても、他にダメージがなければ猫は数日苦しんだ後に見事復活することがほとんどです。

遺伝子レベルで天敵と認識!?猫と蛇にまつわる面白エピソード

室内飼いしている猫であれば、蛇と接触する機会など一生やっては来ませんよね。でも、実は室内飼いの猫であっても、そのDNAにはかつて砂漠で暮らしていた時代に蛇の毒に苦しめられた記憶がしっかりと刻まれているようです。

実際の蛇でなくとも、蛇と勘違いして猫が驚く例がいくつかあります。

猫がしっぽを追いかけるのは蛇と勘違いしているせい!?

長いしっぽを持つ猫を飼っている場合、たまに自分のしっぽを追いかけてぐるぐると同じ所を回っている姿を見たことがないでしょうか。

あれ、遊んでいるだけと思いきや、なんと自分のしっぽが蛇に見えているというのも理由の1つだそうです。自分の背後に蛇がいると思い、慌てて蛇を取ろうと追いかけているのです。

自分の体の一部なのにわからないと言うのも面白い話ですが、確かに普段は自分の背後についているものなので、意外と見慣れないのかもしれませんね。

視界に入ったときに、驚いてうねうねと動く様が蛇だと勘違いしやすい、ということも理由として考えられます。

これって蛇!?猫がキュウリにビックリ!

大手動画サイト「YouTube」に、ご飯を食べている猫の背後にキュウリを置いたところ、ふと振り返った猫がキュウリにびっくりしてしまう動画があります。

むしろ置いた飼い主さんの方がびっくりするぐらい、猫が激しい反応を見せるということで話題になりました。一体なぜキュウリにびっくりしてしまうのか気になりますよね。

実は、これもキュウリが蛇に見えているのだという説が存在します。蛇に似た太さと長さ、あるいは色のもの、しかも見慣れないものを突然猫のそばに置くと、猫は蛇だと勘違いして大変驚くようなのです。

野生時代から蛇を天敵としてきた猫ならではの、本能に根ざす行動ともいえるでしょう。

驚く姿は蛇の正体を知っている人間からすると微笑ましく可愛らしいのですが、猫がかわいそうなので、わざとキュウリを置いて頻繁に驚かせるのはやめてあげましょう。

なんで似ているの?猫と蛇の意外な類似点

哺乳類の猫と爬虫類の蛇。見た目も生態も祖先も全く異なる両者ですが、実は意外な共通点があります。

天敵から学んだ!?「シャー!」と威嚇する猫と蛇

猫と蛇、似ているところといえば「シャー!」という静かな威嚇音ですよね。実はこれ、猫が蛇を真似ているのです。

猫の祖先はかつて砂漠で暮らしていました。砂漠での猫の天敵は毒をもった蛇です。蛇を追い払うために、猫は威嚇をしなければなりません。

しかし、猫は例えばライオンのように大きな声で吼えることができません。体の毛を逆立てて、体を大きく見せることはありますが、威嚇の主力になるほどではありません。

また、他の特殊な動物のように、体の色を変えるような特技も持っていません。

そんな猫が威嚇するのに最も簡単だった方法が、当の威嚇したい相手である蛇を真似ることでした。蛇のシャーという音なら猫にも出しやすく、蛇にも効く威嚇で、なおかつ蛇を天敵としている他の動物を追い払うこともできます。

様々なメリットが重なり、猫は砂漠を脱出して人に飼われるようになった今でも本能的に「シャー」と威嚇するのです。

実はこの威嚇以外にも、尻尾を蛇のようにうねうねとくねらせたり、とぐろを巻くようにくるりと体を丸くしたりなど、猫は蛇の行動を真似ていることがよくあります。蛇に擬態することで、自分の安全を確保しているのかもしれません。

実は夜行性の証だった!瞳孔が縦に細くなる

猫と蛇って、何となく顔が似ていると感じる人も実は多いのではないでしょうか。猫はふわふわの毛皮を持った哺乳類で、蛇は体毛も足もない爬虫類。にも関わらず、何で似て見えるの?と感じて混乱している人もいるかもしれません。

猫と蛇の顔が似ていると思わせる原因は目にあります。猫も蛇も細く縦に長い瞳孔を思っているので、何となく似ていると感じやすいのです。実は猫と蛇以外に、キツネもまた同じような縦長の瞳孔を持っています。

猫に蛇、そしてキツネ。彼らに共通するのはずばり夜行性であるという点です。夜行性ということは、当然暗い夜でも不自由なく活動する必要があります。

例えば丸い瞳孔を持つ人間が、明るいところから暗いところに入った時、目を慣らさなければものが見えるようになりませんよね。反対に、暗いところからいきなり明るいところに入れば目がくらんでしまい、やっぱり見えなくなってしまいます。

一方、猫や蛇が夜、月や星の明かりで照らされているところと、光の届かない暗いところを獲物を探して行き来する場合、人間と同じようにいちいち光の加減で目をくらませていては命取りです。

そのため、一瞬で瞳孔を拡張あるいは収縮し、光を調整することができるような、細く縦長の瞳孔を持つようになりました。縦長の瞳孔は暗いところでは大きく広がり、わずかな光でもしっかりと取り込みます。

一方、昼間明るいところでは限界まで細くなることで、光を取り込みすぎないようにしています。

細い縦長の瞳は明るいところと暗いところを行ったり来たりしても目がくらみにくく、しかも暗い中でも光を取り込みやすいので、猫や蛇といった夜行性の動物が多く持っているのです。

また、細い縦長の瞳孔は、左右の視野が狭くなる代わりに、上下に長いため立体視や遠近感の把握に優れています。他の動物を捕食する猫や蛇にとって、距離を測りやすい縦長の瞳孔は最適なのです。

ちなみに、蛇でも一部の種類は昼行性で、その場合は人間や犬と同じように丸い瞳孔を持っています。

はるか昔から受け継がれる、猫と蛇の不思議な関係

一見関係などなさそうな、猫と蛇。しかし、遺伝子レベルで刻まれた関係を考えるに、はるか昔の時代から現代にいたるまで、やはり猫にとっては蛇は注意すべき相手であり、怖がってもいたのでしょう。

人間からすれば、実際に愛猫に蛇の危険が迫っているわけではないため、猫の過剰反応ぶりは微笑ましいかもしれませんが猫にとっては深刻かもしれません。

家の中、そして飼い主さんのそばという安心できるはずの環境で安らぐことができないと猫にとってはストレスにもなります。できれば、あまり驚かせないようにしてあげるのがいいですね。

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