猫ちゃんがしきりに首を振る、前足で耳をかく。そんな仕草をみせることはありませんか?そのような時は、耳の病気を疑ってみて下さいね。
耳の疾患は、意外に見過ごしがちなことがあるので注意が必要なんです。
部分別にみる、猫の耳の病気と症状、治療法
猫ちゃんの耳は、人間と同じように外耳、中耳、内耳という構造になっています。
(出典:現代製薬 – ネコちゃんQ&A より)
また、耳介(いわゆる「ねこみみ」の部分)はスコティッシュフォールドやアメリカンカールなど、特徴的な種類もあります。
ここでは部分別に耳の病気とその症状を紹介していきます。
耳血腫(耳介)
猫同士のケンカなどで出血し、耳介の皮膚と軟骨の間に血液が溜り腫れてしまう状態。腫れた部分が熱をもつこともあります。自然治癒も多いですが、放置すると耳全体が変形してしまうこともあるので、放置せず動物病院を受診しましょう。
治療としては、内部にたまった液を注射器で抽出し、患部の炎症を抑えるために抗生物質を与えます。
▼猫が耳をしきりにかゆがっている場合には、この耳血腫になっているかもしれません
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外耳炎(外耳道)
耳の入り口から鼓膜までの外耳道が炎症を起こしている状態。耳が赤くはれて痒い、耳アカが多い、異臭がするなどの症状があります。症状が進むと鼓膜が破れてしまうことも!
外耳炎の原因は様々ですが、おもな原因は次のようになります。
- ケンカによる外傷
- ダニ(ミミヒゼンダニ)の寄生
- 細菌やカビの感染
- アレルギー(アトピー性皮膚炎の症状で炎症が強く出ます)
- 腫瘍(耳道内に腫瘍ができることで耳道の環境が悪化。炎症や出血が繰り返されます)
▼猫の耳がハゲている場合、ダニが寄生している可能性があります
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診断は耳道内の観察と耳垢検査で行われ、痛みのある場合は軽い麻酔をかける場合もあります。主な治療法は耳道内の洗浄と投薬。腫瘍であれば外科手術が必要なこともあります。
スコティッシュフォールドやアメリカンカールは、耳の内部が蒸れやすく外耳炎になることが多いので、こまめなチェックが必要になります。
中耳炎(中耳)
鼓膜の奥にある中耳に炎症が起きます。原因は、外耳炎が悪化し炎症が奥まで広がったケースがほとんどです。症状が進むと痒みより痛みの方が多くなり、顔面麻痺や骨髄炎を発症する場合もあります。
症状が中耳まで広がると平衡感覚が失われ、ふらついて立てなくなるなど、運動障害がおこることもあります。ひどくなる前に早めに受診することが大切です。
抗生物質や抗炎症薬で対応しますが、手術が必要になるケースもあります。
▼猫が中耳炎になっている場合、猫がぐるぐる回る行動をすることがあるので注意してください
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【猫の外耳炎】愛猫コタロウの場合
ペットショップ生活が長かったコタロウですが、お迎え当初から全然、場所見知りや人見知りがなく、やんちゃなくらい活発でした。
なので、健康面の心配は全くしていませんでした。(健康診断も受けましたが、特に悪い所もなく安心していました。)
ところが、お迎えから5日ほどして、ふと耳の中を見てみたら、コタロウの両耳が真っ黒な耳垢でいっぱいになっていてビックリ!
病院に連れて行くと、診断は「外耳炎」。どうやら耳ダニによるものだったようです。ペットショップでの感染と思われたので、お店に連絡をいれると、スタッフさんから「すみませんでした。」という謝罪の言葉がありました。
お迎えから日が浅かったので、医療費はお店の保険で支払いましたが、それにしても、ペットショップのお世話がこんなにいい加減だったとは!耳ダニは繁殖力が強いので、お店の他の猫ちゃんたちも感染していたのではないでしょうか…。
多頭飼いの飼い主さんは、1匹が耳ダニに感染した場合は症状の出ている子だけでなく、全員を動物病院に連れていってあげてくださいね。
▼猫のダニの予防方法と、多頭飼いをしている場合の心得についてはこちらをどうぞ
かわいい猫を苦しめるダニ。ダニ感染の症状と予防法
コタロウはずっと痒いのを我慢していたのですよね…。「可哀想に。もっと早く気づいてあげれば…」と私自身も反省しました。(その時は、幸い投薬(点耳薬)だけで3週間程で治ったのでホッとしました。)
多くの猫ちゃんは耳掃除を嫌がると思いますが、この時の経験からか、コタロウは耳掃除が大好きです。毎回、目を閉じて気持ちよさそうにしているので、こちらが切なくなるほどです…。
週に1度は耳のチェックとお手入れをしてあげよう
耳の健康を保つために、また、猫ちゃんが不快な思いをしないように、1週間に1度は耳の中をチェックしてあげましょう。スコティッシュフォールドなど、耳の形が特殊な種類の猫ちゃんはチェックやお手入れ頻度を増やした方が安心です。
その際、汚れていたらお手入れをします。水、または耳専用の洗浄液をカット綿につけて耳の内部を優しく拭きます。
折れている部分に付着した耳垢や汚れは濡らした綿棒で取っても構いませんが、傷つけないように綿棒でのこすり過ぎには注意しましょう。
耳の奥までお手入れする必要はありません。猫ちゃんが耳掃除を嫌がる場合は無理をせず、異常があれば獣医師に相談してくださいね。
▼猫の耳がいつもより熱いなど、少しでも異常を見つけたら猫の様子をしっかり観察しましょう
猫の耳が熱い時のチェックポイント。危険かどうかの見分け方
猫ちゃんは「痒い…」とか「痛いよ!」などの訴えはできません。飼い主さんの普段のチェックや観察がとても重要です。特に、お迎えしたばかりの猫ちゃんは健康診断以外にも、是非、早めに耳の中をチェックをしてあげてくださいね。