子猫が吐く原因と対処法。成猫との違いに気をつけよう

お腹の中に毛玉が溜まっていたり、フードを食べすぎたりすると、猫はあっさりと吐いて排出します。

何かと吐きやすいので、飼い主さんもたまたま1回だけ猫が吐いたというのであれば「ああ、また吐いちゃったのね」と慌てることも少ないのではないでしょうか。

しかし、大人の猫ではなく、子猫が吐いてしまったという場合が問題。子猫であるだけに、成猫と同じように扱ってもいいのかどうか悩んでしまいますよね。

そこで子猫が吐く時の原因や、病院に行くべきかの判断基準、病院に行くときの注意点などをご紹介します。

子猫が吐いたら要注意!

大人の猫ではなく子猫が吐いたという場合も、やはり大人の猫と同様に何の心配もいらないケースと、すぐに病院に行くべきケースとに分かれます。

ただ、子猫が吐いた時、念頭に置いておいて欲しいのが「子猫は大人の猫に比べて、体力も抵抗力もない」という点です。

大人の猫だったら2、3日様子を見ても問題なく治療できる病気であっても、子猫がかかると一気に衰弱し事態が悪化してしまうことがあります。

また、健康な成猫であれば滅多にかからないような病気であっても、子猫だとあっさりかかってしまう場合があります。子猫は繊細なので、「吐いた」という時に病気である確率も高くなってしまうのです。

子猫が吐いた場合は楽観視せず、必ず子猫か元気であるかどうか、様子に注意を払いましょう。また、元気があったとしても念のため一度獣医さんに診てもらった方がなにかと安心です。

意外な理由もあった!子猫が吐く原因

子猫であっても、病気が理由で吐く場合もあれば、生理的な刺激で吐く場合もあります。子猫が吐いてしまう主な原因をご紹介します。

フードが膨らみすぎて胃の容量をオーバーした

子猫が吐く原因で特に多いのは、ずばり食べ過ぎです。食欲旺盛な子猫がドライフードを大量に食べた結果、ドライフードがお腹の中で水を吸って膨らんでしまい、胃の容量を超えてしまうのです。

子猫の胃は大変小さいので、お腹いっぱいドライフードを食べるとそれだけでパンパンになってしまいます。その後膨らむ余地がないので、猫は仕方なくフードを吐き戻すのです。

急いで飲み食いしすぎている

もう1つよくあるのが、急いで飲み食いし過ぎているケースです。特に多頭飼いしていたり、ちょうどお腹が空いている時にフードが出てきたりして慌てて食べると、体がついていかず吐き戻してしまうことがあります。

また、野良猫出身など飢えやすい環境にいた場合も、食に関する執着が強くなります。もし慌てて食べて吐いてしまった場合は、食べた直後に吐き戻し、吐いた後は何事もなかったかのようにケロリとしています。

哺乳瓶などの先を口の奥に入れすぎ、のどが刺激されて吐いてしまう

まだ離乳も終えていないような乳飲み子の子猫の場合、飼い主さんが世話をするときにややコツが必要です。

哺乳瓶やシリンジ、スポイトなどの先端を口の奥に入れ過ぎたり、勢い良くのどにミルクを出したりすることで、のどが刺激されて吐き戻してしまうケースがあります。

猫が飲みやすい角度になっているかどうかに注意しましょう。また、ミルクが濃すぎて吐いていることもあるので粉ミルクは分量を守って作りましょう。

▼猫のミルクの作り方や、シリンジの正しい使い方についてはこちらをチェックしてください
生まれたての子猫の育て方。絶対に押さえておくべき3つのポイント

病気

子猫は抵抗力が弱いのでさまざまな病気に感染しやすく、特に野良猫を拾って来た場合など思わぬ病気を持っていることもあります。

吐くだけでなく、下痢や発熱、食欲の低下、元気がないなど他の症状がある場合は、ほぼ間違いなく何らかの病気です。子猫は容態が急変しやすいので、一刻も早く動物病院へ連れて行きましょう。

また、寄生虫に感染していると下痢だけが現れるというようなこともあるので注意が必要です。

要注意!子猫が吐く時の危険なケース

子猫が吐いた時、ちょうど目を離していて生理的に吐いたのかどうかわからないということもありますよね。そこで「こんな場合は病院に連れて行った方がいい」という、判断の目安をまとめました。

何度も吐く

食べ過ぎなどが原因でたまたま吐いたという場合は、胃の容量を超えた分を一気に吐いてそれで終了です。

もし、1日に何度も吐くのであれば、生理的な刺激ではなく、「吐くほど気持ち悪い」ので吐いている可能性があります。何らかの病気である疑いが濃厚です。

▼猫が何度も吐いている場合には、やはり何かの原因があるのではないでしょうか
猫が吐くのは放置厳禁の危険なサインかも!吐き癖の原因となる病気

食べて時間が経ってから吐く

慌てて飲み食いした場合など、生理的に吐いているケースでは比較的食べてすぐに吐くはずです。もし、食べてから何時間も経ってから吐く場合は、食べ物が原因で吐いている可能性は低くなり、病気にかかっている可能性が高くなります。

吐く以外の症状がある

子猫がかかりやすい感染症などの中には、症状の1つとして嘔吐が見られることもよくあります。

この場合、吐くだけでなく下痢など他の症状を伴うことが多くなります。吐く以外に何か気になることがないかチェックし、もしあればすぐ動物病院へ連れて行きましょう。

1回だけ吐いて、あとはケロリ。元気があれば様子を見てもOK

一方、子猫が吐いても問題ないのは、吐いたのがその1回だけであり、吐いた後もまったくいつも通りの様子である場合です。

元気も食欲もあり、他の症状も見当たらず、何事もなかったかのようにケロリとしている時は、生理的な体の反応で吐いてしまったと思われます。

ただし、その場では元気があっても、後で突然様子が変わることもあるので、念のため、2、3日は猫の様子に気を配っておきましょう。いざという時すぐに病院に連れて行けるように、診察券やキャリーバッグなど準備を整えておくのも大切です。

▼猫が水のようなものを吐いてしまった場合にチェックしたいことは、こちらです
猫が水を吐く時の注意点。吐いたもの&吐く前後の様子をよく見よう!

観察力が大切!病院に行くとき注意したいこと

大人の猫よりか弱い子猫は、一気に様子が悪化することがあるので、ある意味時間勝負なところがあります。もし子猫が吐いたので病院に連れて行くという時は、できるだけスムーズに診断してもらうために以下のようなことを心がけましょう。

吐いたものを確認する

子猫が吐いた時に、まず何を吐いたのか確認しましょう。吐いた内容物を見ることで、何の病気か診断しやすくなります。

  • フードか、毛玉か、あるいはそれ以外の異物なのか
  • 色(血などが混ざっていないか)

を主に確認し、獣医さんに報告しましょう。

吐いたものの様子を写真に取る

より正確に診断してもらうために、吐いた物の現物があるとより、わかりやすくなります。

吐いた物を直接持って行ってもよいですが、固形ではない場合持っていくのが難しいので、スマホなどで撮影しましょう。必要であれば近くに1円玉など大きさの目安となるものを置いて撮影するとわかりやすくなります。

病院で獣医さんにスマホの写真を見せましょう。

他に症状がないか確認する

病気で吐いている場合、吐く以外にも他に症状が出ることがよくあります。

  • 元気はあるか
  • 食欲はあるか
  • 体が熱すぎないか(発熱していないか)
  • 耳や口など粘膜の色
  • どこか痛がっていないか(表情が険しくないか)
  • やせてきていないか

などに注意し、項目が多いので報告のし忘れがないようにメモにとっておきましょう。

いつごろなにをどれだけ食べたかメモする

子猫が吐いた時、特に重要な情報が、「吐く前日~当日に何を食べていたか」ということです。

  • 食べた物の内容
  • 食べた時間
  • 食べた量

をメモしておきましょう。また、

  • フードを変えた
  • おやつなど、何かいつもと違うものを与えた

という場合はそれも報告しましょう。特に何度も吐く場合は、このメモが後々飼い主さん自身にとっても役立ちます。

▼猫が嘔吐を何度もしている場合には、細かいことまで飼い主さんがメモしておくことがとても大切です
猫が黄色や緑のものを嘔吐した!原因とチェックしてほしい他の症状

その他なにか最近変わったことがなかったか確認する

その他いつもと違う様子があればメモしておき、獣医さんに忘れず報告できるようにしましょう。

  • 出されたご飯をすぐ食べなかった
  • いつもよりよく寝ている
  • おもちゃに食いつかなかった

など一見些細なことでも、獣医さんにとっては重要な情報です。

飼い主さんが自宅で出来る、子猫が吐いてしまう時の対処法

特に病気ではなくても、小さなことが刺激になり、頻繁に子猫が吐いてしまう場合があります。

もし、何かとよく吐きがちで、しかも獣医さんに問題ないと言われた場合は、飼い主さんの方でも以下のようなことに気を配ってあげると吐く頻度を改善することができるかもしれません。

整腸剤やヨーグルトなどを自己判断であげない

大人の猫が吐いた場合、時には整腸剤や、ヨーグルトなど与えて様子を見ることがあります。しかし子猫の場合はこれらの使用は控えましょう。

子猫は抵抗力が弱いので、下手にキャットフード以外のものを与えると体に合わずさらに吐いたり、症状が悪化したりしてしまうことがあります。もし何か特別なものをあげたい場合は必ず獣医さんに相談してからにしましょう。

キャットフードを変えてみる

子猫の体は繊細なので、ちょっとフードが合わないだけでも吐いてしまうことがあります。例えばドライフードの粒の形によっても、吐く頻度が異なることもあります。

特に今のフードにこだわりがないのであれば、全く違う形、あるいは原材料のフードに変えて様子を見てみましょう。

いきなり全てのフードを変えるとやはり体が慣れず吐いてしまうこともあるので、フードを変える時はいつものフードに新しいフードを1割くらい混ぜ、毎日新しいフードの割合を少しずつ増やしていきます。

小分けにしてフードを与える

子猫は胃が小さいため、一度に食べるフードの量が多いと、胃の中でフードが膨らみすぎて吐いてしまいます。もしも吐くことが多いようなら、1日に与えるフードを小分けにし、回数を増やして与えましょう。

大人の猫であれば1日に2回が基本ですが、子猫の場合は1日に4、5回でもおかしくありません。1日にあげる量はそのままに、1回の量を減らし、その分回数を増やすことで、胃の容量をオーバーすることを防ぐことができます。

絶食はNG!吐いた時のごはんのあげ方

子猫は吐いてすぐ、再びごはんを食べ始めることもよくあります。吐いたのにすぐ食べて大丈夫?と思うかもしれません。

吐いた後のご飯のあげ方としては、元気があって何事もなかったかのように平然としているのであればそのまま子猫に任せても大丈夫です。

ただ、吐いた後は少しの刺激でも再び吐きやすいので、心配であれば一度ご飯を下げ、30分程度間を置いてから再び与えるとよいでしょう。

注意したいのが極端な絶食はさせないということです。

大人の猫の場合は吐いた後、数時間ほど絶食させることがありますが、子猫の場合は大人の猫より、絶食に耐えられる時間が短くなります。

8時間程度食べなかっただけでも脂肪肝という病気になるリスクが高まってしまうので、できるだけ絶食はさせないようにしましょう。

絶食させるくらいなら病院へ行く必要があります。

▼猫の脂肪肝はとても恐ろしい病気です。詳しくはこちらをご覧ください
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抵抗力のない子猫の、病気のサインを見逃さないようにしよう

子猫の場合は、抵抗力が弱く、成猫よりも病気にかかりがちです。「猫はよく吐く生き物だから」と安心していると、いきなりぐったりしてしまうこともあるので、吐いて元気がある場合でもその後の観察を怠らないようにしましょう。

▼猫がいつも吐いているから大丈夫、と飼い主さんが過信してしまわないように気を付けてください
猫がよく吐くことに慣れないで!悲しい病気が潜んでいることも

また子猫の胃の容量は小さいので、吐きやすいのならフードを小分けにして与えるのが特におすすめです。

いくら吐きやすい体の構造しているとはいえ、吐くことは体に負担をかけます。そもそも吐かなくて済むような食事環境を用意してあげるのも、飼い主さんとして非常に重要なことです。

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