猫のてんかんの原因は脳にある。発作の特徴的な症状と対処法

さっきまで普通にしていたはずの愛猫が、突然倒れて激しくけいれん……となると、飼い主さんが仰天してしまっても無理はありません。まさかのこんな様子が見られたら、猫のてんかん発作を疑う必要があります。

猫の場合、てんかん発作が起きる確率は1%以下ともいわれており、飼い主さんが遭遇するのは非常にまれです。しかし、もし発症してしまった場合は一生付き合っていかねばならない可能性もあります。

猫のてんかんの症状や原因、治療していく上での注意点などをまとめました。

猫が突然けいれん!?猫の脳の病気「てんかん」

猫のてんかんとは、猫の脳に関わる病気です。通常、猫の脳内では、猫の体に対して様々な命令が電気信号で送られています。体を動かすこと、呼吸ひとつとっても全て脳から命令を出されているわけです。

しかし、この命令を出す電気信号が何らかの理由で暴走してしまうことがあります。一度に大量の電気信号が送られて興奮状態に陥った体は、猫の意志ではコントロールできなくなり、倒れて激しいけいれんなどを起こします。

この状態を「てんかん発作」と呼ぶのです。

てんかんとなると、このてんかん発作を定期的に起こします。てんかんそのものの症状としては、この「てんかん発作」こそが全てです。

てんかんを患ったからといって、風邪のように咳やくしゃみ、嘔吐をしたり、あるいはがんのように腫瘍ができたりといったようなことはありません。発作さえ起こさなければ、普段は平和そのものです。

しかし、発作を起こすと猫は自分で体をコントロールできません。そして、発作はいつどこで起こるか全くわかりません。放置していることで次第に発作の頻度が増えていくと、最終的に「てんかん重積」と呼ばれる危険な状態になります。

そのため、てんかん発作を起こした場合はできるだけ早めに病院へ行く必要があります。そして、もし発作の頻度が高い場合は、獣医さんと相談の上、発作の回数を少しでも少なくする治療を始めなければなりません。

また、そもそもてんかんを引き起こす原因となった、脳にまつわる別の病気が潜んでいることもありますので、たとえ発作の回数が少なかったとしても病院で検査をすることは非常に重要です。

脳にまつわるあらゆるものが原因に。てんかんのきっかけとは

てんかんは猫の脳に何らかの異常がある場合に起きます。そのため、

  • 生まれてくる前から脳に何か異常があった
  • 生まれてくる時に何らかの原因で脳を損傷した
  • 生活の中で頭を打った
  • 交通事故などで脳を損傷した
  • 脳に腫瘍ができた
  • 他、脳に影響する何らかの病気
  • 遺伝

など、脳が傷つくことそのものがてんかんの原因となります。また、中には原因不明の場合もあります。

生活環境を改善して治る、あるいは予防できるようなものではないので、残念ながら飼い主さんにはどうすることもできません(せいぜい猫の周りから危険なものを排除するくらいです)。

大きく分けて3パターン。猫のてんかん発作の特徴

てんかん発作はとても特徴的で、一度見たら忘れられないようなものです。てんかん発作を起こすと、いつも通りに過ごしていたはずなのに突然倒れ、泡を吹き、けいれんを起こすような状態となります。

けいれんのしかたは猫によってパターンがあります。

全身が激しくけいれんする
体全体(四肢)が「バタバタバタバタッ」と非常に激しく、数分間動き続けます。明らかに異様な様子なので、初めて見た飼い主さんはパニックになるかもしれません。この場合、猫に意識はありません。
体をつっぱらせる
きゅーっと体をのけぞらせたり、四肢をつっぱらせます(「震える」というより「つる」状態)。
体の一部だけがけいれんする
例えば後ろ足だけをつっぱらせる、あるいは動かないなど体の一部だけに異常が見られます。

このようなパターンのどれか、あるいはいくつかが混ざった状態でてんかん発作を起こします。通常の場合、てんかん発作自体は数分で治まり、自然と意識や体の状態もいつもどおりに回復します。

いつでもどこでも、てんかん発作は突然やってくる

てんかん発作は突然やってきます。いつどこで起きるか全くわかりません。ただし、猫によっては次第に飼い主さんが予兆を感じることができるようになることもあります。

発作を起こす前、あるいは後に、何か特別な行動をしていないかどうか注意深く観察してみましょう。

てんかんの頻度は猫によってばらばら。発作の連続に注意しよう

てんかん発作の特徴は「繰り返し」起こるということです。しかし、その頻度は猫によってかなり個体差があります。1年に1回しか発作を起こさないという猫もいれば、毎日発作を起こしてしまうという猫もいます。

危険な発作の目安としては、

  • 突然24時間で2、3回以上の発作が続いた
  • 意識が戻らないうちに次の発作が起った
  • 発作そのものが10分以上続く

というような場合です。このような状態は重積と呼ばれるかなり危険な状態です。てんかん発作を終えたらできるだけすぐ動物病院を受診しましょう。また、だんだんと発作の頻度が増えているという場合は、頻度を下げるための治療が必要です。

発作が終わったらケロリ。普段は何事もなかったかのようにしている

てんかんの場合、発作を起こしていない普段はいつも通りにしているというのも特徴です。てんかんを患っているからといって特別食欲が落ちたり、元気がなくなったりといった様子は見られません。

また、てんかんの発作を起こした後も、発作を起こしたことなど全く気付いていないかのようにケロリとしていることもしばしばです。

ただし、中にはてんかん発作の後ぼんやりしている猫もいます。そのような場合は怪我したりしないように飼い主さんが注意していなければなりません。

基本は触らない。猫のてんかん発作が起きたときの対処法

てんかん発作は猫によってはとても激しく、また明らかに異常な様子であるので、飼い主さんはどうしたらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。

しかし、残念ながら、てんかん発作が起きている間、飼い主さんが猫にしてあげられることはそう多くはありません。

てんかん発作を起こしている間の猫は、体の自由が利かない状態です。

そのため何かにぶつかったり、あるいは近くに危険なものがあっても逃げることができません。もし猫がてんかん発作を起こしてしまったら、飼い主さんは猫が怪我をしないように、猫の周りにある危ないものを取り除いてあげましょう。

てんかん発作を起こしている間、猫を抱っこしたり撫でたりしてあげたくなるかもしれませんが、あまり触らないであげて下さい。てんかん発作を終えたら、バスタオルなどでゆったりとくるんで安心させてあげましょう。

意外なことですが、てんかん発作を起こしている間、猫には苦しいという感覚はありません。むしろ、猫にとっては何か起きているのかわからない状態でもあり、意識そのものがないこともあります。

飼い主さんは発作の間は猫を見守り、発作を終えたら猫の様子におかしいところがないか、十分に気を配ってあげましょう。

猫の意識があるかないかの判断のしかた

今後てんかん発作を治療していくために、発作が起きたとき飼い主さんに注意しておいてほしいのが、「猫の意識があるかないか」ということです。これは獣医さんに病状を報告する上で重要な情報となります。

てんかん発作を起こしている猫に対して、意識のあるなしを確認するには、猫の視線の先に人さし指を立てて振ってみるとよいでしょう。猫の視線が人さし指に合わせて動くかどうかを確認することで、意識のあるなしを判断することができます。

また、頭が動きそうであれば、呼びかけて振り向くかどうかを確認してもよいでしょう。

発作の頻度が鍵。猫のてんかんの検査と治療方法

猫のてんかんを疑う場合、まずけいれんなどの症状を起こすてんかん以外の病気がないかを検査します。実は、一見てんかんに見えるものの、別の病気の症状として、てんかんに似たけいれんを起こしている場合があります。

その場合はもちろん、その別の病気を治療することで、てんかんのような症状も治っていきます。

何の病気も持っていないということを確認し、また繰り返し発作を起こして初めて、てんかんと診断されます。

てんかんの場合、主な治療方法は薬物投与です。

てんかんは短期的な治療、また抜本的な治療が難しい病気です。そのため定期的に血液検査などをしながら、数年単位で慎重に薬を投与し続け、徐々に発作の頻度を下げていくという方法がとられます。

最終的には発作がなくなるのが理想ではありますが、中にはどうしてもなくならない場合もあります。まずは3カ月に1回の頻度を目指して治療するのが一般的です。

正しい診断のために。動物病院を受診する時の注意点

てんかんの場合、動物病院に連れて行ってもその場ですぐにてんかんと確定できるわけではありません。そこで、正しい診断をしてもらうために注意しておきたい点についてご紹介します。

繰り返し起きないとてんかんという診断ができない

猫が突然倒れてけいれんする、というのが特徴のてんかん発作ですが、実は一度発作を起こしただけでは、確実にてんかんという診断ができません。

てんかん発作は繰り返し起きて初めててんかんと診断されます。そのため、初めててんかん発作を起こしたあと慌てて病院に行っても、病院によっては「様子を見て」と言われることがあります。

初めてのてんかん発作をいつ起こしたかや、発作の様子などを詳細に記録しておきましょう。

てんかん発作の最中を動画で撮影しておく

てんかん発作が起きたとき、できれば飼い主さんはてんかん発作の一部始終を動画で撮影しておきましょう。

というのも、てんかん発作というのは猫の体をけいれんさせたり、体の一部を突っ張らせたりしている状態なので、獣医さんによっては「たまたま体の一部がつってしまっただけ」と判断される場合もあるからです。

もちろん逆に、てんかん発作だと思って受診したら、何か別の怪我などが原因だったということも考えられます。

てんかんかもしれないと思ったら手元に普段からスマホなどを用意しておき、次のてんかん発作が起きた時撮影できるようにしておきましょう。

どんな様子でけいれんしているのか、何分くらいで治まったのか、動画であれば正しく知ることができます。発作の様子を正しく伝えるために、また正確な診断をしてもらうために、動画があるととても便利です。

治療中に飼い主さんが気をつけたいこと

てんかんの場合、発作以外はいたって普通にしているため、頻度が少ないうちは飼い主さんも油断しがちです。しかし、悪化させないために、また安全に治療するためにはいくつか注意すべき点があります。

薬を勝手にやめない

てんかん発作の治療中、てんかん発作の頻度が下がってきたからといって、勝手な判断で薬の投与を中止するようなことはやめましょう。

てんかんの治療で投与される薬はてんかん発作の頻度を下げる薬です。そのため薬の投与をやめた瞬間に発作が起き、急激に状態が悪化してしまうことも考えられます。

24時間、猫の安全に配慮する

てんかん発作は24時間、いつどこで起きるかわかりません。飼い主さんが寝ている間、あるいは留守番の最中に突然発作を起こすことも十分に考えられます。

飼い主さんは愛猫がどこで発作を起こしてもいいように、猫の周囲から危険なものをあらかじめ排除しておきましょう。

またお風呂場など、発作を起こした猫がお風呂で溺れないようにお風呂のお湯を抜いておく、あるいはそもそもお風呂場に入れないようにするなどの工夫が必要です。

頻繁に発作が起きたら要注意。上手にてんかんと付き合おう

発作が起きた後猫がけろりとしていること、発作以外に、猫の様子に異変が見られないこと、また発作は勝手におさまってしまうことから、動物病院の受診をためらってしまう飼い主さんもいるかもしれません。

しかしてんかん発作は放っておくと頻度が増えることがあり、また危険な場所でてんかん発作を起こすと大変です。てんかん発作かもしれないと思ったら、早めに獣医さんに相談しておきましょう。

薬物治療そのものは発作の頻度が上がらないと行われないのがほとんどですが、てんかん発作が起きた場合の対処のしかたや、動物病院を受診する目安など、獣医さんによってはアドバイスをもらえる場合もあります。

てんかんは一生続くこともある病気です。上手に向き合い、猫に安全に暮らしてもらえるように心を配りましょう。

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