大切な愛猫が怪我をしてしまったとき、どのような処置を行えばいいのかご存知ですか?猫は好奇心旺盛で、ちょっとした行動が思わぬ事故に発展してしまいます。
事故はなくても、ちょっとした不注意や同居猫同士の喧嘩で怪我をしてしまう場合もあります。
日常生活を送っている猫なら怪我をする可能性はどんなところにもあります。愛猫がいざ怪我をしたとき、焦ることなく的確な処置と判断を行えるようにしておくのは、飼い主として大変重要なことです。
今回は猫が怪我をしたときにできる対処法と応急処置の方法をご紹介しましょう。
症状別でみる猫が怪我をしたときにできる応急処置
それではさっそく、猫が怪我をしたときにできる応急処置方法を怪我の症状別にみていきましょう。今回ご紹介するのは、あくまでも家庭で出来る応急処置です。
応急処置をしても、完全な治療を行っているわけではないので、処置が終われば速やかに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
ひっかき傷
猫同士の喧嘩や、ちょっとしたでっぱりなどに引っかけてできたひっかき傷ならば、あまり心配はすることはない場合がほとんどです。
水かぬるま湯で湿らせたガーゼや脱脂綿で傷口を拭い、可能であれば流水でしっかりと洗い流し、可能であればペット用の消毒液で消毒をすれば安心です。
ただし、ひっかき傷は化膿しやすいため注意が必要です。傷口が化膿すると患部の腫れと共に熱が出てきますので、ひっかき傷を負ったあとは化膿をしていないか経過を観察してあげましょう。
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少量の出血
傷を負った箇所から少量の出血をしている場合も、化膿しやすいため傷口を清潔にすることが重要です。
少量の出血をしている場合は、まず出血箇所を見つけることから始めます。猫は全身を毛で覆われているため分かりにくいでしょうが、毛をかき分けて傷口を見つけます。
傷口を見つけたら、その箇所をぬるま湯や冷水で傷口の中までしっかりと洗い流します。このときに強くこすったら大変痛いので、こすらないように優しく洗ってあげましょう。
ある程度洗えたら、消毒液で消毒をして傷口にガーゼをあてて止血します。血が止まったならば、傷口を開かないように包帯を巻くなどして愛猫が傷口をそれ以上触れないようにしましょう。
応急処置が終われば、念のため獣医師の診察を受けて指示を仰ぎましょう。応急処置をしたとしても、完璧な治療を行ったわけではありません。
何かがおきたあとに後悔をすることのないように、少量の出血だとしても獣医師に相談をするのは忘れないようにしましょう。
▼初めは小さな傷口だったとしても、それがなかなか治らない場合には腫瘍である可能性もあります
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ひどい傷や多量の出血
見るからに傷口が大きかったり、出血が多い場合は一刻も早く病院へ駆け込むようにしましょう。猫は血液量が意外に少なく、5Kgの猫でも体内にある全血液量はたったの300ccしかありません。つまり、コップ2杯程度です。
そのためヒトの目から見たら大したことのない出血量でも猫にとっては大変な出血量となることもあります。たかが出血とは思わずに、出血している部分をガーゼなど清潔な布でしっかりと押えたらすぐに動物病院へ駆け込みましょう。
もし、猫が暴れてうまく押さえられなければ洗濯ネットなどに愛猫を入れて動きを制限してからガーゼなどを傷口に当ててテープや包帯でゆるめに固定しましょう。
時間が経てば猫も落ち着いてくるはずなので、とにかく一刻も早く病院へつれていくことを優先しましょう。
▼猫が鼻血を出している場合も、やはり急いで病院に向かってください
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大量出血は心臓近くを結ぶ
傷口を抑えただけで血が止まらないときは、傷口よりも心臓に近い部分をひも状のものできつくしばり止血をしましょう。
こうすることで出血の量を抑えられます。ただし、ずっと出血を止めてしまっては壊死をしてしまいますので、数分ごとに少し緩めて血を流してあげましょう。
何度もいいますが、猫の血液は少ないため大量出血をしている場合は一刻を争います。応急処置を行ったらすぐに動物病院へ急ぐようにしましょう。
骨折
高いところから落下したり、誤って落ちてきたものに当たってしまった場合、骨折をすることがあります。
骨折の症状でもっともわかりやすいのが、足を引きずる姿です。落ちた衝撃で足が痛くても、地面に足をつけているならばひとまず骨折の心配はありません。
しかし、30分も1時間も経っても足を地面につけない場合は足を骨折している可能性を考えるべきです。また、重症な骨折の場合は、出血を伴うだけではなく骨が飛び出すようなひどい症状が見られる場合もあります。
骨折をした猫への応急処置はとにかく安静にさせることです。よく、添え木をする応急処置をしようとする方がいらっしゃいますが、添え木を嫌がって暴れることで悪化することもあります。
そのため、骨折が発覚したならばすぐに愛猫をキャリーなどに入れて安静にさせ数時間以内に動物病院にかけこみましょう。
もし傷がある場合は、ガーゼなどでしっかりと止血をしてあげましょう。骨が飛び出ている場合は止血後、タオルや布を巻き付けて添え木をして包帯で固定をして骨がこれ以上飛び出ないようにします。
応急処置が完了したら、なるべく早く獣医師の診察を受けましょう。
火傷
熱い物をあやまって触ってしまったり、熱いお湯などを被ってしまった場合はすぐに冷やしてあげましょう。ビニール袋に氷水を入れるか、保冷剤などで10~20分ほど患部をしっかりと冷やしてあげます。
猫の皮膚はヒトと違って火傷をしても水膨れができにくく飼い主様も気付きにくいようです。
そのため、見た目にはわからなくても猫ちゃんは痛い思いをしているかもしれませんので、冷やした後に念のため獣医師に相談をするようにしましょう。
▼猫の火傷の原因は、毎日の生活習慣の中に潜んでいるので飼い主さんがしっかり注意してあげたいですね
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凍傷
寒い場所に長時間いると凍傷になることもあります。猫は暑さには強いですが、寒さにはめっぽう弱い動物のため凍傷になりやすいのです。特に耳の先や尻尾の先が凍傷になりやすく、放っておくと壊死する可能性もあります。
もし、凍傷にかかっているのを発見したら患部をお湯につけてしっかりと温めてください。ある程度温まったら、愛猫の様子を確かめ場合によっては獣医師に相談をしましょう。
寒い場所に凍傷になるくらい放置されていたならば、同時に低体温症を発症している可能性もあります。
元気がない、眠ったまま動かない、意識が朦朧としているようならば一刻の猶予もありません。とにかく毛布でくるみ温かくしながら獣医師の元に急ぎましょう。
▼猫の低体温症についてはこちら。やはり飼い主さんが早い段階で気付いてあげることが重要になってきます
猫の低体温症は危険!猫がみせる症状と応急処置としての温め方
感電
怪我を伴う事故で多いのが感電です。電気のコードを誤って噛む事故は毎年多く報告されており、中には感電して死亡するケースもあります。
感電をするとケイレン、意識障害、失禁など通常ではありえない症状が発生します。
もしコードを噛んで感電をしているならば、コードを噛んだまま硬直し感電することがあります。そのときは愛猫に不用意に触るのではなく、まずはコンセントを抜いてください。
そして、二次感電を防ぐためにもゴム製品などを使って直接触れないようにして愛猫の状態をチェックします。
チェックするポイントは呼吸をしているかと、心臓が動いているかという2つです。
心臓が止まっている場合は、ただちに心臓マッサージと人工呼吸を行いながら動物病院へ急ぎましょう。心臓と呼吸に問題がなければ、口の中を火傷していないか確かめてください。火傷をすると赤く腫れたり、出血を伴います。
火傷の症状が見られなくても、目に見えない異常が発生している可能性がありますので、どちらにしても念のために動物病院へ受診しましょう。
▼どのおうちにもあるコード類は、猫にとっては危険度大。日頃から噛んだりしないように予防しておいてください
【危険!】猫がコンセントやコードを噛まないようにする3つの方法
猫の怪我にヒトの薬を使うのは危険
猫が怪我をしたときに市販で売られている薬を使用するのは大変危険です。
というのも、猫の怪我を治すのに薬は必要となりますが、それは動物病院で診察を受けて獣医師の指示のもとに処方された薬という意味です。
たとえば市販で売られているヒト用の薬を使用しても、猫に効果があるかはわかりませんし、そもそもその薬がその怪我に有効なのかも素人が判断はできません。さらに、薬によってはアナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあります。
そもそも猫にはヒトよりも高い自己治癒能力が備わっているため、市販の薬を使わなくてもある程度の傷は治してしまいます。
市販されている薬でステロイドや劇薬成分が入っていない薬を塗って、すぐに死に至ることはありませんが塗る必要はありませんし、塗ったところで効果は期待できません。
もし、どうしても薬を塗ってあげたいと考えるならば獣医師に相談をするか、獣医師に専用の薬を処方してもらうようにしましょう。
決して自己判断で、市販の薬を使用しないように注意をしましょう。
怪我の処置は消毒よりも傷口を洗い流すのが重要
愛猫が怪我をしたら何よりも先に消毒をしようとする方がいらっしゃいますが、消毒よりも重要なのは傷口を十分に洗い流してあげることという意見もあります。
最近の研究で消毒薬は悪い菌を殺すだけではなく、自分の免疫細胞も殺してしまうという事実が明らかになっています。そのため、獣医師によっては消毒をせずに、しっかりと傷口を洗い流して清潔にするだけいう治療法をとる方もいらっしゃいます。
消毒をしっかり行うか、消毒をせずに愛猫の自己治癒力に任せるか、考え方はヒトそれぞれですし獣医師によっても、治療法は異なってきます。
しかし、どちらの場合でも傷口をしっかりと洗い流して清潔にするという点は合致しています。消毒をしないにしてもするにしても、とにかく流水で泥や汚れをしっかりと洗い流すという点だけはしっかり行いましょう。
また、傷口を舐めてしまっては治りが遅くなるという点もよく言われています。もし、可能であれば傷口を舐めないようにエリザベスカラーの装着も検討しましょう。
▼猫がエリザベスカラーを嫌がることって多いんですよね。そんな時の対処法についてはこちらをご覧ください
猫がエリザベスカラーを嫌がる時は?飼い主さんができる対処法
猫が怪我をしたら焦らず正しい処置を行おう
怪我をして出血をしたり、痛そうにしていたら、飼い主としてはパニックになってしまいますよね。しかし、焦ったところで愛猫の怪我がよくなるわけではありません。愛猫のピンチのときこそ、落ち着いて応急処置を行ってあげましょう。
またどのような怪我をしたとしても、念のため獣医師を受診するのがおすすめです。見た目に異常がなくても、何らかの症状があとで発生する場合もあります。愛猫の命を守るためにも、素人判断はせずに最悪の場合を想定した処置を心掛けましょう。