猫に更年期障害はない?更年期に起こりうる症状と、原因ごとの対処法

若い頃は穏やかで明るく、元気溌剌としていたのに、年齢を重ねていくうちに怒りっぽくなったり、イライラしていることが増えたり、攻撃的になってしまった愛猫を見て「もしかして更年期障害なのでは?」と不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そもそも猫には人間と同じように更年期障害があるのでしょうか?また、更年期障害を思わせる症状が見られたときの対処法と予防法はあるのでしょうか?

今回はシニア猫に見られる更年期障害によく似た症状の謎に迫りたいと思います。

猫には人間でいう更年期障害はない

タイトルの通り、猫は厳密にいうと人間と同じような「更年期障害」という病気にはなりません。人間の更年期障害は、女性ホルモンのバランスが崩れることにより発症する病気です。年齢を重ねると卵巣の機能が低下し、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少することで心身に悪影響を及ぼすというものです。

しかし、猫はこのような女性ホルモンのバランスが崩れることはほとんどありません。そのため、人間でいう更年期障害というのは猫には起こらないということです。

ただし、女性ホルモンではなく他のホルモンのバランスが崩れる、あるいは精神的疾患によって、人間の更年期障害のような症状を発症することはあります。

猫の更年期障害のような症状は甲状腺亢進症が原因

猫の更年期障害のような症状は、7歳のメス猫に見られる症状です。猫の更年期障害は前述した通り、人間のものとは原因が違います。人間のように女性ホルモンのバランスが崩れることが少ないのと、飼い猫の場合は避妊手術を受けている場合が多いためだと考えられています。

その代わりに、年齢を重ねると甲状腺のホルモンバランスが崩れる「甲状腺機能亢進症」という病気にかかりやすくなります。甲状腺という喉元にある器官が甲状腺ホルモンを作りすぎてしまうために発症する病気で、めったにありませんが癌化する場合もあります。

この甲状腺機能亢進症は、見た目はあまり変わらないため発見が遅れてしまいがちな病気としても有名ですが、主にこのような症状が見られます。

  • イライラしている
  • 怒りっぽくなる
  • 攻撃的になる
  • 猫が変わったような激しい性格になる
  • 食べているのに痩せてくる
  • 多飲多尿
  • 嘔吐
  • 下痢

こうしてみると、人間の更年期障害とよく似ていますよね。

甲状腺機能亢進症は見た目の変化がほとんどないため、とても発見しづらい病気ではありますが、あまりにも放っておくと心臓、血管、腎臓に悪影響を及ぼすほか、高血圧、神経過敏症、循環不全、呼吸不全などを引き起こし最悪の場合は急死することもあります。

なんとなく最近イライラしている気がする、若い頃に比べて怒りっぽくなっていると感じたら、「歳だから仕方がない」と自己完結をするのではなく、できるだけ動物病院へ早めに相談をしてみましょう。その「念のため」の診察が、愛猫の命を守ることにつながるかもしれません。

▼猫の甲状腺機能亢進症の症状については、こちらもご覧ください
老猫がかかりやすい病気のツートップ!腎臓病と甲状腺機能亢進症

猫の更年期障害のような症状はストレスが原因になっていることも

猫の更年期障害のような症状は甲状腺の影響だけではありません。なんらかのストレスが原因により精神不安定な状態となって更年期障害のような症状を引き起こしている可能性もあります。

7歳以上のシニア猫の場合、今まで慣れ親しんだ環境が変化をすることで大変大きな不安を抱えてしまった結果、精神不安定な状態に追い込まれてしまうことも。特に気をつけて欲しいのが、引越しなどによる住環境の変化や、新入り猫を迎え入れるなどの変化です。

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先住猫と新入り猫の上手な対面のさせ方。良好な関係を築くためのコツ

元々猫は、環境の変化を好まない動物ですから、シニア猫のような年齢を重ねている場合は余計にストレスを感じてしまうだけではなく、静かにのんびり暮らしたいと考えているシニア世代と、とにかく有り余った体力を発散したい若い猫ではお互いにフラストレーションが溜まってしまうかも。

さらに、シニア猫がストレスを感じてしまうのが自分の体の衰えによって、今までできていたことができなくなることです。

足腰が弱ったせいで上手にはしれなくなった、ジャンプができなくなった、高いところに登れなくなった、トイレが上手にできなくなった、ご飯を上手に食べられなくなったなど、今までできていたことができなくなるのはやはりツライものです。

特に猫は、体を活発に動かすことでストレスを発散しますが、シニア猫の場合はそれができないため余計にストレスを溜め込んでしまい更年期障害のような症状、イライラや怒りっぽい性格になってしまうのです。そのような精神状態は人間と同じなのかもしれませんね。

▼シニア猫になると、今までとは少しずつ違ってくることを飼い主さんが理解してあげることがとても大切です
老猫との暮らし方。7歳でシニアになる猫のための病気やケアの話

猫が更年期障害のような症状を見せた時の対処法

猫が更年期障害のような症状を見せたときは、その症状の原因を排除することが大切です。更年期障害のようなイライラしたり、怒りっぽくなったり、攻撃的になったと感じた場合は、上記を参考に原因を突き止めてそれにあった対処法を行うようにしましょう。

甲状腺機能障害の場合

イライラしたり、怒りっぽくなったりする他に、嘔吐や下痢や多飲多尿といった症状が出ている場合は、獣医師に相談をして甲状腺の検査を行いましょう。甲状腺機能障害の検査は血液検査や触診などで見つかります。

検査をし、甲状腺機能障害と診断をされると、投薬治療か摘出手術か食事療法が行われます。最も多いのが投薬治療で、過剰に分泌している甲状腺ホルモンを抑えることで治療を行います。

また、あまりにも甲状腺が肥大化している場合は、摘出手術が行われます。ただし、甲状腺機能障害の場合、ほかの臓器に合併症が見られる場合や、シニア猫で体力がなく手術に耐えられない猫もいますのであまり行われないようです。

初期の段階ならば食事療法が取られることも。ただし、投薬治療と食事療法は継続的に行う必要があり、治療をやめてしまうと甲状腺ホルモンはまた過剰に分泌されることになります。

どの治療法が適しているのかは、その猫ちゃんの体力面、体調、ほかの合併症の影響によって異なりますので、獣医師と相談をして治療方針を考えるようにしましょう。

▼信頼できる獣医師さんをあらかじめ見つけておくことも大切なことですね
猫も飼い主も信頼できる動物病院選びと、受診するときのコツ

ストレスが原因の場合

ストレスがそのような行動の原因となっている場合は、とにかくストレスの要因を取り除き一刻も早く快適な住環境を提供してあげることが大切です。

神経質で綺麗好きな猫ちゃんが快適に暮らせるように清潔で掃除の行き届いた環境を用意できているか?静かにのんびり過ごせる場所は確保できているか?多頭飼いならば、パーソナルスペースを確保できるだけの部屋の広さを用意できているか?

運動は足りているか、ご飯を落ち着いて食べているかなど、ストレスの要因となりそうな箇所はたくさんあります。ストレスが原因となっている場合、その要因を解決してあげるだけで性格が元の穏やかな状態に戻ることもあります。

ぜひ、猫にとってストレスがたまらない環境とはどのようなものかをしっかりと調べて、自宅に反映させてあげるようにしましょう。

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トラウマが原因の場合

猫によっては何らかのトラウマが原因でそのような状態に陥っている場合もあります。人間に虐待をされた経験や、何か痛いことをされた経験、元々野良猫で人間は怖い生き物だと母猫から教育をされている場合は、人間に対して警戒心をむき出しにして、攻撃的な態度を見せます。

そのような猫にはあまり近づかず、そっとしておいてあげて、時間が経ち心を開いてくれるまで待つようにしましょう。同じ空間で生活をしていると、フトしたきっかけで仲良くなることもありますし、今までは近づいて来ようとすらしなかったのにフト気がついたら隣に座るようになっていた。なんてこともあります。

また、今まで仲良く暮らしていたのにも関わらず、ちょっとしたきっかけで精神的不安定になり攻撃的になってしまった場合も、時間が解決してくれる可能性は十分にあります。

あまりにも、攻撃的になっているときに無理に触ろうとしたり、抱っこをしようとすると逆にストレスを与えてしまい、さらに凶暴になってしまうことも。

イライラしている時や、かなり怒っている時、飼い主としては心配になってたまらず手を出してしまいそうになりますが、その行為によって怪我をしたり、愛猫をさらに刺激してしまう可能性もありますので、嫌がっているようならばそっと見守るだけに留めるようにして、愛猫から近づいてくれるまで待ちましょう。

▼愛猫が何かの拍子に突然凶暴になってしまう病気もあるので、そんな場合はやはり獣医師さんに相談してみるといいかもしれません
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猫に更年期障害のような症状が見られたら早めに獣医師に相談を

猫には厳密に言うと更年期障害はないですが、更年期障害によく似ている甲状腺機能障害という恐ろしい病気があるのは事実です。シニアになると、体に様々な支障が出てくるため、若い頃のように体が動かせなくなります。

たくさん遊びたいのに、体が動かないとなるとなんだか悲しい気持ちになるのと同時にイライラしてしまうのもわかりますよね。シニア猫になっても快適で楽しい生活を送ってもらうにはどうすればいいのか、ぜひ愛猫のために考えてみてはいかがでしょうか。

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