私たち人間と同じように、花粉症に悩まされている猫ちゃんが増えています。
暖かくなる季節にだけくしゃみや鼻水、皮膚炎などの症状があらわれるなら、もしかして花粉症が原因のアレルギー症状かもしれません。
猫もおびやかされる花粉症の原因・対策や花粉から愛猫を守る方法など、猫と花粉のあれこれについてまとめました。
この記事の目次
猫のその症状、もしかしたら花粉が原因かも!?
そもそもペットにも花粉症があるということを知っている飼い主さんは、5割程度だといわれています。
猫にも花粉症があるということを知らない人が多いことから、異変に気づきにくいのです。
症状をしっかり把握することで、猫にとって非常につらい花粉症に早く気づいて、対策をたててあげましょう。
花粉症のつらすぎる症状
猫の花粉症の症状は、私たち人間の花粉症と同じように次のような症状がみられることがあります。
- くしゃみ
- 鼻水
- 目のかゆみ
また、人間にはあまり見られませんが、猫がかかる花粉症のアレルギー反応は皮膚の炎症など、皮膚に症状が見られることが多いのです。
皮膚が赤くなっていたり、膿んでいる様子を見てアトピー性の皮膚炎と勘違いしてしまいがちですが、花粉が飛ぶ時期にだけ症状が悪化している場合は花粉症の可能性があります。
アレルギー反応によるかゆみや違和感から皮膚をするどい爪でかきむしってしまうと、皮膚をきずつけた場所から菌が入り、さらにひどく炎症してしまうことも。爪を短くきるなど、対策が必要です。
また稀にですが、花粉症の症状として消化器官にダメージをおってしまうこともあります。皮膚の炎症やくしゃみだけでなく、下痢などの症状が見られるときは、花粉症かもしれません。
花粉症が原因でよく見られるアレルギー症状は、
- 皮膚の炎症・発疹
- 目の腫れ・かゆみ
- くしゃみ・鼻水
などです。
くしゃみや鼻水は、体内に入ったアレルギー症状の原因となる物質を外へ出そうとすることから見られる症状です。
特に鼻水は猫にとってとてもつらい症状なので、注意して見てあげてください。
猫は主に鼻呼吸なので、息が苦しくなりますが、自分で鼻をかむこともできないので不快感からストレスがたまってしまいます。
猫が鼻水をたらしているときはすぐにふきとってあげてください。
花粉症の時期を過ぎても鼻水が続くなら、副鼻腔炎などほかの病気にかかっているかもしれません。すぐにかかりつけのお医者さんへ連れて行きましょう。
目のかゆみも猫の花粉症のアレルギー症状によく見られます。
充血したり、かゆさから目を引っかいたり、涙をためていることも。やはり伸びすぎた爪は危険なので、定期的に切って目を傷つけないように注意してあげましょう。
目薬は必ず病院でもらったものを使ってください。人間用の目薬はNGです。症状にあわない成分が入っていた場合、余計に悪化させてしまうことも。
目やにがでているときはコットンやガーゼをすこしだけ湿らして、優しくふきとってあげてください。
さらに、人間の花粉症にはあまり見られない症状ですが、猫の花粉症のアレルギー症状のひとつに外耳炎があります。
猫は外耳炎になると、耳を気にして強くかいたり、においのある耳垢がでたりします。
放置しておくと鼓膜が破れてしまうこともあるので、異変があればすぐに病院へ連れて行きましょう。
花粉症と猫風邪の違いがわからない!?見極めるには
猫風邪は、猫鼻器官炎ウイルスや猫カリシウイルスなど、病原体の感染によって引き起こされる疾患です。
花粉症と同じように、鼻水やくしゃみの症状が見られるので、どちらにかかっているのかわからないこともあります。
しかし猫風邪は
- 発熱
- 食欲不振
- 結膜炎
- 口内炎
- せき
など、さまざまな症状が併発することが多いので、猫ちゃんの元気もなくなります。
発熱がなく、食欲もあるのにくしゃみや鼻水などの症状があらわれる場合は、花粉症を疑ってください。
特に春や秋など、暖かい季節にいつも同じ症状が出るときは花粉症の可能性が高いといえます。
花粉症と猫風邪は、
- 春や秋にかけて症状が出る
- 食欲旺盛で元気もある
- 皮膚に炎症を起こしている
などの症状で見分けてください。
一日中くしゃみをしていたり、毛が抜けるまで身体をなめているときは花粉症によるアレルギーの疑いがあります。
いつもと様子がちがうなと感じたら、まずはお医者さんに相談してみましょう。
猫が花粉症になる原因と、注意したい時期
ではなぜ猫は花粉症にかかってしまうのでしょうか。
人間でも赤ちゃんには花粉症の症状がでないように、猫も成猫になってからしか花粉症を発症しないといわれています。
花粉症とは、何度も花粉と接触することで過剰な免疫反応が起こり、身体のなかに抗体ができて発症するものです。
2歳未満の猫に花粉症のようなアレルギー症状がでたときは、別の疾患を疑ってください。
猫の花粉症を引き起こす原因として
- スギ
- ヒノキ
- ブタクサ
などの植物があげられます。
スギは2~3月ごろ、ヒノキは3~4月ごろが花粉のピークになります。
花粉症の症状があらわれる時期を知ることで、何の花粉が原因のアレルギー症状なのかを見つけることができるかもしれません。
普段から猫ちゃんの様子を見て、異変に気づいてあげることが大切です。
花粉症によるアレルギー症状を治すために、飼い主さんができること
猫ちゃんは「かゆいニャ」「痛いニャ」なんて話せません。
身体をかきむしり、花粉症で苦しんでいる姿は見ている方もつらくなりますよね。
私たちに花粉症の症状がでたときは、症状に応じて花粉症対策用の薬をもらったり耳鼻科へ通うなど、さまざまな角度から花粉症の治療をします。
猫は一体どのような検査や治療が必要なのでしょうか。
花粉症の詳しい原因はわからない!?
愛猫に花粉症のような症状が見られたとき、アレルギー症状の原因を調べてもらおうと病院へ連れて行くと思いますが、実は詳しい原因物質を特定することは、まだできません。
猫のアレルギー検査はとてもむずかしく、なにかのアレルギーであることはわかっても何のアレルギーかを特定することはむずかしいのです。
どの花粉によるアレルギーか特定するためには、血液検査をおこない、猫風邪やほかの病気ではないかを確かめる、いわゆる消去法で原因を探すことになります。
検査に時間や費用もかかりますし、さまざまな検査を重ねても特定できないこともあるので、あまりおすすめできません。
しかし、花粉症だと思っていたらちがう大きな病気だったということもあるので、いつもとちがう症状がでたらまずは病院で検査を受けてみましょう。
お医者さんで行われる花粉症の治療は、主に対処療法
原因が特定できない猫の花粉症。ではその症状を改善するためにどうすればよいのでしょうか。
猫の花粉症の治療法として、花粉症の原因をなくす方法ではなく、今苦しめられている症状を軽くするための治療、つまり対処療法を行うことになります。
主にステロイド剤という薬を使うことで、皮膚のかゆみや、湿疹などの症状を緩和させ、治癒を促進させます。
ステロイド剤には副作用が出るものもあるので、お医者さんに指示された使用量や期間を必ず守って使いましょう。
花粉症の原因となる植物を特定して治療する、減感作療法という治療法もありますが、検査の時間が長く、猫ちゃんの負担にもなる上に費用もかかるので、私は対処療法をおすすめします。
まだ日本では、猫の花粉症を特定するための方法は発見されていません。アレルギー症状を引き起こす原因を特定できる検査方法が、一日でも早く発明されることを願っています。
花粉症の症状が見られたら早めに病院へ連れて行き、症状に応じた薬をもらいましょう。
猫のつらい花粉症を予防する方法、アレルギー対策
猫ちゃんの花粉症によるつらい症状を軽減するために、私たち飼い主ができる予防・対策方法についてご紹介します。
外へ出ることが多い猫ちゃんは、春や秋など花粉症が発症しやすい季節にできるだけ外に出さないことが大切です。
花粉症にまだなっていない猫ちゃんも、花粉と接することによって発症する確率があがります。
猫はアレルギーの原因となる花粉を吸いこむというよりも、皮膚に付着することが多いので、皮膚炎が発症しやすいといわれています。
外に出る猫ちゃんは草むらなどで花粉を身体にくっつけてきてしまうこともあるので、もしどうしても外へ出してと鳴くときは、帰ってきたときに玄関の前で身体をさすって花粉を落としてあげましょう。
猫は犬とはちがい、散歩が必要ありません。花粉の季節はできるだけ外へ出さないほうがいいのですが、いつも外をパトロールしている猫ちゃんは出られないことがストレスになってしまうことも。
部屋で楽しく過ごせるように飼い主さんが遊んであげたり、キャットタワーなどを用意して上下運動でストレス解消させてあげてください。
また、免疫力が低下していると花粉症にかかりやすくなります。
栄養のあるごはんを量を守って与え、適度な運動とストレスのない生活を続けることで花粉症に備えましょう。
部屋のなかだけで暮らす猫ちゃんには、人間の花粉症対策と同じ方法で花粉を防ぐことができます。
花粉症対策の基本は掃除です。いつもより徹底的にすみずみまで掃除することで、花粉を除去しましょう。
掃除のときは換気をしたいですが、終わったらすぐに窓を閉めるなど、花粉を家のなかに入れないようブロックすることが大切です。
外出から帰ってきたときは、玄関に入る前に服や髪の毛をはたいて花粉を落とすことを習慣づけてください。同じように、洗濯ものを取り込むときもきちんと花粉をはらってから取り込みましょう。
少しでも窓を開けたら、空気清浄機を強めに稼働させてください。
できれば空気清浄機は24時間フルで稼働させ、飼い主さんが留守の間も空気の流れをつくることできれいな空気を保つことができます。
最近の空気清浄機の機能のひとつに、花粉を空気中から除去してくれるものがあります。もし買い替えることがあれば、そういった機能があるものを選んでもよいかもしれませんね。
空気清浄機は猫ちゃんや飼い主さんが集まるリビングに設置しましょう。気流が起こりやすいエアコンの反対側の対角線上に置くことで、空気がより循環し効果を発揮します。
また、冬にはむずかしいかもしれませんが、扇風機をプラスして稼働することでさらに気流をつくり、きれいな空気を保ちましょう。空気清浄機自体の掃除も必要です。
花粉は床に落ちてしまうと空気清浄機で取り除くことがむずかしいのですが、花粉は重い粒子なので床に落ちやすいという特徴があります。
猫ちゃんは床に近い場所をあるくので、床に落ちている花粉を吸いこんだり、寝転がったとき皮膚についてしまうこともあります。
床に落ちた花粉は、水ぶきで除去することができます。掃除機は花粉を舞い上がらせてしまうので、雑巾や床用のワイパーでの拭き掃除がベストです。
猫カフェで床拭きロボットが導入されるほど、人間も猫も花粉に悩まされています。
ほこりに花粉が残っている場合もあるので、徹底的な掃除が必要です。
愛猫のための花粉症対策が人間のためになることもありますし、花粉をブロックして除去する習慣を身につけ、猫も人間も快適に過ごせる空間にしましょう。
花粉から愛猫を守るために
花粉症によるアレルギー症状は猫ちゃんにとってもつらいもの。
発症しないように、またはアレルギー症状がひどくならにように飼い主さんが気をつけてあげましょう。
花粉情報をチェックし、乾燥して晴れている日などは猫ちゃんを外に出さないようにして花粉と猫ちゃんの接触をブロックしてあげてください。
また、花粉が被毛についたままにならないように定期的なブラッシングも必要不可欠です。
花粉症が発症しやすい春は、猫の被毛も生え変わる時期です。抜け毛を予防するとともに花粉の対策にもなるので、短毛・長毛にかかわらずブラッシングを習慣にしましょう。
猫は花粉症になってもめがねやマスクで花粉を防ぐことができません。家族みんなで協力し、愛猫をつらい花粉症の症状から守ってあげましょう。