いつものように部屋の掃除をしていると、床にぽつんと白い毛のようなものが。
毛かな?と思って拾い上げてみると存外に固い。そう、これは猫のひげでした!
一見そう簡単には抜けなさそうなのに、抜けてしまっているだなんて……もしかしてこれって病気だったり……?なんて思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
いえいえ、そうではないんです。猫のひげは、体毛と同じく生え変わるものなんです。
しかし、一体全体どのような要因で生え変わるのでしょうか?体毛のように夏毛、冬毛ならぬ夏ひげ、冬ひげは果たしてあるのか……?
今回はそんな猫のひげについて見ていきたいと思います。
猫のひげが抜ける原因。まずは心配ない場合
猫のひげが抜ける原因は、大きく分けて次の3つです。
- 生理的なもの
- ストレス
- 病気やケガ
まずはここでは、生理的なものである生え変わりの場合と、ストレスの場合について触れていきます。
単なる生え変わりの場合
最初に言及した通り、これが一番多い原因だと思われます。
ひげは猫にとって、神経と繋がっているデリケートな器官です。
別名を「触毛」と言い、体毛よりも2倍は太く固いですし、3倍は深いところから生えています。
鼻周りのひげは筋肉と連動しているので動かすことも出来ますが、大雑把に言ってしまえば体毛と同じ毛の一種です。
となると、何時かは生え変わる時が来ます。勿論、それぞれのひげによって生え変わりの時期は違いますから、一気に全部がごそっと抜けることはありません。
ひげの一本が生え変わる周期は、大体半年ほど、と言われています。
というわけで、冒頭に言っていた夏ひげ、冬ひげという概念は残念ながらひげにはありませんでした。もしあったら、冬のひげのほうがみょーんと長かったりしたのでしょうか……(笑)
そんな冗談のようなイメージ図と話は置いといて……ともかく、猫のひげが抜けること自体は正常なものだということが分かりました。
続いては、当てはまる時は少し気にしてあげて欲しい、ストレスの場合です。
ひげが抜ける原因がストレスの場合
猫は繊細な子も多いので、ストレスが溜まることでひげが抜けてしまうこともあります。
そのストレスの原因がに、当の猫ちゃんのひげ自体が関わっている場合もあったり……?
しかし、猫のひげはデリケートな器官!とさっきも述べましたが、何故そんなにもひげがデリケートで、ストレスが溜まってしまうこともあるのでしょうか?
生え変わりのところで出てきた別名の「触毛」というのは、触覚に深く関わる毛なのでそういう名前だった、ということなんですね。
他にも、「感覚毛」や体毛の対義語として「洞毛(どうもう)」や「血洞毛(けつどうもう)」などとも呼ばれたりします。
血だなんて何だか怖い……!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ひげは、毛根の周りが血洞(けつどう)という血管が膨らんだもので覆われています。
その血洞の役割とは、センサーであるひげがキャッチした振動を増幅して、側にある神経に信号を送る、ということです。
これが猫の敏感なひげを陰ながらサポートしているというわけなんですね。
こうして見ると、ひげって普通に猫にあるものだと思っていたけど、何か凄い器官なんだな……と改めて感じますね。
その感度たるや、なんと人間の触覚の2000倍ほどの感度だとか。驚きですよね!
だからこそ、ひげでバランス感覚を取ったり、空間や物の大きさ、距離、動きなどといったことを認識できたりするんです。
勿論、ストレスの原因は必ずしもひげ関係のことだけではありませんが、ストレスを排除出来ないと、人間の髪がストレスで抜けてしまうように、ひげがぽろりと……。
そんなのは悲しいですよね!ということで、猫ちゃんにとってストレスの少ない環境作りを飼い主さんは心がけられるといいですね。
注意!病院へ連れていく必要がある、病気が原因のひげの抜け毛
猫のひげは基本的には自然に抜けるものであり、ストレスでも抜けてしまうことがある、ということがわかりました。
続いては、病気・ケガで抜けてしまった場合。
こういう場合は、病院で獣医さんに診てもらったほうが良いことが多いです。
早速、どういう場合に単なる生え変わりやストレスと違うかを疑ったほうがいいのか、ということを見ていきましょう。
ケガで抜けてしまった場合
外に出ることがある猫ちゃんや、多頭飼いでじゃれることがある猫ちゃんはケンカが原因で抜けてしまうこともあります。
そうではない猫ちゃんも、室内の環境によっては間違ってひげを引っ掛けてしまい、抜けてしまうというケースも。
おかしいな?と思ったら顔周りをきちんと観察して、流血やケガがはっきりと分かる場合は病院に行って獣医さんから処置を受けましょう。
病気の場合
猫ちゃんに過度なストレスが掛かりすぎてしまうと、ひげが抜けてしまうだけではなく病気になってしまうことが!
人間も同じですが、何らかのストレスが掛かると、血中の白血球が減少してしまいます。
そうなると、身体の免疫力が下がり様々な病気に掛かりやすくなってしまうんです。
どんな病気になってしまうかというと……
- ニキビダニ症(毛包虫症)
- 猫白血病(FeLV)
- 猫エイズ(FIV)
と言った病気が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
- ニキビダニ症(毛包虫症)
- 別名を「アカラス(アカルス)」と言い、免疫力が低下した結果猫の皮膚に常在しているネコニキビダニが原因となって発症する病気。
皮膚炎を起こしたところが脱毛する場合があり、こうなるとひげも一緒に抜けてしまいます。
健康な時はネコニキビダニは悪さをすることはないのですが、ストレスによって抵抗できなくなってしまうんですね。
フケや脱毛、かさぶたや痒みを伴います。ただ、痒みは猫ちゃんによって程度が様々なようです。殆ど感じない子もいますし、ひどく痒がる子もいます。抗生物質を飲ませたり、薬浴をすることによって治療をします。
- 猫白血病(FeLV)
- 猫ちゃんが外に出ることがある場合は要注意。感染している猫とのケンカや、食器を共有してフードを食べることで感染してしまう病気です。
貧血や発熱などの症状のほか、進行すると腎不全といった症状が出ることも。日和見感染が多くなってしまうので、その影響が皮膚に出てひげが抜けたりします。
上のニキビダニ症を発症している場合、猫白血病にも感染している可能性があります。確かな治療法がないのが現状ですが、抗生物質や抗ガン剤を投与することが多いです。
- 猫エイズ(FIV)
- こちらも外に出る猫ちゃんは注意な病気。猫白血病と同じく感染している猫とのケンカで感染することや、母猫が感染している場合は子猫も猫エイズになることがあります。
症状は発熱・下痢など。口内炎や皮膚炎などを引き起こすこともあり、それがひげが抜けることに繋がります。
確立している治療法はこちらも残念ながらありませんが、抗生物質や抗炎症薬を使います。
どれも殆どが皮膚炎から脱毛し、ひげが抜けてしまう、という症状です。
ぱらぱらと、何本も猫ちゃんのひげが抜けて、見た目から少し違和感を覚えるような場合は早急に病院に連れていき、獣医さんに診察してもらってください。
受験生必見!猫のひげがお守りになる?
今まで見てきた猫のひげ。実は意外な効能があるんです。
それがなんと、お守りになるということ!
「金運や厄除けは招き猫だとかで分かるけれど、一体全体ナゼ合格祈願?」と思われるかもしれませんが、猫の生態を思い出してみてください。
このようにどんな狭いところもスルリとすり抜けられるのが、猫の特徴ですよね。
更にその狭い部分を通り抜けられるかどうかは、ご自慢のひげの空間把握能力で判別します。
……と、ここまで来たら勘の良い人はピンときたでしょうか?
そう、絶対に合格したい、どんな狭き門でもスルリと通り抜けられることが出来る……!
というわけで合格祈願のお守り、というわけなんですね。
勿論、いくら合格したいからと言って、猫からひげを無理に取ることは絶対に厳禁です。
猫のひげがなくなることは猫ちゃんにとってバランス感覚が取れなくなって上手く歩けなくなったり、視覚のサポートがなくなるといった死活問題です。
そのため、くれぐれも切ったり抜いたりはしないようにしてくださいね。
また、ヨーロッパでは猫のひげは「恋愛のお守り」としても使われているようです。
世界中で猫のひげは、大事なお守りとして扱われているんですね!
是非、ご自宅の猫ちゃんからひげが抜け落ちた際には、大事に保管しておくと良いかと思います。
もしご家族やご友人など、お知り合いの方が必要そうなら、分けてあげると喜ばれるかもしれませんね!
私の家でも猫の抜けたひげは、それぞれの猫で分けて大切に保管しています。
愛猫なら抜けたひげさえも愛しい!猫のひげグッズ
また、「ビーグラッドストア」さんのHPからは、ひげの収納ケースやひげ立てなどのユニークな商品も出ています。
▼【名入れできます】 猫専用猫のひげケース <サイト限定シール付き>(5種類)
▼猫専用猫のひげスタンド
猫のひげがあなたに良い運を運んできますように……。
ということで、最後はうちの猫のひげのドアップで!
以上、ねこのひげは何故抜けるのか?というお話でした。