猫は普段から吐くことが多い動物です。
具合が悪そうでもないのに突然吐く事も良くある事で、様子を見た方がいいのか病院に行った方がいいのか判断に迷う事もあります。
胃腸に原因があったり、飲んではいけない物を飲み込んでしまったり、毛がお腹に溜まってしまったなど吐く原因も様々です。
吐いてしまった時の猫の様子が、病院に連れて行った方がいいかどうかの判断基準になる事もあります。
吐いてしまった場合注意すべきことはどんなことなのか、また吐くときに考えられる病気を解説していきます。
猫が元気だけど吐くときの原因2つ
病気ではなく、日常で起こり得る猫が吐く原因を紹介します。
- 胃の中の毛玉を吐く
- 餌が合っていなくて吐く
順番に詳しく見ていきましょう。
毛づくろいで胃の中にたまった毛玉を吐く
猫は毛づくろいを頻繁に行う綺麗好きの動物です。そのため、被毛が胃や腸にたまってしまうことがあります。
胃の中でもまれて毛玉になった毛を、特に毛の抜け替わり時期である換毛期に吐き出すことは珍しい事ではありません。
特に3月頃は、冬のふわふわでボリュームのある冬毛から堅くて密度の薄い夏毛に抜け替わる為、大量の毛が抜けていきます。
猫の毛づくろいだけでは毛の処理が追いつかない為、この時期のブラッシングは欠かせません。念入りなブラッシングである程度の抜け毛を取ることが出来るため、頻繁に吐く事の予防にもなります。
毛が胃の中に入り込んで吐いてしまった場合、普段は食欲もあり元気にしていれば心配をする必要はありません。
しかし、頻繁に吐いたり、元気がなかったり食欲がない場合は別の病気の可能性も考えられるため、早めに獣医師に相談しましょう。
ドライフードが体に合わずに吐いてしまう
我が家の猫も、ドライフードを吐いてしまう事が時々あります。ウェットフードよりもドライフードの方を吐いてしまう事が多い傾向があります。
なぜ、ドライフードを良く吐いてしまうのでしょうか。それは、ドライフードの主成分に原因がある事が多いのです。
画像はペットショップやスーパーマーケット等に大抵置いてある、大手メーカーのドライフードです。水分量に注目です。
ドライフードというだけあり、12%しか含まれていません。他のメーカーのドライフードも、大体10%前後の水分量であることが多いです。
これに対してウェットフードは80から90%の水分量が含まれております。
安く販売されているドライフードの主成分は、とうもろこしや小麦などの穀物が主です。
また、胃に入ったドライフードが胃の中の水分で膨張し、苦しくなって吐いてしまう事もあります。この場合は胃で消化しきれずに戻す為、粒の形を保ったまま吐き出される事もあります。
我が家の猫は、同じメーカーで同じ成分のドライフードでも、粒の形が違うだけで体に合わずに吐きだしてしまう事があります。これは粒の形や大きさが、猫にとってうまく噛み砕けずに、吐いてしまうと考えられます。
穀物不使用のドライフードは500gでも大体2000円前後するため、少々値段が高いのがネックですが、ドライフードを吐いた時の対策として考えるのも良いでしょう。
ウェットフードも吐いてしまう事がありますが、ドライフードに比べると水分量が多い為に消化はしやすくなっています。
毛のお手入れと食事に気を付けてあげれば、普段の生活に原因があって吐いてしまう場合、吐く回数は減っていくでしょう。
猫が知らないうちに誤飲しているケースも!こんな症状に注意
病気や誤飲の可能性がある場合は、猫の体調にも異常が見られます。
嘔吐の他に、以下の症状がある場合は時間をおかずにただちに病院へ行くことをお勧めします。
- 発熱
- 痙攣
- 泡を吹き出す
- 嘔吐物に血が混じる
- 何度も繰り返して吐く
- 元気がなくなりぐったりしている
- 下痢をしている
- よだれがやたら出る
猫が食べると中毒となる、ネギやチョコ等は絶対に与えない
猫が食べてはいけない食べ物が存在するのを、聞いたことはないでしょうか。
人間と猫の体のつくりはかなり異なる為、人間は平気でも猫にとっては命に関わる事もあります。
例えば玉ねぎや長ネギ、ニラといったネギの仲間は胃腸障害を起こし猫の赤血球を壊してしまうため、重度の貧血を引き起こします。
ネギをそのまま猫に与えることはあまりないかもしれませんが、数十年前まではねこまんまといって白いご飯に味噌汁やかつおぶしをかけて与える事もありました。
その味噌汁にネギが入っていたりした場合、直接ネギは食べなくてもネギのエキスがみそ汁の中に流れ込むために、貧血になってしまうという事故を引き起こす事もあったようです。
チョコレートやぶどう、アボガトも発作やけいれんを引き起こす猫にとっては危険な食べ物です。飼い主が目を話している間に、猫が誤飲してしまう事もあるでしょう。
手作りフードで発生しやすいのが、寄生虫が感染している食べ物を与えてしまうことです。
案外多い誤飲。猫が飲み込まない様に普段から注意しておく
このほか、テーブルの上などに置いてあった薬品を飲み込んだり、猫の玩具の一部や飾りなどを噛みきってしまい飲み込んでしまう事も考えられます。
誤飲の状況により、手術になる場合もあります。どの理由にしても、早めに対処すれば治癒できるものになりますので、猫の様子を観察し嘔吐物を確認するようにしましょう。
嘔吐物の内容は、獣医師が病状の判断をする時に必要になります。
どんなものを吐いたのか、吐く頻度や時間などをメモしておくようにしましょう。
病気で吐いている場合は早期発見が大事
特に注意したいのが病気が原因で吐いてしまう場合です。胃炎や食道炎など消化器系に原因がある場合や、腎臓や膵臓など内臓疾患が原因である場合もあります。
食道や胃腸など消化器系が炎症して吐いてしまう事があります。
まずは動物病院で相談し、なぜ炎症をしてしまったのかを判断する必要があります。食事に問題がある場合は食事療法が中心となっていきますので、どのような食事にすればよいのかをアドバイスしてもらうようにしましょう。
毛がお腹に溜まる毛玉症にならないために、ブラッシングする事
抜け毛と関係するところで、毛玉症(もうきゅうしょう)という病気があります。
毛玉症になってしまった時は嘔吐や下痢、食欲低下を引き起こします。お腹の毛玉が大きくなってしまうと、お腹を開いて毛を取り出す手術が必要となってしまいます。
そのため、普段からの被毛のケアは不可欠となります。特に長毛種の猫は抜け毛も多くなりますので、換毛期の被毛のお手入れは特に念入りに行いましょう。
猫も腸閉塞になる事があります。これはお腹に腫瘍が出来たり、異物を飲み込むことで腸が詰まってしまい、嘔吐や食欲不振を引き起こします。
病気が進行すると死に至ることもあるため、嘔吐を繰り返したりあまり食事をしないなあと感じた場合はすぐに動物病院で受診をしましょう。
高齢猫は甲状腺機能亢進症と慢性腎不全に注意
高齢の猫に多くなってくる病気として、甲状腺機能亢進症と慢性腎不全があります。
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に分泌する為、食欲がやたらに増したり落ち着きがなくなったり攻撃的になったりします。
なぜ甲状腺ホルモンが過剰に分泌するのかはよくわかっていません。初期状態だと、むしろ元気になったように見えるため、病気ではないと判断してしまいがちです。
たくさん食べわりには痩せてくるし毛並みも艶がなくなり、嘔吐や下痢も繰り返すといった症状が見られます。ごくまれに甲状腺がんになっている事もあります。
この甲状腺機能亢進症は予防法はないため、食事や生活習慣に気を付けていても発症する事もあります。
血液検査も判断基準の1つとなるため、年を取っているわりには元気すぎると感じたら、一度血液検査をしてみるのもよいでしょう。
慢性腎不全は早期発見が非常に重要
慢性腎不全は猫にとって避けることが難しい病気の1つです。
慢性腎不全は数か月から数年という長い時間をかけて徐々に腎臓の機能が低下する病気で、これも詳しいメカニズムは解明されていません。
腎臓の機能が少しずつ低下していく病気で、最初は水をよく飲んだりおしっこの量が増えていく症状が見られます。
腎不全は一度発症すると完治出来ない病気のため、早期発見が非常に大切になります。
換毛期でもなく、食べた後でもなく吐く回数が増えたと感じたのであれば、甲状腺機能亢進症と慢性腎不全といった病気の可能性があります。
高齢の猫でなくとも発症する病気なので、毎日愛猫の状態を確認し、異常だなと感じたらすぐに病院へ連れて行きましょう。
一番大事なのは早めに獣医師へ相談する事
このように、毛玉と餌の問題では飼い主さんの工夫で解決できることですが、病気や誤飲が原因の場合があります。この場合はすぐに病院に連れていく必要がありますので、注意したい所ですね。
何より一番やってはいけないことが、これぐらいなら大丈夫だろうと素人判断をしてしまう事です。大丈夫だろうと判断し、気づいた時には手遅れになってしまうこともあり得ます。
大丈夫かどうかは、猫の体の専門家である獣医師でれば判断する事は難しいでしょう。飼い主がちょっとおかしいかなと疑問をもつことが、猫のその後の生活が良くなるのか悪くなるのかを決めることもあるのです。
吐くという行為は、猫からの1つの体調のサインでもあります。日頃から猫の様子をよく見ておくことがとても大事なのです。