猫の腎不全。予防のためにできる事&餌選びでチェックする成分2つ

2017年現在、猫に多い死因の1つが腎不全です。

腎不全にも急性と慢性があります。特に高齢の猫は慢性腎不全にかかりやすく、猫を飼っている人は知っておかねばならない病気ともいえます。

腎不全とはどんな病気なのか、なぜ猫は腎不全になりやすいのか、注意点や治療方法はどんなものなのかをお伝えします。

腎不全は猫特有の病気ではなく、他の動物や人間でも発症する病気

急性腎不全は、薬や急激な脱水などで一時的に腎臓の機能が低下する症状を言います。慢性腎不全は数か月から数年という長い時間をかけて、徐々に腎臓の機能が低下する状態の事です。

急性の場合は早めに病院で処置をすれば回復が見込めますが、慢性の場合は回復の見込みがなく、病気が進行しない様にする治療が必要となります。

急性腎不全は早く正確に治療をする事が重要

急性腎不全はいくつかの原因により引き起こされる病気です。

結石ができやすいオス猫に多いのが、結石が尿道を塞いでしまい、一時的に腎臓機能が低下するという症状です。

また、循環が悪くなり腎臓に血液が十分にいかなくなり、機能が低下する事もあります。

  • ふるえ
  • 食欲低下
  • しきりに陰部を舐める(特にオス)
  • よく吐く
  • 脱水

などの症状がみられるようになったら、腎臓機能が低下している可能性があります。すぐに動物病院へ行って獣医師に診断して貰う様にしましょう。

急性の場合はきちんと治療を行えば回復の見込みがあります。対処が遅れると最悪の場合死に至りますので、猫の健康には常に気を付けておくべきです。

慢性腎不全は長期に渡り、徐々に腎臓機能が低下していく

慢性腎不全はシニア期に入る7歳頃から増えてくる病気です。10歳を超えると10%弱、15歳を超えるとおよそ25%と、年齢が上がれば上がるほど腎不全になる猫が増える傾向があります。

猫と並ぶ代表的なペットである犬も腎不全になりますが、犬よりも猫の方がかかりやすい病気です。

猫は生まれながらにして腎不全になりやすい体になっている

腎臓の役割は体の中にたまった老廃物をろ過し、尿と一緒に体の外へ排泄することです。

この腎臓の中にはネフロンという組織構造があり、中には毛細血管がたくさんあります。

それぞれ独立して機能しており、これが尿を作り不要なものを外に捨てる役割をしています。例えるなら、浄水器のようなものと言えるでしょう。

ネフロンは人間の腎臓には大体200万個ほど備わっています。犬の場合は犬種によりますが平均すると80万個ほどに対し、猫の場合は40万個程度しかなく、このことが猫に腎臓系の病気が多く発生する原因なのではないかと考えられています。

ネフロンの構造の中には糸球体と呼ばれる、糸が絡まったような形をした毛細血管があります。ここで尿のろ過を行っているのです。

糸球体は何らかの原因で一度機能を失ってしまうと、2度と元には戻らないのです。ネコは他の生き物よりもろ過装置の数そのものがもとから少ないので、腎臓の病気に対する耐久力が少ないということが言えるのです。

猫の腎臓は水分節約型。そのため腎臓に負担がかかりやすくなっている

しかし、なぜ猫のネフロンは生まれながらにして少ないのでしょうか。

それは、水の少ない厳しい環境でも生きられるように進化してきた、猫の生命機能そのものに原因があると考えられています。

猫の祖先となったリビアヤマネコは、アフリカの砂漠など水が少ない地域で暮らす動物です。乾燥した砂漠では水を自由に飲むことが出来ません。

飲み水が少ない環境でも生きられるように、リビアヤマネコは採った水分を節約できるように体を進化させてきたのです。その子孫であるイエネコも、リビアヤマネコの体の仕組みが受け継がれています。

なぜ腎不全になるのか、メカニズムは完全に解明されていません。

猫はこのネフロンが少ない体の構造が、逆に摂取した水分が尿から出るのを最小限に抑え、少ない水分量でも生きていけるようになっているのではないかと考えられています。

猫のおしっこの臭いはかなりきついですが、それもおしっこに含まれる水分そのものが少なく、老廃物が凝縮されている為なのです。

腎不全にならないための3つの予防方法

腎不全にならないことが一番ですが、ウィルスなどの感染病とは違うため、生活環境に注意していても発症してしまうことが多いのです。そのため、普段から食事にも注意しておく必要があります。

1 人間の食事は味付けも濃い為、猫には与えない

腎不全予防だけに限ったことではありませんが、人間の味覚と猫の味覚は異なります。そのため、人間の食事は味付けが濃いことが多いのです。人間用の食事を猫に与えてはいけません。

猫が好きそうなイメージのあるかつおぶしや煮干しも、人間のものは塩分が高い為、猫用に生産されたものを与えるようにしましょう。ソーセージやハムといった加工品も同様です。

2 ミネラルウォーターは厳禁。飲み水は水道水で常にきれいな物を

我が家の猫のかかりつけの獣医さんも話していたのですが、猫には水道水でも問題ないそうです。

逆にミネラルウォーターは猫には厳禁です。ミネラル、と名前の付く通り、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれた水です。これが尿路結石に原因になったり、腎臓に負担を与えてしまう可能性があります。

また、水道水はこまめに変えるようにしましょう。

我が家では猫は1匹だけなので1日1、2回程度交換していますが、多頭飼いであればもうすこし多めでも良いでしょう。

また猫により水の好き嫌いがあり、水道から流れる水が好きな猫もいれば、洗面器の水を飲みたがる猫もいます。

冷たい水が好きな子もいれば、生ぬるい水が好きな子もいます。最近は色々なタイプの器や水飲み機が出ているので、色々試してみるのも良いと思います。

3 食事は栄養バランスに注意する。特にリンの取り過ぎには要注意

完全肉食獣の猫にとって、動物性のタンパク質は絶対に必要なものになります。ですがタンパク質ばかりを取り過ぎても栄養バランスが崩れてしまいます。

特にウェットフードは、人間でいう所のおかずであることが多く、猫が食べやすいように高タンパクな成分であることが多いです。

猫にとっては脂質やビタミン、また人間ほど必要ではないにしても、炭水化物も必要な栄養素です。ウェットフードだけでなく、総合栄養食も与えるようにします。

猫の腎不全で注意しなければならない栄養素が、ミネラルの1つであるリンです。このリンは大抵どの食品にも含まれており、特に魚や肉、乳製品に多く含まれているのです。

リンは普通に食事をしていれば摂取できる栄養素であり、むしろ取り過ぎが問題になります。腎臓の機能が低下すると、腎臓のいわば浄水器がうまく働けなくなるため、尿と一緒にリンが体の外へ排出できなくなるのです。

体にたまったリンは腎臓にダメージを与えてしまい、さらに腎臓の機能を低下させてしまいます。成分表を確認し、タンパクばかりな食事に偏らない様に注意しましょう。

猫の体の構造上、特に年齢が上がるほど腎不全のリスクは高まっていきます。現段階では完治させることは難しい病気ですが、多い病気であるからこそ様々な改善方法もあるのです。

もし、腎不全と診断された場合でも、うまく病気と付き合っていくことで長く元気で過ごすことも可能なのです。

腎不全の可能性のある10のサインを見逃さないようにして

外見からはなかなか判断の付きにくい腎不全だからこそ、猫からの病気のサインを見逃さないようにします。

  • 水をよく飲むようになった
  • よく吐く
  • 食欲がない
  • 毛づやが悪い
  • 元気がない
  • 脱水症状が多い
  • よだれが多い
  • おしっこの回数が増えた
  • うんちが固くコロコロしているのが多い
  • 口臭が気になる

といった普段と違う様子が多く見られるようになった場合は、動物病院で相談するようにしましょう。

腎臓が悪いかどうかは血液検査の数値で判断します。いかに初期症状から治療をしていくかが、その後の寿命にも影響していきます。

腎不全の食事はタンパク質とリンを少な目に。成分表でチェックすべき所

腎不全と診断されたら、一番気を付けることは食事になります。先ほど述べたとおり、リンは注意すべき栄養素です。

腎不全の猫のための、腎臓サポート用の食事に切り替えます。この食事はリンが少なく低たんぱくであることが特徴です。

こちらは腎臓サポートのウェットフードです。

腎臓サポートのウェットフード成分表示写真

タンパク質とリンが少な目で、水分がかなり多く含まれているのがわかります。

続いて、同じメーカーのドライフードです。

腎臓サポートのドライフード成分表示写真

やはりタンパク質とリンが少な目になっています。

ですが、どれだけ少ないのかということが分かりにくいので、普通のキャットフードの成分と比較してみましょう。

普通のキャットフードの成分表示写真

総合栄養食の成猫用ウェットフードです。ウェットフードなので水分が高い分、たんぱく質は少な目になっています。リンを含むミネラルである粗灰分は3.5%以下となっています。

このフードでは総合表示になっているので、リンそのものがどれぐらい入っているかはわかりません。

腎臓サポート粗灰分は総合量が1.1%以下ですから、それと比較すると粗灰分すなわちミネラルが多い事がわかります。

下の写真は別のメーカーの高齢猫用ウェットフードで一般食になります。つまりおかず扱いのフードです。

高齢猫用ウェットフードの成分表示写真

やはり水分多めで、タンパク質も粗灰分も腎臓サポート用に比べて高くなっています。

次に結石予防のための高齢猫用総合栄養食です。こちらはドライフードです。

結石予防のための高齢猫用総合栄養食の成分表示写真

タンパク質が32%と、3分の1がタンパク質で出来ています。リンも0.5%と、含有量0.10%である腎臓サポート用の食事に比べると少し多めと言えます。

結石予防用なので、粗繊維が多めであるのが特徴のフードと言えます。

次は室内猫に向けた成猫用総合食です。こちらもドライフードです。

室内猫に向けた成猫用総合食成分表示写真

このフードもタンパク質が多いのがわかります。

また運動不足になりがちな室内猫に向けた食事のため、粗繊維灰分が多めです。リンも1.1%含まれている為、腎臓が悪い猫は避けた方が良いということになります。

基本的に腎臓ケアのフードに切り替えますが、そのフードを食べてくれない場合もあるでしょう。

その場合は、いつものフードに混ぜる薬もあります。我が家の猫も使っているセミントラという薬で、これを規定量フードにかけることにより、腎臓低下によって必要なたんぱく質が尿に出てしまうのを防止します。

セミントラパッケージ写真

セミントラは2014年に発売された新しい薬です。処方には医師の診断が必要になりますので、必ず獣医に相談するようにしてください。

また、腎臓でうまく水分を吸収できなくなるので、よく脱水をするようになります。綺麗な水を常に用意するように心がけてください。

猫にストレスを与えるのもよくありませんので、猫が安心して休めるような寝床を用意しましょう。

猫の人工透析もあるが、必要の負担が大きくまだ主流にはなっていない

人間の腎不全では人工透析を行うのが主流となっています。近年ペットでも人間並みの高度な治療を受けることが出来るようになりましたが、まだまだその治療を出来る病院が限られています。

猫の人工透析を行っている病院もありますが、1回の治療費が5万から10万前後かかるため、経済的な負担が大きいのが現状なのです。

人工透析は1回やればいいというものではなく、週に3回程度行わなければなりません。

そのため、猫の人工透析は急性腎不全の猫に対して行われることが多いのです。

2016年末に、猫の腎不全における治療方法の確立が見えてきた

現在では研究段階ですが東京大学医療研究チームが、AIMという血液中のタンパク質が腎臓機能の改善に関与している事を立証しました。

このAIMのメカニズムも解明し、猫の寿命は現在の倍近くになるとも発表をしています。2017年12月現在、ベンチャー企業と共同で薬を開発し、農林水産省の認可を受けて最短で2年後の商品化を視野に入れているそうです。

数年先には、猫にとって宿命ともえる腎不全の治療が大きく変わっているかもしれません。

普段からよく観察しておくことが早期発見につながる

猫に多いとはいえ、毎日猫の健康状態を確認していれば、色々な変化に気づくものです。

我が家の猫も、水をやたらに飲んでいるところから動物病院で検査をし、腎不全と診断されました。そこから4年近くなりますが、良い薬も出てきたこともあり、今でもゆっくりと老後生活を送っています。

どんな病気でも、初期の対応は重要な物になります。ほんのちょっとした変化に気づくことが、愛猫の健康を守る事にもつながります。

動物を飼うというのは、それほどの責任が伴うものだと考えています。

大事な猫に元気にいてもらうためにも、特に毎日の食事には気を付けていきたいところです。

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