映画「ボヘミアン・ラプソディ」はもうご覧になりましたか?
伝説的ロックバンド「クイーン」の立ち上げから歴史的なチャリティーコンサート”ライブ・エイド”までの軌跡をリードボーカリスト、フレディーマーキュリーを中心に描いたこの映画。
日本では2018年11月9日に公開されて以来、大幅に大ヒットロングランを続け興業収入は100億円を超えました。
映画はフレディが朝起きて自宅を出発、緊張感を高めながらステージに向かう様子から始まります。
その足元でごはんをがっついていた沢山の猫たち、フレディの乗った車を窓から見送る猫たち、ピアノの上を走り抜ける猫たち…猫好きさんならクイーンの音楽と同じくらい、あの猫たちも気になってしまったのではないでしょうか。
大の猫好きだったというフレディーマーキュリー、彼の愛猫たちについてご紹介します。
フレディーマーキュリーの愛猫たち
フレディーは大変な愛猫家で、一番多い時で10匹の猫を飼っていました。猫と一緒に写った写真も多く残されています。
彼が猫好きになったきっかけは終生の親友メアリー・オースティンによってもたらされました。2人が恋人関係にあった1970年代前半にメアリーが連れてきたトムとジェリー、この2匹がフレディーを猫好きにしたと言われています。
これから時系列でフレディーの猫たちの変遷を挙げていく前に、まず全部の猫をご紹介しますね。
- トム(Tom)…不明
- ジェリー(Jerry)…白地の多いミケ
- オスカー(Oscar)…オレンジ、おなかに少しだけ白
- ティファニー(Tiffany)…純血種、チンチラペルシャ系?
- デライラ(Delilah)…白地の多いミケ
- ゴライアス(Goliath)…黒
- ミコ(Miko)…黒系サビ
- ロミオ(Romeo)…うずまき虎模様に白
- リリー(Lilly)…白地の多いキジ
- ドロシー(Dorothy)…キジトラ
数あるフレディーと猫の写真のうち、白ミケの猫が写っている写真が何点かあります。かの高名なデライラと間違えそうになりますが、顔の両側に黒地が入るのがデライラで、顔の右側のみ黒い模様があるのがジェリーです。
1985年までにティファニー、次いでオスカーが加わります。ティファニーはフレディーの猫ファミリー唯一の純血種の猫で、メアリーからプレゼントされたそうです。オスカーはジム・ハットンが仲介してやってきたので、この2匹は親友と恋人からの猫というわけですね。
1987年からデライラとゴライアスが同時に迎えられます。デライラはフレディーから曲を捧げられたことで有名な猫ですね。ゴライアスは行方不明事件を起こしていますが、これは後ほど詳しくお伝えしましょう。
1984年からフレディと交際を始めたジム・ハットンがフレディの自宅、ロンドンのガーデンロッジに住むようになる頃には猫は6匹になっていたとのことです。この時のメンバーは古参順に挙げればオスカー、ティファニー、デライラ、ゴライアス、ミコ、ロミオ。
ミコは日本からの帰国後に迎えられた猫で、日本風を意識したネーミングだそうですよ。そういえばあの頃の日本では猫と言えば”タマ”あるいは”ミーコ”と呼ばれていたように思います。
その後、リリーとドロシーが加わりました。フレディーの猫たちはどの猫も施設や団体から引き取られてきた保護猫です。
「フレディーにとって猫は人生以上に大切な存在だった」とはパーソナルアシスタントでフレディーに関する回顧録の著者の一人として知られるピーター・フリーストーンの言ですが、猫たちにとってもフレディ―は命の恩人とも呼べる大切な存在だったことでしょう。
フレディーマーキュリーの猫好きすぎるエピソード
フレディーマーキュリーには猫にまつわるエピソードがたくさんあります。アーティストらしいユニークな逸話として語られることが多いのですが、猫飼いには結構あるあるなお話が多いので、この歴史的なスターがぐっと身近に感じられるかもしれません。
ツアー先から猫に電話
メアリーと交際中だった頃、ライブツアーで各地を巡っていたフレディーは毎晩のように自宅に電話をかけていました。
電話を受けたメアリーが受話器をトムとジェリーに代わる代わる当てると、フレディーはその日の出来事や、猫と会えなくてどんなに寂しいかを”猫たちに”伝えるのです。これはツアーの間中、一年近くも続いたのだそうです。
映画「ボヘミアン・ラプソディ」の中では流石にメアリーが「私には!?」と憤っていましたね。
ゴライアス行方不明事件
デライラの同期、黒猫のゴライアスが行方不明になってしまった事がありました。
猫たちの暮らしていたフレディーの邸宅、ガーデンロッジには広い庭園があり、猫たちは時折そこで遊ぶこともあったので外に出てしまったのかも!
フレディーは半狂乱になって探し回り、ゲスト用のベッドルームから大切にしていた日本製の火鉢を投げ捨てるなどの動揺ぶりを見せたといいます。
ついには日本円にして15万円の懸賞金を用意して公開捜査に踏み切ろうとした矢先、ゴライアスはバスルームのシンクの中でのんびりしているところを無事に発見されました。
飼い主の心配をどこ吹く風とのんきにしているゴライアスに、フレディーは「庭から出てはいけない」とこんこんと説教をして、どんなに心配していたかを語りかけ続けていたそうです。
フレディーにとって猫たちはまさに子供のような存在だったのですね。
クリスマスには全猫にプレゼント
猫たちはみんなフレディーの大切な子供たちでした。当然クリスマスにはパパが子供にそうするように、プレゼントを用意します。
それは猫の数だけ一匹ごとに用意されたプレゼント用の靴下に猫用のおもちゃやおやつが詰め込まれていたそうです。猫たちはクリスマスは特別に大っぴらにお庭で遊ぶ事もゆるされていたそう。
雪化粧のガーデンロッジのお庭で遊ぶたくさんの猫たち…最高のクリスマスですね。
愛猫仕様のベストも着用
フレディー存命中に収録された最後のPV「華麗なる日々」の時に着用されていたベストにご注目。なんと複数匹の猫のイラストがまんべんなくあしらわれています。
これはフレディーの友人ドナルド・マッケンジー製作のオートクチュールで、フレディーの飼い猫すべてがモチーフになっています。左胸、心臓の位置に最愛の猫デライラとおぼしき子がレイアウトされていますね。
フレディーマーキュリーが猫のために書いた曲
フレディは1985年にリリースされたソロアルバム「Mr.Bad Guy」のライナーノーツに“このアルバムは私の猫ジェリー、トム、オスカー、ティファニー、そして世界中のすべての猫愛好家に捧げられています”と記しました。
これは彼の猫たちは勿論のこと、猫を愛する私たちにとってもこのアルバムが無関係でないということです。アーティストにとって作品を捧げる相手はいつだって愛すべき人々、この文言は猫好きにとっては見過ごせませんよね。
フレディーはその後、クレジット表記だけ留まらず丸ごと愛猫のための曲を書いています。それが「Delilah(愛しきデライラ)」。フレディー存命中最後にリリースされたアルバム「Innuendo(イニュエンドゥ)」に収録されています。
他のクイーンの代表曲と比べるとドラマチック感には欠けるものの、気が付くと愛猫を撫でながら口ずさんでしまっているような中毒性の高い曲です。まだお聴きでない方はまず歌詞の和訳からお楽しみください。
猫愛が溢れていますよね…!
フレディーの一番のお気に入りだったというデライラ。他の猫と喧嘩すると真っ先にフレディーのお膝に逃げ込み、ご機嫌をとって貰ったりおやつを貰ったり…その愛されっぷりは恋人のジム・ハットンをもってして「リトル・プリンセス」と言わしめるほどだったデライラ。
彼女は毎晩、フレディーたちのベッドで一緒に眠りました。「Delilah」は一見すると単に”猫飼いあるある”な歌詞ですが、この曲が書かれたのはフレディーにエイズの診断が下された後、既に病は進行していました。
そう思ってから見返すと、病の苦しみの中でこの小さな三毛猫がどれほどフレディーの支えとなっていたかがひしひしと感じられるようです。
1991年秋、フレディーマーキュリーはエイズによる気管支肺炎のため自宅であるガーデンロッジのベッドの上で亡くなりました。享年45歳。その死の間際まで、傍らにあった最愛の猫デライラの毛並みを撫で続けていたそうです。
猫と一緒にクイーンの名曲を楽しもう!
音楽と、そして猫をこよなく愛した偉大なアーティスト、フレディーマーキュリー。
ちょっと愛猫に「Ay-Oh」とコールしてみましょうか。気が向けば「えーお」とレスポンスしてくれるかもしれません。(宅の猫はライブDVDを流していると、フレディーのコールの度にちょっとびっくりした顔をしています)
映画「ボヘミアン・ラプソディ」には実際に10匹の猫たちが登場しています。今なお新たなファン層を獲得し、うるさがたの古参ファンですら唸る再現度の本作品のこと、猫の再現度も期待できそうです。ご覧になる際には是非猫たちの姿もじっくり楽しんでみて下さいね。
今夜もクイーンの曲を流しながら、フレディーとデライラよろしく愛猫にモッフモフをYouしましょう!