猫の長毛と短毛、飼うならどっち?知っておきたい性格とお世話の違い

猫を飼うにあたって、どんな猫を飼うのかというのは考えただけでもわくわくしますよね。でも、中には何の予備知識もないまま初心者が飼うと非常に大変な猫種も存在します。

品種で違うのはもちろんですが、実は長毛種か短毛種かというだけでもお世話のしかたが全く違うのです。実際に猫を飼う前に、長毛種と短毛種の違いについて知っておくとよいでしょう。

我が家では長毛種と短毛種を多頭飼いしていましたので、その時の経験をもとに、それぞれの猫の違いやお世話のコツについてご紹介します。

長毛種と短毛種は全然違う!まずは触ってみるのがおすすめ

猫には長毛種と短毛種が存在します。長毛種は文字通り毛が長くボリュームがあるため、本体は小柄でも一見大柄に見えます。一方短毛種は体型に沿った短い毛皮が特徴です。もちろん、両者で触り心地は全く違います。

また、同じ長毛種、短毛種であっても、品種によってかなり毛質が異なります。柔らかな猫毛でふわふわな子もいれば、しっかりとした剛毛でつるつるとした触り心地の子、ビロードのような滑らかな被毛を持った子など様々な猫がいるのです。

そのため、見た目ではなく手触りで選びたい場合、長毛種か短毛種かで決めるよりは、ペットショップや猫カフェなどに足を運んで実際に触ってみるのがおすすめです。

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毛の長さで性格まで変わる!?長毛種と短毛種の性格の違い

長毛種と短毛種の猫では、実は毛の長さだけでなく性格にまで違いがあります。

一般的に長毛種の猫の方が穏やかで、静かで、おおらかな子が多い傾向です。一方短毛種の猫は活発で遊び好き、いたずら好きで人懐っこい性格の猫が多くなります。

ちなみに、あくまで一例ではありますが、我が家における長毛種の猫と短毛種の猫の性格をご紹介すると次のようになります。

・短毛種の猫がおもちゃに食らいついてハッスルしている間、長毛種の猫はそれをのんびりと眺めている。

・飼い主がやってくると短毛種の猫は自分からすり寄って、抱っこしてくれと鳴いてアピールする。長毛種の猫は飼い主をじっと見つめる。

・来客があった時、短毛種の猫は興味津々で近寄っていく。長毛種の猫は遠くから様子を伺っている。

・ごはんの時間になると短毛種の猫はすっとんでくる。長毛種の猫は短毛種の猫が食べ終わった頃にやってきて、自分のペースでのんびり食べる。

・短毛種の猫は長毛種の猫のごはんを奪って食べる。しかし、長毛種の猫は特に気にしない。

・もし本当に好みのおやつが出た場合、短毛種の猫は長毛種の猫の分まで狙って襲いかかる。しかし、長毛種の猫は決して短毛種の猫に渡さない。なにがあっても渡さない。

・喧嘩をする時、襲いかかるのは短毛種の猫。負けるのも短毛種の猫。

性格がほぼ正反対なのがお分かりいただけたでしょうか。上記はあくまで我が家の例ですし、実際には「長毛種なのに短毛種みたいな性格の猫」などももちろんいるはずです。

しかし、傾向としてはやはり長毛種か短毛種かで偏りがあります。猫を飼う時は、どちらの性格が好きかも考えて選んだ方が、より好みの猫に出会える確率が高くなるでしょう。

正反対!?長毛種と短毛種のお世話の違い

長毛種と短毛種では、見た目や性格の他、お世話のしかたも全く異なります。全体的に、長毛種はお手入れが大変です。代表的なお世話の違いとしては以下のようなものがあります。

気がつくと毛玉だらけ!?長毛種はブラッシング必須

猫の世話をする上で、長毛種と短毛種の最大の違いがこのブラッシングの必要性です。どんな猫であっても長毛種を飼う場合は必ず毎日ブラッシングが必要になります。

猫は自分でグルーミングをして毛を整えますが、長毛種の場合は毛が長すぎて、猫自身のお手入れでは処理しきれないのです。もし長毛種の猫をブラッシングもせず放っておいた場合、わずか数日で全身毛玉だらけになってしまうでしょう。

長い毛が絡み合い、時には広範囲に毛がもつれることもあります。毛玉ができるということは皮膚が引っ張られることでもあるため、毛玉が多いと皮膚炎の原因になってしまいます。

もし毛玉ができてしまった場合、飼い主さんはできるだけ早く毛玉をほぐしたりカットしたりして処理しないといけません。しかし、小さな毛玉ならともかく、大きい、あるいは範囲が広い場合は毛玉をとるのが非常に大変です。

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毛玉をとろうとする際に猫を怪我させないよう、飼い主さんが数時間をかけて丁寧にはさみを入れなければならない場合もあります。こんな事態にならないためにも、毎日2回程度、全身を念入りにブラッシングすることが欠かせません。

逆に言えば、このブラッシングができない、忙しいもしくはマメではない飼い主さんは長毛種は飼わない方がよいでしょう。

一方で短毛種は長毛種に比べてはるかにお手入れが簡単です。ブラッシングも週に2、3回でよく、しかも短時間で終わります。

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長毛種はシャンプーが必要。しかも乾かすのが大変

長毛種な定期的なシャンプーも必要になってきます。本来は、長毛種、短毛種を問わず猫はお風呂など入れなくとも自力で美しい被毛を保つはずなのですが、現実としてはどうしてもシャンプーは切っても切り離せません。長毛種は毛が長い分、

  • なんらかの理由で毛が濡れた時に、毛が中で蒸れてニオイの原因になる
  • 全体的にボリュームがあるので汚れやすい
  • 抜け毛が出やすくブラッシングだけでは取りきれない
  • お尻周りに便などがついて汚れやすい

ということがあり、シャンプーによって解決せざるを得ません。長毛種のお世話に慣れた飼い主さんなら、シャンプーせざるを得ないような状況にならないように工夫できるかもしれません。

しかし、初めて長毛種の猫を飼う人が、シャンプーが不要になるほど衛生的な環境を保つことは至難の業です。汚れたままでいると皮膚病を患う可能性もあるので、1ヶ月~数ヶ月に1回を目安にシャンプーしてあげましょう。

ちなみに、シャンプー後はドライヤーで隅々まで乾かしてあげる必要があります。こちらも毛が多い分時間がかかり、しかも濡れたまま放っておくと濡れた毛が絡み合い毛玉の原因になります。

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手抜きをすると確実に飼い主さんに跳ね返ってきますので気をつけましょう。

一方で短毛種の場合は明らかに汚れている時以外は、シャンプーは特に必要ありません。シャンプーしたとしても、乾かす時間も長毛種よりだいぶ短くて済みます。

長毛種の猫は毛玉を吐きやすい。短毛種の猫もたまに吐く

長毛種を飼う場合、毛玉を吐くことは覚悟しておきましょう。猫は自分で自分の毛を舐めとります。舐めとった毛は、少量ならば便として排出されますが、大量の場合は嘔吐して吐き出します。

つまり、日々のブラッシングなど怠れば怠るほど毛玉を吐く頻度が高くなります。

また、丁寧にお手入れしていても夏毛と冬毛が入れ替わる換毛期など、頻繁に吐く時期はどうしてもあります。

猫はどこにでも毛玉を吐くので、「歩いていたら吐いた毛玉を踏んづけた」「お気に入りのソファや布団の上に吐かれた」というのは長毛種の猫の飼い主さんにとっては日常茶飯事です。

頻繁に毛玉を吐かれるのが嫌ならば、長毛種を飼うのはやめておきましょう。なお、短毛種でも、長毛種ほど頻度は高くありませんが毛玉を吐くことがあります。

また、多頭飼いしている場合は他の猫を毛繕いしてあげた時に他の猫の毛を飲み込むので、その分毛玉を吐く頻度が高くなります。

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長毛種の猫は夏に弱く、短毛種の猫は冬に弱い

ご想像の通り、長毛種は分厚い毛皮をまとっているため寒い冬の時期に強く、反対に夏場は暑さにぐったりとしていることもしばしばです。

夏場に長毛種を抱っこすると嫌がられるでしょう(飼い主さんも暑さのあまり抱っこがつらくなるかもしれません……)。

一方で短毛種は逆で、寒い冬の時期は体が冷えやすく風邪を引いてしまうこともありますが、夏場はよほど暑くない限りは活発に動きます。

そのため、長毛種はできるだけ夏には冷房を付けっ放しにするなど、熱中症対策が必要です。また、短毛種は冬にはできるだけ温かく過ごせるよう、ベッドなどを工夫してあげる必要があります。

短毛種の場合、寒さから暖房器具に自分からくっついてしまうため、また長毛種よりも被毛が薄いために低温やけどの危険性が高くなります。

冬場は低温やけどで動物病院に担ぎ込まれる猫が後を絶ちません。短毛種を飼う場合は特に注意しましょう。

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長毛種は抜け毛が多く見える。短毛種は毛が散りやすい

長毛種は抜け毛も非常に目立ちます。毛が長い分、家中のあちこちに絡み付きやすく、ブラッシング不足だと掃除に苦労します。一方で、短毛種は長毛種ほど抜け毛が目立ちません。

しかし実は、毛が飛び散りやすいのは圧倒的に短毛種です。毛が短い分毛が軽く、空中にふわりと浮かび舞い散ります。

長毛種は絡みつくのでそれほど空中に浮かびませんが、短毛種の毛は人間のわずかな動きで簡単に飛んでしまうので、猫の通らないような場所にも侵入する可能性があります。

家具の上に降り積もる毛は、だいたい短毛種の猫の毛です。柱やコードなどに絡みつくのは長毛種の猫の毛です。

ちなみに、洋服など布製品についた毛の掃除には、長毛種、短毛種を問わず苦労します。長毛種の毛は布に絡みついてなかなか離れません。短毛種の毛は払い落しやすいものの、全てが取れるわけではないので結局掃除する手間は変わりません。

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長毛種の猫はゴージャス!短毛種の猫はボディラインが美しい!

ここまでの様子では、お世話の観点から圧倒的に不利な長毛種ですが、しかしその苦労を補って余りある魅力がその美しい姿です!長毛種の美点はなんといってもそのゴージャスな外見、そしてふわふわもこもこモフモフの手触り!

長くて柔らかく、そして暖かい毛に抱っこする手が埋もれた瞬間、お世話の苦労が全て報われると言っても過言ではありません。扇のように広がってゆったりと揺れるしっぽに打たれるのもたまらないものです。

もちろん、短毛種だって引き締まったボディラインの美しさは素晴らしいのですが、長毛種のゆるやかなシルエットはまた格別。長毛種の猫を飼えば、極上のもふもふ……もとい毛皮を堪能できるでしょう。

お手入れが必要な分見栄えもするのが長毛種、お手入れしやすいのは短毛種!

全体的に、長毛種の猫はハイリスクハイリターン。飼うにあたっては、この見た目を維持するためならどんな苦労もいとわないという覚悟が必要です。

一方で、短毛種の猫はお手入れの頻度も少なくて済み、全体的に初心者向けといえるでしょう。

また、長毛種の猫は全体的に穏やかで優雅、短毛種の猫は活発で遊び好きな傾向です。見た目や性格、そして自分が割ける時間をよく考えた上で、自分だけの愛猫を探しに行きましょう!

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