猫の結石用フードの選び方。メーカーに直接聞いて分かったこと

猫に結石ができた場合、フードでの治療を勧められます。獣医師の指示のもと、結石を溶かす作用があるフードを食べさせてあげましょう。

猫用フードに「下部尿路疾患(FLUTD)予防」と書かれているものがありますが、どういう意味で、結石用フードと何が違うのでしょうか。

そして、どのような種類があるのか、注意点などを考察していきます。実際に、メーカーのお客様相談センターに電話した結果をレポートします。

猫の結石の正体と、原因となるフードとの関係

猫は水が少ない砂漠地方が発祥ですので、おしっこが濃く作られるような腎臓を持っています。そのため、結石ができやすいと言われています。その結石の元となる結晶の多くは、次の2つです。

ストルバイト結晶
(リン酸アンモニウムマグネシウム結晶)
  • アルカリ尿で発生しやすい
  • マグネシウムの過剰摂取が原因の1つ
  • 尿量を増やすとよい
シュウ酸カルシウム結晶
  • 酸性尿にしすぎてしまうと発生しやすい
  • マグネシウム摂取量を控えすぎない
  • 尿量を増やすとよい
おしっこ検査をすると、必ずph(ペーハー)値を測ります。アルカリ性なのか酸性なのか、という値ですが、基準値は5.5~7.5でこれより低いと酸性尿、高いとアルカリ尿になります。どちらかに傾くと結晶が出来やすくなるので要注意です。

結晶が増えて固まると結石になります。結石ができてしまった場合、動物病院から勧められる結石用のフードは、マグネシウム、リン、ナトリウムなどの成分配合が通常のフードとは異なり、phの調整がされていて、結石を溶かす作用があります。

病気なのに、薬ではなくフードで治療できるのは猫にとっても嬉しいですよね。そのまま溶けて無くなってくれたらいいのですが、シュウ酸カルシウム結晶は、結石になってしまうとフードでは溶けなくなってしまいますので注意が必要です。

結石の量が多い場合は、外科的に摘出手術を行う場合もあります。

▼猫の結石の症状や原因については、こちらもご覧ください
猫の尿路結石の症状・原因。治療も予防も毎日の食事がポイント

先ほどの表に戻っていただきたいのですが、1と2とでは、それぞれ逆のことを言っていると思われるかもしれません。

実は、結石用のフードが開発された当初はストラバイトの症例が多く、phを下げてマグネシウムを抑えるフードが勧められました。ただ、浸透するようになると、その作用が過度になり、逆にシュウ酸カルシウム結晶の発生を高めてしまうことになったという説もあります。

今はメーカー側の研究も進み、ほとんどのフードがどちらの結晶にも効果がある製品を作っています。

下部尿路疾患(FLUTD)予防の意味

市販されている猫用フードに「下部尿路疾患(FLUTD)予防用フード」などと書かれているのを見たことはありませんか。下部尿路疾患(かぶにょうろしっかん)とは何でしょうか。

体の中には、腎臓→尿路→膀胱→尿道という器官が並んでいます。解剖学的に、最初の2つ(腎臓・尿路)を上部、後半の2つ(膀胱・尿道)を下部と分けています。それらに発祥するトラブルを総称して上部または下部尿路疾患と呼んでいます。

猫は上部に結石ができることはあまりないとされていて、下部尿路疾患がほとんどです。ですので、下部尿路疾患の中に、膀胱炎、尿道結石などの病気があるといえます。ちなみに、FULTDはFeline Lower Urinary Tract Diseaseの略です。

ペットフードは、総合栄養食、一般食の2つに分類されていて、どちらかを明記するように決められています。

「下部尿路疾患(FLUTD)予防」などと書かれているフードでも、このどちらかが明記されていたら、治療用のフードではありません。あくまでも疾患に配慮したフードということですので、ご注意ください。

代表的な結石用フードの種類について各メーカーのお客様センターに聞いてみました

獣医師の指示のもと、病気の治療や予防などのために処方されるフードを療法食といいます。健康な猫のためのフードではないため、本来動物病院でのみ販売されるフードですが、最近では量販店やネットでも取り扱っています。(個人的にはこれは問題だと思っていますが)

代表的な結石用フードを紹介します。直接、ロイヤルカナンとヒルズコルゲートのお客様センターに、さまざまある結石用フードの違いなどを聞いてみました。

ロイヤルカナンphコントロールシリーズ

▼ドライフード

phコントロール0(ゼロ) 結石を溶かす溶解度が一番高い
phコントロール1 溶解度が高いので治療用?ストラバイト向き?
phコントロール1フィッシュテイスト 1の魚味
phコントロール2 再発予防のための維持食?シュウ酸カルシウム向き?
phコントロール2フィッシュテイスト 2の魚味
phコントロールオルファクトリー 食欲をそそる香りつき、魚味
phコントロールライト カロリーが低い、肉味
phコントロール+CLTドライ 突発性膀胱炎に特化し、ストレスに配慮している
phコントロール+満腹感サポート 食物繊維が複数配合

▼ウェットフード

phコントロールパウチ 水分量が多い、肉味
phコントロールパウチフィッシュテイスト パウチの魚味

簡単にフードの説明をしましたが、私が気になったのは、溶解度、治療食なのか維持食なのか、カロリーについてでしたので、お客様センターに問合せをしてみました。

溶解度について
どの結石にも配慮しており、溶解度については0かそれ以外かの違いだけで、0以外のフードについては大きな違いはないということです。

ウェットフードについては、ドライフードと比較するのは難しいですが、水分が多い分尿をたくさん出すことが出来るので、ドライフードの0より高い効果が得られることも期待できます。

治療食か維持食なのか
メーカーとしては特にそのような考え方で分けていないそうです。その猫の体調や体質、味や匂いの好みがあるので、獣医師の判断で選んでくださいということでした。
カロリーについて
  • オルファクトリー 350kcal/100g
  • ライト 347kcal/100g
  • +満腹感サポート 305kcal/100g

上記の商品はこのとおりでカロリーが低くなっていますが、それ以外はほぼ同じでした。

ヒルズコルゲート

▼ドライフード

s/d ストルバイトを溶かす
c/d マルチケアコンフォート 突発性膀胱炎に対応し、ストレスを軽減させる
c/d マルチケア ストルバイトとシュウ酸を溶かして予防、チキン味
c/d マルチケアフィッシュ マルチケアの魚味
w/d ストルバイトの再発防止
溶解度について
s/dがストルバイトを溶かす効果が高く、c/dはどの結石にも有効であるとのことです。w/dはストルバイトの再発防止がメインです。
治療食か維持食なのか
  • s/d が治療食向け
  • c/d が両方の働きがある
  • w/d が維持食

という位置づけになります。

カロリーについて
  • s/d 417kcal/100g
  • c/d 387~388kcal/100g
  • w/d 319kcal/100g

どのフードも、この場合はこれ!といった厳密な決まりはなく、その猫に合わせたフードを獣医師と相談のうえ決めていくということが必要だと感じました。

そのため、どの結石にも対応していたり、味や匂いを工夫していたり、ストレスやカロリーに配慮したものなど、下部尿路疾患の原因に対応したフードの研究や開発が進んでいることを実感しました。

結石用フードを与えるときの注意点

結石用フードを与えているからそれでOKというわけではありません。注意点をあげてみます。

原因を除去する

猫の結石は年齢に関係なく発症します。持って生まれた体質によるものもあります。ただ、水をあまり飲まない、肥満、人間の食べ物を与えている(塩分の取り過ぎ)、ストレスなどで発症する傾向が高くなりますので、注意が必要です。

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自宅でできるおしっこ検査

元気そうに見えていても、結晶ができ始めているかもしれません。早期発見できるように、普段からの観察は必要です。

  • トイレに何回も行く
  • おしっこに何かキラキラしたものがある
  • 泡立っている

このような場合は、そっとおしっこを採取してみましょう。できれば先が尖った入れ物に入れて、しばらく放置しておきます。底に沈殿物がたまったら要注意です。そのおしっこ、もしくは朝一番に採取した新鮮なおしっこを持参して、動物病院で詳しい検査をしてもらいましょう。

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カロリーに注意

肥満の猫は、それだけでも結石になる確率が高いので、フードの選択も気をつけなければなりません。また、結石を溶かすことがメインでフードを与えているときは、他のフードは厳禁です。それだけを与えてください。

フードの種類に注意

指示されたフードがきちんと効果が出ているか、見極める必要があります。猫によってはフードのメーカーが違うと効果がない場合があります。定期的な検査をしましょう。

食べない場合

猫は食餌の取り方にムラがあり、療法食は味気ないものが多いため、食べてくれない猫もいます。つい他のフードをあげたくなりますが、治療のためにここはぐっと我慢して、工夫してあげてみましょう。

  • 普段のフードに少しずつ混ぜて徐々に配分を増やしていく
  • 手であげる
  • お湯でふやかすなどして温める
  • 好きなものをトッピングする
  • そのまま待ってみる
  • 獣医師と相談し、他の療法食に変更する

▼猫がフードをあまり食べてくれないときには、こちらの方法も試してみてください
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猫それぞれに合ったフードを選び、食べていても安心せず定期検査を

これまで紹介したように、猫に多く発症する結石に対して、さまざまなフードがあります。自分の猫の症状を把握して、その猫に効果があるフードを選んであげましょう。

食べているから大丈夫というのではなく、定期的な検査でチェックすることが必要です。原因が体質である場合は、長期的な治療と予防になってきます。無理なく、食べながら健康管理が続けられるように努めていきましょう。

みんなのコメント

  • メルのママ より:

    ヒマラヤン9歳♂の子です。2歳の時に急な膀胱炎で 1度だけ唸る程痛がり心配しましたが それを機にロイヤルカナンの1をあげています。その他オルファクトリー、ウェットタイプ2種もおやつにあげていますが ついひと月前からゲッソリ痩せ、体重も2.5㎏落ちました。食欲はあまりなく、あたらしいウェットをあげると 水分だけ舐めて固形物はあまり食べてくれません。膀胱炎以来、嘔吐も毎日のときやいちにちおきであったりします。ロイヤルカナンもずっと与え続けたほうが良いのか迷っています。膀胱炎はそれ1度きりでしたのにひと月前からの激痩せや便秘(いちにち おき)が、心配でなりません。今月に入ってから市販の食事を与えたのがいけなかったのだと思いますが 普段からかなり神経質な子なので、病院へもワクチンやブロードラインをもらうときだけしか連れていきません。今月、ちょうど三種混合ワクチンとブロードラインをもらう予定が
    採血の騒ぎで まだうっていません。体調が悪いいま、ワクチンやブロードラインを使用しても大丈夫か心配です。

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