温厚でクールなブリティッシュロングヘア。飼い方のコツ、注意点とは

みなさんは「ブリティッシュロングヘア」という猫の種類を聞いたことがありますか?

まだ歴史の浅い猫ですが、世界中の猫ファンに愛されている長毛でかわいらしい猫ちゃんです。

今回はブリティッシュロングヘアのルーツや特徴、性格についてご紹介します。

ブリティッシュロングヘアのルーツをたどる

ブリティッシュロングヘアは2009年に猫の血統種登録団体から認められたばかりの、まだまだ歴史が浅い猫です。

しかし、ブリティッシュロングヘアが誕生した背景をたどれば、何千年も前までさかのぼることができます。

ブリティッシュロングヘアはどうやって生まれたのでしょうか。

ブリティッシュショートヘアの歴史とは

ブリティッシュロングヘアのルーツを語るときに欠かせないのは、ブリティッシュショートヘアの存在です。

ブリティッシュショートヘアは、その名の通り短毛でかわいらしい品種の猫で、あの『ふしぎの国のアリス』に登場するチェシャ猫のモデルにもなったといわれています。

ブリティッシュロングヘアよりも個体数が多いので、ペットショップで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

ブリティッシュショートヘアはイギリス最古の歴史をもつ猫ともいわれ、その歴史は約2000年前までさかのぼります。

古代ローマ人がイギリスにもちこんだ猫がブリティッシュショートヘアのはじまりとされていて、そのときローマ人がイギリスに持ち込んだ農業が広まるなかで、倉庫の農作物をネズミから守る役割を担っていたともいわれています。

それほどまでに長い歴史をもつブリティッシュショートヘアに、大二次世界大戦時、絶滅の危機が訪れます。

まさに絶滅寸前の状況まで減ってしまいましたが、ロシアンブルーやペルシャと交配させることで、途絶えそうな血統を断続しました。

1800年代に入るとブリーダーから注目を集めはじめ、1871年にはロンドンのキャットショーで紹介されます。

1980年にはTHE CAT FANCIERS’ ASSOCIATION, INC.(CFA)という世界最大の愛猫協会からも公認されました。

ブリティッシュショートヘアの毛色にみられるブリティッシュブルーは大変人気があり、キャットショーなどで「永遠の傑作」という呼び名をもつほどです。

ブリティッシュロングヘアは偶然に生まれた!?

ではブリティッシュロングヘアはどうやって生まれたのでしょうか。

実は、ブリティッシュロングヘアはブリティッシュショートヘアの繁殖過程でたまたま誕生した猫種なのです。

当時、ブリティッシュロングヘアはブリーダーから相手にされず、ブリティッシュショートヘアの失敗猫として一般的なペットとしての流通しかありませんでした。

しかし20世紀中盤からだんだん人気を集め、21世紀になってやっとキャットショーへの出場資格が与えられます。

そして2009年、The International Cat Association(TICA)という猫の血統登録団体にも認められ、やっと表舞台に立つことができました。

ブリティッシュショートヘアが生まれてから約2000年ですが、ブリティッシュロングヘアの歴史が浅いのはこのためです。

ちなみに、ブリティッシュロングヘアはオランダやアメリカで「ローランダー」、欧州ではブリタニカという名前で呼ばれ、今でも世界中の猫好きに愛されています。

ブリティッシュロングヘアの特徴

ブリティッシュロングヘアの身体の特徴はもちろんそのなめらかな長毛です。

骨格がしっかりしていて筋肉質な身体に太く短い足や首が、よりがっしりとした体型に見せています。体系的には長毛以外ほぼブリティッシュショートヘアとほぼかわりません。

体重は3~7キロとやや重めです。

猫は大きくわけて、

  • コビー
  • セミコビー
  • フォーリン
  • セミフォーリン
  • オリエンタル
  • ロングアンドサブスタンシャル

の6体格に分けられるのですが、ブリティッシュロングヘアの体型は

  • アメリカンショートヘアー
  • マンチカン
  • スコティッシュフォールド
  • シンガプーラ

と同じセミコビータイプです。

顔もブリティッシュショートヘアとそっくりですが、長毛な分さらに丸顔に見えてかわいらしいですよね。

被毛は

  • ブラック
  • ホワイト
  • チョコレート
  • レッド

などさまざまですが、なかでも青色と灰色を融合させたような「ブリティッシュブルー」とよばれる毛色がトレンドマークです。

丸い目はゴールドやオレンジが主流で、若干離れ気味なところも愛嬌があり、人気のひとつです。

ブリティッシュロングヘアは物静かなクールタイプ

ブリティッシュロングヘアはとても温厚で物静かな性格です。おとなしい猫なので、じっとしている姿はまるでぬいぐるみのよう。

比較的人になつきやすい性格ですが、しつこくされるのは苦手です。これはどの猫にも当てはまることですね。

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頑固でわがままなところもあり、自立心もあります。一人にされてもあまり寂しがらないという一面もあることから、一人暮らしの飼い主さんにも向いているようです。

鳴き声も小さいので、マンションや集合住宅に住んでいる人でも飼いやすいといわれています。

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しかし手間がかからないからといって長い間留守にしたり、まったくかまわないと、ストレスがたまって病気になってしまうことも。

また騒々しい場所は苦手なので、小さな子どものいる家庭や来客には気をつけてあげてください。

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実はブリティッシュロングヘアのクールな性格は成猫になってからのもので、子猫のころはほかの猫と同じようにやんちゃで元気いっぱいです。

大きくなるにつれてしつけがむずかしくなるので、子猫のころからトイレトレーニングやしてはいけないことについて教えましょう。

ブリティッシュロングヘアは遊ぶことが大好きですが、自発的に運動することは少なく、運動神経もあまり優れているわけではありません。

遊ぶときはスペースに危険なものがないよう注意し、キャットタワーも複雑でない物を選んであげてください。

1日15分でもいいので、お気に入りのおもちゃで遊んであげましょう。

ブリティッシュロングヘアのような長毛種は、被毛のお手入れが欠かせない

ブリティッシュロングヘアはその名の通り、長い被毛が特徴の猫です。

長毛種のなかでもダブルコートという2層構造になっている被毛で、春や秋などの換毛期に抜け毛が多くなります。

ブリティッシュロングヘアは長毛種のなかでは毛が絡みにくく、指どおりがなめらかであるといわれていますが、1日に1回はブラッシングをしてあげましょう。できれば、朝と夕方2回のブラッシングが理想です。

ブラッシングを怠ると、グルーミングで多くの毛を飲み込んでしまい、その毛玉をうまく吐き出せないことでどんどん毛が胃腸にたまっていきます。

最悪の場合外科手術になることもあるので、毎日のブラッシングは欠かさず行ってください。

ブラッシングの手順としては、まず目のあらいブラシで全身をとき、次に目の細かいブラシで抜け毛を取り除きましょう。

荒くといたり毛を引っ張ってしまうと、猫ちゃんがブラッシング=痛いものだと覚えてしまい、次からのブラッシングを嫌がるようになります。気をつけて丁寧に行ってください。

あまりにも嫌がるようなら無理やり行わず、寝ているときやぼ~っとしているときを狙ってみてください。

子猫のときからブラッシングを習慣づけることで、成猫になってもスムーズに身体をさわらせてくれるようになります。

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抜け毛が多いブリティッシュロングヘアは、ブラッシングだけでなく定期的なシャンプーが必要です。シャンプーの前後にブラッシングすることで抜け毛を取り除くことができます。

ブラッシングは愛猫の健康を維持するだけでなく、飼い主さんと猫ちゃんのコミュニケーションにもなります。リラックスした時間を過ごすことができるように、子猫のころからブラッシングを習慣づけましょう。

また、長毛の猫ちゃんのための毛玉ケア専用のフードやサプリメントもあるので、チェックしてみてください。

ブリティッシュロングヘアのかかりやすい病気

ブリティッシュロングヘアの平均寿命は11~15才といわれ、一般的な猫の平均寿命よりすこし長めです。

しかし平均寿命は猫種や個体差によって寿命は変化します。愛猫に元気で長生きしてもらうためにも、美味しいごはんと適度な運動は必須です。

ブリティッシュロングヘアに遺伝的な疾患はほぼありませんが、食欲が旺盛なため、肥満が原因とされる肥大型心筋症や心臓病にかかりやすいとされています。

ころころ太った猫ちゃんはとてもかわいいですが、肥満はあらゆる疾患を引き起こす元になる病気です。日ごろからの食事量やおやつに気をつけ、十分に遊んであげることでカロリー消費しましょう。

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また猫ちゃん全般がかかりやすい疾患ですが、下部尿路疾患や腎臓疾患にも注意が必要です。

  • 食欲不振
  • 多飲多尿
  • 便秘
  • 体重減少
  • 下痢

など、少しでもいつもとちがう様子がみられたら、すぐかかりつけのお医者さんに診てもらってください。どんな疾患も、早期発見と適切な治療が大切です。

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ブリティッシュロングヘアと一緒に暮らすために

ブリティッシュロングヘアは、日本だけでなく世界中で愛されている猫です。

比較的日本でも手に入れやすく、ペットショップやブリーダーから購入することもできます。年齢によって異なりますが、20~30万円くらいです。

まるでぬいぐるみのようにかわいらしいブリティッシュロングヘアと、ずっとくっついていたいですが、人間のひざで眠るのはあまり好きではないようです。

決して人間が嫌いなわけではありませんが、ブリティッシュロングヘアだけでなくすべての猫の特徴として、一人の時間を大切にする傾向があります。

無理やりかまうのではなく、自分からすり寄ってきたときに思い切りかわいがってあげてください。

クールでかわいらしいブリティッシュロングヘアと上手につきあい、楽しい猫ライフを送ってください。

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