人間の世界では、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境を改善することが見直されてきています。
猫にとっても、腸は大事な臓器です。腸の状態が良くなると、便秘や下痢が解消され、食欲が出てきて、毛の艶も良くなります。
反対に腸内環境が悪化すると、便の状態が悪くなるだけでなく、免疫力が落ちてさまざまな病気を引き起こすことになりかねません。
愛猫に健康で長生きしてもらうために、腸内環境の改善について学んでいきましょう。
よく吐く子は、おなかが弱いの?
我が家の「きなお」は、譲り受けるときに聞いていたとおり、よく吐く子でした。
ガツガツ食べる癖があるようなので、日に2回のごはんを3回に分けて与えるようにしたら、吐く回数が減りました。
人間の場合だったら、「胃腸が弱いのかな?」と気になるところですが、これは猫の「生理的な嘔吐」で、おなかが弱いわけではありません。確かにきなおはよく吐いてはいましたが、便の状態はいつも良好でした。
猫の腸内にも存在する3つの菌
猫の腸内には、人間と同じように、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在していて、その3つのバランスが整っていることが、腸内環境の良い状態であると言えます。
善玉菌にはビフィズス菌や乳酸桿菌などがあり、水溶性食物繊維やオリゴ糖などをエサにして増える性質がありますが、これらはペットフードだけでは摂取しにくいものです。
善玉菌は腸内でビタミンB群やビタミンKを生成したり、感染の予防やアレルギー症状の緩和、便通を良くするなどの作用があります。加齢やストレスなどで代謝が落ちると、善玉菌が減り悪玉菌が増えます。
免疫細胞の6~7割は腸内にすみついているため、免疫力を上げるには、善玉菌優勢にすることがポイントとなります。腸内細菌は免疫細胞を刺激して活発化させます。
腸内環境を改善するには、どうしたらいい?
腸内を善玉菌優勢にするために飼い主の私たちにできることは、
- キャットフードを替えてみる
- 腸に良い食べ物をプラスアルファで与えてみる
- サプリメントを与える
- マッサージをしたり運動をさせたりして、血流を良くする
などですが、人間の食べ物やサプリメントを与えることは、確実に効き目があるわけではありません。かかりつけの獣医さんに相談した上で試してみることをおすすめします。
キャットフードを替える
安いキャットフードは、主原料が穀物ということがよくあります。猫は体内で炭水化物をうまく消化することができない動物。
消化されなかった穀物は悪玉菌が分解し、腐敗して有害物質になっていまいます。悪玉菌のごちそうになる添加物も、猫の体に害を及ぼします。
肉や魚がメインで、無添加のものを選びましょう。腸内環境を整えるためには、さらにさつまいもやオリゴ糖が入っているもの、脂質の少ないもの、ミートミールや副産物の入っていないものをおすすめします。
プラスアルファの食べ物
人間の食べ物の中には、猫にとっては害のあるものもありますが、腸内環境を整える手助けになるものもあります。
ヨーグルトには乳酸菌が含まれています。与えるなら1日に1回、ティースプーン0.5杯~1杯までにしましょう。
低脂肪か無脂肪の無糖タイプを選びます。下痢をする場合もあるので気をつけてください。猫用ヨーグルトなら安心です。
食物繊維なら、さつまいも、にんじん、かぼちゃ、おからが、猫でも大丈夫な食材です。
さつまいもは、加熱したものを少しずつ様子を見ながら与えてください。食べすぎは逆効果になります。
便秘のときにはオリーブオイルを与えるのも良いでしょう。オレイン酸が腸を刺激して排便を促し、油分が便のすべりを良くします。これも下痢になる場合があるので、量には注意してください。
サプリメントを与える
便秘や下痢をしているけど、病院に連れて行くほどでもないという場合、乳酸菌のサプリメントを試してみるのも良いでしょう。
また、抗生物質を投与された後も、病原菌だけでなく善玉菌まで抑えられて腸内環境が乱れることがあります。そんな場合も、サプリメントを与えてみてはいかがでしょうか。
ただし、先に動物病院で他の疾患がないことを確かめることが必要です。サプリメントを与える際には、最低量から少しずつ慎重に。「適量」がどのくらいかも、獣医さんに相談することをおすすめします。
人間用のビオフェルミンは猫に与えても大丈夫と言われていますが、あくまでも人間用に作られたものなので、これも獣医さんに相談した上で与えるようにしてください。
マッサージをする
人間の食べ物を与えたり、サプリメントを与えたりというように、口から入れるものはやはり心配です。
ブラッシングのときや、猫が甘えて膝の上に乗ってきたときに、ついでにマッサージするのはいかがでしょうか。
まず、頭や首の周りなど、猫が喜ぶ部位をなでてやります。うっとりしてリラックスしてきたら、そっと片方の脇腹に手を入れて、軽く揉んで腸を刺激します。
力を入れるのはNGです。温かい手で、優しくなでるようにマッサージしてください。
腸内環境を整えて病気を予防しよう
全身の健康に深くかかわる腸内環境。普段から愛猫の便をチェックして、変わったことがないか気をつけることが大切です。
できる限り病気の予防をして、もし異常があれば、自己判断せずに獣医さんに相談してくださいね。