猫って、どこでも登りますよね。家の中だと、机やタンス、本棚はもちろん、カーテンまでも登ります。
家の外では、ブロック塀の上で悠々としている野良ちゃんもよく見かけます。猫はどうしてあんなに高いところが好きなのでしょうか。
また、猫は高いところから落ちても、見事に身をひるがえして着地します。「猫はマンションの7階から落ちても大丈夫」という話を聞きますが、本当でしょうか。どのくらいの高さまでなら、落ちても大丈夫なのでしょうか。
猫はなぜ高いところが好きなの?
猫が高いところを好むのには、理由があります。遠い昔の野生時代にその秘密がありました。
大昔からの名残り
はるか昔、猫の先祖が森林で暮らしていたころは、外敵の動きがよく見える木の上で長い時間を過ごしていました。
猫が高いところに登りたがるのは、そのときの名残りです。高いところからは縄張りを見渡すことができて、外敵に襲われにくいことから、安心できるのでしょう。
高いところにいるほうが優位
また、猫の社会では、より高いところにいるほうが優位とされます。塀の上に登った猫の気が大きくなっているのも、下にいる者より自分のほうが偉いと思っているからでしょうね。
登ってほしくないところには…具体的な対策
家の中でも、本棚やタンスの上のみならず、カーテンをよじ登ったりもします。食卓の上など、登ってほしくないところもありますよね。そんな場所には、少し工夫が必要です。
まずは、猫が登ろうとしたら「ダメ」と言ってしつけること。でも、それよりも、猫が登っても大丈夫な状態にしたり、「ダメ」と言わなくても物理的に登れない状態にしたりするほうが、猫にも人間にもストレスになりません。
例えば、本棚の上には何も置かないようにして、猫が登りやすいようにしておいたり、猫の「登りたい」欲求を満たすためにキャットタワーを設置したり。
キャットタワーがなくても、家具に段差をつけて階段状態にすれば、猫は喜びます。
登ってほしくないところには、柔らかい「猫除けマット」を敷くのも良いですね。これは百均で手に入ります。
カーテンレールなど不安定な場所だと、急に落ちたり足が挟まったりしてパニックになることが考えられるので、対策をとりましょう。
我が家も、ケージの上に乗りたがるので、足を挟まないように百均で買った軽い板を置いています。
登るのは得意!でも、降りるのはちょっと苦手
身軽に高いところに登っていく猫でも、降りるのは苦手。ときどき、木から降りられなくなっている猫に出会うことがあります。
降りるのが苦手な理由
高いところならどこでも上手に登っていく猫でも、降りるのは恐る恐るです。猫の爪は曲がっていてひっかかりやすいので、登るときは楽々進んでいきますが、降りるときにはひっかけることができず、体が不安定になるからです。
爪をひっかけたまま、おしりからずるずると落ちるように降りる姿も見かけますよね。
降りられなくなった猫を見つけたら
もし外で、高いところから降りられなくなっている猫を見つけたら、どうすれば良いのでしょうか。
すぐにでも助けたくなりますが、しばらくは手を出さずに様子を見ましょう。そのような状況にある猫は、パニックに陥っているため、恐怖心から攻撃してきたり、そのまま落ちてしまったりする恐れがあるからです。
まったく降りる気配がなく、悪天候や餓えなどで猫の身に危険を感じたら、保護団体や動物病院、場合によっては消防署に助けを求めましょう。
猫は高いところから落ちても平気?
高いところから落ちても、猫はうまく着地します。そのとき、体の機能はどのような働きをしているのでしょうか。
落ちるとき、猫の体はどうなっているか
猫が高いところから落ちてもちゃんと着地できるのは、落ちていく途中で、手足を広げてムササビのような体勢をとり、自ら落下速度を落としているからです。
たとえ背中から落ちたとしても、地面に着くころにはくるりと身をひるがえして足から着地します。
それは、優れた三半規管の働きにより、地面に落ちるまでの距離を瞬時に把握して着地の体勢を整えることができるからです。着地のときも、しなやかな関節と柔らかい肉球が、衝撃を和らげます。
ベランダからの落下
マンションの高層階で猫を飼っている方は、ベランダからの落下対策をとっていることと思います。
では、中層階の方はどうでしょうか。実は、猫がベランダから落下する事故は、3~4階からのことが多いのです。
猫は高いところから落ちても大丈夫なのでは?と思いますよね。実際、猫の身体能力では、10mくらいまでは飛び降り可能と言われています。
しかし、それはあくまでも、降りようとして落ちた場合の話です。降りる意思がなく不意に落ちた場合は、命にかかわります。
たとえ低い階からの落下であっても、その下に何があるかによっては、大けがをする恐れもあるのです。
危ないところには対策を
ベランダからの落下に限らず、室内を見渡してみて、危ないと思うところに対策をとってください。
キャットタワーはぐらついていませんか?吹き抜け部分は大丈夫ですか?必要であれば、柵や転落防止ネットをつけることをおすすめします。その場合は、柵やネットをよじ登ることも考慮してください。
猫は器用に窓や網戸を開けますから、そこにも対策が必要です。
我が家のきなおは、好奇心旺盛のやんちゃっ子なので、厳重にガードしています。
窓にはストッパーを。網戸には百均のネットを組み合わせてガードを。結束バンドでつないで、突っ張り棒で突っ張ればできあがりです。
備えあれば憂いなし。用心しすぎることはありません。
上下運動ができるような環境を作る
猫は高いところを好む習性を持つということがわかれば、室内でも上下運動ができるように工夫したり、落ちても大丈夫なように対策を取ったりできます。ぜひ、猫の登りたい欲求を満たすような快適な環境を作ってくださいね。