猫に整腸剤は必要?獣医師に相談してビオフェルミンをあげた話

どうもお腹の調子が悪いというとき、いわゆる「整腸剤」を飲む人もいるでしょう。たとえば「ビオフェルミン」などは代表的な整腸剤ですが、ああいった市販薬ですね。

筆者もあの薬は大好きです、味が。毎日のように継続することもできる優しい成分なのだそうですが、そのためか、猫に与えても大丈夫といわれます。実際筆者も猫に与えたことがあり、食欲は回復しました。

ただ、猫と人間が同じ薬を飲んでも平気という理屈、解せませんよね?

猫に整腸剤って必要なの?症状で見極め、正しい対処をするには

人間の場合、たとえば前述した「ビオフェルミン」のように、毎日飲んでも影響がない、あるいは飲んだほうがよい可能性もあると考えられる整腸剤も、もちろんあります。

そうはいっても整腸剤は「薬」なので、お宅の猫ちゃんが整腸剤を飲まなくてもよい状況であれば、無理に飲ませる必要はありません。では逆に、整腸剤を飲ませたほうがよい状況があるのでしょうか?

あるとすれば、それはどういった状況で、そしてどんな整腸剤がおすすめなのか・・・そのあたりについて、大切な猫ちゃんのためにもぜひ知っておきたいところですよね。

猫に整腸剤が必要なタイミングとは?

人間であれば、原因がわからない食欲不振や下痢、あるいは便秘、腹痛など、すべてひっくるめて「お腹の調子が悪い」と表現します。そういうときに、なんだかわからんけどとりあえず整腸剤を・・・

という少々荒っぽい手段に出る人も多いと思います。それで実際に改善することが多いからこそ、整腸剤が重宝されるわけです。とはいえ、本来ならば病院で精密に検査する必要があると考えるべきですよね。

これと同様のことが、「猫のお腹の調子が悪いケース」でもいえるといえばいえてしまいます。ただ、あくまでも個人的な見解でいえば、食欲不振以外の猫の症状は、できるだけ病院に行くべきです。

猫をはじめ物言わぬ動物は、自分の感情をことばで表現することができないため、「何から何まで人間と同じ」という発想は非常に危険です。まずは病院に行って、詳細を知る必要があります。

できれば食欲不振でも病院に行ったほうがよいとは思われますが、これについては「継続的な食欲不振」と解釈しても問題ないでしょう。いつも食べる朝ごはんを食べなかったという程度であれば、様子をみましょう。

元気があっても食欲がない、食欲はあるが元気がないなどいろいろ判断が難しいところですが、昨日まで元気だった猫が1日食べないで致命的な状況に陥る可能性は、ほんとうにお腹が悪いだけなら「低い」はずです。

1日、あるいは半日様子を見ても食欲がない状態が継続したら、はじめて「整腸剤」を与え、それでも食欲が戻らなければ、その段階ではやはり病院に連れて行ったほうが無難でしょう。

仮に食欲だけでなく元気がない場合であっても、食欲さえもどれば元気も一緒に戻ってくることも、猫の場合はあります。数日経過して元通りになっていれば、何が原因だったか気になるところではありますが、ひと安心です。

元気なのに病院に連れて行くと、かえって猫にとってはストレスになってしまうことも考えられます。できるだけ猫にストレスを与えないことも、猫の健康法としては重要なのです。

症状も猫それぞれですから、病院に連れていく明確なタイミングや整腸剤を与えるべきタイミングに関しては、正直一概にはいえないのです。安全第一で、飼い主さんの判断で行動してください。

猫がお腹を壊したときおすすめな整腸剤、ビオフェルミン

「猫がお腹を壊した」という表現はあいまいなので、ここでは「食欲不振が続いている」と定義しましょう。つまり、「整腸剤を与えるタイミング(あくまでも筆者の見解)」ということですね。

とすると、猫にふさわしい整腸剤はどんなものがあるのか、これが最大の焦点になります。まずは考えうる大きな分類ですが、

  • 市販されている猫向けの整腸剤
  • 市販されている人間向け整腸剤(猫も服用可能)
  • 動物病院で処方される整腸剤

という3パターンに分けることができるはずです。しかし病院で処方される整腸剤については、獣医でもない筆者があれこれいうのはお門違いもはなはだしいですから、これについてはここでは触れません。

そして、「市販されている猫向けの整腸剤」についても、人間の感覚であれば、「ドラッグストア・薬局で買う」ということになると思いますが、猫用の整腸剤はドラッグストアにも薬局にも(原則)置いてありません。

通販では、動物医療用薬品として製造された「ビオイムバスター」、「ディアバスター」などの整腸剤も流通しているようですが、これらの動物医薬品は獣医師の処方が原則です。

ですから、ここでは「市販されている人間向けの整腸剤で、猫も服用可能なもの」に限定してお話をすすめることにします。で、ここからも筆者の経験でたいへん恐縮なのですが・・・ビオフェルミンです。

ビオフェルミン商品イメージ
(出典:新ビオフェルミンS-ビオフェルミン製薬株式会社 より)

今から20年近くも前の話なので、当時からビオフェルミン自体改良されていますが、幸い2017年12月現在では猫に不適合な新たな成分は新しいビオフェルミンに配合されていないようです。

ただ、食欲不振でビオフェルミンを猫に与えようと飼い主さんが判断された場合、安全のため、まずはかかりつけの動物病院に連絡して、

  • 症状の概要(特徴的な症状を簡潔に)
  • 症状があらわれている期間
  • 現在の猫の様子
  • 年齢、性別、体高、体重など猫の個体情報

などを説明した上で、(現在市販されている)ビオフェルミンを与えてみてもよいかどうかの判断を仰ぐようにしましょう。それでOKだった場合、用法用量のアドバイスをもらってこれを遵守し、猫に与えましょう。

もし「病院に連れてきたほうがいいですね」との旨を指示されたら、指示にしたがってください。それと、問い合わせはお宅の猫ちゃんのこと(体質や持病など)を知っている「かかりつけの動物病院」のほうが望ましいですね。

獣医師の先生に相談しながらビオフェルミンを猫にあげた体験談

では、実際に筆者が上記の手続きを踏まえて獣医師の先生からアドバイスを受け、ビオフェルミン投薬を猫に行った体験談をご紹介します。

病院に「ビオフェルミンの投与」についての問い合わせをしました。まずは、食欲不振があらわれていたときの猫の情報です。

症状の概要 元気がなく、何も食べない。問いかけなどに反応はある(甘えたしぐさなど)。
症状があらわれている期間 1日ほど
現在の猫の様子 静かに寝ている。元気・食欲がない以外は普段と変化なし
個体情報 10歳前後メス(詳細な年齢不詳)、中~大型日本猫、体重4kg前後やせ型、糖尿病があり現行インスリン接種

スタッフの方に電話で応対していただき、「ああ、ビオフェルミンなら猫ちゃんでも大丈夫ですよ!」という返事をいただきました。上記猫の場合、「ビオフェルミン1/4錠分を砕いて飲ませてください」とのこと。

他に、以下のアドバイスをいただきました。

  • 食欲がないとご飯に混ぜても食べないので、砕いたビオフェルミンを直接なめさせるとよい(猫の口を開けて舌先につける感じ)
  • 嫌がるときは、水に溶いてなめさせてもよい
  • 栄養補給の意味も込め、はちみつに混ぜて飲ませてもよい(インスリン注射をしているなら、少々のはちみつであれば問題あるレベルの血糖値上昇にはならない)

わたしは栄養補給を考え、はちみつに砕いたビオフェルミン1/4錠分をまぜてなめさせました。半日もせず食欲は回復し、元通り元気になりました。ああ、よかった・・・

(※20年近く前の体験談です)

この件以来、何度かビオフェルミンのおかげで猫の食欲を取り戻した経験をしています。ただし、用法用量は絶対に守ってください(必ず事前に病院で用法用量についてのアドバイスを受けてください!)。

なお、猫の口を開ける方法は、猫の口元を左右から親指と人差し指で軽く挟む感じにして、徐々に口の中に両方の指を入れていくイメージで移動させると、簡単に開いてくれますよ。

怖がるときは正面からではなく、後ろ側から、やさしく声をかけながらトライしてみてください。まあそんなに難しいことはないと思います。

それと、当時あったかどうかは定かではありませんが、ビオフェルミンシリーズには「顆粒」のタイプも現在はあります。おそらく成分は錠剤と同じかと思われますが、成分などよく確認してください。

砕く必要がないメリットは顆粒タイプのビオフェルミンにありそうですが、用法用量・成分についてはなんともいえません。

猫に食欲・元気がないと、ともに暮らす人間のほうも気になってしまいますからね・・・ビオフェルミンなどの整腸剤で食欲・元気が取り戻せるなら、約束事だけはちゃんと守ってトライしてみてもよいと思いますよ。

猫に対する整腸剤の必要性を確認し、必要に応じて対応を!

猫の体調管理は非常に難しいところがあります。しかしビオフェルミンなどの整腸剤が猫の食欲不振に役立つことは、経験上間違いなさそうです(原因・症状レベル・個体による差はあり得ます)。

どんな動物でもそうですが、生体が自ら悪いところ治す力(自然治癒力)は、生まれながらにもともと備わっています。ですから人間の感覚で「整腸剤飲めば調子が良くなるはずだ!」と思い込むのは危険です。

しかし年齢や病気などが原因で免疫力が低下し、自然治癒力も徐々に低下していくことは十分に想定されますので、そういう場合には、獣医師の診断・許可を根拠として、整腸剤を飲ませてみてもよいかと思います。

なお、今回は筆者の体験に基づいた内容になってしまったため、ビオフェルミン以外の整腸剤については検証していません。ビオフェルミン以外の人間向け整腸剤でも効果がある製品はあるかもしれません。

ただ、たとえ人間向けのものであっても、「獣医が判断を下す」という原則的・普遍的なスタンスをここでひっくり返すわけにはいかないため、今回は体験談だけということでご容赦いただければ幸いです。

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